遭遇
『た、助けていただいてありがとうございます』
南東にしばらく進み、プレシアはガルドに声をかける
『いや、いい。それよりイサム・ダイソンという男を知らないか?』
『イサム・ダイソンさんですか?知りませんが……』
『そうか……』
どこか気落ちした声でガルドが言う。
『知り合いなんですか?』
『信頼できる仲間だ。』
詳しくは語らないが、その口調からははっきりとした信頼が感じ取れた。
『手間を取らせたな。俺はイサムを探さなくてはいかん。…すまんな』
『い、いえ』
なにかのために行動する人を自分で引き止めてはいけない。プレシアは自分と一緒にいて欲しいという言葉を飲み込んだ。その様子を感じたためだろうか、飛び去るときこう付け加えた。
『イサムにあったら共にいるといい。あいつはゲームに乗るような男ではない。……また、会おう』
また会おうという言葉はどこか温かみがあった。この殺し合いの中また会うことの難しさも分かっている。
それでもガルドは別れ際に一言そう告げた。プレシアにもそれは伝わっている。
『はい!』
プレシアもそれに答え、ガルドと違う方向に歩き始めた。
時も変わって今―――
「オラオラまた抵抗しないのかよぉ!!」
運悪くまたマジンカイザーと接触してしまった。
だが、先ほどの彼女とは少し違った。昼のように一方的になすがままにされるのではなく、歪曲フィールドを全開ではり、補助システムで回避運動を取っている。
「なにかないの―――?」
後ろを向いて逃げれば間違いなくやられる。しかしグランゾンの力ならこの状況を乗り越える―――お互いが生きてこの場を離れることもできるはずだ。プレシアはマニュアルをめくり必死に方法を探す。
20分近くこの時間は続いたが、
「うろちょろ守ってんじゃねぇぇ!!亀かてめぇ!」
ついにマジンカイザーの一撃一撃がつもり続け、歪曲フィールドがついに消える。
それに伴いマジンカイザーの胸が赤く発行する―――!!
歪曲フィールドが消えゆれるグランゾン。マニュアルがめくりあがり、その偶然で奇跡が起こった。
プレシアが見つけたもの。それはグランゾンに搭載されていた、空間跳躍の装置とその説明だった。
「これなら…!」
急いで起動し、準備するプレシア。マジンカイザーからはチャージによってさらに熱が胸に集まっていく。
座標設定・・なし 記載されている地図のどこか、高度0ヘ跳躍します。
「急いで!」
「死ねぇぇぇ!!ファイアーブラスタァァー!!!」
ついにマジンカイザーから光線が放出される。しかし、その炎に飲み込まれる前にグランゾンは跳躍した。
「さっきの戦闘のせいで乗ってる人に見つかったかもしれません」
「夜の移動は危険ですが、ここにいるほうが危険かもしれませんね…」
戦闘が起こったため、これからどうするかを話し合うルリ達。ちなみにヴィンデルは縄でぐるぐる巻きにして放ってある。
「とりあえず、荷物をまとめてたほうがいいのかな?―――ッ!?」
突然黒い光が集まり―――重厚で凶悪なデザインのメカが現れた
「ヲヲっと敵メカ?」「なんだ、こりゃあ!?」「なんだよ突然!」「みんな隠れてください!」
4人があわてて行動を始めるが、一番落ち着いていた。ルリが言った。
「攻撃の様子はないみたいです。アキトさん通信をしてみてください。」
「え?わ、分かった。やってみる。」
恐る恐る通信を試みるアキト。ほかの3人も後ろから通信機を覗き込む。
「―――女の子?」
アキトがきょとんとした声で言う。ほかの3人も顔を見合わせ、首をかしげる。
「でも泣きそうな様子だな…」
イサムがそう言うと、アクセルが突然、
「んじゃ、元気にするために一曲歌ってみるんだな、これが」
「「「え?」」」
「YOU GET TO BURNING歌うぜ、俺の歌を聴けぇ!」
ほかの3人がついていけないうちに突然歌いだすアクセル。
「けっしてと~けないほーぅていしーきをならべて~♪」
「いきなり2番!?」
「というか歌わないほうが…」
「っていうか記憶喪失じゃなかったのかよ!?」
「記憶喪失でも歌とかは覚えているんですよ、普通」
「そうなの!?」
アキトとイサムが驚きの声を上げる。ちなみにアクセル熱唱中。
「エピソード記憶が消えても知識記憶は残るんです」
「どういうことなんだ?」
「わかりやすく言えば、歌詞は思い出せても、いつどこで歌ったかは思い出せないということなんですよ」
「そ。そうなのか…」
2人でアクセルを眺めるアキトとイサム。ちょっと離れた場所で、
「やはり、私の知っているアクセルではなくなっているのか…」
「ウッサイ、ヘタレ」
「あべし!!うう、なぜ私がこんな目に……」
ハロに突っ込まれてヴィンデルが泣いていた。
「ていうか馬鹿ばっか?」
しかし、アクセルの歌パワーかは知らないが、確かにプレシアは泣きそうな顔をやめていた。
単にきょとんとした顔になっただけだが。
「ほらほら、俺の歌が効いたんだな、これが!」
熱唱したアクセルが全員に声をかける。
「面食らっただけじゃないですか!」
「次いくぜーぃ!愛より赤く!燃やせ命の鼓動を!」
「ていうかやめろ!」
「イサムさんの言う通りです。」
「うっ…ルリちゃんまで」
「当たり前です。」
ただそのやり取りを呆然と眺めるプレシア。しかし、なんとなく彼らが殺し合いをしていないことは分かった。
何より、
(イサム、さん?)
その名は聞いたことがあった。ガルドが信頼できると言っていた人だ
「あ、あの!」
「お、落ち着いたみたいなのかな?」
「わかんねぇが、なんとも言え……」
「イサム・ダイソンさんですか!?」
緊張した声でプレシアが訊く。
「そうだけど、どうしたってんだよ?」
「じ、実は………」
「……というわけなんです」
ガルドと合ったときのことを一通り話すプレシア。
「そうか……ガルドの奴まったく…」
言葉はけなすようにも聞こえるが、その顔は最高の笑顔だった。
「ガルドさんがどこへ言ったかは分からないんですか?」
「はい、東に行ったのは分かってるんですが」
「んじゃ、今後の方針は決まりなんだな、これが。」
「ええ、プレシアさんがいたところから東、つまりここから北に向かいます」
「ちょうど移動を話してたところだ、行こうぜ!」
「はい。ある程度先に偵察して、移動します。移動は2時間後ということで」
一段落つき、
イサムは偵察の準備をし、マサキはハロをいじったり、ほかの人から借りたマニュアルを熱心に読んだり、何か棒のようなものをさわったりしている。
みな、思い思いの行動をとるなか、
「なぁ、私は移動までこのままなのか?」
「ウッサイバカ」
「うう……」
ヴィンデルは放置されっぱなしだった。
【アクセル・アルマー :クロスボーンガンダムX1(機動戦士クロスボーンガンダム)
現在位置:E-5
パイロット状況:良好
機体状況:ほぼ損傷なし
第一行動方針:ヴィンデルに記憶について聞く
最終行動方針: ゲームから脱出
【テンカワ・アキト 搭乗機体:νガンダム (逆襲のシャア)
パイロット状況:軽い打撲程度 (アクセルとの接触によって精神状態は回復)
機体状況:全身ボロボロ、右腕無し、腰部分のフレーム多少歪む フィンファンネルを二個失う
現在位置:E-5
第一行動方針:アクセルの記憶探しを手伝う
最終行動方針:ゲームから脱出
【イサム・ダイソン 搭乗機体:ドラグナー3型(機甲戦記ドラグナー)
パイロット状況:健康
機体状況:良好
現在位置:E-5
第一行動方針:仲間を探す
第二行動方針:ゲームに乗った相手からの逃亡(戦力が整っていればやられたらやり返す)
最終行動方針:ユーゼスをぶん殴る】
【ホシノ・ルリ 搭乗機体:スカイグラスパー(機動戦士ガンダムSEED)
パイロット状況:健康
機体状況:良好
現在位置:E-5
最終行動方針:アキトと共にゲームからの脱出】
【木原マサキ 搭乗機体:レイズナー/強化型(蒼き流星レイズナー)
パイロット状態:秋津マサトのような性格のふりをしている。絶好調
機体状態:ほぼ損傷なし
現在位置:E-5
第1行動方針:使えるクズを集める
最終行動方針:ユーゼスを殺す】
【ヴィンデル・マウザー ZGMF-X09A・ジャスティスwithハロ軍団
パイロット状況:健康、めっちゃ脱力、ハロの下僕
機体状況:シールドを失う、リフターを失う、さらにコクピット内がハロで埋め尽くされている
現在位置:E-5
第一行動方針:……ハロを切実になんとかしたい
第二行動方針:ラミア・ラヴレスとの合流
最終行動方針:戦艦を入手する】
プレシア=ゼノキサス 搭乗機体:グランゾン(スーパーロボット大戦OG)
パイロット状況:健康 落ち着いている
機体状況:良好
現在位置:E-5
第一行動方針:一緒に行動する
最終行動方針:決めていない】
【ラッセル・バーグマン :マジンカイザー(サルファ準拠)
現在位置:D-2
第一行動方針:ブラックサレナを壊す
第二行動方針:すべてを壊す
最終行動方針:生き残る】
【時刻:20:30】
最終更新:2009年02月15日 04:46