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イベント13 中小藩国に愛の手を【摂政・那限逢真の出陣編】

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【摂政・那限逢真の出陣編】

作:歩露(PL:ほろ)


芥さんと、オーマさんへ。ごめんなさい。わざとじゃないんです。 ――歩露




那限逢真は、テストパイロットとして機体テストに参加することになった。
芥辺境藩国から出せる、唯一の人材だった。
テストの死亡率は、高い。


「また、この服を着ることになるとはな」
那限逢真は、宮廷内の自室のクローゼットを開け、しまいこんでいた自分のパイロットスーツを取り出し、素早く着込んだ。
しばらくは、尻で椅子を磨いて過ごせるかと思ったんだが。
平和ってのは、続かないものだな。


那限逢真はファンタジーである。
設定もファンタジーだし、根源力もファンタジーレベル(というか、それを超えている)、設計するアイドレスも一部で伝説級だった(おかげでうちの藩は公式SSに出たり、襲撃されたりした)。
で、最近はしばらくファンタジーを休んで、辺境藩国の摂政なんぞをしていた。
やれ冒険だ、アクロバットだと、わけのわからないイベントの指揮を取る日々が続いていた。

大分アレな藩王や、マイペースな国民には苦労したが(いや、文族が好き勝手に書いてんだろとかそういうツッコミはなしね)、それでも、自分はここで、笑っていられたと思う。

「まあ、いいか」

そうだ、いいじゃないか。
この、大分小さな藩国のために、そしてにゃんにゃん共和国、全ての民のために自分の力を使えるのならば。
逢真は、ドラッカー用の薬品を握り締めた。このテストをクリアするためには、薬の力が不可欠だった。
どれだけ副作用を減らしても、無理やりに限界以上の力を発揮させるのだ。身体への悪影響は確実だった。
それでも、テストの成功率は高くはない。


でも、彼は信じることにした。
こんな呪われた力でも、正義のために使えることを。
芥辺境藩国は、正しい力を選んだのだと。




所変わって、藩王遊戯(兼執務)室。
「…はああ」
藩王は、ため息と共に、ずるずると椅子からずり落ちた。
理由は簡単で、自分の根源力が200足りないせいで、機体テストに出られないからだった。
「10000ってなー。そりゃないぜって感じだよなあ」
封土は、見事に外したようだ。ああ、9800って。なんでそんな半端な数字にしちゃったんだろう。
結局、摂政一人に重圧を背負わせることになってしまった。
それを思うと、どうにもやるせない。意外なことに、彼は国民思いなのだ。
特に摂政とは古いつきあいだった。
そんなこんなで、藩王がうー、ぐー、とか唸っている。

と、そこでドアがノックされた。
藩王は慌てて立ち上がる。

「入りたまえ」

威厳のある(少なくとも、本人はそう信じて疑っていない)声を出す。
彼は摂政以外の国民の前では、真面目な藩王で通っていた(少なくとも、本人は(以下略))。
ただのかっこつけでもある。
格好をつけられなくなったら、藩王なんざやってはいけないと思っている。

「失礼しまーす!」

元気な声を上げて、吏族、双海環(多分天使)が入ってきた。
彼女は、いついかなるときも元気であった。
それがみんなのためになると思っており、そして、本当にみんなの元気を呼び起こすのだった。
藩王は、いつも通りに元気な彼女の前で、へこたれた男をやっているわけにもいかないと思った。
よし、いつも通りに行こう。

「ああ、双海君か。どうしたんだい」
「えーと、摂政サマがそろそろ出発みたいですよー?」
「ええ! 嘘、マジで!?」

もう彼のメッキは剥がれていた。本人は気づいていないが、いつもこんな感じである。

「うわほんとにもうこんな時間じゃん! い、急がないと、双海君!」
「はい! 行きましょー!」

藩王をあっという間に追い抜いて、双海は走り去った。

「早いって双海君! 僕を置いてかないでー!」

宮廷の外で、旅支度を終えた那限逢真を、大勢の人が囲んでいた。
女性が多い。

「がんばってくださいね、オーマさん!」
「無事に、無事に帰ってきて…。お願いします…」
「どうか、このお守りを…」
「摂政さまの無事を、どうか、お祈りさせてください!」

逢真は困って顔を赤くしていた。まともな受け答えができない。
藩王は遠くからその様子を見ていた。

「…さすがだなあ。オーマさん」

そう、那限逢真は天然のたらしだった。
横顔も、目つきも、雰囲気も、全てが女性を誘い込むのだ。さすがファンタジーである。
なんとなく、藩王は馬鹿馬鹿しくなってきた。

「あー、帰ろうかなあ」
「何言ってるんですか! 早く、挨拶、するんですよー!」

双海は、思いっきり藩王の背中を押した。
ちなみに、彼女は特に逢真に思うところはないらしい(天使だからかもしれない。ファンタジーだ)。

「ああっとっと! …あ」
逢真も藩王に気づいた。
「あ…。藩王」
目を合わせて、沈黙する二人。


…あれ、しまった、なぜかラブコメの1シーンになってしまった。


「「違う! それは違うから! そうじゃないから!」」
ああ、シリアスもここまでか。では、ここからはラブコメです。
「「そりゃないだろう!」」


ラブコメにしないために、2人は短く済ませることにした。
「えーと…。がんばれ。また会おう」
「はい。またお会いしましょう」
見つめあう二人。


周りの女性は、どっちが攻めで受けかを話しあっていた。
「「だから、違うっての!」」


こうしてオーマさんは出陣しました
…なんでこんな話に?(A:いきあたりばったりに書いてるから)。
がんばれ、ファイトだ!


「「歩露…。殺す」」


ぐだぐだのまま、次の話に続く。
吉報を、お届けしたい。
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