倒す決意 ◆O3RUgrFrKQ
「はっ!」
自らの乗機の手の平を地面に当て力をこめる。
ドンッ!っと鈍い音が鳴り、半径5mほどの範囲で足元の雪がめくれ上がった。
「なるほど、威力は多少上乗せされているようだが・・・。」
この程度ではアクエリオンや堕天翔のような相手には勝てないだろう。
しかも、一堂に集められたあの場所には随分巨大なやつもいた。この機体では勝てないことが、あの者の発する気配で分かる。
どんな因果でこのような美しくない集まりに参加させられたかは分からない。
しかし、あのようなパフォーマンスと、首元に残るヒヤリとした感触。これがある限り、否応なしにこの殺し合いに参加せざるを得ないだろう。
それ以外に元の世界へ帰る方法が見つからない。
呼ぶことが出来るのだ、帰す事もできるだろう。
「一人では無理か・・・。」
そう呟きながら支給された名簿を眺める。そこによく見知った名前を見つけた。
「アポロか・・・。美しくないな。」
あの単細胞のことだ、この殺し合いとやらに何の疑問もなく参加し、見境なく殺戮を繰り返すかもしれないことは容易に想像できる。
例え相手が自分であったとしても。いや、自分だからこそここぞとばかりに殺しに来るかもしれない。
だが、もし殺し合いに参加するとして、そういった行動は愚の骨頂だ。
この類のゲームで勝ち残るコツは温存すること。他の参加者同士で勝手に数を減らしあい、勝手に消耗しあうのを待てばいい。
しかし、それではだめだ。
「この機体ではな・・・。」
パワードスーツのようなもの、マニュアルを読む限りそれ以上でもそれ以下でもなかった。
自分だけの能力、右腕から高速振動を発生させる。普段はそれを剣に伝達させ、物を切断するのに使用している。
この機体がその振動に耐えれたことは不幸中の幸いであった。このサイズで、この能力があれば逃げることくらいは可能かもしれない。
だが、それだけでは消耗した相手でも勝つことは難しい。
「ともかく、味方を探さなければ。この機体ではいつ死んでもおかしくない。」
しかし味方となってくれる者のアテがない。
まず正義感に溢れた者でなければだめだ。打算で動くような者には自分の価値が無さすぎる。
「ロム・ストールとかいったか。彼に会えれば最高なのだが。」
最初に集められた部屋でただ一人、勇敢にあのヴィンデルとかいう男に立ち向かった豪傑。
一瞬見せた跳躍力と覇気にはすさまじいものを感じた。彼がいれば相当頼りになるだろう。
絶対に生き残る。
そのためにはどんなことでもやってみせる。
「私は生きて帰らなければならない。堕天翔打倒のためには私の力が必要不可欠なのだ。」
決意を新たに地図を広げる。目的地を決めるためだ。
「まずはA-5あたりの市街地にでも向かうか。」
いざという時、海に身を投げ出すより川に逃げれた方が幾分かマシだろう。
「そうと決まれば一刻も早く移動しよう。ここは寒い。」
ほぼむき出しの生身をかばうことも出来ず、目の前に広がる雪原を抜けるために歩き始めた。
【シリウス 搭乗機体:パワーライザー(マシンロボ クロノスの大逆襲)
パイロット状態:良好のつもり。自分以外を基本的に信じていない。
機体状態:良好
現在位置:C-6 雪原
参戦時期:原作開始直後くらい。
第一行動方針:雪原を抜けたい。
第二行動方針:A-5辺りの市街地に移動
第三行動方針:利用できる者を探す。
第四行動方針:よりよい機体を探す。
最終行動方針:もとの世界に帰り、堕天翔を倒す。
備考1:高速振動とパワーライザーを組み合わせて小規模の衝撃波を出すことに成功。 備考2:首輪解除の可能性には気づいていません。】
【一日目 06:15】
| 登場キャラ |
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| シリウス・ド・アリシア |
051:悪意の捻転 |
最終更新:2010年02月21日 17:19