チェンジ・ザ・ワールド☆
An angel〜.2
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An angel's drop
晶はクラスメートであり、友人でもある良恵に問い詰められていた。
「それで、それで? 天地先輩とはどんな話したのよ? 答えなさいよー」
今朝、晶が遅刻した理由をしつこく尋ねられ、昼休みに白状させられていたのだ。
「どんなって……名前を名乗ってお礼を言って、何かお礼させて下さいって言ったらーーー」
「言ったら?」
瞳をキラキラと輝かせる良恵に、晶は困ったように小さくため息を吐いた。
「多分からかわれてるんだと思うんだけど、今度デートしようって」
「な、なんですってえーーーーー!?」
大声で心底驚く友人の姿に、晶は正直に話してしまった事を後悔した。
「晶、あんたは中等部の三年生から編入してきたから知らないかもしれないけど、天地先輩っていったら中等部時代から超人気で有名人なんだから!」
「そうなの? 知らなかった」
ふと天地の顔を思い出し、確かに中性的で綺麗な顔立ちが印象的だったなと納得する。
良恵のいう通りモテるというならば、それはしごく当然の事かもしれない。
「去年卒業した佐伯瑛って先輩と並ぶくらい超人気で、今じゃはね学プリンスなんて呼ばれてるんだから! 去年までは背もちっちゃくて可愛い☆ってカンジだったけど、急に身長伸びて今年はもうはね学不動のプリンスなのよっ!」
「へえ」
そういうミーハー的な事にあまり興味の無い晶は、興奮気味に熱く語る良恵に適当に相づちを打っていた。
良恵がここまで力説する先輩なのだから、晶も全く興味がないというわけではない。
晶的にはなぜお礼と言うだけでデートに誘われたのかそれが不思議でならないのだ。
自分自身に興味が沸いてきたのか、それとも本当にからかわれてるだけなのか。
「大体高等部に入って1ヶ月以上経つのに、今まで天地先輩の存在を知らない方がびっくりだよ……ま、もうすぐ体育祭だから嫌でも先輩の人気を目の当たりにするとは思うけどね」
「そうだね」
そんなにしつこく強調する程の人気者だというのなら、やっぱりからかわれているんだろうなと晶は思う。
改めて天地をよく知らずにデートをOKしてしまった事を後悔していた。
「晶ってば暗い~! 人気でモッテモテの先輩からデートに誘われたんだよ? もっと嬉しそうにしなよ! で? いつ? いつデートなのっ!?」
「来週の日曜日」
だが特に当日になってドタチャンしたり、安易に約束を破るのは晶の性分ではない。
一度は行くと約束したのだからには行くしか無いと心を決めた。
「マジでっ!? あんた可愛い服とか持ってんの?」
「ーーー可愛い服ってピンと来ないかも。どんなの?」
呆れたと言うような顔で良恵は肩をすくめて首を振る。
晶はデートが未経験な上に、友達と遊ぶ時にもあまり服装には気をつけた事がなかったので流行のファッションについてはかなり鈍いのだ。
「今日あたし雑誌持って来てるから貸したげる。きっと天地先輩ってピュア系の服が好きだと思うんだよね。頑張って勉強しな」
「うん、ありがと」
良恵からファッション雑誌を受け取り、わけの分からない単語を頭に叩き付けられた。
こうやって天地アプローチ作戦が始まったのである。
++++++++
良恵に借りたファッション雑誌やネットを参考に、晶はピュア系の服を買いに行った。
当日になって晶が気になったらしく、朝から良恵は様子を見に来てくれて、普段必要としないメイク道具も貸してくれた。
「これは天使のリップっていう限定販売のリップなんだぞぉー。晶には特別に貸してあげよう」
お節介にメイクまで伝授してくれた良恵に淡いピンクのリップを付けられた晶は、デート当日になって朝から玄関で大きなため息を吐いていた。
「どう? 晶。すごく変わったんじゃない?」
「そうかな……」
いくら良恵に太鼓判をもらったとはいえ、自分に自信の無い晶はわざわざからかわれに行くのかと思うと憂鬱になってしまったのだ。
初めておめかしして出掛ける娘を妙に楽しそうな顔で見送りに来ている母親に、半端無理矢理に背中を押され、強引に家から出されてしまった。
「大丈夫大丈夫、馬子にも衣装」
と言って笑った母親は、言葉の意味を理解しているのだろうか。
「はあ……わざとね、あれは」
手には良恵からの情報で天地が甘いものが好きだと知り、今朝早起きして作ったガトーショコラが入った紙袋が握られていた。
お礼に一緒に出掛けるだけというのはさすがに気が引けるのでケーキを作ってみたのだが、こんな手作りケーキを果たして喜んでくれるのだろうか。
これではまるで自分が天地の事を好きみたいだなどと苦笑し、晶は歩き出した。
待ち合わせ場所は商店街のあるはばたき駅前。先週、晶が天地に助けてもらった駅だ。
待ち合わせの時間より5分早く到着し、晶はぼんやりと駅の改札口の見える木の陰に立っていた。
よく考えれば、ただ助けてもらっただけで初対面の人と二人で出掛けるなんて、私って意外にチャレンジャーだったのかも……
と晶はふと思う。
目立つ事を嫌い、静かに暮らしていたはずだが、今の晶は今までの晶と明らかに違っていた。
転校して来た時も地味にしていたのだが、良恵は人懐っこくてすぐに晶の中に入り込んで来た。
元気でさっぱりとしている良恵は憎めない子で、一緒にいて気が楽で楽しかった。
相手に気を使わせない雰囲気を持っている所が、晶の性格と合ったのだろう。
高等部に進学して同じクラスだった時は本当に嬉しかった。
ただしそれを大げさに表現出来ない晶に代わって、良恵が飛び上がって抱きついてくれたのだが。
もちろん好きな男の子なんて出来なかったし、恋愛にも興味がなかった。
そんな地味な自分が、学校でも人気で有名人だという天地と出掛けようとしているのだから笑ってしまう。
「おねーえさん、一人?」
ぽんと肩を叩かれナンパな台詞を言われた晶は驚いてビクリと肩を震わせた。
無視しようと決めて声をかけて来た人を見ないように足下に視線を落とすと、今度は笑い声が降って来た。
「あはははっ! そんなに嫌がられると自信無くしちゃうな」
「え?」
顔を上げるとそこには天地が立っていて、目を丸くする晶に笑顔を向けている。
「こんにちは、ナンパだと思った? ごめんね。……へえ、私服はそんな感じなんだ。すごく似合ってるよ、可愛いね」
顔が熱くなるのを感じた。またからかわれている。
可愛いなんて良恵に言われてもここまで嬉しいとは思わないかもしれない。
「驚かさないで下さい」
「すごくぼんやりしてたからさ、ちょっとね……ごめんね? さ、行こうか。晶ちゃんはどこか行きたい所ある?」
晶ちゃんーーーそう呼ばれるのがなんだかくすぐったい。
男の人で自分の事をちゃん付けで呼ぶのは親戚のおじさんだけだ。
一瞬だけ馴れ馴れしいとも思ったが、天地にそう呼ばれるのは嫌じゃなかった。
続く…
どうも、ここまでお読みくださりありがとうございます!
えりさんにほとんど手直しして頂いてるので悩んだのですが、今回加筆修正を多少加えました。
でもえりさんに修正していただいた内容は損なわないようにしたつもりです…
あくまでつもりなんですが(汗)
えりさんにほとんど手直しして頂いてるので悩んだのですが、今回加筆修正を多少加えました。
でもえりさんに修正していただいた内容は損なわないようにしたつもりです…
あくまでつもりなんですが(汗)
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