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An angel's drop.1

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An angel's drop








 「いてててててっっ!!!!」


 突然背後で大声が響き、少女は思わず小さく声を上げた。


「わっ、な、何?」


 何事かと振り向くと、少女のすぐ後ろの携帯を持った男の手が見事にひねり上げられている。

 男の手を冷めた目で掴んでいる男の子は少女と同じ羽ヶ崎学園の制服を着ていた。


「ごめんね、驚かせちゃったよね。この人、君のスカートの中を盗撮してたみたいなんだ。これから駅員さんにこの人引き渡すから、君も一緒に来てくれるかな?」


 少女を見てにっこり微笑むと、男の子は暴れて逃げようとする男をがっしりと羽交い締めにした。


「は……はい」


 状況がイマイチ理解出来てはいなかったが、少女はコクンと頷いた。













 「どうもありがとうございました」


 無事盗撮犯を警察に引き渡し事情聴取が終わった交番の前で、少女は男の子に深々と頭を下げた。


「そんな大した事してないし、たまたま後ろにいただけだから」


 照れ臭そうに言う男の子は細身だが、盗撮犯の身動きをしっかり止めていたから見た目より力持ちなのかも知れない。

 そんな事を観察しながら晶が尋ねる。


「あの、私羽ヶ崎学園1年の海野晶(うみのあきら)です。あなたは……?」

「僕は3年の天地翔太。……晶って、男の子みたいな名前だね。間違われない?」

「っ……良く間違われます」


 天地のぶしつけな質問に、晶は少しムッとした。

 今まで散々間違われ続けて来て、「晶君」などと呼ばれる事には慣れていたが、面と向かって男と間違われるかと聞かれたのは初めてだった。


「でもすごく良い名前だよね。女の子で晶だから一度聞いたら忘れられないし」


 決して悪気などないといった爽やかな笑顔に、晶は怒りを逸らされた。

 馬鹿にしているのかと思えば、名前を褒めたのだ。変わった人。それが晶の天地に対する印象だった。

 だが、自分の名前を良い名前と言われたのは初めての事で、なんとなく照れ臭い。


「あの……」


 気がつけば晶は天地に声を掛けていた。そんな自分の行動に驚く。

 別に特別話しを続けたいと思っていた訳でもないのに。


「何?」


 首を傾げる天地に、何か言わなくてはと考える。


「あ……助けてもらったお礼がしたいんで、良かったら連絡先を教えてもらえませんか?」

「え? 別にいいよ、お礼なんて」


 あははと無邪気な顔をして笑う天地に晶は少し顔をしかめた。


「でもそれじゃあなんだか悪いです。私の気が済みません」


 借りをそのままにしておくのが嫌いな性分の晶は手を振って遠慮する天地に食い下がった。

 そうだ、助けてもらったのだからお礼をするのは当たり前だ。だから私は声を掛けたのだ。と、ここで自分に言い聞かせる。


「……そんなつもりで助けた訳じゃないしなあ……あっ、じゃあ今度僕と一日デートしてくれない?」

「は?」


 思いもよらない天地の申し出に、晶は驚いた。

 生まれてこのかた男の子とデートなどした事の無い晶はすぐに返事も出来ずに固まり、視線だけ天地から逸らした。


「あれ? お礼がしたいんじゃなかったの? デートは嫌?」

「いえ、そうではなくて。嫌というか……それはお礼という事になるんでしょうか?」


 自分はからかわれているのだという結論に達した晶は、深くため息を吐いた。


「君とデートしたいって僕が思ったんだから、十分お礼になるよ。僕の為に君の時間を取らせるんだし」


 晶はまたもや驚いた。

 よくも初対面の人間に向かってこんな恥ずかしい台詞が次々と言えるものだと、呆れるというよりむしろ感心する。

 しかし本心かどうかは分からないが、本人がそれで良いと言うなら申し出を断る理由はない。


「ーーー分かりました」

「よし、決まりだね。でもその前に早く学校行かなきゃ、完璧に遅刻だね」

「あ……」


 二人はダッシュで学校へと向かった。









                             続く…







どうも、お読み頂きありがとうございます!
今回えりさんとのコラボで書かせて頂いた天地小説ですが、、天地に年下ヒロインをぶつけてみました。
相変わらず途中でえりさんに頼りっぱなしという情けない管理人ですが(笑)
えりさんのおかげで管理人の適当な話しがとっても可愛く仕上がりました〜。
なので、最後までお付き合い頂けたら嬉しいです♪

あなたの暇つぶしになりますように…




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