『大統領暗殺計画』-7
作者・凱聖クールギン
975
中東の安全保障サミットも無事終わり、数日後…。
UAE首都ドバイ・国際ホテルのロビー***
マイケル「グラントが死んだ!?」
天田「申し訳ありません。ICPOへの護送中に
突然心臓不全を起こし死亡が確認されました」
今井「首筋にはコブラに噛まれた痕があったそうで…」
マイケル「………」
当八郎によって拘束され、ICPOに引き渡される途中だった
グラント前国防長官は、護送中の飛行機の中で謎の変死を遂げたのであった。
マイケル「それは残念だな。彼の口から
影の政府の全貌が聞きだせると思ったのだが…」
正人「大統領、アメリカの影の政府っていうのは
いったいどんな組織なんですか?」
マイケル「影の政府は"最高法院"または"海の目"とも呼ばれている。
彼らの指令センターがどこにあるのかは不明だ。その歴史は
アメリカが建国される遥か以前、古代エジプトにまで遡るという噂もある」
マイケル・ウィルソンJrの話によれば、
アメリカ合衆国"表"の歴代大統領ですらも
影の政府の正体はほとんど掴んでおらず、ホワイトハウスの大統領執務室は、
彼らにとってお飾りの入れ物に過ぎないらしい。これまで多くの勇気あるジャーナリストたちが
影の政府の実態を暴こうとしては、その毒牙の犠牲となってきているのだ。
マイケル「ところで今回の事件解決の一番の立役者、
ミスター当はどこへ?」
源田「そういえばさっきから姿が見当たらないな」
奈美「どこへ行かれたのかしら…?」
ドバイ国際空港***
飛行機への搭乗手続きを済ませる当八郎。
搭乗客ロビーで、待ち構えていたフィリナと出くわす。
当「フィリナ嬢!?」
フィリナ「どこへ行かれるの?当さん。
大統領暗殺計画を未然に阻止した功績で、
ウィルソン大統領があなたに勲章を授与するという
話もあるのだけれど」
当「あいにくとそういうのはガラじゃない。
私は本来は登山家だ。そこに山がある限り、
そこへ出かけて行くさ」
荷物を持って搭乗口へと向かう当八郎。
当「そういえばフィリナ嬢、今更なんだが、
君は随分日本語が堪能だね。ビジネスで
よく日本にも来るのかい?」
フィリナ「それもないことはないのだけれど、
日本には私の従弟がいるのよ」
当「いとこ…?」
アルジェの名門アルシャード家の係累が日本にいるとは
初耳の当だったが、特にそれ以上深く詮索はしなかった。
フィリナ「今回は貴方とご一緒できて、本当に楽しかったわ。
またどこかでお会いしましょう」
当「ああ、こちらこそ。またどこかで会おう」
976
???***
大西洋上、青い海の大海原に浮かぶ孤島。
椰子の木の林の中にポツンと、白壁の二階建ての館が建っている。
実はこの館こそが、アメリカ合衆国影の政府の最高権力者である
影の大統領の官邸であることを知る者は少ない。
???「グラントの始末ご苦労だったな、カーメンカーメン」
カーメン「礼には及ばぬ。全ては我が神…大アトゥーム神の導きなり」
アフリカを拠点とする犯罪組織ヌビア・コネクションの首領カーメン・カーメン。
先代亡き後、ライバルを次々と暗殺して首領の地位に就き、
その後辣腕を振るい他のコネクションを次々と併合。
大宇宙の声を聞けると自ら語るシャーマンでもあり、
彼が首領に就任してからのヌビア・コネクションはカルト教団の様相すら呈している。
ICPOに護送中であったグラント前国防長官をコプラを嗾けて始末したのは、
影の政府から依頼を受けたカーメン・カーメンであった。
???「グラントなど所詮はその程度。奴は栄光ある最高法院の面汚しよ…」
カーメン「クズはクズらしい死に方をするもの…。
噂の
ブレイバーズとやらも、いずれは我が計画の礎にしてくれようぞ、フハハハ…」」
館の地下、石積みの祭壇の中央にある丸いテーブルで
カーメン・カーメンを挟んで向こう側に座る頭巾の男。
この男こそが、
アメリカ影の政府の最高独裁総監=影の大統領その人であるらしい…。
果たして、影の大統領の正体とは…!!
977
○マイケル・ウィルソンJr→グラント前国防長官死亡の報告を受ける。
○天田一平→グラント前国防長官死亡をマイケル・ウィルソンJrに報告する。
○金田正人→マイケル・ウィルソンJrにアメリカ影の政府について聞いてみる。
○当八郎→ドバイを離れる。
○フィリナ・クラウディア・アルシャード→ドバイを離れる当八郎を見送る。
●グラント→カーメン・カーメンにコブラほ嗾けられて死亡。
●カーメン・カーメン→アメリカ影の政府の依頼で、グラント前国防長官をコブラの餌食にする。
●影の大統領→カーメン・カーメンと密談。
【今回の新規登場】
●カーメン・カーメン(銀河旋風ブライガー)
犯罪組織ヌビア・コネクションの首領。コネクションの組織力と多数の影武者を用いて
常にコズモレンジャーJ9の先手を取り、大アトゥーム計画を成功に導くと共に、
J9最後の猛攻をも切り抜けて爆発寸前の木星にその身を投じ、己の信仰に殉じた。
暗殺手段に自身の飼っているコブラをよく用いる。
●影の大統領(???)
アメリカ合衆国を裏から操る影の政府の支配者。
その正体は某作品の版権キャラクターなのか、
それとも闘争の系統
オリジナルキャラクターなのかも全く不明…。
最終更新:2020年11月22日 13:56