社会正義はいつも正しい (しゃかいせいぎはいつもただしい)
- リベラルさんにとって禁忌の存在。
- この書籍では「ポストモダニズム」の挫折と変質、そしてその先鋭化が世界に「不寛容なリベラル」という矛盾に満ちた存在をもたらしたかについて触れている。
- 著者はあくまでリベラリズムの信奉者であり、だからこそ近年の「先鋭化したポストモダニズム」に警鐘を鳴らしている。そして「不寛容なリベラル」に対抗するために今こそリベラリズム的な理念に立ち返らなければならないのだというのが著者の主張である。
- しかし、テキストを読むのが苦手で内容を曲解しがち、尚且つ論理的な批判の出来なくなっているリベラルさんサイドは「マイノリティに対するヘイト本!」の一点張り。
- 近頃の『リベラル』はけしからんという気持ちを再確認することが目的なら、こちらの山形氏による訳者解説を読めば要点がわかる。
批判と言っていたのがいつのまにか単なるいやみになってることって、よくありますよね。その変遷と背景を描き出したもの。フェミニズム、インターセクショナリティ、ジェンダースタディーズ、コロニアルスタディーズ等々、各種のポリコレ系思想がいかに異様なものかをきちんと説明し、それが60年代ポストモダン思想からどのような経路で発達してきたかを説明した、とてもよい本。批判的な観点の全面否定論として書かれている本だが、主要な論者や議論のまとめは適確で、たぶん実際の得たいの知れない意味不明のポモ文を読むよりもずっと理解しやすいはず。なお、当初は販促用に訳者解説が公開されていたが、何か圧力がかかったらしく、削除されて、なんだか変なお詫び文が早川書房から出された。具体的にどんな抗議/恫喝があったのかは、山形は知らないし、尋ねてもいない。こういうのはたいがい、当事者が非常につらい/こわい思いをしていることが多いので、責める気にもならない。いつか、何があったか話してもらえることもあるだろう。