チェンジ・ザ・ワールド☆
利根7日目・No.1
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私のやんごとなき王子様
7日目
今日も朝からミシンと格闘。
昨日海で遊んだのがいい気分転換になったらしく、皆の雰囲気がどことなくはつらつとしている。
私はというと、実は利根君と水原さんの事が昨日から気になっちゃって、ミシンを動かしながらも二人の様子を伺っていた。
少し離れた所にいて、利根君は私に背を向けているから私がこんなにちらちら見てるなんて思いもしないんだろうな。
なんて事を考えていると、利根君の所に水原さんが近づいて何やら話している。一体どんな事を話してるのかな。
どことなく水原さんの顔が嬉しそうで、私の胸はツキンと痛んだ。
昼食を済ませた後、私達小道具担当班は調理室へと向かっていた。
今日は私達が食事当番なのだ。とはいってもメイン料理を作るのはあくまでも宿舎のシェフの方々。私達は教育の一環として、担当班ごとに日替わりで1品を作るというのが決まりなのだ。
1品とはいっても、全校生徒プラス先生の合計200人分の料理だから作る量がさすがに多い。
1品とはいっても、全校生徒プラス先生の合計200人分の料理だから作る量がさすがに多い。
私達が作るのはハンバーグ!
ハンバーグ大好きな私としてはとっても嬉しいのだけど、このタマネギのみじん切りが目にしみてなんとも辛いのよね……。
ハンバーグ大好きな私としてはとっても嬉しいのだけど、このタマネギのみじん切りが目にしみてなんとも辛いのよね……。
「ううう……ずずっ」
「小日向さん、代わるよ」
「うえ?」
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった私がしかめ面で顔を上げると、利根君が私の手元から包丁をゆっくりと取った。
「あ、利根君……」
やだもう、私ったらすごい顔してるのに!
慌てて近くにあったキッチンペーパーで鼻をかむ。
「ごえんえ……」
「いいよ。小日向さんは少し離れてた方がいいよ。近くにいるとまた涙出るでしょ?」
鼻を押さえた状態のままお礼を言うと、利根君は笑って次々タマネギをみじん切りにして行く。
「ん、ありあと」
やっぱり利根君って器用なんだな。こんなに何でも出来ちゃう男の子ってすごく素敵だけど、彼女は大変そう。だって自分よりも料理や裁縫が上手だなんて、他に何を武器にすればいいっていうのよ。亜里沙様みたいな美貌もないし、水原さんみたいなしとやかさもない。ごくごく普通の女の子なのにーーってあれ? 利根君って彼女いるのかな? もしいたら噂が広まってるはずだし、聞いたことないからきっといないんだろうけど。
だけどこれだけ完璧な人は一体どんな人を好きになるんだろう。やっぱり、水原さんみたいな大和撫子タイプ。かなあ……。
ああもう、何考えてるのよ私! ぼーっと立ってないで仕事しよう! うん、そうしよう!
私が利根君と少し距離を置いて大きなボールにひき肉を入れ、卵をどんどん割っていると、利根君が話しかけて来た。
「こうやって一緒に食事当番っていうのも楽しいね」
「あ、うん。そうだね」
「去年も一昨年も小日向さんとは担当が違ったから、こんなにたくさんしゃべれて楽しいよ。やっぱり小日向さんって面白い」
「え? 面白い?」
それって褒め言葉?
私がパン粉と牛乳とナツメグをボールに入れた所で利根君の言葉の意味を考えていると、見事みじんに切られたタマネギを利根君がボールに投入した。
「さ、ここも代わるよ」
「いいよ、私混ぜるの好きだから!」
これ以上利根君に仕事をさせる訳にはいかないもん。
私はボールを体で隠すように押さえて豪快にタネをこね始めた。それを見て利根君がまた笑う。
「くすっ。やっぱり面白い」
「え~? 面白いって、それって喜んでいいことなの?」
私が少し恨めしそうに見たからか、利根君はすぐに頷いた。
「もちろん。俺、女子でこんなに一緒にいて楽しい子他にいないもん」
……や、やだ、私の顔赤くないよね? 利根君が私と一緒にいて楽しいって言ってくれた……夢みたい。
恥ずかしさを誤摩化すためにさらに力を込めてこねると、コンロの方から声が飛んで来た。
「そろそろ焼くよ~!」
上手に焼き上がったハンバーグを前に、私達は食堂に座って他の人達の反応をじっと見守った。
皆それぞれに「美味しい!」と言いながら食べてくれている。
その言葉を聞くと自然と笑顔になって、ふと隣りに座っていた利根君と目が合った。
「よかった。皆美味しいって言ってくれてる」
利根君も同じ事を考えていたらしく笑っている。
「うん!」
「衣装も小物も頑張って作って、皆に喜んでもらえるといいね」
その言葉に私は胸が暖かくなった。
「そうだね。私、頑張る」
「それじゃあ自分達で作ったハンバーグを食べようか?」
「はいっ」
こんな気持ちでご飯が食べれるなんて思わなかった。だってすごく幸せなんだもん。
水原さんの事は気になるけど、今こうして隣りで笑っている利根君を見ていられるのはやっぱり嬉しい。
私は口の中に広がるジューシューな味に、増々笑顔になった。
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