幻の戦闘教義零番!


「俺を指導するんじゃなかったのか、ええ?」
光子力ビームがテムジンのすぐ隣にあった岩を吹き飛ばす、
「現在通常出力における攻撃の効果は軽微、ターボ攻撃でなければ敵に被害を与える事は困難と判断」
いかなる時にも冷静に戦況を分析するチーフだが、この時の彼には焦りがあった。
「しかしVコンバータに異常有り。出力が上がらないこの状態では攻撃後、数秒の機能停止は必死」
テムジンのVコンバータは原因不明の異常に見舞われていた。

「俺を指導できるのはなぁ!中尉だけなんだよぉぉぉ!!!」
テムジンが放たれたギガントミサイルを避ける、それは無茶苦茶に攻撃しているだけに見えるが
「良い攻撃だ…俺が指導教官なら合格点をつけるところだな」
時間差で放たれたターボスマッシャーパンチを、ジグザグに移動しながら逃れたチーフがつぶやく。
一見正気を失って見えるラッセルだが、その操縦技術に曇りは無い。また普段の堅実な戦法だけでなく、
機体の力に任せた物ではない、大胆な攻撃をも仕掛けてくる。
「あの装甲では戦闘教義指導要項13番でも倒しきれるとは限らない…ならば」
ターボスマッシャーパンチが腕にもどる瞬間を狙い、パワーボムを投げる、
「このノーコン野朗!当たらねえよ!」
ボムはマジンカイザーの頭上を通り抜ける軌道を取っている、だがそれは決して狙いを外したわけではない
「MARZ戦闘教義指導要項零番!」
すかさずビームライフルを放つ、目標は自分が投げたパワーボム、

「何!?」
カイザーの頭上に来たボムをビームが貫き、爆風で一瞬ラッセルの視界が完全に閉ざされる。
「てめぇ…いねぇ!何処行きやがった!?」
その一瞬でテムジンの姿は消えていた。


「MARZ戦闘教義指導要項零番、戦略的撤退。しかし、己の機体の不備に気付かんとは…指導物だな」
南の廃墟に身を隠し、自嘲気味につぶやくチーフ。
「今のVコンバータの状態では単独行動は極めて危険」
しかし、うかつに他の参加者と協力関係を結ぶわけにもいかない。ならば、
「…これよりハッターの探索を開始する」
今の状況で確実に信頼できる相手はハッターぐらいしかいなかった。



「動作は正常、出力は増設ユニット『スーパー32X』をつけてもまだオリジナルには及ばんか…」
ヘルモーズ内部。テムジンのVコンバータより送られたデータをユーゼスが確認している。
「いや、正確にはあれもレプリカだったな…」
テムジンのVコンバータは、ユーゼス自信が作った物にすりかえられていた。
「オリジナルたるアファームドのデータと照らし合わせれば、探索のメドが立つか。
 時空因果律制御機構…タングラム」
タングラム、運命そのものに干渉し未来を自在に変更可能なシステム。それはユーゼスが理論を構築した、
クロスゲート・パラダイム・システムと同等か、或いはそれ以上の力をもつ物。
電脳虚数空間にいるタングラムは、ユーゼスが干渉できない数少ない物の一つである
「だがそれも保険にすぎん…」



【ラッセル・バーグマン :マジンカイザー(サルファ準拠)
 現在位置:D-2
 第一行動方針:ブラックサレナを壊す
 第二行動方針:すべてを壊す
 最終行動方針:生き残る】

【チーフ 搭乗機体:テムジン747J(電脳戦機バーチャロンマーズ)
 パイロット状況:良好
 機体状況:Vコンバータがユーゼス作『メガドライブ』(増設ユニット付き)に変わり、出力が落ちている
 現在位置:D-3
 第一行動方針:ハッターとの合流
 第二行動方針:ゲームからの脱出(手段は問わない)
 備考:チーフは機体内に存在】


【初日 16:30】





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第74話「黒の交錯 チーフ 第120話「情けは人の為ならず


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最終更新:2008年05月30日 03:52