timers -TIME IS ……-
たすけてください。(10:02)
最終更新:
Bot(ページ名リンク)
-
view
「マスター、紹介して下さいよ」
私がそう言うと、マスターはかしこまった口調でこう言った。
彼女の名前は、時雨霧子。普段は都内のとあるバー(場所までは教えてくれなかった)で働いていて、かつてはマスターと共に働いていたこともあるという。腕前は一流、そして日本で数名のメタ・ソムリエの資格の持ち主だという。
なにやら奥へと引っ込んだマスターに代わって、時雨さんが私の前に立った。
「おまかせ、でよろしいんですよね」
「はい。時雨さんにおかませします」
「かしこまりました」
すばらしい手つきでカクテルを作っていく。マジシャンのようなそれであった。
一分かかったか、というところでカクテルは出来上がった。神秘的な色の液体がグラスに注がれる。
「私のオリジナル、デュオニソスでございます」
「デュオニソス?」
私は目の前に置かれたグラスと時雨さんの顔を見ながら聞き返した。
「はい。デュオニソスとは、神話における農耕とお酒の神様なんです。バッカスという別名もあります」
「へぇ……そういえばヘルメスも」
「はい。ヘルメスは旅人と商人の神。そしてメリクリウスという別名もあり、それは水星……マーキュリーの語源ともなったと言われていますね」
「すごい。博識なんですね」
私がそう聞き返すと時雨さんは変わらぬ笑顔で「そつない薀蓄はバーテンダーの嗜みですよ」と言った。
デュオニソスはとても美味しく、私は夢を見ているのかと錯覚するくらいの味だった。初めての味。
私がそう言うと、マスターはかしこまった口調でこう言った。
彼女の名前は、時雨霧子。普段は都内のとあるバー(場所までは教えてくれなかった)で働いていて、かつてはマスターと共に働いていたこともあるという。腕前は一流、そして日本で数名のメタ・ソムリエの資格の持ち主だという。
なにやら奥へと引っ込んだマスターに代わって、時雨さんが私の前に立った。
「おまかせ、でよろしいんですよね」
「はい。時雨さんにおかませします」
「かしこまりました」
すばらしい手つきでカクテルを作っていく。マジシャンのようなそれであった。
一分かかったか、というところでカクテルは出来上がった。神秘的な色の液体がグラスに注がれる。
「私のオリジナル、デュオニソスでございます」
「デュオニソス?」
私は目の前に置かれたグラスと時雨さんの顔を見ながら聞き返した。
「はい。デュオニソスとは、神話における農耕とお酒の神様なんです。バッカスという別名もあります」
「へぇ……そういえばヘルメスも」
「はい。ヘルメスは旅人と商人の神。そしてメリクリウスという別名もあり、それは水星……マーキュリーの語源ともなったと言われていますね」
「すごい。博識なんですね」
私がそう聞き返すと時雨さんは変わらぬ笑顔で「そつない薀蓄はバーテンダーの嗜みですよ」と言った。
デュオニソスはとても美味しく、私は夢を見ているのかと錯覚するくらいの味だった。初めての味。
……そこまでだった。私が覚えているのは。