チェンジ・ザ・ワールド☆
利根6日目・No.2
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私のやんごとなき王子様
「利根君!」
突然名前を呼ばれ、利根君の腕が後ろから掴まれた。
振り向くとそこにはさっき部屋で利根君と話していた女子、水原さんが、麦わら帽子に白いワンピースの水着姿で利根君の腕にしがみついていた。
何故かそれを見て私はムッとする。
「水原さん? びっくりした。どうしたの?」
あんまりびっくりしているように見えない利根君だけど、相変わらずの口調で突然の乱入者を迎えた。さり気なく腕から彼女の手を放しているのが見えて、ほっとする。
「2年の女の子が足を怪我したみたいなの。貝殻で切ったと思うんだけど、医務室に連れて行くのを手伝ってくれない?」
「えっ? 怪我?」
私と利根君は同時に驚いた。
「あそこにいる子よ」
そう言って水原さんが指差した所に、怪我をしたらしい女の子ともう一人女の子がいた。
「男の子の方が力があるでしょ? だから肩を貸してあげて欲しいの」
「分かった、行こう」
「あ、私も行く!」
咄嗟に言葉が出た。自分でもちょっとびっくりしたけど、だって何だか利根君が取られるみたいな気がしたから。
だけど私のその言葉に、水原さんが首を降った。
「大丈夫よ、小日向さん。あんまり人ばかりいても仕方ないから、私達で行って来る。あなたは気にせずゆっくりしていて」
「でも……」
何でそんな事いうの? 私が邪魔だってこと!?
危うく言いそうになって、私はぐっと堪えた。と、利根君が少し眉尻を下げて私を見た。
「ちょっと行って来るよ。すぐ戻って来るから、また後で話そう?」
優しくそう言うと、利根君は水原さんと連れ立っていなくなった。
取り残された私はその場に座り込み、一人でずっと馬鹿みたいに波が打ち寄せるのを見続けていた。
海ってすごいなあ。満ち引きはあるけど、満ちた所より上にはいかないんだもん。台風の時は別だけど……雨が降って森で川になって、海に戻って。地球の水の量は常に一定なんだよなあ。増える事も減る事もない。完璧なサイクル。ーーーなんて、ああ~もう! 何地球に感心してるのよ! 私の馬鹿っ!
ブンブンと頭を激しく振って、焼けた砂を握って足元に少しずつ落とす。
そして次に利根君を見上げる水原さんの姿を思い返した。
水原さんは美人で、麦わら帽子と白い水着が似合っちゃうような子で、利根君のお家みたいに実家が日本の伝統的な芸事をやってて、利根君の隣りにいても自然でお似合いで……
「はあ……」
どうして毎日気分が激しく浮き沈みするのかなあ。私のは地球と違って駄目駄目サイクルだ。
利根君は落ち着いていて優しい。モテるのは当たり前だ。それなのに利根君が女の子と仲良くしているのを見ると嫉妬している自分がいる。
そこで私は気がついた。
もしかしたら利根君の事を好きになりかけてるんじゃないかって。
望みのない恋をしてしまったんじゃないかってーーー
照りつける日差しに焼ける肌の感触が心を更に追い込み、いたたまれなくなった私はゆっくりと立ち上がってお尻の砂を払った。
ーー仕事に戻ろう。
心の中で呟いて、私は部屋へ帰る事にした。
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