1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 01:35:04.29 ID:ZuvhborM0
「1580円になります」
レジ袋にカップアイスを詰めながら店員が言った。
「あっ、はい」
100円のカップアイス10個で1050円と考え、お金を用意していたのだが
考え違いをしていたようで、急いで足りない分をマネートレイに置いた。
「ありがとうございました」
自動ドアが開き、外の生ぬるい風と挟み撃ちになる形で定員の言葉が聞こえてきた。
それにしても、150円だったとは気づかなかったな、まあ嫌いなアイスではないし、いいか。
彼は家路の途中でそう考えた。手にはカップアイスが10個入ったビニル袋をぶら下げている、
袋の中で5ずつに分けられ重ねられたアイスが螺旋のように絡み付いていた。
ついでに言うと、彼が買ったアイスの商品名はゆずレモンだ。
「1580円になります」
レジ袋にカップアイスを詰めながら店員が言った。
「あっ、はい」
100円のカップアイス10個で1050円と考え、お金を用意していたのだが
考え違いをしていたようで、急いで足りない分をマネートレイに置いた。
「ありがとうございました」
自動ドアが開き、外の生ぬるい風と挟み撃ちになる形で定員の言葉が聞こえてきた。
それにしても、150円だったとは気づかなかったな、まあ嫌いなアイスではないし、いいか。
彼は家路の途中でそう考えた。手にはカップアイスが10個入ったビニル袋をぶら下げている、
袋の中で5ずつに分けられ重ねられたアイスが螺旋のように絡み付いていた。
ついでに言うと、彼が買ったアイスの商品名はゆずレモンだ。
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 01:44:15.13 ID:ZuvhborM0
彼は坂道を下り、少し寂れた2階建てのアパートの前に出た。二階の真ん中の部屋の窓には
「空き部屋あります」の看板がさがっている。
彼は塗装が禿かかった階段を上り、一番奥の部屋に入った。
買ってきたアイスを手早く玄関口の冷凍庫に突っ込み、袋は丸めて紙袋のなかに突っ込んだ。
「暑い」彼は上着とズボンを脱ぎ、パンツ一枚になってパソコンを起動させた。
ピーカリカリカリとHDDの引っかく音が狭い部屋に響く。起動までの時間に自分の体を姿見鏡に映し、
細い体に浮かび上がる筋肉を満足気に眺めたりしていた。
彼は自分で「うん、インナーマッスルって奴かな!」と思い自分がガリガリだと言う事を
認めようとしないのだが、体重計に乗ると心なしか背中を丸めていた。
そんな事をしている内にパソコンが起動した。彼なしでも世界は巡る証拠の内の一つだ。
彼はパソコンの前に座り、ニュース系のサイトを斜め読みしmixiでコメントに頭を悩ませ、
大型掲示板の前でどんなクソスレを立てるか心躍らせていた。
彼は坂道を下り、少し寂れた2階建てのアパートの前に出た。二階の真ん中の部屋の窓には
「空き部屋あります」の看板がさがっている。
彼は塗装が禿かかった階段を上り、一番奥の部屋に入った。
買ってきたアイスを手早く玄関口の冷凍庫に突っ込み、袋は丸めて紙袋のなかに突っ込んだ。
「暑い」彼は上着とズボンを脱ぎ、パンツ一枚になってパソコンを起動させた。
ピーカリカリカリとHDDの引っかく音が狭い部屋に響く。起動までの時間に自分の体を姿見鏡に映し、
細い体に浮かび上がる筋肉を満足気に眺めたりしていた。
彼は自分で「うん、インナーマッスルって奴かな!」と思い自分がガリガリだと言う事を
認めようとしないのだが、体重計に乗ると心なしか背中を丸めていた。
そんな事をしている内にパソコンが起動した。彼なしでも世界は巡る証拠の内の一つだ。
彼はパソコンの前に座り、ニュース系のサイトを斜め読みしmixiでコメントに頭を悩ませ、
大型掲示板の前でどんなクソスレを立てるか心躍らせていた。
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 02:03:09.51 ID:ZuvhborM0
「ぶふっ」
ディスプレイに飛び散った唾を首にかけていたタオルで拭く。彼のディスプレイは未だにCRTだった。
「これは酷い」彼は一人呟きながらキーボードを手馴れた様子で叩き始めた。
それから2時間ほど、画面の前で一人格闘し、飽きたのか畳の上に倒れこんだ。
「つまんねぇなァ」
青い時代もあったであろう畳の上で背伸びをし声を絞り出した。
何かを思いついたのか「ん」と彼は鼻を鳴らし、キーボードの前に向き直った。
<タイトル:俺がまくから家にこい>
彼は本分入力欄を選択し、これまた手早くキーを叩く
<○まきますか まきませんか>
「よし、いいクソスレだ」
内容を見直し、一人頷き書き込みボタンを押した。
彼はいわゆるオタクであった、ついでに言うと今流行のニートでもあり、
彼の愛は2次元のキャラクター、水銀燈に向けられていた。
これだけそろえば駄目の3ポイントシュートだけで試合を終了させてしまう事も出来るが、
彼は引篭もりなのでNBAから彼がスカウトされる事は永遠になかった。
「ぶふっ」
ディスプレイに飛び散った唾を首にかけていたタオルで拭く。彼のディスプレイは未だにCRTだった。
「これは酷い」彼は一人呟きながらキーボードを手馴れた様子で叩き始めた。
それから2時間ほど、画面の前で一人格闘し、飽きたのか畳の上に倒れこんだ。
「つまんねぇなァ」
青い時代もあったであろう畳の上で背伸びをし声を絞り出した。
何かを思いついたのか「ん」と彼は鼻を鳴らし、キーボードの前に向き直った。
<タイトル:俺がまくから家にこい>
彼は本分入力欄を選択し、これまた手早くキーを叩く
<○まきますか まきませんか>
「よし、いいクソスレだ」
内容を見直し、一人頷き書き込みボタンを押した。
彼はいわゆるオタクであった、ついでに言うと今流行のニートでもあり、
彼の愛は2次元のキャラクター、水銀燈に向けられていた。
これだけそろえば駄目の3ポイントシュートだけで試合を終了させてしまう事も出来るが、
彼は引篭もりなのでNBAから彼がスカウトされる事は永遠になかった。
9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 02:19:07.38 ID:ZuvhborM0
他人が立てたクソスレに適当なレスをしつつ、自分が立てたクソスレのチェックも怠らない。
どんな煽り文句が着ていたとしても、引篭もりで、人との交流が少ない彼にとっては結構嬉しい物であった。
<ご職業はなんですか>
こんなレスがつけられていた。
彼は両手を腰に当て、斜め上を見て何かを考え、再びキーボードに手を戻した。
<現在ニートですが、水銀燈への愛は誰にも負けないつもりです☆ミ>
最後の記号は彼なりのユーモアスだ、面白いかどうかは別として・・・・・・。
「まっ、こんなもんだろ」
彼は書き込みを終わらせ、首を捻った。
変な姿勢で長時間パソコンの前に座るため、肩と腰とが悲鳴を上げているのだ。
適当に筋を伸ばし、自分のスレを更新する。
「なんだよ、俺とコイツしかいねーじゃん」
スレッドには<おめでとうございます! PS:働いた方がいいですよ>と書き込まれていた。
巨大なお世話だろ。そもそも、PSって手紙とかに使う言葉じゃないの?あれか、新しいコピペか何かか。
彼はそう考えながら<昔、PS型のミクロマンの基地がありましたよね>と書き込んだが、それから相手が何かを書き込むことはなかった。
彼はパソコンの前から立ち上がり、晩飯の用意の為に台所へと消えた。
次にそのスレを見た時には連投の手によって、700の壁を越えようとしている所だった。
他人が立てたクソスレに適当なレスをしつつ、自分が立てたクソスレのチェックも怠らない。
どんな煽り文句が着ていたとしても、引篭もりで、人との交流が少ない彼にとっては結構嬉しい物であった。
<ご職業はなんですか>
こんなレスがつけられていた。
彼は両手を腰に当て、斜め上を見て何かを考え、再びキーボードに手を戻した。
<現在ニートですが、水銀燈への愛は誰にも負けないつもりです☆ミ>
最後の記号は彼なりのユーモアスだ、面白いかどうかは別として・・・・・・。
「まっ、こんなもんだろ」
彼は書き込みを終わらせ、首を捻った。
変な姿勢で長時間パソコンの前に座るため、肩と腰とが悲鳴を上げているのだ。
適当に筋を伸ばし、自分のスレを更新する。
「なんだよ、俺とコイツしかいねーじゃん」
スレッドには<おめでとうございます! PS:働いた方がいいですよ>と書き込まれていた。
巨大なお世話だろ。そもそも、PSって手紙とかに使う言葉じゃないの?あれか、新しいコピペか何かか。
彼はそう考えながら<昔、PS型のミクロマンの基地がありましたよね>と書き込んだが、それから相手が何かを書き込むことはなかった。
彼はパソコンの前から立ち上がり、晩飯の用意の為に台所へと消えた。
次にそのスレを見た時には連投の手によって、700の壁を越えようとしている所だった。
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 02:31:58.29 ID:ZuvhborM0
寝苦しい夜だった。
夜の闇をバターナイフで切り取り、僕の顔に塗りたくってくるような、そんな夜だった。
ふと目が覚めた。扇風機のタイマーは止まっており、モデムの光りの点滅だけが部屋を照らしていた。
僕は顔ぬ塗りたくられたバターを洗い落とすついでに、冷蔵庫で水を飲もうと寝床から起き上がり
慣れた自分の部屋を電気も点けづに洗面所まで歩いた。
「いてっ!」
小指を何かにぶつけた、多分ちゃぶ台だ。妖怪逆さま枕が暇つぶしに部屋の模様替えをしたのかもしれない。
が、今はそんな事はどうでもいいぐらい小指が痛かった。
しゃがみ込み「痛かった、今のは痛かったぞ!」と心の中で3度呟き立ち上がる。俺、完全復活。
洗面所で顔を洗い、台所で冷えた水を2杯飲み、すり足で寝床に辿りつき夢の旅行プランの続きを楽しんだ。
何故か冬のドイツの町並みをさ迷い歩く夢を見てしまった。
水銀燈ときゃっきゃウフフの旅行プランが受理されるのはいつ頃なんだろうか?
寝苦しい夜だった。
夜の闇をバターナイフで切り取り、僕の顔に塗りたくってくるような、そんな夜だった。
ふと目が覚めた。扇風機のタイマーは止まっており、モデムの光りの点滅だけが部屋を照らしていた。
僕は顔ぬ塗りたくられたバターを洗い落とすついでに、冷蔵庫で水を飲もうと寝床から起き上がり
慣れた自分の部屋を電気も点けづに洗面所まで歩いた。
「いてっ!」
小指を何かにぶつけた、多分ちゃぶ台だ。妖怪逆さま枕が暇つぶしに部屋の模様替えをしたのかもしれない。
が、今はそんな事はどうでもいいぐらい小指が痛かった。
しゃがみ込み「痛かった、今のは痛かったぞ!」と心の中で3度呟き立ち上がる。俺、完全復活。
洗面所で顔を洗い、台所で冷えた水を2杯飲み、すり足で寝床に辿りつき夢の旅行プランの続きを楽しんだ。
何故か冬のドイツの町並みをさ迷い歩く夢を見てしまった。
水銀燈ときゃっきゃウフフの旅行プランが受理されるのはいつ頃なんだろうか?
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 02:42:55.16 ID:ZuvhborM0
断続的な振動で彼は夢の波打ち際まで引き上げられた。
もう、昼なのか。寝起きの鈍い頭でそんな事を考えているとコメカミに電撃が走った。
完璧に目が覚めると同時に、鈍い痛みが脳に信号を送り出した。
朝一の冴え渡る脳みそには電気信号の交通渋滞がないらしい。
上半身だけ起こしコメカミを押さえ、このままじゃ小指とコメカミに挟まれた場所が
痛みの電気信号にひっくり返っちゃうよ。などと考えながら自分を痛みの’ベル’で起してくれた物は何かと
横を見ると、水銀燈が腕組みをしこちらを睨みつけていた。
まだ痛むコメカミを摩りながら水銀燈を見つめた。
彼女の姿はディスプレイやコミックの中で見るより美しかった。
均整の取れた顔、流れる銀髪、細部にまで拘りがあるドレス。
そして、僕を睨みつける赤の瞳。
どうやら、夢の続きを見ているらしい、夢と分れば怖い物はない。
痛みはあるんだ、感覚もあるに違いないと僕は水銀燈に手を伸ばし、彼女の肩に手を置き
頬を親指で押し込んだり、ぐにぐにと回し感覚を楽しむ。
和菓子の繊細な柔らかさときめ細かな肌とが合わさり、とても触り心地がいい。
どれ両手でと彼女の頬を両側から同じように触る、極楽極楽。
断続的な振動で彼は夢の波打ち際まで引き上げられた。
もう、昼なのか。寝起きの鈍い頭でそんな事を考えているとコメカミに電撃が走った。
完璧に目が覚めると同時に、鈍い痛みが脳に信号を送り出した。
朝一の冴え渡る脳みそには電気信号の交通渋滞がないらしい。
上半身だけ起こしコメカミを押さえ、このままじゃ小指とコメカミに挟まれた場所が
痛みの電気信号にひっくり返っちゃうよ。などと考えながら自分を痛みの’ベル’で起してくれた物は何かと
横を見ると、水銀燈が腕組みをしこちらを睨みつけていた。
まだ痛むコメカミを摩りながら水銀燈を見つめた。
彼女の姿はディスプレイやコミックの中で見るより美しかった。
均整の取れた顔、流れる銀髪、細部にまで拘りがあるドレス。
そして、僕を睨みつける赤の瞳。
どうやら、夢の続きを見ているらしい、夢と分れば怖い物はない。
痛みはあるんだ、感覚もあるに違いないと僕は水銀燈に手を伸ばし、彼女の肩に手を置き
頬を親指で押し込んだり、ぐにぐにと回し感覚を楽しむ。
和菓子の繊細な柔らかさときめ細かな肌とが合わさり、とても触り心地がいい。
どれ両手でと彼女の頬を両側から同じように触る、極楽極楽。
18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 02:56:27.93 ID:ZuvhborM0
「ねえ」
水銀燈が口を開いた。
「何してるの?」
「ほっぺを触ってるんだよ」
「ふーん」と水銀燈は鼻で答え、組んでいた腕をほどいた。
押さえつけられていた二つの膨らみが、手の枷から開放されたゆんとはずむ。
次は胸を触らないと、僕がそう思った次の瞬間、僕の右頬に稲妻が走る。
思わず頬を押さえ身を縮めた。
「どう?目が覚めたかしらぁ」
殴った手をぱたぱたと振りながら、水銀燈はそう言った。
「痛──、これっ、夢?」
右頬を押さえ、水銀燈に顔を向け聞いた。
「もう一発」
そして、左頬にも同じように稲妻が走り、完全に目が覚める。
時計の短針は8を指していた。
「ねえ」
水銀燈が口を開いた。
「何してるの?」
「ほっぺを触ってるんだよ」
「ふーん」と水銀燈は鼻で答え、組んでいた腕をほどいた。
押さえつけられていた二つの膨らみが、手の枷から開放されたゆんとはずむ。
次は胸を触らないと、僕がそう思った次の瞬間、僕の右頬に稲妻が走る。
思わず頬を押さえ身を縮めた。
「どう?目が覚めたかしらぁ」
殴った手をぱたぱたと振りながら、水銀燈はそう言った。
「痛──、これっ、夢?」
右頬を押さえ、水銀燈に顔を向け聞いた。
「もう一発」
そして、左頬にも同じように稲妻が走り、完全に目が覚める。
時計の短針は8を指していた。
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 03:03:00.87 ID:ZuvhborM0
カラカラ、カランと箸が小さなちゃぶ台を転がり、食器にぶつかり止った。
水銀燈は落とした箸を拾い上げ、目玉焼きを掴もうとし箸先がクロスし床に落ちた。
僕はそんな彼女の奮闘を眺めていた、僕の方はとっくに食べ終わり、お茶を飲んでいた。
水銀燈は床に落ちた箸を拾い上げようともせず、両手を握りちゃぶ台の上に置いている。
へそを曲げたのか、いや、アニメ版だと腹ないよな、どうなんだろ。
「ねえ」
僕の春風のような柔らかい思考を水銀燈の声がさえぎった。
「お箸が落ちたんだけど」
「そうだね」
水銀燈は僕を睨みつける。フォークとナイフを用意しろとでも言うのか?
まあ、ないこともないし、別にかまわないんだがと腰を上げようとした時、再び水銀燈の口が開かれた。
「なんで、拾わないのかしらぁ?」
心なしか声が苛立っていた。
「え?」
「拾いに来るボーイが居ないんだから、あなたが拾うのが筋でしょう?」
どこの高級フランス料理店だよ・・・・・・。
カラカラ、カランと箸が小さなちゃぶ台を転がり、食器にぶつかり止った。
水銀燈は落とした箸を拾い上げ、目玉焼きを掴もうとし箸先がクロスし床に落ちた。
僕はそんな彼女の奮闘を眺めていた、僕の方はとっくに食べ終わり、お茶を飲んでいた。
水銀燈は床に落ちた箸を拾い上げようともせず、両手を握りちゃぶ台の上に置いている。
へそを曲げたのか、いや、アニメ版だと腹ないよな、どうなんだろ。
「ねえ」
僕の春風のような柔らかい思考を水銀燈の声がさえぎった。
「お箸が落ちたんだけど」
「そうだね」
水銀燈は僕を睨みつける。フォークとナイフを用意しろとでも言うのか?
まあ、ないこともないし、別にかまわないんだがと腰を上げようとした時、再び水銀燈の口が開かれた。
「なんで、拾わないのかしらぁ?」
心なしか声が苛立っていた。
「え?」
「拾いに来るボーイが居ないんだから、あなたが拾うのが筋でしょう?」
どこの高級フランス料理店だよ・・・・・・。
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 03:11:41.50 ID:ZuvhborM0
「あのさ、」
「早くっ!」
水銀燈の鋭い声が僕の声を千切る。
僕は一度肩をすくめ、向かいに座っていた水銀燈の方に体を伸ばし、落ちた箸を拾い上げた。
「どうぞ」
水銀燈は形のいい眉をピクリと動かし、僕から箸を受け取ると自分でティシュを一枚取り、箸を拭いた。
ああ、気遣いが足りなかったのね。
再び水銀燈が目玉焼きに挑み始めた。
「フォークとナイフ、持ってこようか?」
また怒鳴られるかもと思いながら、僕は口を開いた。
「いらないわぁ」
予想と裏腹に落ち着いた声が返ってきた。
「私は誇り高きローゼンメイデン第一ドール水銀燈、異国の食器ごときに負けるわけには、いかないのよぉ」
「はあ」
僕はあいまに返事を返した。
「それと」
水銀燈は少し口を紡ぎ
「・・・・・・気遣いありがと、マサユキ」
小さくお礼を言い、再び目玉焼きに挑み始めたのだが、すぐまたポトリと箸が落ちた、
僕は何も言わず箸を拾い上げ、テイッシュで汚れを拭き、水銀燈に手渡した。
水銀燈は軽く頷き朝食に向き直る、朝食はまだ始まったばかりだ。僕は二杯目のお茶をコップに注いぐ。
そして、ズイと水銀燈がコップを僕の方に差し出し、僕は何も言わずにお茶を注いだ。
「あのさ、」
「早くっ!」
水銀燈の鋭い声が僕の声を千切る。
僕は一度肩をすくめ、向かいに座っていた水銀燈の方に体を伸ばし、落ちた箸を拾い上げた。
「どうぞ」
水銀燈は形のいい眉をピクリと動かし、僕から箸を受け取ると自分でティシュを一枚取り、箸を拭いた。
ああ、気遣いが足りなかったのね。
再び水銀燈が目玉焼きに挑み始めた。
「フォークとナイフ、持ってこようか?」
また怒鳴られるかもと思いながら、僕は口を開いた。
「いらないわぁ」
予想と裏腹に落ち着いた声が返ってきた。
「私は誇り高きローゼンメイデン第一ドール水銀燈、異国の食器ごときに負けるわけには、いかないのよぉ」
「はあ」
僕はあいまに返事を返した。
「それと」
水銀燈は少し口を紡ぎ
「・・・・・・気遣いありがと、マサユキ」
小さくお礼を言い、再び目玉焼きに挑み始めたのだが、すぐまたポトリと箸が落ちた、
僕は何も言わず箸を拾い上げ、テイッシュで汚れを拭き、水銀燈に手渡した。
水銀燈は軽く頷き朝食に向き直る、朝食はまだ始まったばかりだ。僕は二杯目のお茶をコップに注いぐ。
そして、ズイと水銀燈がコップを僕の方に差し出し、僕は何も言わずにお茶を注いだ。
24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 03:22:16.43 ID:ZuvhborM0
それにしても、あの水銀燈はいったい何なんだ。
1週間前の朝いきなり現れ、それから僕の部屋に住み込み(居付き)
朝、昼、晩の食事を要求し、いつも僕のベットの上でゴロゴロと本を読み、
深夜は鏡を使いどこかに出かけ、日付がかわる前に帰ってくる生活を繰り返していた。
これじゃまるでニートだ、違う、ニートは俺だ。しかし今はそんな事はどうでもいい、
駄目さを感じるのは貯金通帳だけでいい。
僕は仮説をいくつか立ててみた
①僕が2次元の世界に迷い込んでしまった
②水銀燈は僕の幻覚
とりあえず、①から検証してみようと水銀燈に「真紅のマスターって眼鏡の少年?」と聞いてみた。
水銀燈はうつ伏せになり、肘を立て読んでいた本から目をはなし、僕を見た。
「真紅のマスタァ?おっさんよ、おっさん」水銀燈はめんどくさそうに答える。
どうやら、ローゼンメイデンの世界ではないらしい。
「真紅の事が気になるのぉ?」
「いや何となくだよ」
「それより、何で真紅の事知ってるのよぉ・・・・・私ぃ、一度も話したことないわよぉ?」
「前、本で読んだんだ」と軽く受け流した。
それにしても、あの水銀燈はいったい何なんだ。
1週間前の朝いきなり現れ、それから僕の部屋に住み込み(居付き)
朝、昼、晩の食事を要求し、いつも僕のベットの上でゴロゴロと本を読み、
深夜は鏡を使いどこかに出かけ、日付がかわる前に帰ってくる生活を繰り返していた。
これじゃまるでニートだ、違う、ニートは俺だ。しかし今はそんな事はどうでもいい、
駄目さを感じるのは貯金通帳だけでいい。
僕は仮説をいくつか立ててみた
①僕が2次元の世界に迷い込んでしまった
②水銀燈は僕の幻覚
とりあえず、①から検証してみようと水銀燈に「真紅のマスターって眼鏡の少年?」と聞いてみた。
水銀燈はうつ伏せになり、肘を立て読んでいた本から目をはなし、僕を見た。
「真紅のマスタァ?おっさんよ、おっさん」水銀燈はめんどくさそうに答える。
どうやら、ローゼンメイデンの世界ではないらしい。
「真紅の事が気になるのぉ?」
「いや何となくだよ」
「それより、何で真紅の事知ってるのよぉ・・・・・私ぃ、一度も話したことないわよぉ?」
「前、本で読んだんだ」と軽く受け流した。
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 03:33:26.83 ID:ZuvhborM0
それじゃあ、次は②の検証か
「ヤクルト好き?」
この水銀燈が仮定どおりなら、僕のイメージが具現化したような物だろう。
だから幻覚の水銀燈なら「好きだ」と答える・・・・・・はず。
「あら、よく知ってるわねぇ。買ってきたのぉ?」
「いや、聞いてみただけ」
「使えないガキねぇ・・・・・・」
水銀燈が小さく吐き捨てた。
なんだ、やっぱり幻覚か。自分の幻覚、まぼろしに1週間もヘコヘコしてきたのかと思うと馬鹿らしくなってきた。
そういえば名前教えてないのに僕の名前を呼んだこともあったしなと、
僕はベットの上に寝転んでいる水銀燈の隣に横になった。
「ちょっとぉ、邪魔よぉ」
水銀燈が僕をお尻でベットからおいやろうと突いてきた。
「久しぶりに昼寝がしたいんだよ、もっと詰めてくれ」
水銀燈のわき腹を手のひらで押した。
「まったく、急に生意気に」ブツブツと文句を言いながらスペースを開けてくれた。
自分の幻覚にまで下に見られるとは思わなかったな。
「もう、詰めすぎよ!半分だけになさぁい!」
僕は片足を蜜のような睡眠に足を突っ込みながら、水銀燈の言葉を聞いた。
久しぶりに、ベットで昼寝をするな、いつぶりだっけ・・・・・・あっ、1週間ぶりか。
それじゃあ、次は②の検証か
「ヤクルト好き?」
この水銀燈が仮定どおりなら、僕のイメージが具現化したような物だろう。
だから幻覚の水銀燈なら「好きだ」と答える・・・・・・はず。
「あら、よく知ってるわねぇ。買ってきたのぉ?」
「いや、聞いてみただけ」
「使えないガキねぇ・・・・・・」
水銀燈が小さく吐き捨てた。
なんだ、やっぱり幻覚か。自分の幻覚、まぼろしに1週間もヘコヘコしてきたのかと思うと馬鹿らしくなってきた。
そういえば名前教えてないのに僕の名前を呼んだこともあったしなと、
僕はベットの上に寝転んでいる水銀燈の隣に横になった。
「ちょっとぉ、邪魔よぉ」
水銀燈が僕をお尻でベットからおいやろうと突いてきた。
「久しぶりに昼寝がしたいんだよ、もっと詰めてくれ」
水銀燈のわき腹を手のひらで押した。
「まったく、急に生意気に」ブツブツと文句を言いながらスペースを開けてくれた。
自分の幻覚にまで下に見られるとは思わなかったな。
「もう、詰めすぎよ!半分だけになさぁい!」
僕は片足を蜜のような睡眠に足を突っ込みながら、水銀燈の言葉を聞いた。
久しぶりに、ベットで昼寝をするな、いつぶりだっけ・・・・・・あっ、1週間ぶりか。
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 03:46:45.95 ID:ZuvhborM0
次に目が覚めたのは夕方だった水銀燈は相変わらず隣で本を読んでいた。
僕は水を飲むためベットから起き上がり、水銀燈は僕をチラリと見ただけで再び本に目を落とした。
「きゃっ!」
水銀燈が肩をすくめて悲鳴を上げた。
「ちょっと、何すんのよ!」
「アイス、食べる?」
「はぁ?」
水銀燈は顔をしかめ、不満を声にして僕に伝えてきた。
「ヤクルトは今手元にないし、甘そうなのはこれしかなかったから」
僕は水銀燈にカップアイス『ゆずレモン』を手渡した。
「あ、ありが・・・・・と」
水銀燈は両手でカップアイスを包み込むように膝の上で持ち、左下の方を見ていた。
僕と水銀燈はベットで並んで座り、一緒にアイスを食べた。
まったく、僕は自分の幻覚に何で気を使ってるんだろうな・・・・・・馬鹿だからか。
一人でそう結論付けていると横から「あら、以外にいけるわねぇ」との声が聞こえてきた。
幻覚でも、こういう反応を見せてくれるとむしょうに嬉しくなった。
次に目が覚めたのは夕方だった水銀燈は相変わらず隣で本を読んでいた。
僕は水を飲むためベットから起き上がり、水銀燈は僕をチラリと見ただけで再び本に目を落とした。
「きゃっ!」
水銀燈が肩をすくめて悲鳴を上げた。
「ちょっと、何すんのよ!」
「アイス、食べる?」
「はぁ?」
水銀燈は顔をしかめ、不満を声にして僕に伝えてきた。
「ヤクルトは今手元にないし、甘そうなのはこれしかなかったから」
僕は水銀燈にカップアイス『ゆずレモン』を手渡した。
「あ、ありが・・・・・と」
水銀燈は両手でカップアイスを包み込むように膝の上で持ち、左下の方を見ていた。
僕と水銀燈はベットで並んで座り、一緒にアイスを食べた。
まったく、僕は自分の幻覚に何で気を使ってるんだろうな・・・・・・馬鹿だからか。
一人でそう結論付けていると横から「あら、以外にいけるわねぇ」との声が聞こえてきた。
幻覚でも、こういう反応を見せてくれるとむしょうに嬉しくなった。
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 03:59:01.98 ID:ZuvhborM0
青い空には白い鱗が並んでいた。
夏の間うるさいほど鳴いていた蝉は、赤道辺りにでもバカンスに行ってるのかもしれない。
そんな事を考えさせる日だった。
「ねえ、何読んでるの?」
僕は隣に寝転び本を読んでいた水銀燈に聞いた。
水銀燈は僕に本の表紙を見せた。
「ねえねえ、何読んでるの?」
ホッペをプニプニしながら水銀燈に僕は再び聞いた。
今度は本の表紙を僕の目の前に突き出し、3秒ほど溜めたあと
「おわかりぃ?」と言った。いや、最初から分ってたんだけどね。
「それ面白い?」
「ええ」
素っ気無く答える水銀燈。
「どんな内容?」
水銀燈は僕をじいと半目で見つめ
「あなた、私の邪魔をしたいの?」と言った。
「そんな事ないよ」
邪魔をしたいんじゃない、構って欲しいのだ。
水銀燈は僕を同じように半目で見つめ、諦めたように溜息をつき本を閉じた。
「はぁ、じゃあ今日は何をするぅ?」
「何しようか」
「あなたが誘ったんだから、決めときなさいよぉ」
「じゃあ、一緒になにするか考えようよ」
「いつもと同じじゃない」と水銀燈が小さく呟いたが、不快感をその言の葉からは感じ取れなかった。
青い空には白い鱗が並んでいた。
夏の間うるさいほど鳴いていた蝉は、赤道辺りにでもバカンスに行ってるのかもしれない。
そんな事を考えさせる日だった。
「ねえ、何読んでるの?」
僕は隣に寝転び本を読んでいた水銀燈に聞いた。
水銀燈は僕に本の表紙を見せた。
「ねえねえ、何読んでるの?」
ホッペをプニプニしながら水銀燈に僕は再び聞いた。
今度は本の表紙を僕の目の前に突き出し、3秒ほど溜めたあと
「おわかりぃ?」と言った。いや、最初から分ってたんだけどね。
「それ面白い?」
「ええ」
素っ気無く答える水銀燈。
「どんな内容?」
水銀燈は僕をじいと半目で見つめ
「あなた、私の邪魔をしたいの?」と言った。
「そんな事ないよ」
邪魔をしたいんじゃない、構って欲しいのだ。
水銀燈は僕を同じように半目で見つめ、諦めたように溜息をつき本を閉じた。
「はぁ、じゃあ今日は何をするぅ?」
「何しようか」
「あなたが誘ったんだから、決めときなさいよぉ」
「じゃあ、一緒になにするか考えようよ」
「いつもと同じじゃない」と水銀燈が小さく呟いたが、不快感をその言の葉からは感じ取れなかった。
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 04:11:55.90 ID:ZuvhborM0
僕は、そんな水銀燈とのささいな言葉のやり取りがとても楽しかった。
昔、ちょとした出来事がきっかけで、僕は友達を作る事が出来なくなってしまっていた。
人と話す事は出来るのだが、それもごく僅かな時間だけだった。
つまり、一人ぼっちになるしかなかったのだ。
そして、灰色の学生生活を終え、今は細々と一人で暮している。
アパートが古い事、大家と知り合いだったと言う事、元々小食だったと言う事、
金遣いも荒くなかった事、これらが重なり合い、少ない生活費でも生活する事が出来ていた。
しかし、僕は飢えていた。人とのコミュニケーションに飢えていたのだ。
インターネットのディスプレイ越しに人と会話は出来るが、これとは違う、もっと別の何か、生の温もりのようなものだ。
そんな温もりを、水銀燈は僕に与えてくれた。
触れば暖かく、話しかければ言葉を返し、機嫌が悪い時にはそれが表れる。
そんな生の温もりを、水銀燈は僕に与えてくれた。
僕はとても嬉しかった、たとえそれが、まやかしだとしても。
僕は、そんな水銀燈とのささいな言葉のやり取りがとても楽しかった。
昔、ちょとした出来事がきっかけで、僕は友達を作る事が出来なくなってしまっていた。
人と話す事は出来るのだが、それもごく僅かな時間だけだった。
つまり、一人ぼっちになるしかなかったのだ。
そして、灰色の学生生活を終え、今は細々と一人で暮している。
アパートが古い事、大家と知り合いだったと言う事、元々小食だったと言う事、
金遣いも荒くなかった事、これらが重なり合い、少ない生活費でも生活する事が出来ていた。
しかし、僕は飢えていた。人とのコミュニケーションに飢えていたのだ。
インターネットのディスプレイ越しに人と会話は出来るが、これとは違う、もっと別の何か、生の温もりのようなものだ。
そんな温もりを、水銀燈は僕に与えてくれた。
触れば暖かく、話しかければ言葉を返し、機嫌が悪い時にはそれが表れる。
そんな生の温もりを、水銀燈は僕に与えてくれた。
僕はとても嬉しかった、たとえそれが、まやかしだとしても。
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 04:21:28.21 ID:ZuvhborM0
しかし、まやかしである水銀燈だからこそ、僕は彼女とこんな風に接する事が出来るのだろう。
これが同じ2次元キャラクターでも、人間のキャラだったらこうはならなかったと思う。
そもそも、僕が水銀燈に惹かれたのは、人間ではなく人形だったからだ。
人の都合で作られた、人より劣った人形だからだ。
前に「友達が作れなくなってしまった」と言っていたと思うが、本当はそうじゃない
人間が怖かったのだ、いつ裏切るとも知らない人間が怖かったのだ。
皮膚一枚剥けば欲望がドロドロと滲み出る人間が、怖かったのだ。
しかし、僕も人間だ、人は人なしには生きていけない。
僕は僕をすり減らしながら生きていた、昔、人から感じた暖かさを思い出しながら。
そんな磨り減った僕が、水銀燈の幻覚を見始めた。
人の温かさを懐かしみながらも、人より劣った、人の都合で生れ落ちた人形の少女。
僕はそんな、まやかしの人形の少女の温もりによって、救われていたのだ。
しかし、まやかしである水銀燈だからこそ、僕は彼女とこんな風に接する事が出来るのだろう。
これが同じ2次元キャラクターでも、人間のキャラだったらこうはならなかったと思う。
そもそも、僕が水銀燈に惹かれたのは、人間ではなく人形だったからだ。
人の都合で作られた、人より劣った人形だからだ。
前に「友達が作れなくなってしまった」と言っていたと思うが、本当はそうじゃない
人間が怖かったのだ、いつ裏切るとも知らない人間が怖かったのだ。
皮膚一枚剥けば欲望がドロドロと滲み出る人間が、怖かったのだ。
しかし、僕も人間だ、人は人なしには生きていけない。
僕は僕をすり減らしながら生きていた、昔、人から感じた暖かさを思い出しながら。
そんな磨り減った僕が、水銀燈の幻覚を見始めた。
人の温かさを懐かしみながらも、人より劣った、人の都合で生れ落ちた人形の少女。
僕はそんな、まやかしの人形の少女の温もりによって、救われていたのだ。
50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 04:33:29.66 ID:ZuvhborM0
僕は水銀燈の髪を櫛で梳いていた。
正直な所。全ては僕の脳内で起こっている出来事なのだから
彼女の髪の毛を櫛でとかす必要などないし、僕のイメージ力次第でサラサラヘアを維持できるはずなのだ。
はずなのだが、彼女が首を動かすたびに凪いでいる海面を一陣の風が撫でるように揺れ、
その銀色の髪をすくい上げると、砂のように僕の指の間を流れゆく。
まるで、本物の水銀燈が僕の目の前に居て、その髪の毛を本当に僕が触ってるような
そんな錯覚にすら陥る。しかし、これは幻覚なのだ、だが、もしかすると・・・・・・。
「ねぇ、さっきから腕が止まってるんですけどぉ」
僕の考えを水銀燈が遮り口を開いた。
「あ、ごめん」
再び水銀燈の銀色の髪に櫛を入れ、下に梳く。
櫛は何の抵抗もなく下に流れるのだが、指で彼女の髪を透くと「何となく痛んでいる」
そんな風に感じるのだ。何か、暖かさが足りないような、そんな曖昧であやふやな、そんな感じを、だ。
今までは、こんな感じを受ける事なんてなかった。
きっと、僕は昔に。まだ人の温かさを素直に感じ取れていた、そんな時代に戻っているんだろう。
「綺麗な髪だね」
「当然じゃなぁい、毎日の手入れしてるんだからぁ」
褒められ、彼女もまんざらじゃなさそうであった。
僕は水銀燈の髪を櫛で梳いていた。
正直な所。全ては僕の脳内で起こっている出来事なのだから
彼女の髪の毛を櫛でとかす必要などないし、僕のイメージ力次第でサラサラヘアを維持できるはずなのだ。
はずなのだが、彼女が首を動かすたびに凪いでいる海面を一陣の風が撫でるように揺れ、
その銀色の髪をすくい上げると、砂のように僕の指の間を流れゆく。
まるで、本物の水銀燈が僕の目の前に居て、その髪の毛を本当に僕が触ってるような
そんな錯覚にすら陥る。しかし、これは幻覚なのだ、だが、もしかすると・・・・・・。
「ねぇ、さっきから腕が止まってるんですけどぉ」
僕の考えを水銀燈が遮り口を開いた。
「あ、ごめん」
再び水銀燈の銀色の髪に櫛を入れ、下に梳く。
櫛は何の抵抗もなく下に流れるのだが、指で彼女の髪を透くと「何となく痛んでいる」
そんな風に感じるのだ。何か、暖かさが足りないような、そんな曖昧であやふやな、そんな感じを、だ。
今までは、こんな感じを受ける事なんてなかった。
きっと、僕は昔に。まだ人の温かさを素直に感じ取れていた、そんな時代に戻っているんだろう。
「綺麗な髪だね」
「当然じゃなぁい、毎日の手入れしてるんだからぁ」
褒められ、彼女もまんざらじゃなさそうであった。
54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 04:42:52.76 ID:ZuvhborM0
「ねぇ」と水銀燈が言う。
「なんだい」
「マサユキには友達は居ないの?」
「えっ?」
髪を梳く手が止まる。
「他に人間と話している所を見た事がないわぁ」
くいと、とっくの昔に解約していた携帯電話を顎で指した。
「あ、ほら、僕は水銀燈と一緒にいたいから」
言葉がつまる。
「ねえ」
やめてくれ
「あなたは」
その先を言わないでくれ。
せっかく、水銀燈を見始め忘れ始めていたと言うのに!
「一人ぼっちなのぉ?」
「あっ、そ、いや」
「ねぇ」と水銀燈が言う。
「なんだい」
「マサユキには友達は居ないの?」
「えっ?」
髪を梳く手が止まる。
「他に人間と話している所を見た事がないわぁ」
くいと、とっくの昔に解約していた携帯電話を顎で指した。
「あ、ほら、僕は水銀燈と一緒にいたいから」
言葉がつまる。
「ねえ」
やめてくれ
「あなたは」
その先を言わないでくれ。
せっかく、水銀燈を見始め忘れ始めていたと言うのに!
「一人ぼっちなのぉ?」
「あっ、そ、いや」
55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 04:43:21.38 ID:ZuvhborM0
そうだ、そうなんだ、僕は一人ぼっちなんだ。
今は、水銀燈と一緒に居るが、この子は’まぼろし’、僕が見ている幻覚だ。
僕はあの日から、ずっと一人ぼっちのまま・・・・・・。
臭い物に蓋をし、弱くなった心に一気に今までの事が突き抜けていく。
「まあ、そんな貴方だけど、私が一緒に居たげるから感謝なさぁ」
ふふん。と水銀燈は得意気に鼻で笑った。
そんな彼女の言葉は彼の鼓膜を揺らしただけで、言葉として捕らえられる事はなかった。
「・・・・・・なんとか、いいなさいよぉ」
少しばつが悪そうに水銀燈が言う。ほんのりと頬が朱に染まっていた。
彼の手から櫛が床にコトリと落ちた。
「あれ、どうしたのぉ?」
水銀燈も彼の異変を察したのか声色を戻し言う。
「いや、ごめん。ちょと疲れたから、寝るね」
「あ、ちょと。まだ途中じゃ──あっ」
彼女の言葉は彼が頭から引っかぶった布団に遮られた。
そうだ、そうなんだ、僕は一人ぼっちなんだ。
今は、水銀燈と一緒に居るが、この子は’まぼろし’、僕が見ている幻覚だ。
僕はあの日から、ずっと一人ぼっちのまま・・・・・・。
臭い物に蓋をし、弱くなった心に一気に今までの事が突き抜けていく。
「まあ、そんな貴方だけど、私が一緒に居たげるから感謝なさぁ」
ふふん。と水銀燈は得意気に鼻で笑った。
そんな彼女の言葉は彼の鼓膜を揺らしただけで、言葉として捕らえられる事はなかった。
「・・・・・・なんとか、いいなさいよぉ」
少しばつが悪そうに水銀燈が言う。ほんのりと頬が朱に染まっていた。
彼の手から櫛が床にコトリと落ちた。
「あれ、どうしたのぉ?」
水銀燈も彼の異変を察したのか声色を戻し言う。
「いや、ごめん。ちょと疲れたから、寝るね」
「あ、ちょと。まだ途中じゃ──あっ」
彼女の言葉は彼が頭から引っかぶった布団に遮られた。
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 04:49:13.54 ID:ZuvhborM0
「もうっ、なんなのよっ!」
一人残された水銀燈が忌々しげに吐き捨てた。
暫く苛立たしそうに辺りを歩き回ったり、椅子に座りギコギコと動かしたり、ぶつぶつと怒りの言葉を呟いたりと、
怒りを散らしていたが、ベットの方から何か聞こえてくる。
何かと耳を澄ませると、押し殺したような嗚咽のような、鼻を啜るような、そんな音が聞こえてくるのだ。
よく見れば布団もかすかに震えていた。
彼女は口を紡ぎ、何か考え込み、彼のベットの直ぐ脇に腰を下ろした。
次第に彼の嗚咽の声が小さくなり、呼吸が穏やかになる。深い眠りに落ちたのだ。
だが水銀燈は彼が眠り、水銀燈を認識しなくなっても、彼のベットの脇から消えず、彼が起きるのをじっと待っていた。
「もうっ、なんなのよっ!」
一人残された水銀燈が忌々しげに吐き捨てた。
暫く苛立たしそうに辺りを歩き回ったり、椅子に座りギコギコと動かしたり、ぶつぶつと怒りの言葉を呟いたりと、
怒りを散らしていたが、ベットの方から何か聞こえてくる。
何かと耳を澄ませると、押し殺したような嗚咽のような、鼻を啜るような、そんな音が聞こえてくるのだ。
よく見れば布団もかすかに震えていた。
彼女は口を紡ぎ、何か考え込み、彼のベットの直ぐ脇に腰を下ろした。
次第に彼の嗚咽の声が小さくなり、呼吸が穏やかになる。深い眠りに落ちたのだ。
だが水銀燈は彼が眠り、水銀燈を認識しなくなっても、彼のベットの脇から消えず、彼が起きるのをじっと待っていた。
61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 04:58:14.88 ID:ZuvhborM0
次に僕が目が覚めたのは、真っ赤に燃えた空が印象的な次の日の夕方だった。
僕はベットの上で首だけ動かし空を見た。
胃の辺りがムカムカとしてきた。
そういえば、昨日の昼から何も食べてない。どれ、と鉛のような体を起した。
上半身だけ起すと何かが胸の辺りから腰まで滑り落ちた。
水銀燈だ。
彼女は目をパチパチとさせながら辺りを見、猫のように目を擦りながら
「おはよぉ・・・・・・それにしても、酷い顔ねぇ」と微笑んだ。
どうやら、僕の胸の上でウトウトとまどろんでいたようだ。
酷い顔なのは鏡を見なくても分る、あれだけ泣いたんだ、目なんてパンパンだろう。
それにしても、久しぶりに泣いた。いつからだったかな、泣かなくなったのは・・・・・。
「お腹へったから何か用意しなさいよぉ」
「でも、その前に顔を洗った方がいいわねぇ」と優しく微笑んできた。
水銀燈が、この、僕が作り上げた’まぼろし’が。僕が押さえ込んでいた物の呼び水になってしまった。
僕は水銀燈の言葉に答えずに足早に洗面所へと向かった。
後ろから「ふふ、少しは身だしなみに注意しようとしてるのねぇ、成長成長」と一人細く微笑む水銀燈の声が聞こえてきた。
次に僕が目が覚めたのは、真っ赤に燃えた空が印象的な次の日の夕方だった。
僕はベットの上で首だけ動かし空を見た。
胃の辺りがムカムカとしてきた。
そういえば、昨日の昼から何も食べてない。どれ、と鉛のような体を起した。
上半身だけ起すと何かが胸の辺りから腰まで滑り落ちた。
水銀燈だ。
彼女は目をパチパチとさせながら辺りを見、猫のように目を擦りながら
「おはよぉ・・・・・・それにしても、酷い顔ねぇ」と微笑んだ。
どうやら、僕の胸の上でウトウトとまどろんでいたようだ。
酷い顔なのは鏡を見なくても分る、あれだけ泣いたんだ、目なんてパンパンだろう。
それにしても、久しぶりに泣いた。いつからだったかな、泣かなくなったのは・・・・・。
「お腹へったから何か用意しなさいよぉ」
「でも、その前に顔を洗った方がいいわねぇ」と優しく微笑んできた。
水銀燈が、この、僕が作り上げた’まぼろし’が。僕が押さえ込んでいた物の呼び水になってしまった。
僕は水銀燈の言葉に答えずに足早に洗面所へと向かった。
後ろから「ふふ、少しは身だしなみに注意しようとしてるのねぇ、成長成長」と一人細く微笑む水銀燈の声が聞こえてきた。
65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 05:08:59.38 ID:ZuvhborM0
ちゃぶ台をはさみ、僕と水銀燈はビックカップラーメンニンニク抜きを食べていた。
直ぐ何かを食べたかったのもあるし、何かを作る気力が失せていたのだ。
まるで水銀燈を見始める前の食事みたいだと一人思う。
対する水銀燈は何か不満そうだった。人形の、まぼろしの癖にインスタント食品を嫌うなんてね。
変にリアリティを追求するまぼろしに、僕は笑う気すら失せてしまっていた。
「晩──じゃなくてぇ、明日の朝はお味噌汁作りなさいよぉ」
自分の顔がスッポリはいるようなカップから汁を啜る合間に水銀燈が言う。
「ああ」
僕は水銀燈のまぼろしに返事をした。
まぼろしなんだ、本物の水銀燈なんかじゃない。全部、僕が作り出した物なんだ。
あのまぼろしは僕に優しくするふりをして、結局は僕の心をかき乱すのが目的だったんだ。
思い出せよ、忘れてた頃に、完璧に気が緩んだタイミングを見計らって、あいつは昔の事を思い出させてくれたろ?
そんなアイツにまだ僕は縋ろうって言うのか?
僕はそんなに弱かったのか?
僕はいままでずっと、一人だったじゃないか。ずっと、一人で・・・・・・。
ちゃぶ台をはさみ、僕と水銀燈はビックカップラーメンニンニク抜きを食べていた。
直ぐ何かを食べたかったのもあるし、何かを作る気力が失せていたのだ。
まるで水銀燈を見始める前の食事みたいだと一人思う。
対する水銀燈は何か不満そうだった。人形の、まぼろしの癖にインスタント食品を嫌うなんてね。
変にリアリティを追求するまぼろしに、僕は笑う気すら失せてしまっていた。
「晩──じゃなくてぇ、明日の朝はお味噌汁作りなさいよぉ」
自分の顔がスッポリはいるようなカップから汁を啜る合間に水銀燈が言う。
「ああ」
僕は水銀燈のまぼろしに返事をした。
まぼろしなんだ、本物の水銀燈なんかじゃない。全部、僕が作り出した物なんだ。
あのまぼろしは僕に優しくするふりをして、結局は僕の心をかき乱すのが目的だったんだ。
思い出せよ、忘れてた頃に、完璧に気が緩んだタイミングを見計らって、あいつは昔の事を思い出させてくれたろ?
そんなアイツにまだ僕は縋ろうって言うのか?
僕はそんなに弱かったのか?
僕はいままでずっと、一人だったじゃないか。ずっと、一人で・・・・・・。
68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 05:19:02.84 ID:ZuvhborM0
「はい」
僕の前にアイスが置かれていた。
「デザートにどうぞぉ」
「あ、ああ」
あの顔で微笑まれ、あの優しい声で話しかけられると、僕の軽石のような心に黒く、暖かいタールが染みこんで行く様な
そんな気すらする。暖かい、暖かい物が胸の奥へ、奥へと染みこんで行くのだ。
「これおいしいわよねぇ」
と、プラスチックの小さなスプーンでシャキシャキとゆずレモンの身を削る。
氷の削れる音は僕の心に染みこんで行くタールをこそぎ落としているような気がした。
「ねえ」
「んー?」
僕は最後に、本当にこれで最後にしようと、彼女に質問を投げかけた。
「昨日、何処で寝てたの?」
まあ、僕が寝てしまい、僕が彼女を認識しなくなれば彼女は存在出来なくなるのだから、こんな質問は意味が無いか。
僕が寝たら彼女は消え、僕が起きたら彼女が現れ、それの繰り返しだ。
だから彼女は「鞄で寝た」と、答えるはずだ、僕が僕を騙すために、日々に整合性を持たせるために。
だけど、もし、それ以外の答えが出たら、もう、僕は彼女から───。
「はい」
僕の前にアイスが置かれていた。
「デザートにどうぞぉ」
「あ、ああ」
あの顔で微笑まれ、あの優しい声で話しかけられると、僕の軽石のような心に黒く、暖かいタールが染みこんで行く様な
そんな気すらする。暖かい、暖かい物が胸の奥へ、奥へと染みこんで行くのだ。
「これおいしいわよねぇ」
と、プラスチックの小さなスプーンでシャキシャキとゆずレモンの身を削る。
氷の削れる音は僕の心に染みこんで行くタールをこそぎ落としているような気がした。
「ねえ」
「んー?」
僕は最後に、本当にこれで最後にしようと、彼女に質問を投げかけた。
「昨日、何処で寝てたの?」
まあ、僕が寝てしまい、僕が彼女を認識しなくなれば彼女は存在出来なくなるのだから、こんな質問は意味が無いか。
僕が寝たら彼女は消え、僕が起きたら彼女が現れ、それの繰り返しだ。
だから彼女は「鞄で寝た」と、答えるはずだ、僕が僕を騙すために、日々に整合性を持たせるために。
だけど、もし、それ以外の答えが出たら、もう、僕は彼女から───。
70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 05:23:39.01 ID:ZuvhborM0
「隣よ」
一言、水銀燈がそう言った。
「え?」
「だァかぁらぁ、あなたの隣で寝てたの 分ったぁ?」
「鞄で、寝るんじゃ」
「そりゃ、まあケースバイケースよ」
言い終わった後自分の駄洒落に気づいたのかふふんと笑った。
どうやら、彼女のまぼろしは、いや、もう何でもいい・・・・・・彼女は、水銀燈はどうやっても僕を逃さないつもりだ。
結局、初めて彼女を見た時から、こうなる事は分っていたんだ。
彼女に出会うちょと前か、それよりずっと前か、僕の心は既にボロボロだったんだ。
そんな僕が、あんなに優しくされたら。
「ちょ、ちょと、何泣いてるのよぉ!」
彼女がちゃぶ台に手を突き立ち上がった。
「来るなっ!」
僕は叫んだ、嗚咽にまみれた声だったから、正確に彼女には届かなかったかもしれない。
だけど、僕の叫びを聞いて、彼女はその場で動きを止めてくれた。
「隣よ」
一言、水銀燈がそう言った。
「え?」
「だァかぁらぁ、あなたの隣で寝てたの 分ったぁ?」
「鞄で、寝るんじゃ」
「そりゃ、まあケースバイケースよ」
言い終わった後自分の駄洒落に気づいたのかふふんと笑った。
どうやら、彼女のまぼろしは、いや、もう何でもいい・・・・・・彼女は、水銀燈はどうやっても僕を逃さないつもりだ。
結局、初めて彼女を見た時から、こうなる事は分っていたんだ。
彼女に出会うちょと前か、それよりずっと前か、僕の心は既にボロボロだったんだ。
そんな僕が、あんなに優しくされたら。
「ちょ、ちょと、何泣いてるのよぉ!」
彼女がちゃぶ台に手を突き立ち上がった。
「来るなっ!」
僕は叫んだ、嗚咽にまみれた声だったから、正確に彼女には届かなかったかもしれない。
だけど、僕の叫びを聞いて、彼女はその場で動きを止めてくれた。
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 05:28:49.19 ID:ZuvhborM0
「こないで、くれ。もし、もう一度君に微笑みかけられたら
もし、もう一度君に話しかけられたら、もし、もう一度君に触れられたら」
ここでいったん止め、息を吸った。
「君なしでは、いられなくなってしまう」
この時、僕は自分の細い腕で自分の体を、頭を抱きしめていた。
まるで小さい子供が強い衝撃から身を守るため、自然に体を丸くしたような、そんな風に、丸く、小さくなっていた。
秋の空気が僕の肉に、骨に染みていった。
それから、どのくらいの時間が経っただろうか。僕の体は抱きしめられ、頭には小さく、
柔らかく、そしてとても暖かいものが添えられ、肩をポンポンと一定のリズムで叩かれていた。
「いいじゃない、一緒に、生きて行きましょうよ」
彼女の言葉が春の木漏れ日のように、僕に染みこんで行く。
「もっと、私に甘えて、私なしじゃ生きられないようになっちゃいなさいよぉ」
彼女の言葉はまるで高純度の麻薬のように、僕の心を捉えて放さなかった。
僕は彼女に抱きしめられたまま、大きな声で泣き始めた。
もう、水銀燈でも何でも、縋る事が出来、僕に優しくしてくれるものなら、なんでもよかったのかもしれない。
だけど、水銀燈だから、そう思えたと、僕は信じたい。
「こないで、くれ。もし、もう一度君に微笑みかけられたら
もし、もう一度君に話しかけられたら、もし、もう一度君に触れられたら」
ここでいったん止め、息を吸った。
「君なしでは、いられなくなってしまう」
この時、僕は自分の細い腕で自分の体を、頭を抱きしめていた。
まるで小さい子供が強い衝撃から身を守るため、自然に体を丸くしたような、そんな風に、丸く、小さくなっていた。
秋の空気が僕の肉に、骨に染みていった。
それから、どのくらいの時間が経っただろうか。僕の体は抱きしめられ、頭には小さく、
柔らかく、そしてとても暖かいものが添えられ、肩をポンポンと一定のリズムで叩かれていた。
「いいじゃない、一緒に、生きて行きましょうよ」
彼女の言葉が春の木漏れ日のように、僕に染みこんで行く。
「もっと、私に甘えて、私なしじゃ生きられないようになっちゃいなさいよぉ」
彼女の言葉はまるで高純度の麻薬のように、僕の心を捉えて放さなかった。
僕は彼女に抱きしめられたまま、大きな声で泣き始めた。
もう、水銀燈でも何でも、縋る事が出来、僕に優しくしてくれるものなら、なんでもよかったのかもしれない。
だけど、水銀燈だから、そう思えたと、僕は信じたい。
78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 05:33:17.22 ID:ZuvhborM0
僕と水銀燈はベットの上で、一緒に布団に包まっていた。
あれから色々な事を一緒に話した。
互いの秘密に、過去に触れ合った。
それは肉体的なまぐわりではなく、心の、精神的なまぐわいのようなものだった。
何か、自分の中ではとても大きな物だと思っていた物が、話してみたら
あっけなく口から出てしまったりと、意外な一面もあったが
僕は完全に心を開いていた、水銀燈が居ないとこの先、生きていけないほどに。
「ねえ」
水銀燈が僕の顔の直ぐ横で口を開いた。
「私達、まだ契約してなかったわよねぇ」
そう言えばそうだ、普通一番最初にする物じゃないか。
「今からでも、間に合うかな」
「どうかしらぁ、私が契約を持ってくる側なら、今までほったらかしにされてて、凄く怒ってるかもぉ」
「じゃあ、早くしないと」
僕と水銀燈は布団に包まったまま起き上がり、ベットの上で面と向かい合った。
僕と水銀燈はベットの上で、一緒に布団に包まっていた。
あれから色々な事を一緒に話した。
互いの秘密に、過去に触れ合った。
それは肉体的なまぐわりではなく、心の、精神的なまぐわいのようなものだった。
何か、自分の中ではとても大きな物だと思っていた物が、話してみたら
あっけなく口から出てしまったりと、意外な一面もあったが
僕は完全に心を開いていた、水銀燈が居ないとこの先、生きていけないほどに。
「ねえ」
水銀燈が僕の顔の直ぐ横で口を開いた。
「私達、まだ契約してなかったわよねぇ」
そう言えばそうだ、普通一番最初にする物じゃないか。
「今からでも、間に合うかな」
「どうかしらぁ、私が契約を持ってくる側なら、今までほったらかしにされてて、凄く怒ってるかもぉ」
「じゃあ、早くしないと」
僕と水銀燈は布団に包まったまま起き上がり、ベットの上で面と向かい合った。
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 05:35:51.78 ID:ZuvhborM0
「誓いなさぁい、この薔薇の指輪に」
水銀燈が布団の間から手を差し出し、僕の薬指に指輪をはめた。
普通は男がする物なんだろうが、この際気にしない事にした。
そして、僕は彼女の左手をうやうやしく受け取ると、薬指の輝く薔薇の指輪にキスをした。
すると同時に、僕の左薬指が燃えるように熱くなり、指に吸い付くように形が変った。
「これからも、よろしくねぇ」
「ああ、よろしく」
二人の秘め事はこれで終わりのはずなのに、二人とも動こうとはしない。
「なんかさ、結婚式みたいだね」
おずおずと、僕は彼女の顔を見ながらこう言った。
「・・・・・・うん」
水銀燈は顎を引き、小さく頷く。
僕は彼女の頭に引っかかっていた布団を両手で後ろにやり、彼女の肩を掴んだ。
そして、彼女の赤い瞳を覗き込む。
すう、と瞳が閉じられ赤い瞳が長いマツゲと象牙のように白い皮膚に隠された。
そして僕は、彼女を優しく胸の中に引き寄せた。
「誓いなさぁい、この薔薇の指輪に」
水銀燈が布団の間から手を差し出し、僕の薬指に指輪をはめた。
普通は男がする物なんだろうが、この際気にしない事にした。
そして、僕は彼女の左手をうやうやしく受け取ると、薬指の輝く薔薇の指輪にキスをした。
すると同時に、僕の左薬指が燃えるように熱くなり、指に吸い付くように形が変った。
「これからも、よろしくねぇ」
「ああ、よろしく」
二人の秘め事はこれで終わりのはずなのに、二人とも動こうとはしない。
「なんかさ、結婚式みたいだね」
おずおずと、僕は彼女の顔を見ながらこう言った。
「・・・・・・うん」
水銀燈は顎を引き、小さく頷く。
僕は彼女の頭に引っかかっていた布団を両手で後ろにやり、彼女の肩を掴んだ。
そして、彼女の赤い瞳を覗き込む。
すう、と瞳が閉じられ赤い瞳が長いマツゲと象牙のように白い皮膚に隠された。
そして僕は、彼女を優しく胸の中に引き寄せた。
83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 05:45:18.85 ID:ZuvhborM0
早朝、空が青らみ秋虫の鳴声より二人の息遣いの方が大きく聞こえる距離で、
僕はお願い事を一つ、水銀燈の耳元で囁いた。
水銀燈は、僕のお願いを聞いた瞬間、肘を立て起き上がり、僕の顔を覗き込んだ。
「それ、本気で言っているのぉ?」
僕は何も言わず、青みががかった空のような微笑みを返した。
水銀燈は目を閉じ、僕の胸の中に顔を鎮め、僕は水銀燈を抱きしめた。
長い銀髪が僕の顎裏を擽っていた。
しばらく、そうしていただろうか、僕が口を開いた。
「ねえ、ヤクルトは何で好きになったの?」
「んっ・・・・・・ヤクルトなんて、飲んだ事ないわぁ」
「そっか」
「あなたに、話を合わせたかったからぁ、ああ言ったのよぉ」
何となく、気づいていた。
この質問自体には意味が無かったのかもしれない、だけど、僕は何か水銀燈と喋りたかったのだ。
「でも、機会があったら、飲んでみるわねぇ」
「ああ、きっと好きになると思うよ」
それっきり、僕たちの間から言葉は消えた。
辺りは、カーテンを通し差し込む青い光りと、秋虫の鳴声だけが支配していた。
早朝、空が青らみ秋虫の鳴声より二人の息遣いの方が大きく聞こえる距離で、
僕はお願い事を一つ、水銀燈の耳元で囁いた。
水銀燈は、僕のお願いを聞いた瞬間、肘を立て起き上がり、僕の顔を覗き込んだ。
「それ、本気で言っているのぉ?」
僕は何も言わず、青みががかった空のような微笑みを返した。
水銀燈は目を閉じ、僕の胸の中に顔を鎮め、僕は水銀燈を抱きしめた。
長い銀髪が僕の顎裏を擽っていた。
しばらく、そうしていただろうか、僕が口を開いた。
「ねえ、ヤクルトは何で好きになったの?」
「んっ・・・・・・ヤクルトなんて、飲んだ事ないわぁ」
「そっか」
「あなたに、話を合わせたかったからぁ、ああ言ったのよぉ」
何となく、気づいていた。
この質問自体には意味が無かったのかもしれない、だけど、僕は何か水銀燈と喋りたかったのだ。
「でも、機会があったら、飲んでみるわねぇ」
「ああ、きっと好きになると思うよ」
それっきり、僕たちの間から言葉は消えた。
辺りは、カーテンを通し差し込む青い光りと、秋虫の鳴声だけが支配していた。
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 05:47:39.61 ID:ZuvhborM0
太陽が東の空に高く上がり、陽の白い光りが彼らが寝ていたベットを照らし出した。
ぽつんぽつんと台所の蛇口からシンクに二つ重ね、置きっぱなしにされた
ビックカップラーメンカップにのポトポトと水が滴り落ちていた。
彼らが短い間であったが、一緒に生活した小さなボロアパートの一室には、
水の音だけが寂しく空間を震わせていた。
太陽が東の空に高く上がり、陽の白い光りが彼らが寝ていたベットを照らし出した。
ぽつんぽつんと台所の蛇口からシンクに二つ重ね、置きっぱなしにされた
ビックカップラーメンカップにのポトポトと水が滴り落ちていた。
彼らが短い間であったが、一緒に生活した小さなボロアパートの一室には、
水の音だけが寂しく空間を震わせていた。
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 05:48:30.66 ID:ZuvhborM0
暗く、常に雪が降り続ける寂れた町並みの一角に水銀灯が
歯を剥いてオレンジ色の光りを放っている場所があった。
ここは水銀燈のフィールドの水銀燈の部屋。
彼女は暖炉の前の年季が入ったが、綻びなどがなくドッシリと構えたソファに
一体の人形と腰を並べて座っていた。
暖炉には火が入っていないはずなのに、部屋の中はオレンジの明りに暖かく
照らされていた。オレンジの明りは水銀燈の顔から生の色合いを全て奪い去り、
まるで死んでるかのようにノッペリと照らし出していた。
暖炉の上の上に置いてある時計の長針がⅩⅠを指していた。
あと、五分足らずでミーディアムを失った私は、また、永い眠りに入るだろう。
思えば変な出会いだった、メイメイが変な手紙で見つけた男の所に行って、
色々あったけどミーディアムにして、それから───。
水銀燈は隣においてあった人形の方を向いて、指先でうりうりと人形の頭を撫でた。
ガチン。歯車が噛合い時計の長針が動く、あと一回動いたら、全て終わる。
水銀燈は暖炉の前のソファーから人形を抱き上げ立ち上がり、奥の部屋にあるベットルームに足を運んだ。
皺一つ無いベットの横に、鞄が一つ置かれていた。
水銀燈はベットの枕に頭が乗るように人形を置き、顔を近づけた。
10秒ほど、そのままだったろうか、それから顔をあげ
「もう、私にはミーディアムは必要ないわぁ。さようなら、まさゆき」
ポタリと何かが人形の上に落ちた。
それに構わず、水銀燈は自分の鞄の中に入り、鐘が鳴り響く前に自ら鞄の蓋を閉じた。
同時に、ごおん、ごおんと外から鐘を打ち鳴らす音が、
窓ガラスを震わせ、部屋に伝わってきた。
その響きは強く、とても大きく、まぼろしなどかき消していまうかのように。
暗く、常に雪が降り続ける寂れた町並みの一角に水銀灯が
歯を剥いてオレンジ色の光りを放っている場所があった。
ここは水銀燈のフィールドの水銀燈の部屋。
彼女は暖炉の前の年季が入ったが、綻びなどがなくドッシリと構えたソファに
一体の人形と腰を並べて座っていた。
暖炉には火が入っていないはずなのに、部屋の中はオレンジの明りに暖かく
照らされていた。オレンジの明りは水銀燈の顔から生の色合いを全て奪い去り、
まるで死んでるかのようにノッペリと照らし出していた。
暖炉の上の上に置いてある時計の長針がⅩⅠを指していた。
あと、五分足らずでミーディアムを失った私は、また、永い眠りに入るだろう。
思えば変な出会いだった、メイメイが変な手紙で見つけた男の所に行って、
色々あったけどミーディアムにして、それから───。
水銀燈は隣においてあった人形の方を向いて、指先でうりうりと人形の頭を撫でた。
ガチン。歯車が噛合い時計の長針が動く、あと一回動いたら、全て終わる。
水銀燈は暖炉の前のソファーから人形を抱き上げ立ち上がり、奥の部屋にあるベットルームに足を運んだ。
皺一つ無いベットの横に、鞄が一つ置かれていた。
水銀燈はベットの枕に頭が乗るように人形を置き、顔を近づけた。
10秒ほど、そのままだったろうか、それから顔をあげ
「もう、私にはミーディアムは必要ないわぁ。さようなら、まさゆき」
ポタリと何かが人形の上に落ちた。
それに構わず、水銀燈は自分の鞄の中に入り、鐘が鳴り響く前に自ら鞄の蓋を閉じた。
同時に、ごおん、ごおんと外から鐘を打ち鳴らす音が、
窓ガラスを震わせ、部屋に伝わってきた。
その響きは強く、とても大きく、まぼろしなどかき消していまうかのように。
86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 05:48:46.17 ID:ZuvhborM0
水銀燈とまぼろし
水銀燈とまぼろし
88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 05:49:01.63 ID:ZuvhborM0
終わりです、おつかれさまでした
終わりです、おつかれさまでした
92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 05:56:36.98 ID:4NKFL9ySO 過疎ってるな 久々のまーくんスレなのに
93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 05:57:09.01 ID:ZuvhborM0
まあ、この時間だししゃーないさ
まあ、この時間だししゃーないさ
109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 08:35:51.92 ID:ZuvhborM0
水銀燈のミーディアムデビュー
水銀燈のミーディアムデビュー
110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 08:37:00.82 ID:ZuvhborM0
場所は桜田家のリビング、薔薇姉妹達が一堂に集まり茶会を開いていた。
水銀燈はソファーの端に座り、真紅を中心に行われている会話を、
輪の外から見ていた。「ひとり仲間の輪から外れて私カッコイイ」的風潮に浸りたいのではなく、
自宅で自分のミーディアムにネチネチと絡まれ、中々家を出る事が出来ず
彼女が到着した時には既に茶会が始まっており、
座れる場所がソファーの端しかなく、既に会話グループも形成されていた、ただそれだけの事であった。
場所は桜田家のリビング、薔薇姉妹達が一堂に集まり茶会を開いていた。
水銀燈はソファーの端に座り、真紅を中心に行われている会話を、
輪の外から見ていた。「ひとり仲間の輪から外れて私カッコイイ」的風潮に浸りたいのではなく、
自宅で自分のミーディアムにネチネチと絡まれ、中々家を出る事が出来ず
彼女が到着した時には既に茶会が始まっており、
座れる場所がソファーの端しかなく、既に会話グループも形成されていた、ただそれだけの事であった。
111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 08:42:04.50 ID:ZuvhborM0
机の上には所狭しとお菓子が並べてあった。これらは各自、家から最低一品持ってくる約束だったのだが
水銀燈は手ぶらで来てしまい、目の前に並べられたお菓子に、中々手を出せずにいた。
ミーディアムに絡まれ、文字通りその手の内から抜け出した時
には茶会の開始時刻を過ぎており、慌てて用意してもらったお菓子を忘れ
家を飛び出してきてしまったのである。つくづくついていない、彼女の最凶の名は伊達じゃない。
真紅は「気にする事はないわ、沢山あるのだから」と言ってくれたが、
長女の威厳というか、プライドが邪魔をしていた。
ヤクルト味のゼリー食べたいわぁと思いながら、出発前に絡んできた
ミーディアムを頭の中で叱りつけたり、家に帰ってからこのお菓子を買ってもらう為の
シナリオを原稿用紙に下書きをしたりしていた。
机の上には所狭しとお菓子が並べてあった。これらは各自、家から最低一品持ってくる約束だったのだが
水銀燈は手ぶらで来てしまい、目の前に並べられたお菓子に、中々手を出せずにいた。
ミーディアムに絡まれ、文字通りその手の内から抜け出した時
には茶会の開始時刻を過ぎており、慌てて用意してもらったお菓子を忘れ
家を飛び出してきてしまったのである。つくづくついていない、彼女の最凶の名は伊達じゃない。
真紅は「気にする事はないわ、沢山あるのだから」と言ってくれたが、
長女の威厳というか、プライドが邪魔をしていた。
ヤクルト味のゼリー食べたいわぁと思いながら、出発前に絡んできた
ミーディアムを頭の中で叱りつけたり、家に帰ってからこのお菓子を買ってもらう為の
シナリオを原稿用紙に下書きをしたりしていた。
114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 08:54:25.29 ID:ZuvhborM0
「───わ」
「えっ?」
真紅が私に何か語りかけていた。
「ご、ごめんねぇ、聞いてなかったわぁ」
水銀燈は思い出したかのように、自分の紅茶に砂糖を入れ始めた。
紅茶のカップを片手に僅かに眉を上げたが、気にせず続けた。
「水銀燈、あなたのミーディアムはどのような人物なのだわ」
真紅が紅茶カップを受け皿に戻した。
「そういやそうです、翠星石も一度も見た事がないです」
「ヒナも知らないのよ」
翠星石と雛苺が食いついてきた。釣堀の魚より反応がいい。
蒼星石は話しに入らず紅茶を飲んでいたが耳に神経を集中させている。
他の姉妹達も話を止め、水銀燈の方を見た。
「───わ」
「えっ?」
真紅が私に何か語りかけていた。
「ご、ごめんねぇ、聞いてなかったわぁ」
水銀燈は思い出したかのように、自分の紅茶に砂糖を入れ始めた。
紅茶のカップを片手に僅かに眉を上げたが、気にせず続けた。
「水銀燈、あなたのミーディアムはどのような人物なのだわ」
真紅が紅茶カップを受け皿に戻した。
「そういやそうです、翠星石も一度も見た事がないです」
「ヒナも知らないのよ」
翠星石と雛苺が食いついてきた。釣堀の魚より反応がいい。
蒼星石は話しに入らず紅茶を飲んでいたが耳に神経を集中させている。
他の姉妹達も話を止め、水銀燈の方を見た。
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 09:07:55.26 ID:ZuvhborM0
みなの視線に負けず、極力普段の彼を思い出さないようにして
「そりゃ、私のミーディアムに相応しい、立派な人間に決まってるじゃなぁい」
姉妹の中で一番大きいであろう胸を張り言い、
砂糖のサジを瓶に戻し、次にミルクを紅茶に注ぐ。
「それなら、一度家に連れて来なさい」
真紅が眼を閉じ、自分の紅茶カップに口をつけんながらそう言った。
想定の範囲外だ。
「えっ。いや、あなたのミーディアムにも、迷惑がかかると思うしぃ・・・・・・」
張った胸そのままに目を泳がせながら言う。
ミルクがカップから溢れ、受け皿にあふれ出す。
「気にしないのだわ」
首を回し、おさげを宙に泳がせながらそう言った。
「で、でもぉ」
水銀燈はカラッポになったミルク瓶を注ぐ姿勢のそのままに構えていた。
受け皿の表面張力でテーブルの純潔は守られていたが、少しでも振動を加えたらドカンであろう。
「姉妹として確認しておく必要があるのだわ」
カップから口を放し、水銀燈をその蒼い目で見つめ
「それとも何か、人前に出せないような、何らかの事情があれば仕方がないのだけれど」
止めを刺した。
蒼星石が二杯目の紅茶の為にミルクに手を伸ばそうとして溜息をついた。
みなの視線に負けず、極力普段の彼を思い出さないようにして
「そりゃ、私のミーディアムに相応しい、立派な人間に決まってるじゃなぁい」
姉妹の中で一番大きいであろう胸を張り言い、
砂糖のサジを瓶に戻し、次にミルクを紅茶に注ぐ。
「それなら、一度家に連れて来なさい」
真紅が眼を閉じ、自分の紅茶カップに口をつけんながらそう言った。
想定の範囲外だ。
「えっ。いや、あなたのミーディアムにも、迷惑がかかると思うしぃ・・・・・・」
張った胸そのままに目を泳がせながら言う。
ミルクがカップから溢れ、受け皿にあふれ出す。
「気にしないのだわ」
首を回し、おさげを宙に泳がせながらそう言った。
「で、でもぉ」
水銀燈はカラッポになったミルク瓶を注ぐ姿勢のそのままに構えていた。
受け皿の表面張力でテーブルの純潔は守られていたが、少しでも振動を加えたらドカンであろう。
「姉妹として確認しておく必要があるのだわ」
カップから口を放し、水銀燈をその蒼い目で見つめ
「それとも何か、人前に出せないような、何らかの事情があれば仕方がないのだけれど」
止めを刺した。
蒼星石が二杯目の紅茶の為にミルクに手を伸ばそうとして溜息をついた。
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 09:13:47.70 ID:uinZJ9fPO これはまた別の話?
118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/09/16(日) 09:18:06.19 ID:ZuvhborM0
はい、違う話しです。
一つの話しが終わったら適当にタイミングを見計らって、違う話を書き込んだりしますよ、
はい、違う話しです。
一つの話しが終わったら適当にタイミングを見計らって、違う話を書き込んだりしますよ、