チェンジ・ザ・ワールド☆
act.16(御影山)
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streetpoint
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就職難民 黙って俺についてこい!
会社からの帰り道、私は無意識のうちに本屋さんに来ていた。別に買いたい本などないのに―――
「こんばんは、葉月さん」
突然声をかけられ、私は顔を上げた。
「白波瀬さん―――」
驚いた。でも、何だか白波瀬さんの顔を見るとほっとしてる自分がいる。
「どうしたんですか? 何だか元気がないみたいですけど」
「え? いえ、何でもないです。白波瀬さんはまたお仕事用に雑誌を買いに来られたんですか?」
「違います。さっきお店の前で葉月さんを見かけたんで、後を付けて来たんです。ちょっとストーカーっぽかったですね」
そう言って笑う白波瀬さん。ああ、この人のこの笑顔、癒されるなあ。
「もし良かったら、これから一緒に食事でも行きませんか?」
「いいんですか?」
「もちろん。僕が葉月さんと一緒にご飯を食べたいんです」
さ、行きましょう。と言って、白波瀬さんは私の手を引いて歩き出した。
落ち着いた雰囲気のレストランに白波瀬さんと向かい合わせて座る。
なんだか恋人同士みたいだな。
こうして良く見ると、白波瀬さんの顔が本当によく整っている事が分かる。初めて会った時もカッコいいと思ったけど、やっぱりすごくカッコいい。うちの鬼社長も顔だけはかなりイケメンだけど……
「何か会社であったんですか?」
料理も食べ終わりそうな頃、白波瀬さんはそれまでしていた他愛無い会話から急にまじめな顔で尋ねて来た。
「い、いえ。ちょっと色々あって、急に新しい仕事を任される事になったんです」
「へえ、すごいじゃないですか!」
「いえ、それが、秀麗にうちの新製品の情報が漏れているらしくて、それでバタバタしてたんです」
「秀麗に?」
「はい。秀麗は美成堂の一番のライバル社ですし、やっぱり商戦的によくないでしょう? それで、うちのグロスももっといいものにしないといけないって話になって……」
「……やっぱりうちの情報も流れてたのか」
「え?」
ぼそりと言った白波瀬さんの言葉が聞こえなくて、私は思わず聞き返した。
すぐに白波瀬さんは笑って、
「いいえ、何でもないです。それで?」
「それで、今から全く新しい商品を作るのは間に合わないので、今出来ている試作品を改良しようという話しになったんですけど、かなり調査や開発にも時間をかけているから、違う方法で秀麗に勝てる方法を考えなきゃいけなくなったんです」
「その仕事を、葉月さんが任されたんですか?」
「はい……でも、私はまだ研修中だし、社長が手伝うと言ってくれたんですけど、それに甘えて良いものか正直悩んでいるんです」
「え? あの社長自らが手伝うと言ったんですか!?」
「はい? ええ、そうです」
白波瀬さんは目を丸くさせて心底驚いているみたい。
あれ?
「あの、もしかして白波瀬さんってうちの社長とお知り合い……ですか?」
「えっ?」
「いえ、すごく驚いてるから、ご存知なのかなぁって」
「いえっ、知っているというか、この業界じゃ有名ですからね。御影山社長は」
「そうなんですか?」
「ええ、若いけどかなりやり手の社長だって」
「はあ」
あの切れ長の目を思い出しながら、私はふうとため息を吐いた。
「あの、もし良かったら僕がお手伝いしましょうか?」
「えっ!? 白波瀬さんがですかっ!? どうしてっ!?」
びっくりした〜! 何でそんなこと言い出したのかしら? もし手伝ってもらえるなら嬉しいけど……って、他の会社の人にお願いなんてして良い訳ないじゃない! 何考えてるのよ、私っ!
ブンブンブン!
勢い良く頭を振る。
「お気持ちは嬉しいんですけど、他の会社の方に手伝いをしてもらうのは……」
「あっ、もちろん直接手伝う事は出来ませんけど、アドバイスくらいなら出来ると思います。どうですか?」
どうですかって、そんな爽やかに言われても……
「無理にとは言いませんよ。―――あ、やっぱり今の取り消して下さい。どうせ僕の会社は弱小だし、葉月さんのように優秀じゃないし、逆に足手まといになるかもしれないですもんね。あははは」
「そんなっ」
「でも、何か愚痴とかある時はいつでも電話でもメールでもしてください。僕で良ければお話聞きますよ。話すだけでもちょっとはすっきりするでしょ?」
「白波瀬さん……ありがとうございます!」
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