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王の試練 ◆lnFAzee5hE




       東 京 大 破 壊 か ら 遥 か 未 来
THAT'S THE DISTANT FUTURE SINCE TOKYO DESTRUCTION

四方を山手線に囲まれた大地東京。
ここは犯罪と妖物の襲来により混迷を極めていた。
そこで聖杯を救う真の主を見極めるため、紅という色の月を見る試練が与えられた。
月に選ばれし者こそ真の主マスター。だが、選ばれた者は22人にも及んだ。
それはマスター同士を競わせ不要な人材を淘汰し、
本当の意味で聖杯を仕様できるマスターを選ぶ計画だったのだ。


【歌詞は表示されません】



「ダッジャールよ、ジョーカーを討つぞ」
そう広くもないアパートの一室、過剰なまでに自己主張する尖りすぎる鎧を除けばこざっぱりしていると言ってもよい己の城、
スーツを脱ぎ捨てると同時に、王は唯一の部下にそう宣言した。
果たして退社からすぐ贔屓のスナックに行き、何杯飲んだものか。
頬は誰が見てもそうである赤みを帯び、その息は酒の臭みを帯びていた。
「酔っているのか」
積み重なった洗濯物の上に腰掛けて、呆れたようにリエンスを見上げるのは彼のサーヴァント、ダッジャールだ。
彼の従者として召喚されて数十時間、それはリエンスという人間を見極めるには十分すぎる時間だった。
部下に小馬鹿にされるリエンス係長、上司に怒鳴られるリエンス係長、新プロジェクトの11人に選ばれないリエンス係長、
スナックで泣くリエンス係長、スナックのママにまで見下されている節があるリエンス係長、それでもひたすらに酒を飲むしか出来ないリエンス係長。
短い付き合いになるだろうとはいえ、これが自分の主であると思うと泣きたくなる。

「バカが、俺が酔うかよ」
「酔っぱらいは皆、そう言うんだ」
「ふん……例え、酔っていたとしてもだ。いや、そんなことはどうでもいい。
いいか、わざわざ土産まで持たせてくれる美味しい敵だ、討たん手は無い。
そして、そんなことは俺以外のマスターも考えているだろう、先手を取った者の勝利だ」
「だからって、酒臭いまま殺しに行くかって言ってんだよ……シャワー浴びて、頭起こしてきな」
「いいか、俺はなぁ」
「頭を冷やせよ」

視線としてはダッジャールはリエンス王を見上げていた、だがあからさまに彼はリエンス王を見下している。
腰掛けている洗濯物は明らかに、ダッジャールにとっての玉座だった。
玉座を失った王は――。

湯が出るまでに多少の時間が出る、シャワーから放出される水で湯船を軽く洗いながら、
何の気なしに、己の右手の甲に刻み込まれた令呪を見た。
中央部に描かれる幾何学模様は、まるで己を表す尖りすぎる鎧の様に見えた、
その両脇のよくわからない模様もまた尖っている、二刀流――というわけでもないが、剣だろう。
今、己に真に味方するものがあるとするならば、今己の力と呼べるものは、これだけだ。

だからこそ、ジョーカー討伐は必須だ。
ダッジャールを真に従えようと思うのならば、己の器を示すことは須要である。
そして、お互いに戦士であるならば――それは戦いの中で示す他あるまい。
リエンス王は、従者に己を認めさせたいのだ。

――偽りの救世主、ダッジャール。ならば奴を召喚した俺も偽りの王ということか。
エクスカリバーも抜けず、十一人の支配者にも入れず、ただブリテンの賑やかしとして存在する噛ませ犬であるということか。
否!絶対に否!それだけは、認めない。認める訳にはいかない。
例え、誰が何を言おうとも――自分の心さえ、折れそうになったとしても、己は真の王であると吠え続けなければならない。

リエンス王が、ジョーカー討伐を焦る理由はダッジャールに力を認めさせたい――というものは確実にあるだろう。
だが、それだけではなかった。
誰からも、何からも認められず、リエンス王は酷い承認欲求を抱えていた。
エクスカリバーの剣を抜くアーサー王のように、王宮絵画のモティーフとなるような、試練に乗り越える己の姿を欲していた。
だからこそ、聖杯から与えられたジョーカー討伐クエストは、リエンス王にとって英雄譚の1ページのように、甘く、甘く、甘く、映った。

己の力を聖杯に認めさせなければならない。


◇ ◇ ◇



聖杯の毒
うた:リエンス

聖杯から零れし 一滴の毒
それこそが試練と心得よ

親しげな顔で 酌み交わす毒
それこそが聖杯との契約の証

Ah…… ジョーカー 文字通りの鬼札よ
Ah…… バーサーカー 文字通りの 狂戦士よ
試練となるべく 選ばれた者達よ

彼らはただ 聖杯の毒
耐え切れぬ者を浮かび上がらせる

飲み干すことのできる者だけが
真に聖杯を手に入れる者

だから飲み干せよ毒杯
ぐっともういっぱい もういっぱい
飲んで 飲んで 飲んで まだいけるって

はい ちょっといいとこ見てみたい!
飲んで 飲んで 飲んで 飲んで 飲んで 飲んで 飲んで 飲んで 飲んで はいはいはいはい





「ダッジャール、行くぞ」
過剰なまでに尖り、味方すらも傷つける黒き鎧。不必要に尖る剣。
やはり、この姿はスナックなどよりも戦場にこそ馴染むものだ、とリエンス王は思う。
シャワーを浴び、酔いを覚まし、やはり己の意思が変わらぬことを知ったリエンス王は戦場に出ることにした。
己を従者に認めさせる、己を聖杯に認めさせる、己を他の参加者に認めさせる、何もかもやり遂げてやろう。
そのような主の姿を見て、ダッジャールは肩をすくめ、笑った。
「いいだろうよ、王様……ちょっとだけ、マシだ」
カオスヒーローが洗濯物の束から、立ち上がった。
リエンス王と従者の目線が、等しくなる。

――まだだ、とリエンス王は思う。
求めたものは同じ目線の高さではない、ダッジャールが真に己を見上げることだ。
だが、スタートラインとしては丁度いい高さだろう。

「俺は……お前の王になる」
「やってみろ……無理だと思うがな」



予告譚

とうとうジョーカー&バーサーカーペアの討伐に向かったリエンス王とダッジャール!
だが、ジョーカーの恐ろしい狂気が牙を剥いた時、リエンス王は正気ではいられない!
プロレスリングの四角い戦場にリエンス王の身体が横たわった時!
ジョーカーの必殺技【フィニッシュ】!フライング・キリング・ジョークがトドメをささんと猛攻を仕掛ける!
おーっと!ここで謎のマスクマン!カオスガーディアンの登場だ~~~ッ!
さぁ!体勢を立て直したリエンス王、ここでバーサーカーの乱入だ!
ルール無用の狂悪レスラー!ジョーカー&バーサーカーに勝てるのか~~~~~ッ!

次回 『聖杯戦争異聞録 帝都幻想奇譚』!

「ラスト五秒の逆転ファイター」!

これは女房を質に入れてでもみなあかんな!!





東京聖俳

セイバーと
アーチャー・ランサー
三騎士だ

           東京都 川島 太郎(8)

【B-2/千代田・アパート・リエンスの部屋/1日目 深夜】

【リエンス@実在性ミリオンアーサー】
[状態]健康
[令呪]残り三画
[装備]尖りすぎる鎧、尖りすぎる剣
[道具]なし
[所持金]普通(一般サラリーマン程度)
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を手に入れる
1.ジョーカーを討伐しに行く
[備考]
※ジョーカー討伐クエストの詳細を把握しました。
※ジョーカー&バーサーカー組の情報を把握しました。
 少なくとも彼らの現在位置については掴んでいるようです


【カオスヒーロー(ダッジャール)@真・女神転生Ⅰ】
[状態]健康
[装備]無銘の剣
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:リエンス王には特に興味はないが、救世主が己を救えたのか知りたい
1.ジョーカー討伐に付いて行く
[備考]
※ジョーカー討伐クエストの詳細を把握しました。
※ジョーカー&バーサーカー組の情報を把握しました。
 少なくとも彼らの現在位置については掴んでいるようです

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000:DAY BEFORE:闇夜が連れてきた運命 リエンス王&ダッジャール(カオスヒーロー 018:遠き山に日落ちずとも -あるいは命堕ちる家路-

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最終更新:2015年04月18日 22:34