山間の戦い
にらみ合いが始まって早4時間……
決して姿を見せずの交渉も失敗に終わり、一種のこう着状態となっていた。
「………………」
一度は交渉にこぎつけたものの、4時間もの間、
ただただヤマタノオロチを狙い構え続けるヒイロのM9。
2時間ほど前から小型の機体がヤマタノオロチにいるのは確認しているが、
その小型と話しているためか、それからは再交渉の動きも、いや通信すらない。
過去をさかのぼり―――
「地球に住むカスどもを正し・・・・」
「ふむ・・・・」
(地球人ではあるようだが・・・敵対しているようだな。しかし、信じられぬな、この気配)
(この手の人間はあちらの顔を立てておけば、ある程度扱うこともできるだろうが、さて頭の良さはどの程度かな?)
ギレンとハイネルの交渉、と言ってもお互いの腹の探り合いのようなものだが・・・・
交渉が行われていた。
「ではギレン殿、貴殿は地球人ではないといっても過言ではないのだな?」
「その通りです。われわれは地球から独立した新たなる人類とも言うべきものでしょう」
(ならば先ほどの若造の受け答えにも納得のいく部分があるが・・)
この男が来る2時間前ほど前だろうか?
ハイネルに礼儀作法もなく、会話をおこなった人間がいた。
そちらは、地球について好意的な発言とも取れる発言をし、
地球へ侵略活動などは否定的な発言をとったため決裂していたが、このギレンなる男の言を聞けば納得がいった。
(もう一度の交渉は危険ではあるな。もし向こうが敵と判断していた場合、攻撃を受けることにもなりかねん)
「ハイネル殿?」
思考に集中していたため、意識がギレンのほうから離れていたのをもどし、
ハイネルは言った
「いやなんでもない、ギレン殿、貴殿の気持ちはよくわかった。」
「おお、それでは」
「ともにあの仮面の下郎を倒そうではないか」
(今はこやつのような駒を集めるのが先決か)
「それは実にありがたい」
(ククク・・・・)
「しかし、今は狙われておるようで、この要塞を動かすわけにもいかん。」
「それならばいい考えがあります」
「何?」
「あちらの岩場の影に仲間がいますので。そちらに呼びかけて探らせましょう」
しかし……べミドバンのセンサーが悪いのか、ジーグが聞いていないのか反応がない
「……つながらないようです」
「ならば、静かに待つとしよう。必ず機は訪れる」
そして放送も終わり今に至る。
しかし相手はあのヒイロである。もう5時間は動きが無いと思われたが………
変化は突然他方から訪れた。
「いた………!」
アムロは岩場のそばにいる鈍重そうな機体を見つけた。
「向こうは気付いてないのか………?だったら!」
幾ら異星の技術と言えども、500年前に出来たベミドバン。
センサー周りではサザビーに敵うはずもない。
「あいつ遅いな。なにやってやがんだ」
ギレンの呼びかけも届かずそこで待つベミドバン
3基のファンネルを飛ばすサザビー。
ヒュン・・・ヒュン・・・ヒュン・・・
「ん?」
ジ-グが気づいた時にはもう遅かった。
あたりを照らすフラッシュバックとともにファンネルからビームが放たれる!
「なんだ、こいつ!?」
急いでファンネルを打ち落とそうとするが、機敏に周囲を回るファンネルに即応できない。
その隙にアムロのサザビーが距離を詰め、
「2つ!」
あまり長く伸ばしていないビームトマホークが胴体の関節の間に滑り込んだ。
「うわぁ!」
コクピットなら即死、そうでなくても、重要なパーツが多い
胴体を貫くこのダメージではまともに動くことは出来ないだろう。
ただし、普通の人間なら、だ
「よくもやったな!!この野郎!」
鉄球を振り回そうとしてサザビーを引き剥がすベミドバン。
確かにジーグも無傷ではないが、浅く刺し入っただけであったため、
まだ動くことが出来る。
もっとも普通の人間ならその時点で蒸し焼きだろうが………
「どこの誰だか知らないが相手になってやるぜ!」
鉄球を振り回すベミドバン。
「どりゃぁぁ!!」
べミドバンの上半身が回転を始め、周りの木々をなぎ払い鉄球が舞う。
「死ねぇ!」
高速で回転する鉄球が正確にサザビーに向かう。バックステップで避ける。
鉄球は山のあらぬところへぶつかった。
その場に信じられないほどの重低音が響く。
(もし、当たれば、無事じゃすまない・・!)
武器を投げた直後、今とばかりにビームショットライフルを撃つが、腕を組んでそれをいとも簡単に防いでしまう。
(近づいて継ぎ目を狙わなきゃやられる!?)
そう判断し、ビームトマホークを抜きベミドバンへ突撃を開始した。
この2人の戦いは、こちらにも影響を与えた
戦艦の奥で光が放たれたため咄嗟に向きを変え、そちらもおさえようとするとするヒイロ。
が、それがミスとなった
「む!?そこか!」
明らかに音をたててしまい、大まかな位置が悟られてしまった。
そこに龍の首が火炎をまきちらす
「…!」
間一髪かわすヒイロ。しかし、かわすために狙撃の姿勢をといてしまった。
同時に浮上を始めるヤマタノオロチ。
(この状況ならば)
「ハイネル殿、今襲われているのは私の仲間のようです。仲間を見捨てては置けませんので、助けに出させていただきたい」
(高みの見物だな。命を危険にさらすこともない。ここで義を見せておくという意味でも信頼を得るに役立つだろう・・・)
そう言ってヤマタノオロチから離れ、山に入るギレン。
しばらくの間、ヤマタノオロチ
2つの首をしまい、1つの首で火炎をまいていた。
それを何とかかわすヒイロ。しかし、ハイネルの技量もあってか、ぎりぎりの展開が続く。
「撤退は不可能……」
今後ろを見せ、逃げようものなら間違いなくハイネルの腕ならばやられる。
交渉もできない。
「戦闘……開始……!」
どこか苦虫を噛み潰したような声で言うヒイロ。
ヒイロはすばやく側面に回りこみ、今出ている首に向かい一発だけ、
戦闘力を奪うために打ち込む。
首の根本、あわよくば胴体という地点に着弾し、ヤマタノオロチに衝撃が走る。
壊れ、竜の首よりやや大きいサイズの穴をさらすヤマタノオロチ。
「おのれ!ならば!」
先ほどしまった首を伸ばし、あたりに火炎をまきちらすヤマタノオロチ。
一面はあっという間に火の海となった。
今度は掃討するかのような火炎がヒイロを狙い、防戦一方になるヒイロ。
しばらくの間戦闘は膠着していった。
こちらもまた決着が付いていた。
あたり一面が火の海となった森で激突するベミドバンとサザビー。
タイプは正反対であったたまお互いが一進一退を繰り返してきたが、
接近戦ではやはりジーグの方が強く、徐々に戦いが決まりつつあった。
「近づけない・・!?」
2,3発が関節に滑り込み決まってはいるものの、致命傷にはならない。
ファンネルはチャージ中。あと5分はつかえない
逆に鉄球一発当たればこちらはアウト。焦り始めざるおえない状況にあった。
「このぉ!!!」
ついにベミドバンが少し押し始めた頃、火炎は回りに吹き荒れた
「くっ!ヤマタノオロチめ、ちくしょう!」
火炎にまかれジーグの集中力が途切れたのだ。
「今……!いけ!今しかないんだ!」
ここぞとばかりにジーグに接近し組み付き、
そのままメガ粒子砲をほぼ零距離で発射し、先ほどビームトマホークを突き入れた
場所にビーム・ショットライフルを突き入れ3発、さらに最大出力のビームトマホークが差し込まれる。
紫電が走り、煙が漏れた。
もうベミドバンは動かない
「2つ・・・・・!」
そう言って山の向こうを見るアムロ。まだ異形の戦艦が火を撒き散らしている。
「やってやる、やってやるさ……!」
そう言って戦艦に走り出すサザビー。
「現段階ではこちらの不利は明確・・」
もうヒイロはかれこれ30分は火炎を交わし続けている。
ECSを使ったとしても、動く際に起こる音や倒れる木などはどうしようもないため、
決定的な逃げるチャンスもない。あの高度の敵には狙撃以外の攻撃方法は今ないが、
狙う暇はない。エネルギー切れを狙おうにも尽きる気配はない。
このまま根競べを続けていた場合の結果はもう見えていた。
危険を承知で急いで回り込み、狙撃の姿勢をとり、頭の一つを狙い打つヒイロ。
「同じ手は食わぬわ!」
しかし、攻撃を受けることを無視し、首が火炎を吐こうとする。
ヒイロが避けようとするよりも早く対応の方が今回は早かった。
「ここまでなのか?」
そうヒイロが思った時、違う方向から赤い機体が飛び出してきた。
「新手か?!こしゃくな!」
ハイネルは素早く赤い機体に反応し、向きを変えた。が、このハイネルの技量の高さが仇となった。
ヒイロの撃った弾は首に当たらず、さきほど当たった場所に命中してしまった。
内部が砕け、ジャンクをなったパーツが空を舞う。
そのとき、そのジャンクに隠れ、何か3つのものがヤマタノオロチの中に入っていった。
それは・・・・
「ファンネル!」
中に入り込んだファンネルは、瓶の中の炸裂弾のごとく余すことなく破壊を刻んでいく。
高度が明らかに急に落ちるヤマタノオロチ。
「いまだ・・・!」
高度が落ちたヤマタノオロチにサザビーが組み付き、ガラス張りの、艦橋らしきところに組み付き、ビームトマホークを突き入れた。
「そんなバカな!?」
「3つ!」
ヤマタノオロチを蹴り上空に昇るサザビー。
ヤマタノオロチは地表に落ち、爆発を上げる。
爆発の風圧と土砂により炎が消えた荒地にサザビーが降り立つ。
そしてアムロは先ほど少し見えた敵を確認しようとするが、確認できない。
当然だ。ジャンクパーツが落ち始めた時ヒイロはもう既に撤退を始めていたのだから。
敵の方向に進もうとした時、
がくんと座り込むようにサザビーの姿勢が崩れる。
「オーバーヒートなのか・・・」
あれだけ長い間機動に耐えていたことを考えれば当然だ。3,4時間は動けないだろう。
「ふう・・・・・・」
ヘルメットを脱ぎ一息つくアムロ。
「まだだ・・・必ず生き残って・・・見せる・・・」
アムロのほうも戦闘と緊張で限界だったのだろう。
静かに眠りに落ち始めた・・・
一方ギレン
「ふむ・・・」
彼は朽ちて動かなくなったベミドバンを見ていた。
赤い機体が出てきたことで、どんな形にしろこちらの戦いが済んだと判断し、
様子を見に来たのだ。
「手駒を失ったか・・・まぁいい。まだ幾らでも見つかるだろう」
それより今はやるべきことがある。奥にいるアムロに見つからずにここから去ることだ。
そう判断したギレンは静かに移動を始めた。
【プリンス・ハイネル 搭乗機体:幻魔要塞ヤマタノオロチ(鋼鉄ジーグ)
パイロット状態:死亡
現在位置:E-5
機体状況:大破
【ヒイロ・ユイ 搭乗機体:M9<ガーンズバック>(フルメタル・パニック!)
パイロット状態:健康
機体状況:装甲表面が一部融解
現在位置:E-6 まだ移動中
第一行動方針:撤退中
最終行動方針:最後まで生き残る】
【ギレン・ザビ 搭乗機体:RX-7ナウシカ(フライトユニット装備)(トップをねらえ!)
現在位置:C-6 の岩山直前、移動中
パイロット状態:健康
機体状況:無傷
第一行動方針:ここから離れる
第ニ行動方針:可能な限り手駒を増やす
最終行動方針:まだ決めてない】
【司馬宙 搭乗機体:ベミドバン(第3次スーパーロボット大戦α)
現在位置:C-6の岩山直前
パイロット状態:死亡
機体状況:中破、コクピット使用不能
【アムロ・レイ 搭乗機体:サザビー(機動戦士ガンダム 逆襲のシャア)
パイロット状態:疲労、うたた寝
機体状態:シールド、ファンネル3基破壊。装甲表面が一部融解 。現在行動不可
現在位置:E-5
第1行動方針:目立つ動きを取って敵を釣り出す 見つけたら先制攻撃
最終行動方針:ゲームに乗る。生き残る】
最終更新:2008年05月30日 04:45