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act.28(御影山)

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streetpoint

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就職難民 黙って俺についてこい!










 「―――おい。いい加減に人のスーツから手を離せ」


 モデルさんたちによるデモンストレーションが終わり、次は各メーカーによる商品説明が始まろうとしていた。

 私は、最初ほど緊張はしていなかったものの、これからこの大勢の人の前で話さなきゃいけないのかと考えると、もう、今にも倒れそうになっちゃって、社長のスーツの裾を掴んで放せなくなっていた。


「だって、社長」

「情けない声を出すな。お前は本当に成長しないな。大体初対面の時からだらしがなかったが、もうそろそろ自覚を持て」

「女性に対してそんな言い方はないんじゃないかな? 御影山」


 また社長に怒られた所で、聞き覚えのある声が社長の向こう側から聞こえてきた。

 この声、どこかで……


「いつから偉そうに俺に意見が言えるようになったんだ? 白波瀬」

「……えっ!?」


 嘘、白波瀬さんっ!?


 私は慌てて社長の影から飛び出した。


「しっ、白波瀬さんっ!!」

「こんばんは、葉月さん」


 やっぱり白波瀬さんだ!

 驚きと嬉しさで白波瀬さんに近寄ろうとした私の腕を、社長が掴んで引っ張られてしまった。


「痛っ」

「―――おい、どういう事だ? 何故白波瀬がうちの葉月を知っている?」

「まだお前の所の社員じゃないだろ? 葉月さんとは、偶然知り合ったんだ。何度も食事に行ったし、美成堂の新製品についても教えてもらった。本当にありがとう、葉月さん。とっても助かったよ」

「えっ? えっ?」


 一体どういうこと? 白波瀬さんは何を言っているの?


「おい、葉月!」

「はいっ!?」

「お前、この男にグロスの話しをしたのか!?」

「は、い……」

「っ……。どういうつもりだ? お前、そこまでしてうちに勝ちたいのか?」

「そこまでして? 別に僕は卑怯な事をした覚えはないけど? 勝手に勘違いしてペラペラとしゃべったのは葉月さんだ。僕達はその情報を活用させてもらっただけ。それなのに御影山、お前が怒るのは筋違いだろう?」

「はっ! そう言う事か、うちの情報が秀麗に漏れてたのは、葉月からだった。という事か」

「ええええっっっっ!?」


 何で!? どうして!? 私の所為? 私の所為なの!?


「葉月さん、ごめんね。別に騙すつもりじゃなかったんだけど」

「こいつは秀麗の社長、白波瀬陽だ」

「しゅっ、秀麗の社長っ!?」


 嘘よ! だって、白波瀬さん、美成堂より弱小だって……あれって、私から情報を聞き出す為の嘘? 優しくしてくれたり励ましてくれたりしたのも、全部嘘だったの?

 どうしよう。もう、全然頭が追いつかないよ―――


「僕も会社の為に色々とやらなきゃいけなくてね。利用出来るものを利用した。キミだって今までそうしてきただろう? それをそんなに怒るなんて、御影山らしくないな」

「何とでも言え、今回、うちはどこにも負けるつもりは無い。もう商品説明が始まる、お前の顔など見たくない、どこかへ行け」

「―――もしかして、僕が葉月さんを利用したのがそんなに気に入らなかったのかな?」

「黙れ……」


 茶化すように言った白波瀬さんの言葉に、御影山社長は今まで見た事もないほどの鋭い視線で睨みつけ、低い声で凄んだ。

 それを受けて、白波瀬さんは肩をすくめ、


「まあ、どうでもいいさ。これ以上綾人をからかうと殴られそうだからそろそろお邪魔しよう。それじゃあね、葉月さん」

「えっ……あ……」






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