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チェンジ・ザ・ワールド☆
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チェンジ・ザ・ワールド☆

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 県外の大学を卒業して地元に戻り、雑誌社に入社して4年。

 海野比奈はがむしゃらに働きつづけていた。

 彼氏がいなくても仕事の忙しさのおかげで別段寂しいと感じる事も無く、気付けば20代も後半。

 そんなある日、比奈の元へ一通の手紙が届いた。


 「あっ、密さんだ!」

 差出人の名前を見た比奈の顔がぱっと明るくなる。

 高校時代の友人からの、結婚式の招待状。

 お互い忙しいので滅多に会えないのだが、電話やメールのやり取りはこまめにしていたおかげで、密が近々結婚するという事は知っていた。

 それでもこうして招待状が届くと、実感と共に嬉しさがこみ上げて来る。

 以前相手の男性を交えて食事をしたことがあり、どんな人物かは知っていた。残念ながら高校の時に密が思いを寄せていた男性ではないが、とても優しそうな印象の一つ年上の人。

 早速比奈は日付を確認し、返信するために出席に勢い良くマルを付けると葉書の隙間にメッセージを書いた。

「とっても楽しみ。密さん本当に本当におめでとう! ……っと。密さんのウエディングドレス姿、きっとキレーだろうなあ……あ、有給取れるかな」












~~~~




 秋晴れの高い空の下、まるで日本人形のように美しい密は白無垢に身を包んでしとやかに歩いていた。

「ひーちゃん綺麗やなあ」

「本当に、素敵ですっ」

 同じく高校時代からの友人である西本はるひと小野田千代美も、瞳を潤ませながら密の美しさに見蕩れている。

「チョビだって去年結婚して白無垢着たじゃないか」

 そう藤堂竜子が言うと、はるひが大きく頷いた。

「いやー、千代美の着物姿、七五三みたいで可愛かったなあ」

「失礼ですね!」

 怒る千代美を比奈がなだめる。

「まあまあ。ところで千代美ちゃん、旦那さんは?」

「今、研究で県外に出張中なんです」

 千代美の旦那は高校の同級生で、千代美が一途に思いを寄せていた氷上格だ。氷上は星の研究を大学の時から熱心に続け、今は大学で助手を務めながら世界中を研究チームを組んで飛び回っている。

 だから、正確に言えば小野田千代美ではなく、氷上千代美となる。

「相変わらず忙しいんだねぇ。新婚なのに旦那がほとんど家にいないんじゃ、あんたも寂しいだろう?」

「仕方ありませんよ。彼が好きで頑張っているんですから、応援してあげないと」

「はあ~。千代美、ホンマええ奥さんやなあ! うちやったら耐えられへんわ」

「はるひはどうなの? 彼氏出来た?」

 比奈の質問にはるひががっくりと項垂れた。

「出来ひんねん……何があかんのやろ? めっっちゃ尽くすのに」

「それが駄目なんだろ? 男って生き物は単純なんだ、ビシッと一発キメてやれば着いて来るもんなんだよ」

「……それは竜子ねぇだけや。比奈ぁ~! やっぱりうち、ハリーに戻ろうか思うねん~」

 高校の時に好きだった針谷には結局気持ちを打ち明けられぬままだったはるひは、高校卒業後にメジャーデビューし、最近ではすっかり人気アーティストの仲間入りを果たした針谷の追っかけのようなことをずっとしている。

 しかし針谷には友人としての扱いしかされないので、完全に諦めていたのだ。

「戻ろうかって、結局ハリーとはどうなの? 少しは脈アリそうなの?」

「さっぱりや! ハリーはうちのことオモロい友達としか思てへんねん」

 何だか色々思い出したらしく、はるひは文句を言いながらシャンパンの入ったグラスを一気に空けた。

「藤堂さんは、志波君とはどうなんですか?」

 比奈は千代美の質問にピクリと肩をすくめて竜子の様子を恐る恐る伺った。

「志波だぁ? 知らないねえ、そんな男。とっくに忘れたよ」

 吐き捨てるように言った竜子の迫力に怯えた千代美が、小声で比奈に尋ねる。

「どうしたんですか、何年か前はお付き合いしてましたよね?」

「う、うん……そうなんだけど、志波君がプロ野球チームに入る前に別れたの」

「えっ? どうしてですか?」

 自分の所為だと比奈は言えず、適当に笑ってごまかした。

 藤堂は知らないが、実は比奈は志波に二度告白されている。

 一度目は高校の卒業式の日。二度目は大学の卒業式の日。わざわざ比奈が通う大学まで来てくれた。

 昔から変わらず、ずっと比奈の事が好きだと言った志波に、比奈は胸が痛くなった。

 志波の気持ちはとても嬉しかったが、比奈は藤堂の気持ちを知っていたので二度とも断ったのだ。

 それに、自分には別に好きな人がいた……

 ふとその好きだった人の顔を思い出した時、はるひが口を開いた。

「そういや比奈、あんたもずうっと彼氏いてないなあ。誰かええな~って人、おらんの?」

「えっ!? いないよお。仕事で忙しいからそんな暇ないし」

「あんた彼氏欲しいとか思わへんの?」

 呆れたといった顔で言うはるひに一瞥をくれると、竜子が言った。

「比奈はあたしと一緒で、愛より仕事なんだよ。な?」

「あはは、そうかも」

「もったいないなあ、あんた可愛いのに。でも友達の結婚式言うたら出会いの場! ひーちゃんの旦那さんの友達にカッコええ人おらんかなあ」

 先ほど落ち込んでいた人物とは思えないほどの変わり身で、はるひはキョロキョロとし始めた。

「もうっ、恥ずかしいからやめてください」

「既婚者は引っ込んどきぃ。ひーちゃんの旦那さん、はば学出身やろ? っちゅーことは、お金持ちが多いんとちゃう? 玉の輿や!」

 ドキンと比奈の胸が踊った。

 はばたき学園

 比奈が高校時代好きだった人が通っていた学校。

 何とはなしに比奈も辺りを見回してみた。


 いる訳ないかーーー


 分かっているのに、比奈はみっともない期待をした。密の旦那となる人は一つ年上なのだ。彼がいる訳がない。

 ぼんやりと考え事をしていると、盛大な拍手が沸き起こった。

 顔を上げると、密が白無垢からウエディングドレスにお色直しをして再び入場してきた。

「うわあ……ドレスもやっぱり似合うなあ」









                                続く…







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