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REVELLION 第二章 日常篇 ミナモside

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ParaBellum

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 その頃、某所にて。
 密閉された空間で数人の話し声。
「ゼノスの所在が掴めた?」
 コンクリート張りの質素な部屋に不釣り合いな可憐な少女。赤いセミロングの髪、活発そうな釣り目が印象的な少女だ。彼女の名はミナモ、ゼノスの幼馴染でかつて部下だった少女だ。
「ああ、僕らをしつこく狙ってたカッシム隊の消息が消えたんで調べさせたんだけど」
 紙束を机に置いてそれを広げる少年。彼の名はレフト、ミナモの弟でゼノスの幼馴染である。
「ゼノス!遂にキミの右腕がキミの下に戻る時が来たんだね」
 一瞬空気が止まった。その発言の主はアゲハ。自称ゼノスの右腕で最強の正義らしい。
「ほう、見たところ場所はエッセンのようだな」
 威厳に満ちた声。無精ひげの似合う男が、机の資料を見て呟いた。名はカブト、かつてゼノスの上官であり後に部下になった人物だ。
「カッシム隊が消息を絶ったエリアがエッセンの近くだから、調べさせたんだ。そうしたら偶然ある目撃談を耳にしたらしい」
 レフトの説明に皆が机の資料に目を移した。
「黒いOF。それがカッシム隊の殲滅戦で確認されたらしい」
「なるほど、可能性は高いって訳だ」
 カブトが頷きながら呟くと横でミナモが懐から一枚の写真を取り出した。
 中央にゼノス、ナチ、イリッシュの順で並び、その後ろでミナモ達がはしゃいでいる写真。
 逢えるかもしれない。今まで何度、情報を手に入れてはガセだと分かり落胆したことか、でも今回は黒いOFという見導がある。自然と期待感が募る。
「ゼノスの性格からして、偽名など使わず堂々と学校辺りに通っているだろうから」
 カブトが呟きながらミナモを見つめるとミナモは力強く頷いた。
「いつも通り、私がエッセンの学校に編入して探すのね」
「そうだね。じゃあ目的地をエッセンに変更してくる」
 目的地変更をするため、レフトがその場を後にする。
「待ってなさいよバカゼノス、私がとっ捕まえてやるんだから」
 一年前。突然謀反者として自軍に追われ、傷ついた皆を護りながら、最後はナチとイリッシュの居る宮殿に向け特攻を掛ける後ろ姿が、ミナモ達の見た最後のゼノスの姿だった。
少なくともゼノスや仲間に謀反を起こす気などなかった。謂れのない罪でミナモ達は今も、かつての同胞ハンブルク軍から追われている。

〈えっと、レフトだけど……どうやら敵さんが来たみたいだよ〉
 スピーカーから聞こえた声にミナモとカブトが頷きあう。
 今まで何度か追手と交戦し、死亡者は0だがさすがに補給不足が深刻化している。
「ここはいつも通り、私とカブトさんの二機で行きましょうか」
「ああ、そうだな」
 しつこいカッシム隊が消えた今、攻撃の手は和らいでいたが―――。
 二人が駆けだすと、残ったアゲハがニヤリと嗤う。
「僕を無視した罪。重いよ」

 大型武装車両ミノタウロス。もはや戦艦と言っていいほどの巨大な車両の甲板部分が開き中から橙色と灰色のミームング二機が滝のぼりのように飛び出した。
 砂漠が広がる平地。橙色のミームングを駆るミナモは機体を着地させると同時に辺りを見回した。
 灰色のミームングも遅れて着地しマシンガンを構え周囲を警戒する。
「敵は少数、だね?」
〈ああ、そうだな。遠方には敵影はなし、ジャミングが酷くてレーダーでの確認は出来ないがこれまでの敵部隊の規模を見るに、おそらく三、四機位だろう〉
 カブトからの通信に、頷くと二機は背中合わせに周囲に気を配る。
〈真打登場!〉
 嫌な予感がぷんぷんしてミナモとカブトは顔を顰めた。
〈天知る、地知る、人が知る、何より僕が知っている……〉
 ミノタウロスの甲板の上を独占する、場違いな黄金色の機体。

「誰だ。アゲハを整備室に入れたのは、勝手にあんな色に塗装して」
 下からその様を見上げ整備士のルージュがぼやいた。

〈最強の正義が駆るアゲハ三四号!〉
 ゴールドなミームングが右手を太陽に掲げポーズをとる。
〈参上!〉
 鳴り響くファンファーレ。ゴールドなミームングの周りを小型ロボが囲み花びらを撒いている。

「誰だ。あんなのを作る部品をあのバカに渡したのは」
 下からその様を見上げ整備士のルージュがぼやいた。

「頭が痛い」
 ミナモが頭を抱えていると、砂の大地から敵のミームングが突如飛び出しマシンガンを乱射し始めた。どうやら砂地を利用して機体を潜らせ潜伏していたようだ。
「右方、二機発見!」
〈おう、まかせな!〉
 気持ちの切り替えは大事だ。敵機はここに来て緊張を取り戻す良い材料になってくれた。無理やりに自分に言い聞かせミナモとカブトは散開し、吹き荒れる銃弾を避けながらジグザグに前進していく。
〈取ったぞ、国主殺し残党!〉
 突如、ミナモ機の背後の砂の中から最後の敵機が飛び出た。
「待ってました!」
 ミナモ機は急停止し、腰から小さくし格納していたミナモ機専用の盾を取り出し、展開する。
縦横2m台だった盾は展開し、大きさが3倍になりミナモ機をすっぽりと覆うほどの大きさになった、その盾を砂に押しつけるように差し込んで、機体を反転させて盾に背中を預ける。これで背後からの攻撃にも少しは耐えられる。
「ゼノスが築いた力。見せてやる!」
 ライフルを構え、前方に向け2発。閃光が敵機の頭部と左脚を撃ちぬく、敵機は構わず前進を続けたが撃ち抜かれた左脚の小さな爆発でバランスを崩して横転し砂煙を上げて倒れた。
「一機撃破、次!」
 ミナモ機がホバーをONにし機体の前方に向かって脚のスラスターを吹かせる。
〈な、なんだ!〉
 背中に盾を背負ったまま迫るミナモ機に敵機のスピーカーからの狼狽の声が漏れる。
〈く、撃て!〉
〈何所を見ているんだ、無能!〉
 取り乱した敵を仲間が制しているが、もう遅い。横に並んだ敵機の横合いからカブト機が突貫する。
〈青いわ!ミナモは目を引くための囮となぜ気付かん!〉
 カブト機専用の大型ランスが二機を串刺しにした。
〈部隊の力量は指揮官を見るのではなく、まず部下を見る。部下が優秀なら自然に上の力量も測ることが出来る。肝に銘じろ!ゼノスの部下がどれだけの修羅であったかを!〉
ヤキトリのようにエモノを捕えたランスを高く掲げると、貫かれたミームングからだ脱出ポッドが射出され、間髪いれずに敵機が爆発した。

〈く、くそ!〉
 ミナモ機にやられ横転した敵機が倒れたまま銃を構える。
 それを確認しミナモが悪戯な笑みを浮かべる。が…それはあるイレギュラーにより呆然へと変わる。

〈とう!〉
 アクションを起こしたのはミナモ機ではない。ゴールドなミームングが甲板から飛び降り、その手に不釣り合いな大きな剣を構える。
 カブトもミナモも忘れていたと後悔するが、後の祭りだ。
〈ゼノスは僕を『蝶なき里の蛾』と言ってくれた。その言葉に報いよう〉
 その言葉の意味をアゲハは知らない、故に幸せだ。
〈喰らえ!〉
 狙いは完璧だった。横転し無抵抗な敵機に剣を叩きつけるだけ。
〈我が必殺の一撃!〉
爆発し、散乱するゴールドなミームングの剣。
〈どうだ、刀身にいくつもの爆弾を積んだこの……あれ?僕のアゲハ三四号の腕まで吹っ飛んでる!〉

「誰でもいい。あのバカをこの世から抹消してくれ」
 ただでさえ補給不足なのに……整備室でルージュが天に願った。


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