失った記憶は…


「ヴィンデル…ヴィンデル・マウザー……」
自分は確かに目の前にいる奴の名前を聞いたことがあった、しかし思い出せない。
頭の少し奥の方に引っかかる…
もしかしたら記憶を失う前の友人だったのかもしれない…
いや、もしかしたら憎むべき敵だったのかもしれない…
いろいろな可能性が頭の中をグルグル回っていて、
頭が壊れそうな気分だ。
考えてもまったく答えは出ない。
「おい!!アクセル!!」
フッと我に返った
「なんか頭がグルグルするんだな、これが…」
「しっかりしてくれよ!これから戦闘になるかもしれないのに…」
「(なにっ!アクセルだと!!だが私の知っているアクセルなら私の名前を聞いたら何らかの反応があるはずだが…)」
アクセルとアキトの会話を聞いたヴィンデルが考える。
「ハロ!あのドクロマークの奴だけに通信を繋いでくれ!!」
頭を抱えて唸っているアクセルに通信が入る。
「アクセル、私だ…早く戦艦を奪ってこのゲームから脱出するぞ」
「何の話だ?お前は一体誰なんだ?なぜ俺を知っている?そして俺は一体誰なんだ!!」
これは一体どういうことだ…?
確かにこの男の声は私の知ってるアクセルの声だがなぜ私のことを知らない…?
「俺は誰なんだ!!」と言われてもこっちが「お前は誰なんだ!!」と言いたい状況だ。
…知らないフリをしているのか?しかしここで知らないフリをしてもメリットがない…
ということは並行世界のもう一人のアクセルか?それとも…
どっちにしろ、今のアクセルではこちらに呼び込んでも足手まといになりかねん。
敵は5人…全員仲間にできれば戦艦の奪取も楽になるが、
こんな状況だ、そう簡単に全員が私の命令を聞くとは思えない。
ならば私の存在を知ったコイツらには消えてもらうしかない。

「俺のことを知ってるんだろ!おしえ……」
「うるさい!」
そう言うとクロスボーンガンダムにビームライフルを放った。
「な、お前正気か!?こっちは5人だぞ!」
驚いたアキトが叫ぶ、しかしヴィンデルは冷静にそれに答える。
「フン、5人といってもまともに戦えそうなのは2機だけではないか。」
ヴィンデルの言う通りであった損傷の少ないクロスボーンとレイズナーは十分戦えたが、
ドラグナー3型やスカイグラスパーは支援しかできない、
νガンダムにいたっては攻撃の術をほとんど失い支援すら難しい状態であったからだ。
「それでも2対1だぜ!計算もできないのかぁ」
イサムがヴィンデルを挑発する。
「フ、そういうことは私に勝利してから言ってくれ」
そうヴィンデルが言うとヴィンデルの機体の背面から何かが飛んできた。
「これが私のファトゥム-00だ!ハロ頼んだぞ!!」
ジャスティスを操縦するヴィンデルとファトゥム-00を操縦するハロが交互に攻めて来る。
「ダイソンさん、あのリフターはおそらく遠隔操作ですドラグナーで適当にあしらっちゃって下さい」
「了~解!!」
ルリがイサムに声を掛けるとイサムは軽く返事をした。
「では、ダイソンさんがリフターに電波妨害入れてる間に、敵を引き付けましょう」
「了解!!」
さらにルリが全員に指示を出す。

その時、二機のガンダムはお互いのビームサーベルを交えていた。
「アクセル!!貴様は本当に私を…シャドウミラーを忘れたのか!!」
「だからさっきから分からないって言ってるんだな、これが!!」
しかし、確かにシャドウミラーという言葉も聞いた事があった。
「くっ…頭が…」
その時アクセルに一瞬の隙ができた。
「貴様の命もらった!!」
振り下ろされるジャスティスの凶刃、しかし
「アクセルさん、危ない!!」
レイズナーから放たれたカーフミサイルがジャスティスに向けて放たれる。
「甘いわ!!」
そう言うとジャスティスはシールドでクロスボーンを吹き飛ばしながら
両肩に収納されているビームブーメランをカーフミサイルに向けて投げた、見事にミサイルは弾け飛んだ。
「こっちが本命だ!!」
カーフミサイルの爆風に身を隠しジャスティスの背後に周ったレイズナーからレーザードライフルが放たれる。
「なにっ!しかしっ!!」
ジャスティスはレーザードライフルに向けてシールドを投げながら後退する。
「本命がこんなに簡単に避けられてはな…」
「(チッ…クズが調子に乗るな…)」


その時スカイグラスパーをしつこく追うリフターの姿があった。
「ダイソンさん、まだですか!?」
「分かってる!ちょっと難しいから時間がかかってるだけだ!!」
「早くしてくださいね、こちらは命を掛けて敵を引き付けてるんで…」
「わ~かってるよ!!」
ルリに指摘されたのに腹を立てたのか、怒鳴りながら答える。
「ちょっと、あのリフター早過ぎるだろ…」
νガンダムに乗っているアキトはスカイグラスパーを追っているリフターをさらに追うように進んでいた。
「あの機関砲とビーム砲さえ潰せればただの板なのにな…」
νガンダムの武装はもうビームサーベルと頭部バルカンと、
アキトには使うことができないフィンファンネルだけであったため、
サーベルではリフターに届かないし、バルカンではリフターに致命傷を与えることはできなかった。
「そうだ!どうせ使えないならこんなもの!!」
そう言うとアキトは背面についているフィンファンネルの内の一つを、無理矢理剥ぎ取りリフターにブン投げた。
しかしリフターのところまでは届いたが軽がると避けられてしまった。
「アキトさん!もうダメです追いつかれます!」
「せっかく合えたんだ…こんなところで殺させてたまるかぁ!!」
敵の動きを読みフィンファンネルの投球フォームをとる。
歪んだフレームがミシミシと悲鳴をあげる。
「いっけぇー!!」
物凄いスピードでリフターに向かうフィンファンネル。
「避けられた!いや、当たった」
リフターのビーム砲の砲身に当たりビームが一門使えなくなった。
「二人とも、敵はもう引き付けなくていいぜ」
イサムがそう言うと電波妨害を受けたリフターは、どこか遠くへ飛んでいった。
「よし、こっちは終わったアクセルとマサキが心配だ向こうに行こう」

そして5機に囲まれるジャスティス。
「そろそろ降参したらどうだ?」
「(クソッ…この状況じゃ敵わないここは…)」
「皆さんすいませんでした…私は強い仲間が欲しくて皆さんを試していました…皆さんの実力はよくわかりました…」
自分でも分かるぐらい恥ずかしい言い訳だな、これは…
「なので私を皆さんの仲間にしていただきたい」
ヴィンデルは絶対に無理だと思いながら頼んだ。
「(コイツは俺の記憶のカギを握ってる…はず)」
「(なんて奴だ…さっきまで俺達を殺す気だっただろ…)」
「(クズらしい言い訳だな…)」
「(こんのやろ~!!追い詰められたら許してくださいだと、ふざけた野郎だ…)」
「(…大人って汚いんですね…)」
やはり無理か…当り前だな、私だったらすぐに殺してる…これでおしまいか…
「みんな、ちょっと聞いてほしいんだな」
ヴィンデルを含む全員がアクセルの方を向いた。
「実はコイツは俺の記憶を知ってるっぽいんだな、これが」
「(そうか…アクセルは記憶を失ってたのか…私のことを知らないのも当然か…)」
「だから…コイツを仲間にしたいと思うんだな…」
「………………」
この沈黙を見れば全員が納得していないのは明らかである。
「みんなが、納得しないのは分かる…だけど頼む!!」
アクセルの境遇を考えればアクセルが頼むのは当り前であった。
「しょうがねぇな…一緒に行動はするが、俺はお前が仲間だとは思わないからな!」
イサムが言うとほかの3人も、
「俺もアクセルの頼みだから一緒に行動するけど、仲間とは思わない」
「私もダイソンさんとアキトさんの考えと同じです」
「僕も同じ考えです(こういう恥を知らないクズは使いやすいだろうな…)」
「みんな!ありがとうなんだな、これが」
さらに仲間の増えたアクセル達であったが、
ギスギスした雰囲気で、6人は輪になり話し合っていた



【アクセル・アルマー 搭乗機体:クロスボーンガンダムX1(機動戦士クロスボーンガンダム)
 現在位置:E-5
 パイロット状況:良好
 機体状況:ほぼ損傷なし
 第一行動方針:ヴィンデルに記憶について聞く
 最終行動方針:ゲームから脱出】

【テンカワ・アキト 搭乗機体:νガンダム(逆襲のシャア)
 パイロット状況:軽い打撲程度(アクセルとの接触によって精神状態は回復)
 機体状況:全身ボロボロ、右腕無し、腰部分のフレーム多少歪む フィンファンネルを二個失う
 現在位置:E-5
 第一行動方針:アクセルの記憶探しを手伝う
 第二行動方針:とりあえずなし
 最終行動方針:ゲームから脱出

【イサム・ダイソン 搭乗機体:ドラグナー3型(機甲戦記ドラグナー)
 パイロット状況:健康
 機体状況:良好
 現在位置:E-5
 第一行動方針:仲間を探す
 第二行動方針:ゲームに乗った相手からの逃亡(戦力が整っていれば、やられたらやり返す)
 最終行動方針:ユーゼスをぶん殴る】

【ホシノ・ルリ 搭乗機体:スカイグラスパー(機動戦士ガンダムSEED)
 パイロット状況:健康
 機体状況:良好
 現在位置:E-5
 第一行動方針:とりあえずなし
 最終行動方針:アキトと共にゲームからの脱出】

【木原マサキ 搭乗機体:レイズナー/強化型(蒼き流星レイズナー)
 パイロット状態:秋津マサトのような性格のふりをしている。絶好調
 機体状態:ほぼ損傷なし
 現在位置:E-5
 第1行動方針:使えるクズを集める
 最終行動方針:ユーゼスを殺す】

【ヴィンデル・マウザー 搭乗機体:ZGMF-X09A・ジャスティスwithハロ軍団(機動戦士ガンダムSEED)
 パイロット状況:健康、めっちゃ脱力、ハロの下僕
 機体状況:シールドを失う、リフターを失う、さらにコクピット内がハロで埋め尽くされている
 現在位置:B-5
 第一行動方針:……ハロを切実になんとかしたい
 第二行動方針:ラミア・ラヴレスとの合流
 最終行動方針:戦艦を入手する】





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第107話「放送を終えて・・・ 時系列順 第99話「交錯する覚悟

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第107話「放送を終えて・・・ アクセル・アルマー 第113話「狩る者、狩られる者、死に行く者、生き抜く者
第107話「放送を終えて・・・ テンカワ・アキト 第113話「狩る者、狩られる者、死に行く者、生き抜く者
第107話「放送を終えて・・・ イサム・ダイソン 第113話「狩る者、狩られる者、死に行く者、生き抜く者
第107話「放送を終えて・・・ ホシノ・ルリ 第113話「狩る者、狩られる者、死に行く者、生き抜く者
第107話「放送を終えて・・・ 木原マサキ 第113話「狩る者、狩られる者、死に行く者、生き抜く者
第107話「放送を終えて・・・ ヴィンデル・マウザー 第113話「狩る者、狩られる者、死に行く者、生き抜く者


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最終更新:2008年05月30日 05:05