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三島5日目・No.2

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私のやんごとなき王子様












 朝食をすませた後、早速実行委員の本部へ向かう。三島君から頼まれた仕事をこなしていると、あっという間に昼過ぎになっていた。


「そろそろ取材の方々がみえるから、応対の準備を」

「はいっ」


 三島君の声一つで、実行委員全員がテキパキと動き始める。人を纏めたり、促したりするのが本当に上手いな――なんて関心をしていると、入口の方がにわかに騒がしくなった。


「いらしたみたいです」


 下級生がそう言うと三島君は席を立ち、取材陣を室内へと招き入れた。


「ようこそお越しくださいました」

「どうもどうもー」


 キリっとした表情で一礼した三島君に対し、取材の人達はあくまでもフランクに接している。


「それじゃあ早速質問を~」

「ここが終わったら次は風名君の方、ちょうど時間合うだろ?」

「バッチリです」

「おい、利根君はどうなった? 桜亜里沙嬢は?」


 勝手な事を口ぐちと発言する大人達。取材って言っても……こんなの一体どこから話をしてけばいいって言うのよーっ!

 軽くパニックになりそうな私の耳に涼やかな声が響いた。


「失礼、こちらにも都合がありますので、なるべく簡潔に済ませて頂けませんか?」


 三島君だった。彼はたくさんの大人たちやカメラにも怯むことなく、真っ直ぐに声を発していた。


「ああ、そうだよねー、ごめんねー。じゃあ早速何だけど」

「今回の演目を白鳥の湖にしたのは何か理由があるのかなー?」

「風名玲君と桜亜里沙さんという今芸能界でも注目の二人が主役をやるというのは、やはり最初から決まってたんですか?」

「星越学園には芸能活動をしている人が多いですが、この劇の出演者も全員そう言った関係の仕事をしている人たちだったりします?」

「与えられた期間が一週間しかないのに毎年大成功を納めているのは、学生ではなくプロが裏方をやっているという話を聞きましたが、本当かな? もし本当なら学園は嘘を吐いていることになりますよね~?」


 なっ、なんなのーー!?

 質問すると決めるやいなやの質問の嵐にまたも私はパニック状態。こ、こんなのって……。


「演目を白鳥の湖にしましたのは、動きの美しさに着目したからです。今回は演出担当の者がバレエのようなしなやかな動きも取り入れたいと、たっての希望がありましたので。数々のバレエの名作から白鳥の湖を選んだのは、それが最も生徒から人気があったからです」


 目眩すら覚えそうになった私の横で、三島君がスラスラとまるで何かを音読しているかのように受け答えしていく。


「主役につきましては、王子役の風名君の方は早い段階から投票で決まっていましたが、オデット役はギリギリまで未定でした。2日前に推薦と投票で桜さんに決定した次第です。また演劇の出演者は全員芸能関係者かといった質問ですが、答えはノーです。今回、初めて演技をこなすような者もいますので、どうか温かい目で見守って下さると有難いです」


 すっ、すごい! 私は思わず目を見開いて三島君を見つめてしまう。


「それと……、もう一つはプロが裏方をというお話ですが、これは絶対にあり得ません。なぜならそのような事をしてしまえば、僕達は星越学園の生徒であるという誇りを失うからです。そのような志の低い者はこの学園にはいません。以上ですが、他に何か?」


 余りにも完璧なその答えに取材の人達も思わず固唾を飲んで、聞き入っていた。やっぱり三島君は凄い!


「いえ、十分です」

「貴重なお話を有難うございました」


 最初は少し子供扱いしていたような人たちでさえ敬語を使い、三島君に向ってペコリと頭を下げると何枚か写真を撮って、退室していった。


「す……すごいね! 三島君っ」


 私はそれが何だか嬉しくて思わず大きく手をならしてしまう。


「ははっ、大したことじゃないよ」


 三島君はそう言うと、私に向ってにっこりとほほ笑んでくれた。その表情は少しだけ誇らしげだ。

 それが素直に嬉しくて、ますますやる気が湧き上がってきた。よっし! 絶対成功させるぞ~~!


 その日私は日が暮れるまで、あちらこちらとの連絡係として奔走した。











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