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意志ある存在たち



〈その主なもの〉

   [種族]       [アーエン語?での名称]       
    人 (アルオール) Human
    妖精 (アエリノアリエス) Elf
    小人 (ノルディアレス) Dwarf
    龍 (ミスラティクス) Dragon
    
    魔人 (ジャロウ) Revenant
    
    魔族 (アズウュール) Lemures, Farside Bounder
    魔獣 (アズフュロス) Larval Beast, Bound Being
    魔龍 (ナズル) Dire Dragon
    魔獣 (ナヴァルフュス) Battle Beast, The Instruments of Darkness
    
    闇のもの (ドルウィー・デュナル) Deicidal Darkness



 “認識されること”が、世界が存在することの不可欠な条件であると考えるならば、意識の無いところには世界は存在し得ない。そして、意識により知覚される可能性があるのならば、そこには世界が存在する可能性がある。
 かつて魔法使いたちはこのような考えに基づき、「精神」の分類を重要視した。多様なる精神、そのそれぞれがいかに知覚し、いかに思考するかが、世界の様相を決定する。
 それゆえ、魔法使いたちの古い言語であるアーエン語の体系(“アルエナファルム”)においては、生あるものたちの中でも、思考と自我とを有する存在を至上のものとして特別の位置に置く。これらの存在の様相を知ることは、世界を知ることでもあると、彼らは考えた。様々な意識が織りなす、多彩で複雑な彩りを読み解くことこそが。





人(アルオール

 “意志ある存在たち”の中で最も勢力を誇るもの。あらゆる可能性を内在させる類希な存在と位置付けられる。知性、感性、魔力への適正など、他の種族に比してさまざまな特長を持ち、一定の条件が満たされたときにはそれらは大きく開花し顕現するが、通常はそのどれも過渡的段階にとどまる。特に魔力に関しては、一般の人間にはほとんど積極的な能力はない。人が魔法を使えるようになるためには、魂の特別な「覚醒」を必要とする。
 しかし、人の魔法に対する潜在性は無限であり、これはウイリアの他のどんな存在にもない特性である。人間の持つ潜在的な魔力は、龍や妖精のように遙かに魔法に馴染み深く見える種族をも凌駕する可能性を持っている。この秘した特性こそが人間という存在を決定づけているといっても過言ではない。


妖精(アエリノアリエス

 自然界は魔力に満たされている。妖精たちはそうした魔力との密接な関係のもとにその存在が支えられており、自然環境にきわめて強く従属する。その存在は人間と異なり、世界と超越的な関係によりつながっている。現世で見られる妖精たちの身体は、現実性の揺らいだ状態で成り立っており、言い換えれば魔力により紡がれる儚い夢のようなものである。彼らの魂は「精霊界」に直結している。精霊界での存在こそが、彼らの本質である。
 一般に、妖精は感情の満ちあふれた存在で、理性というものをほとんど持たない。妖精の精神は、感情のみで構成されているといってもいいだろう。人を、世界に様相を与え、世界を変容させていく存在とするならば、妖精は、その人間自身の生に変化を与える存在であるということができる。
 妖精のうち、最も社会性に富み、高い文化を持つ種族は、アリアスという種族である。普通、妖精といえばアリアスのことを指す。アリアスは妖精のなかではかなり現実世界に偏った種族であり、人間に近い面も持っている。


小人(ノルディアレス)

 人間と同じ程度の実存性を有し、魔法的な要素をあまり持たない。「世界」に対する関心を持ってはいるが、人間のようなかたちで世界に関わり、変化をもたらしていくことはない。
 妖精や龍と違って、新たなものを創造する能力を持っている。ただしそれは自然にあるものの加工・再編にすぎず、人間のように、新しい「概念」を作り出すことはできない。すなわちものを創造することはできても、物事を変革したり、何かを表現したりすることがない。
 ウイリアで一般に見られる種族としては、モルム小人が代表的である。


龍(ミスラティクス

 太古の種族とも言われる。様々な意味で、人間の対極に位置する。彼らは非常に魔法的な存在で、その身は常に魔力に満ちあふれているが、人間のような、魔力の潜在性はない。高度な知性と思想とを有するが、それらは文化や文明という形では顕れない。社会性を持たず、個で生きるものがほとんどである。
 龍の知性は外在化することはないものの、非常に高度なものである。彼らは莫大な記憶を持ち、世界のあらゆる事象を知っている。決して知り得ぬはずのことも。龍はその知識を、実際の自分の体験だけでなく、何か魔法的な方法で得ているとされる。彼らはその長い生の中で、自分の持つ知識を相手に、深く思索して過ごす。そして、それは彼らの死とともに失われる。龍は知識の保存を気にかけないからである。
 龍(ミスラティクス)は、竜(アルニクス)と似たかたちをしているが、決定的に別の種族である。外見的には、翼を含めて四脚であるのが竜で、四本の脚にさらに翼を持つのが龍であるという区別があるが、実際には外見以上にはるかに違う種族だ。竜はあくまで普通の生物であるが、龍は生物と、魔法的な存在の中間にあるような存在だからである。
 とはいえ何の接点もないという訳ではなく、龍は、竜が魔力の干渉を受け、魔法的に進化したものといわれている。しかし本当のところ、龍の起源については謎に包まれている。竜とは関係なく、全く独自に創造された存在であるという説もある。


魔人(ジャロウ

 不老不死の人間。精神、肉体ともに普通の人間をはるかに超越した強さをもつ。実際にはすでに人間ではない別の存在。一般に魔人は人間が何らかの作用で変容することにより生まれる存在で、種としては存在しない。
 魔人の不死性は妖精や龍の長寿とは異なる、完全なものである。老化が遅く、長大な寿命を持つのは妖精や龍と同じだが、魔人の場合、肉体そのものの無限の再生力により真の不死性を持っている。事実上、彼らは老化しない。
 魔人はその異常な能力と引換に、精神に呪いを受けている。彼らは自身の欲望を抑制することが全くできなくなってしまう。確かに彼らはその強大な力ゆえに、通常の人間より自分の欲望の具現化が容易ではあるが、しかしそれでもやはり限度がある。抑えられず、尽きることもない欲望に、彼らは永遠に苦しむ。だが彼らは自分の苦しみの原因を知ることも、解決することもできない。
 この「呪い」のために、魔人のほとんどは邪悪な存在として世界に災いを与えることになる。魔人の不死性は、絶えず肉体に魔法的な浄化を施し続けることにより得られるもので、そのために精神は常に緊張を強いられている。魔人が欲望を制御できない理由というのは、ここのところに何かのつながりがあるのかも知れない。


魔族(アズウュール)、魔獣(アズフュロス)

 アルエナファルムでの本来の区分では、「魔」を要素として持つ非実存的種族を指す。魔族というのは混沌とした存在で、現実的な存在基盤がない。その肉体は非常に曖昧に存在する。外見としては安定したかたちをとってはいるが、そこには形態的な必然はない。彼らの形態を決定するのは自然環境ではなく、彼ら自身の意識である。
 魔族は精神的にも不安定な存在で、自我を持っているのかどうかもわからない。彼らの本質が何であるのかもわからない。ただ本質そのものは何らかのかたちで存在し、それは「魔界」に直結する。彼らは、その全ての存在ごと魔界へと行き来することが可能である。魔族の混沌とした存在を統括している本質というのが実は何か単純な法則であるから、というのがその理由とされる。
 アスエドルには、“両界を跨ぐもの”と呼称される。


魔獣(ナヴァルフュス

 広義には、人間一般の日常からはるかに逸脱しその生活に仇を為す存在全てを指し、魔族と同じような意味合いで使われることが多いが、アルエナファルムでナヴァルフュスというのは本来、魔族とは全く異なるものである。自然に生成した存在ではなく、他の何らかの「意志ある存在」の手により創造されたもの、それがナヴァルフュスである。それらのほとんどが、強大な力を持つものであったために「魔」と表されているが、特に魔族との関連はない。
 また、厳密には「意志」を持つ存在とは限らないのだが、自己を強く魔法に依存し、狭いが際だった精神を有する存在が多いことから、意志ある存在と同列に語られる。











最終更新:2009年10月31日 03:24