テラカオス・リリカルによる黒き獣討伐に失敗した九州ロボの主催陣営。
焦燥の中、成層圏で待機するココとメフィラス星人を待っていたのは、更なるバッドニュースであった。
指令室で受け取れる情報に、ココは動揺を隠せなかった。
「ジャックたちが全滅した…!?」
「ええ…兵隊含めて一人残らず皆殺しにされたようです。
問題のフォレスト・セルは未だ健在…ほぼ無傷のようです」
元々、攻めるには少なすぎる戦力であるとジャックも言っていたが、決して弱者ではない――むしろ装備も含めれば理不尽級に匹敵するだろう四人が、フォレスト・セルに少しの打撃も与えられずに全滅するとは二人も思わなかった。
主催四人が弱いのではない、あまりにもフォレスト・セルと
都庁の軍勢が強くなりすぎていたのである。
「なんてこと…これでは紫が守りたかった幻想郷も…」
「博麗結界が消滅したため、たったいま消滅しました。
元々、カオスロワのために住民や妖怪は追い出していたようですが、彼らが帰れる場所はもうありません」
博麗結界は殺された紫と博麗の巫女がいないと維持できない結界だ。
博麗の巫女の方はどこかから調達するなりすれば良いと紫は言っていたが、スキマ妖怪たる紫はそうはいかない。
幻想郷として結界に囲われていた場所もこのままでは黒フロワロに飲み込まれるだろう。
都庁の軍勢は何も知らずに戦っているだけなので、ココらはジャックたちが殺されたことを恨みはしないが、せめて彼らが真実に気づきフォレスト・セルだけでも大人しく死んでくれたら…という考えが頭によぎる。
ちなみにココたちは、大災害を引き起こした黒幕の正体を未だに知らず、フォレスト・セルも古代グンマ―が遺した世界を滅ぼすための装置であると未だに勘違いしている。
なぜなら唯一の情報収集テーブルであるカオスロワちゃんねるが、真の管理人であるサーフの手によって重大な情報が届かないようになっているからだ。
首輪には盗聴装置もあるが、都庁の軍勢やネームド狂信者は首輪を既に解除しており、また首輪を解除していなかったルルーシュやモブ狂信者もディーがいずれ敵対するであろう主催に情報を渡さないために集音スピーカー部分だけ埋めたりして、完全には行き渡らないようにしている。
さらに自分たちは全ての真実を知っているという「思い込み」が、ココとメフィラスに真実の更なる追及をやめさせていた。
「フロワロの進軍、歪んだ器であるフォレスト・セルは健在、狂信者も戦況をひっくり返せるネオ・ジオングアーマーの存在……そしてアナキンと
テラカオスがいるイチリュウチームの前には魔女の出現、ついでで拳王連合軍と
聖帝軍が神奈川で行方不明」
「我々はこれからどうしたら良いんでしょうか…二人と兵士550人しかしないのに、いったいどこから手をつければいいのやら」
問題は黒き獣のフロワロやフォレスト・セルだけではない。
主催が問題に着手している間に状況は大きく動いていた。
拳王連合軍は聖帝軍は何らかのアイテムを使って横浜スタジアムから忽然と姿を消したらしい。
狂信者は邪竜すら簡単に捻りつぶせる超兵器を開発し、下手をすればテラカオスや救済の予言を叶える存在をまとめて皆殺しにすることも可能になった。
フォレスト・セルさえ抹殺できる代物だが、そう主催に都合よく動くとは思えない。
きっと狂信者は自分たちとクラウザー以外は全滅させるだろう。
イチリュウチームは魔女化した霧切の襲撃を受けて全滅の危機に瀕している。
全滅すれば貴重なテラカオスと野球チーム、そして潜伏中のリーダーであるアナキンを失う。
そうなればテラカオスと救済の予言を実行できる者がいなくなって大災害により世界は破滅である。
もはや黒き獣やフォレスト・セルを叩いただけでは、世界は破滅しかねない重大事件が各地で起きていた。
ココとメフィラスは情報を見ながら迷って、迷って、考え抜いた結果、次の行動を決定した。
「九州ロボを伴って千葉へ向かい、魔女を討伐。
イチリュウチームとテラカオスを確保し、アナキンを救助しましょう」
「ココ嬢、他の問題はどうするんです?」
「限られた時間と人材で他の問題をクリアするためにも、最初にイチリュウチームとテラカオス・ディ―ヴァを助ける必要があるのよ。
狂信者の超兵器も一度以上使ってビッグサイトにひっこめたところからして、まだ未完成か発射に大きな制限があると思う。
黒フロワロは本州の人間が多く死ぬでしょうけど、九州ロボに格納されている一般人だけでも世界の復興自体は可能。
九州ロボのフルパワーならフォレスト・セルに勝てる可能性もあるかもしれないけど、相討ちや負けて数少ない器足りえる巨像を失うのもまずいので今は保留」
黒フロワロ放置はココたちでは止める手段も情報もなく、放置する他あるまい。
間違いなく多くの参加者が死ぬことになるが、もはや野球チームと巫女、歌に器とテラカオスが残りさえすれば、九州ロボで眠っている住人による聖別後の復興が約束されるので、残酷だが致し方ない判断とした。
狂信者に関してもココが思っていたこととだいたい合っており、すぐに動かせず連射できない事情があったのだ。
「だけどイチリュウチームだけは本当に猶予がない。
あそこが全滅すれば代わりの野球チームを用意する時間もないし、あのチームには条件次第では惑星破壊攻撃も可能な
イチローやナッパなど都庁の軍勢にも勝てる見込みがある戦力が残されているわ。
むしろ、一番安全に手を組める対主催勢力はここしかないわ」
「場合によっては手を組むと?」
「世界のためになるなら降伏してアナキン共々傘下に下っても良いと考えてるわ」
「傘下って…まあ、確かにテラカオスの完成度具合を考えれば参加者と争う意味も、これ以上殺し合いを強制する意味もないですが」
「あそこは人格的にも世界を滅ぼそうと考えている人物はいないし、安心して殺し合いの真実を打ち明けることもできる」
だがここでメフィラスは疑問を浮かべる。
「しかし、私たちがイチリュウチームの救助している間、他の問題はどうします?
他は諦めるとして、フォレスト・セルと狂信者の超兵器は健在で放置は危険だと思いますが…」
ココは神妙な面持ちで答えた。
「ええ、だからテラカオス・ディ―ヴァと『器足りえる巨像』――この九州ロボを融合させ、パワーアップさせるわ」
「なんですと……?」
「そしてパワーアップしたディ―ヴァで、
DMC狂信者、フォレスト・セルを一掃する。
そうしたら後は野球チームに試合をさせてテラカオスの成長を促し、黒き獣を倒して救済の予言を完遂させればいい」
救済の予言の一説にもある器足りえる巨像とは、テラカオスを強化させるためのツールである。
生物と機械、グンマ―とミヤザキの違いはあるが、フォレスト・セルと九州ロボは元は姉妹品である。
仮にミヤザキの血を引いていた裕一郎の腕前が本物なら、テラカオス・ディ―ヴァとも融合して強化し、世界を救う邪魔をするものを一気に倒せるはずとココは睨んだのだ。
「机上の空論です!
ロックマン・エックスが映像で言っていたとはいえ、融合でどこまでパワーアップできるかは未知数ですし。
最悪、貴重なテラカオス・ディ―ヴァや九州ロボまで失うでしょう。
九州ロボのファクターでありリンクしているあなたへの影響も計り知れません!」
「部の悪い賭けなのは承知の上よ、でも私たちには戦力も手札ももう残されてない。
何も知らない都庁の軍勢がいつ、千葉へと向かってテラカオスを討伐……もしくは助けるつもりでフォレスト・セルの口の中に突っ込まれ、テラカオス因子を浄化されようものなら世界は一貫の終わりよ!
残された時間じゃ次のテラカオスが生まれるのは望み薄、だったら私の命を犠牲にしても良いから、テラカオスと救済の予言を達成する者を守るべきよ!」
「それは確かに……」
ココの考えは理想も入り混じった空論なのは確かだが、実際に(フォレスト・セルの危険がなくなったことを知らなければ)打てる手は限られているので僅かでも可能性がある方に手を伸ばすしかない。
溺れる者は藁をもつかむのだ。
「待ってください制御はどうするんですか?
巨像は制御する巫女がいて、初めて真価を発揮するという話ですが」
「私なら祈りの巫女が務まる…と言いたいところだけど、たぶん違うわね。
こっちも賭けにはなるけど、候補は一人だけいるわ」
ココはモニターに、参加者の中で確実に巫女になれる存在を映す。
「拳王連合軍の艦むす…翔鶴!」
「裕一郎が九州ロボと共に作った最後の遺産……ミヤザキの巫女である彼女にかけるしかない」
ミヤザキの血を継ぐ裕一郎が、先祖に仕込まれた遺伝子によって無意識に造り上げた機械の巫女・艦むす。
ココの中で巫女足りえる存在は彼女しか考えられなかった。
ちなみに既に会場には瑞鶴や榛名など別の艦むすも存在するが、瑞鶴はサーフの工作で存在が隠蔽されており、榛名は深海棲艦から蘇ったばかりでココは知らず、そもそもエントロピー量が翔鶴と比べれば低いため、目に入らなかったのだ。
「メフィラス、私たちに残されている時間は残り少ない。
私と九州ロボが先に千葉へ向かい、魔女の討伐…倒せなくとも足止めはする。
その隙にあなたは横浜に向かって、翔鶴を九州ロボに連れてきて」
「方法は?」
「拉致、交渉…方法は問わないわ。
殺し合いの真実を話しても構わないし、降伏を要求されたらそれでも良い。
とにかく巫女の確保と、拳王軍に野球をさせることが最優先よ。生きてたらだけどね」
「仮に九州ロボと翔鶴が融合できたら、魔女やフォレスト・セルにも勝てるでしょうか…?」
「オッズの見えないギャンブルだけど、私たちには賭けを降りることも負けることも許されないのよ。
ジャック、バーダック、幽香、紫、織莉子、キリカ、デウス、ビアン博士、大尉、風魔、新城、クラウディウス、ヤン、メディア、黒、クルル、biim、メガヘクス、あとニャルなんとか。
これまで死んだみんなの犠牲を無駄にするわけにはいかないわ」
この場にいないアナキンを除く、最後の主催たちの方針は決まった。
ココ及び九州ロボはテラカオスとイチリュウチームの救助。
メフィラスは翔鶴の確保を行い、九州ロボに送ること。
少なくとも二人にはそれしか生き延びる道はないと思えた。
「さて、出発……する前にやるべきことがあるわね」
九州ロボが千葉方面へ向かう前に、ココとメフィラスは今までスパークドールズと化していた八坂麻尋をダークスパークで人間に戻し、さらにかつて九州ロボ上で労働力として使い冷凍睡眠させていた無数のモブ参加者たちを、今は使わなくなった脱出艇ASO-3に搭載。
さらにこれまでの激しい戦いで傷つき、戦意を失い、かつ人格的に問題がなく裏切らず無益な殺生をしないモブ兵士もといストームトルーパーにASO-3に乗って九州ロボを降りる許可を与えた。
「さよなら麻尋キュン、大災害を乗り切った後の世界でも生きていてね…」
これからの戦闘で九州ロボが被害を受けない可能性は限りなく低い。
本州の人間は戦闘や黒フロワロで最悪全滅に追い込まれることもありうる中、未来の復興を担う人材まで失うわけにはいかない。
そのため、麻尋やモブ参加者たちをASO-3に乗せて最も被害が出にくいと思われる日本海側に退避させることにしたのだ。
麻尋含めた彼らは殺し合いが終わるその時まで冷凍睡眠で眠らされ続ける。
またモブ兵士は一般人の護衛と同時に、テラカオス生産に必要なファクターであるストレスの生産装置もとい定時放送を行わせるため、彼らに放送に必要な機器とベイダーの服とボイスチェンジャーを渡しておいた。
これなら九州ロボが轟沈しココ、メフィラス、アナキンが死亡しても放送は続けられるだろう。
「それじゃあ、行くわねメフィラス」
「ココ嬢、ベイダー卿…アナキンと共に生きてまた会えることを願っていますよ」
「ええ、ありがとう」
ワープ装置の上に立ったメフィラスはココの最後に見るかもしれない笑顔を見た次の瞬間には、神奈川県に降り立っていた。
直後に九州ロボは成層圏から千葉へと降下していく。
その九州ロボの背中は、どこか乗り手と同じように、悲壮な覚悟を写していた。
【ココ・ヘクマティアル@ヨルムンガンド】
【状態】健康、九州ロボのファクター、ショタコン、罪悪感、シャドウへの警戒(大)
【装備】九州ロボ、ライトセーバー@STAR WARS、拳銃
【道具】商品(兵器)、モブ兵士×500、ダークスパーク
主催倉庫から持ち出した無数の支給品、力を失ったドラゴンボール、千年タウク@遊戯王
【思考】基本:ヨナ達を奪った大災害を防ぐべくテラカオスを成長させ完成に導く計画を遂行する
0:九州ロボで魔女霧切に襲われているテラカオスとイチリュウチームの救助に向かう
1:計画のために殺し合いを促進させ、計画の邪魔をするものは撃つ
2:不足の事態に備えて予備のテラカオスを作り出すことも念頭に入れる
3:世界のためならイチリュウチーム相手に真実を打ち明けることや降伏することも視野に入れる
4:真尋キュン、どうか生きていてね…
※シャドウの能力の一部(ラインハルト、サクヤ、VFD)及び負傷状態を認識しました
※倉庫内に黒フロワロに対抗できる解毒薬はありません
※
カオスロワちゃんねる一派の工作により、榛名が打ち明けた黒幕の真実にまつわる情報が入っておりません
※九州ロボから脱出艇ASO-3を失いました
【二日目・23時30分/神奈川県 横浜】
【メフィラス星人@ウルトラマン】
【状態】健康、罪悪感、シャドウへの警戒(大)
【装備】なし
【道具】支給品一式、タイム風呂敷、ビックライト、とりよせバック
【思考】
基本:アナキン達に従い、世界滅亡を防ぐ
0:ミヤザキの巫女たる翔鶴の確保、そのために拉致または交渉を行う
1:↑が上手くいったら早急に九州ロボのココと合流する
2:尊い地球人が死ぬのは不本意だが、全滅回避のために多少の犠牲は止むなしと考えている
3:なるべく暴力は使いたくない
4:ところで遺跡の前のバサルモスの死体は結局なんだったのでしょう?
5:もう迷わない……主催陣営の一員として世界を守る
※シャドウの能力の一部(ラインハルト、サクヤ、VFD)及び負傷状態を認識しました
※カオスロワちゃんねる一派の工作により、榛名が打ち明けた黒幕の真実にまつわる情報が入っておりません
※スパークドールズ化の解けた八坂真尋、九州ロボに奴隷として働かされていたモブ参加者と50人ほどのモブ兵士がASO-3ごと日本海に降りました
また、放送はここにいるモブ兵士が行うので九州ロボが破壊されても、主催が全滅しても以後の放送自体は継続されます
最終更新:2020年04月25日 20:25