チェンジ・ザ・ワールド☆
An angel〜.5
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An angel's drop
晶はあの二人が見えなくなるまで早足で歩き続けた。
先程までは晶の名前を何度も呼び続けていた天地だったが、いつの間にか黙って晶の後を距離を置いて付いて来るようになった。
歩き続けて早くも10分。
晶達はとうとう臨海公園まで来てしまった。
晶自身も何をしているのだろうかと馬鹿らしくなり足を止めた。
「やっと止まってくれた。急に怒っちゃって一体どうしたの?」
「私、佐野先輩みたいに可愛くないので、あんな可愛いリップなんて要りませんから。リップはともかく、私も似合うとか軽々しく言わないで下さい」
「なにそれ、別にそんなつもりで言ったわけじゃないよ。似合わない人に似合うとかそんな事僕は言わないから」
晶は真剣な目差しで天地の顔をまじまじと見つめた。
天地はそれに劣らず睨むような目付きで晶にきつい言葉を放つ。
お互いににらめっこをしているような状態で様子を伺うので、晶は自分が今どんな顔をしてこんな事を言っているのか急に知りたくなった。
「ねぇ、晶ちゃん? 顔が恐いよ? 今の晶ちゃんはホントにすごい顔してるんだけど。もしかしてさぁ、晶ちゃんは僕と佐野先輩にヤキモチ焼いてるんじゃないの?」
「ヤキモチ?」
晶には全く聞き覚えのない単語だった。
晶は天地にきちんと答える前にヤキモチの意味を頭の中でずっと考えていた。
「だってそうでしょ? 晶ちゃんは僕と佐野先輩が仲良くしてるから、だからヤキモチを焼いたんじゃないか」
「急に、そんな事言われても……」
「違わない……よね? 認めたら?」
「そんな事、急に言われても分かりません……ただ私は天地先輩のせいで胸の内がこうなんだかもやもやするんです。佐野先輩は素敵です。でも私……嫌です。佐野先輩と同じなのは嫌なんです……」
天地は晶の言葉に目を丸くしながら驚いていた。
「ちょっと……待ってよ。その顔、反則だから」
恥ずかしくなり赤くなった顔を見られないようにする為勢いをつけて晶の首に腕を回し、そのまま自分の肩に晶の顔を埋めた。
そして天地は晶の首を抱き寄せた。
突然の事に晶は一体何が起こったのかよく分からなかった。
気付けば晶の視界が塞がれていて、どうやら視界を塞ぐのは天地の肩らしい。
驚きのあまりに天地から離れる事もままならない程急激に鼓動が激しくなった。
そして、晶の頭の中はすでに何も考えられない程真っ白になり、自分がどうしてこんな状況になっているかを尋ねる事も出来なかった。
「それ、素で言ってるの? だとしたらすごいんだけど……」
うるさい心臓の音の間に天地の声が耳元で聞こえ、漸く晶は身じろいだ。
「あの……天地先輩……?」
「晶ちゃんズルイよ、僕ばっかりじゃないか」
天地がぽつりぽつりと呟く全ての言葉の意味がよく分からなかった。
だが、晶を抱き締める天地の腕は微かに震えていた。
晶にはそれがどんな意味を示しているのかは分からなかったが、天地の身体からは晶が感じ取れる程の熱が帯びていたのだった。
「僕とは今日が初めてだし、出会った日もまだ浅いよね。なのにその短い期間の中で僕と佐野先輩に嫉妬するなんて信じられないよ。晶ちゃんはとても不思議な子だね。晶ちゃんと初めてデートしたけど、今よりもっと知ってみたくなったよ」
晶は天地と佐野に嫉妬をしていたからこんなにもイライラしていたのだと気がついたのだ。
それを天地から聞いて、ようやく自分の気持ちにも気付き始めていた。
「晶ちゃんに渡したい物があるんだ。はい、コレ」
天地は腕を解いてくれて、ある小さな長細い箱にあるモノを晶に手渡した。
晶はいきなり手渡されて、何がなんだか分からなくなった。
「あの、お気持ちは嬉しいんですが、これはいただけません」
「いらないなら捨ててくれればいいよ」
「捨てるだなんてそんな事出来るはずないじゃないですか」
「じゃあ受け取って貰える?」
「は、はい。ありがとうございます」
晶は少し恥ずかしそうに俯きながら天地にお礼を言った。
すると天地は晶の頭を優しく撫でた。
「どういたしまして。僕が晶ちゃんにプレゼントしたかったんだ。ケーキのお礼も兼ねて、受け取って欲しいんだ」
「お礼なんてされたら、私が今日デートした意味がなくなるじゃないですか」
「そうかな? 僕はそんなの気にしないよ。毎日大事に使ってね」
「はい…」
男の子から貰った初めてのプレゼントがこんなにも嬉しい気持ちにされるものだとは知る由もなかった。
ただ晶には初めての出来事ばかりで、嬉しさのあまり、顔がにやけっ放しだった。
あれから急ぐように家に帰った晶は、良恵から借りてあった雑誌とにらめっこをしていた。
なぜだかあの先輩に負けたくないという晶に対抗心が芽生えたようだ。
頑張ってオシャレを極めて、天地によく思われたい。
もっと良恵みたいな魅力的な女の子になりたいとそんな風に思うようになった。
晶をこんな風に変えたのも、やっぱり香水が原因の1つでもある。
「えへへ……先輩気に入ってくれるといいなぁ」
晶は雑誌を眺めつつ、明日の準備をアレコレ考えていた。
++++++++
晶は今日はいつもの時間より早く起きていた。
髪の毛はいつもならくしで髪を軽くブラッシングするくらいだったが、今日は前日からカールを巻いてアイロンまで使ってセットしていた。
カールした髪はヘアゴムで束ね、顔も母に借りてきた化粧品できちんと整えた。
「あっそうだ」
晶は天地から貰った香水を箱から取り出した。
そして手の甲に吹き掛け、手についた香水の香りを嗅いでみる。
「いい香り。先輩こういうのが好きなんだ……」
ふわりと香るフルーティーの香り。
晶は普段からあまりつけ慣れないせいもあり、この香りがとても不思議な香りがした。
それも天地が好きな香りというのもあって、晶も単純にその香りが好きになれた。
「よし、これでオッケーね」
今までのちょっと地味なイメージとは打って変わって、全く違う晶に早変わりした。
これもみんな天地に喜んでもらいたいという出来心からで、いつの間にか晶は天地を中心として動いているんだと気が付く。
「いってきまぁーす!」
晶は張り切るように学校へと向かって行った。
正直、天地がどんな反応を示すだろうと少しワクワクしながら胸を踊らせていた。
「おはよー。良恵」
「晶おはよー。……ってホントに晶なの? どうしたのよ?」
良恵が驚くのも無理はなかった。
以前の晶の面影が全くなく、思わず確認してしまったくらいだ。
友人の豹変した変化に、ただただ良恵は目をパチパチとしているだけだった。
「良恵?」
「こんなに可愛くなっちゃって、一体何があったのよ」
晶は良恵にデートしてきた事を報告した。
たったそれだけの事でこんなにも変わってしまった事に良恵は疑問を感じていた。
「で、これを貰ったわけだ」
良恵は香水を天井にかざしながら羨ましそうに眺めていた。
「でもさ、こんなん貰ったって事は告白されたの?」
「まさか! そんなわけないよ」
「はぁ? だったらなんで晶がこんなの貰うのよ?」
「はぁ? だったらなんで晶がこんなの貰うのよ?」
晶は良恵の言いたい事がよく分からなかった。
晶は天地からデートのお礼としてこの香水を貰っただけだ。
だが良恵の今の言い方だとまるで他の意味もあるかのように聞こえた。
「どういう事?」
「まさかと思うけどね、これが何の香水か知らないわけないよね?」
「さぁ。よく分からないけどお礼にってくれたの。いい香りの香水でしょ?」
「嘘でしょ……あんたねぇ、軽々しくこんな香水くれるわけないでしょ。これはね、『天使のしずく』っていう世界に一つしかない香水なのよ。人それぞれに調合して作る香水だから、とっても特別な香水なんだから。天使のリップと同じくらい今流行の香水なのよ。普通はカップルとかが持つ物だけど、なんで晶が持ってるのかが不思議だわ」
この小さな香水にそんな意味があったとは、晶は知る由もなかった。
良恵の話が本当ならばなぜ晶にこの香水をプレゼントしてくれたのか、晶も良恵同様にそれが無性に不思議でならなかった。
「ど、どうしよう良恵」
「もう貰っちゃったんだし、今更どうもこうもないわよ。でもさぁ、これをくれるって事は晶の事まんざらでもないんじゃない?」
「えー!」
「なによー、こんな確かな物を貰っておいて今更怖気付いたわけ? 呆れちゃうわね。はね学プリンスに気に入られたんだよ?もっと自信持ってもいいと思うよ」
「う、うん」
晶は未だこの香水にこんな今があるとは信じられずにいた。
続く…
む、むう。さすがえりさんだ。なんだヒロインのこの可愛さわwww
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