IFへの道程 ◆HkwS5s87bQ
目が覚めた時、最初の感想は
(ああ、あたしはまだ生きているのか)
程度のものだった。
ジュドーを助けるために命まで賭けたつもりだったが、
どうやら死ぬまでには至らなかったらしい。
(それよりもここはどこだ?)
次に疑問、
記憶が確かなら意識を失う前、自分は確かにネェル・アーガマにいたはずだ。
或は、意識を失った後どこかに移されたのか?
しかし、そんな事はどうでもいいことなのかもしれない。
問題は自分の周囲にいる何十人という人間の中に間違いなく、
プルがいる――――――
それもプルツー自身を救ってくれた時のように思念体としてではなく、
間違いようのない存在として。
自分の目の前にいるのだ。
「プル……」
あたりを見回すプルは、こちらの居場所はまだ気づいていないようだ。
だが、確実に気づいているだろう。
(あたしがここ居ることは)
何ともいえない感情に襲われる。
以前のような気持ち悪さはない。
それどころかプルが生きて、ここに居る事に喜びさえ感る。
だが、声がでない、大声で呼べば気づくかもしれないが、それでも声が出せない。
呼んで、それからどうするのか?
感動の再会?自分が殺した相手なのに?
そんな葛藤に苛まれたが、
しかし、それもあの男――――
ヴィンデル・マウザーの登場までだった………
コックピットの中で名簿に目を通す。
ジュドー、プル、ラカン・ダカラン
見覚えのある名前はその3人だ。
幸いな事にジュドー、プルは当然としてラカンとも、当面は協力体制を取れるだろう。
ラカンは野心的な男だが利を読むに聡い。
序盤から孤立する道を選ぶことはないだろう。出会ったなら協力を申し出ればいい。
当面の目標はジュドーとプルに出会う事だ。
あの場所では声をかけられなかったが、こうなっては躊躇もできない。
幸いな事に与えられた機体に申し分はない。
どうやら見た目からして連邦やエウーゴでガンダムと呼ばれ、自身も乗った事のある機体の一種のようだ。
そういえば、ジュドーたちはガンダムチームと呼ばれていたなと思い出し苦笑する。
そして機体の巨大はクイン・マンサやサイコガンダムを思いださせる。
大型のガンダムタイプMS、或はMAなのかもしれない。
これならそうそう敗れる事はないだろう。
この機体でジュドーとプルを守りつつどうにかしてこの世界から脱出、或はあのシャドーミラーという者達を倒す。
二人を生き残らせるという条件がある以上殺し合いに乗るわけには行かない。
やるべき事は多い。
ジュドーとプルと合流。
ジュドーやプルの安全を守るため、殺し合いに乗っている参加者の排除。
逆に同じ考えを持つ参加者との協力も必要だろう。
そして、集団の中で最後のひとりを目指す者への警戒。当然、寝首をかいて生き残りを図る者もいるだろう。
(あたしにそこまでできるか?)
しかし、やらなければならないだろう、それがプルに対しての償いになるかもしれない。
そして、3人生きて戻れたなら……
皆でジャンク屋として生きていくのもいいかもしれない。
その為にも―――――――
「いくよ、デュラクシール!」
得られなかった未来を手にするためにプルツーは歩みだす。
兄と姉を救い、あるべき場所に帰るために。
【プルツー 搭乗機体:デュラクシール(魔装機神~THE LOAD OF ELEMENTAL)
パイロット状態:良好
機体状態:良好
現在位置: F-5
第一行動方針:ジュドー、プルと合流し守る。
第二行動方針:ゲームに乗らない参加者とこ協力。
第三行動方針:危険な参加者の排除。
最終行動方針:ゲームからの脱出、または打破。
参戦時期:原作最終決戦直後
一日目 6:10】
最終更新:2010年02月21日 17:17