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悪魔くん聖杯戦争(法) ◆lnFAzee5hE



我々は多くのことを知っているようで、案外無知なものである。
フィクションの中の産物とせせら笑ってきた魔術なんていうものは実在しているし、
世界でも有数の石油王であるサタン氏なんぞは、実のところは悪魔サタンの血を引く黒魔術の大家だったりもする。

そして、これも知らないことだろうが、
サタン氏の片腕としてニュースで紹介されたルイ・サイファー、彼なんぞは本物の悪魔だったりする。

そして、ルイ・サイファーが来日する目的がたった一人の少年に会うためだなんて、世界中の誰もが知らないことだろう。


ここは人跡まばらな奥軽井沢、それを更に奥へ奥へと進むと、言い知れぬ妖気を漂わせた山々がある。
そこは、まだ日本が邪馬台国と呼ばれていた頃、長い間魔法使いの大集団が悪魔を引っ張りだそうと色々研究したところであると伝えられている。
その中に一際高い小山があるが、それは山ではなく、古代のビルディングであり、長い年月の内に、こんな形になったのだ。
そこに、一人の来客が訪れようとしていた。

「おかしいなァ、だれか表の戸を叩く者がいるみたいだ!」
人も訪れないような山奥である、来客などあるような場所ではない。当然、インターホンなどはついていない。
そこに暮らす蛙男は訝しんだ、一体何者であろうか、と。

「だれだ!?」
「ルイ・サイファーという者だ」
「知らん!」
ルイ・サイファーという男が、かの有名なファウスト博士のように有名ならば、あるいは蛙男も聞く耳を持ったのだろう。
だが、ルイ・サイファーという名なぞ、古代からの魔術的知識に通じる蛙男ですら聞いたことはない。
あるいは、彼の主にとって福音をもたらす者であるかもしれないが、
窓から覗いてみれば、山奥であるというのに汚れ一つないスーツを着こなした男である。あまりにも、怪しすぎる。

「東方の神童に会いに来たのだが」
「ああ、悪魔くんのことですか」
悪魔くん――それこそ、彼が仕える主の名前である。
三歳にして父の心胆を寒からしめた恐るべき異形の頭脳の持ち主、今まで存在した天才の全てを否定しかねない恐るべき大天才、
十歳にもならぬ身でありながら、全人類が幸福に暮らすことの出来る千年王国の建国を目論む恐るべき少年――いや、人間より生まれながらまさしく悪魔なのである。

「あいにく東京に行っていないんです!」
「では、中に入れて待たせてくれないか」

返答は言葉ではなく、石によって行われた。
あからさまに怪しすぎる男である、蛙男はルイ・サイファーの頭上に石を投げて殺してしまった。

「痛いなあ」
「キャーッ!」

ところがどうだろう、頭を石で潰されたルイ・サイファー、平然とした顔で立っているではないか。
投げつけたはずの人の頭より大きい石は地面に転がっているし、ルイ・サイファーは血の一滴も流していない。
これには蛙男が悲鳴を上げるのも無理は無い。

「この世界の日本の作法に詳しいわけではないからね、今のは盛大な歓迎と解釈させてもらおう」
「ヌヌヌ……」
「それで、入れてくれる気は……無いのだね、それなら悪魔くんが帰ってくるまで、外で待たせてもらうが」
石を投げても死なぬ相手である、魔術師に違いない。
となると対抗できるのは、悪魔くんだけである。
今は紳士的に振舞っているが、もし目の前の男が牙を剥けば、
何の抵抗もできずに、ようやく手に入れた悪魔召喚の鍵、創造の書を奪われることになるやもしれない。

「では外で待っていてくれ」
「そうか、私は寒空の下冷たい岩に座って人を待つのが大好きなんだ」
「外で待っていてくれ」
「ちぇっ」

かくしてルイ・サイファーが待つことしばらく――ようやく、悪魔くんが戻ってきたのである。


「君が悪魔くんだね、私はルイ・サイファー、ルイと呼んでくれたまえ」
「はぁ、で、何の用件かな」
「結論から言うと、私は悪魔だ。そして、是非……君の手伝いがしたいと思って馳せ参じたんだ」
悪魔くんという少年はいかにも平々凡々とした格好である、誰が彼を見て悪魔と呼ぶだろう、
だが、妖しくぎらついているその目を見るが良い、どうにも少年ならざる恐ろしさを感じるではないか。

その悪魔くん、千年王国の建国のためには悪魔の力が必要であると考え、幾度も悪魔召喚の儀式を行っているが、一度も成功してはいない。
全人類の中で最も優秀であろうその頭脳でさえも失敗する悪魔召喚の何たる恐ろしいことか。
だが、何十冊もの魔導書を積み上げ、幾度もの経験を重ねた末に、とうとう、悪魔召喚の鍵と成り得る創造の書を手に入れたのだ。
ならば、今直ぐに創造の書の古代文字を解読させ、その儀式を行いたい、
しかし、悪魔くんの知る中でそれを読むことのできる唯一の男、ヤモリビトは未だその行方を晦ましている。
ならば、文字通り悪魔の手も借りたくなるのも人情ではないだろうか、もちろんルイ・サイファーが本物の悪魔であるのならば、の話であるが。

「魔法陣は完璧です、呪文も完璧、それでも何か足りないものがあると?」
「だから、私が来たんだ……どうだね、別に魂や金を頂こうというわけではない、
私は石油王サタンと契約をしていてね……つまり、千年王国を作る手伝いをするように言われてきたんだ」
「ほう……」

悪魔は召喚者の尻の毛まで毟り取るほどに際限なく報酬を要求し、契約を曲解し、自分の利益しか考えない生物である、
しかし、いざ契約をしたとなれば契約者に逆らうことは出来ない。
つまり、油断さえしなければルイ・サイファーはこちらの手伝いをしてくれるのだろう。
もちろん、悪魔は心の隙に付け込み、隙が無ければ作り出す生物である、悪魔の前で油断しない人間などどれほどいるかはわからないが。

「なるほど、なるほど、君の言った通り、魔法陣は完璧だ」
悪魔くんが示した悪魔召喚用の魔法陣、なるほど、悪魔から見ても完璧なものである。
だが、足りぬものがある。そして、それこそがかのファウスト博士が知り、創造の書に記された秘密なのだ。

「君たちは魔法陣の周りに集まって、エロイムエッサイムを唱えるが良い……後は私でやっておこう」
エロイムエッサイムとは悪魔召喚のための呪文である。
魔法陣の周囲を回る際、1センチに一声ずつ、唱えなければならない。

「さぁ……!始めようじゃないか!」

「エロイムエッサイムエロイムエッサイム」
「我は求め訴えたり!」
「エロイムエッサイムエロイムエッサイム」
「我は求め訴えたり!」
「エロイムエッサイムエロイムエッサイム」
「我は求め訴えたり!」

それは人間界において信じられぬほどに、尋常ならざる光景である。
あどけない少年が、擬人化した蛙の様な男が、忌まわしき魔法陣を囲み、召喚の呪文を唱えているのである。
それも、先導するのは悪魔である――まるで中世サバトの光景ではないか!

そして聞くが良い!ルイ・サイファーなる悪魔が唱える恐ろしき呪文を!

「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。 祖には傲慢なる聖四文字の神。
降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

.みたせ みたせ みたせ みたせ みたせ
「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する」

「―――――Anfang」
「――――――告げる」
「――――告げる。
彼の身は月が下に、彼が命運は月の光に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

「誓いを此処に。
彼は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。

「我が名、明けの明星の名の下に!
彼の名、救世主の名の下に!
来たれ、紅き満月よ!」


おお!魔法陣の中心で蠢く大地を見たか!
湧き上がるものを見たか!
それは月である!紅き満月である!

彼らが召喚したのは紅い満月――その事実を認識した瞬間、悪魔くんの姿が消えた。


「サタン君、悪魔くんが目障りであるなら私が消してあげよう」

「佐藤君、私ならヤモリビトになろうとしている君を元の姿に戻してやれる」

「悪いようにはしない、私と契約するが良い」


日本三大電機メーカーの一つ――太平洋電機、その社長室に悪魔くんはいた。
もちろん、悪魔くんのいた現実世界ではなく、再現された東京においての、である。

「――郎!一郎!聞いているのか!?」
「はいはい、聞いていますよ」

誰が想像するだろうか、太平洋電機社長の第一子その人こそ、松下一郎こと悪魔くんであると。

「東京第一小学校に入学して、平凡で善良で人畜無害な人間になれってんでしょ……困るなあ」
「お前の行いで困っているのはこっちの方なんだ……」
「まぁ、いいでしょう……こっちも東京にいなければなりませんからね」
「おぉ、そうか……良かった良かった、実はなお前の新しい家も決めてあるんだ、
とにかく善良でまともな人間になってほしいと思ってな……そう、一郎も知っているだろう……メシア教の教会にお前を預ける」
「メシア教……!」
「どうだ、いい考えだろう」
「ええ……とても、いい考えだと思います」

「とても……」

メシア教の教会に移った悪魔くんが司祭の目を盗んで行う儀式の正体は一体なんだというのだ!
悪魔召喚ではない――しかし、英霊の召喚でもないのだ!

「エロイムエッサイム エロイムエッサイム 我は求め訴えたり」
「エロイムエッサイム エロイムエッサイム 我は求め訴えたり」

「我が声に応え、目覚めよ!」

聖なる祭壇で眠る邪悪な龍の姿を見ることは――この教会内では悪魔くんと彼の英霊以外には叶わない。
悪魔くんは龍を目覚めさせようとしていた。
だが、悪魔くんの声にも応えず、未だ龍は眠りについている。

「起きないか」
「ええ、今のところは……」

悪魔くんの側に立つ聖職者然とした男、彼こそ悪魔くんが呼び寄せた英霊であり、クラスはライダーである。
では、眠る龍こそ、彼が乗りこなさんとする宝具なのであろうか、間違ってはいない。

だが、今はまだ龍は眠り続けている。
そう、目覚める時ではないのだ。

「僕達の千年王国のため」
「ええ、必ず聖杯を手にしましょう……ザイン

千年王国も、龍も、そして彼の真の宝具たる方舟も――

【クラス】
ライダー

【真名】
ザイン@真・女神転生Ⅱ

【パラメーター】
筋力E+ 耐久E 敏捷E 魔力E 幸運E 宝具EX

【属性】
秩序・善

【クラススキル】
騎乗:EX
あらゆる乗り物に対して一般人程度の適性のみ持ち合わせる、
その代わり、方舟に対して騎乗を可能とする。

対魔力:E
魔術に対する守り。
無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。

【保有スキル】
心眼(真):C
修行・鍛錬によって培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、
その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”。

神性:E
神霊適性を持つかどうか。ランクが高いほど、より物質的な神霊との混血とされる。

【宝具】
『封印されし半身(セト)』
ランク:EX 種別:対神宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
未だ眠り続けているザインの半身たる龍。
セトが目覚め、ザインとの融合を果たした際、ザインは裁きの天使である真の姿を取り戻す。
その際、ザインのパラメーターは下記のものとなり、宝具『千年王国の方舟』が解禁される。
また保有スキルである神性がEXにまで上昇する。

筋力A++ 耐久A+ 敏捷C 魔力A+ 幸運C 宝具EX

『千年王国の方舟』
ランク:A++ 種別:対宙宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000人
ザインが真の姿を取り戻した際に使用可能となる宝具、選ばれし者を乗せた方舟。
本来ならば、宇宙の彼方まで飛んで行くことも可能であるが、
この世界は偽りであるため、再現を許す場所までしか飛ぶことは叶わない。
また、この宝具にザイン及び、そのマスターが乗り込んだ時、宝具『全てを裁く光(メギド・アーク)』が解禁される。

『全てを裁く光(メギド・アーク)』
ランク:EX 種別:対星宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000人
『千年王国の方舟』より発せられる強力なエネルギー光、再生のために行われる真の大破壊。
この宝具が発動した際、『千年王国の方舟』以外の全てが消滅する。

【weapon】
格闘術……最強のテンプルナイトとして、彼は非常に高水準の格闘術を収めている。

【人物背景】
全てを裁く者、あるいは彼もまたザ・ヒーローと呼べるのかもしれない。


【マスター】
松下一郎(悪魔くん)@悪魔くん千年王国

【マスターとしての願い】
千年王国の建国

【weapon】
なし

【能力・技能】
釈迦やキリスト以来の天才児であり、魔術に対して大いなる知識を持っている。

【人物背景】
小学二年生。大手電機メーカー「太平洋電気」の社長令息。大きな垂れ目、タマネギを思わせる髪型、突き出た額といった独特の容貌をしている。
「精神的異能児」と言われるほどの天才的頭脳を持つ少年で、貧富の格差もない平和な世界を創造しようとしている。
一般的な倫理の枠にとらわれず、目的のためなら手段を問わない面がある。あまりの頭の良さゆえにクラスメートから「悪魔くん」とあだ名されている。
この聖杯戦争に至る際、ルイ・サイファーの介入によりサタンと戦うことはなかった。

【方針】
なるべく早くザインを元の姿に戻したい



-016:渋谷凛&ランサー 投下順 -014:峯岸一哉&ライダー
-016:渋谷凛&ランサー 時系列順 -014:峯岸一哉&ライダー


登場キャラ NEXT
松下一郎(悪魔くん)&ライダー(ザイン 000:DAY BEFORE:闇夜が連れてきた運命

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最終更新:2015年02月05日 02:21