『正義の旗の下に その名はブレイバーズ!』-1
作者・大ザンギャックのブラジラ
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惑星エンペリアス・星間評議会首府***
旧銀河連盟の中心地であり、現在は三次元宇宙を統べる
星間評議会の首府都市が置かれているエンペリアス星。
評議会議事堂や行政府ビルなどの他、高さ1000mを超える超高層建築物が立ち並び、
その間を駆け抜ける幾つものハイウェイを無数のエアカーが飛び交っている。
そして今日も、
星間評議会議事堂の大廊下では議員たちが忙しく行き交っている。
ヌマ・O「これはハーリン議員」
ハーリン「ヌマ・O長官」
大廊下ですれ違いざまに互いに声をかけたのは、
宇宙警察機構のトップであるヌマ・O。
そしてエリオス星域選出の代表評議会議員を務めるハーリン王子である。
ヌマ・O「いかがですかな、その後評議会の動向は?」
ハーリン「ようやくなんとかまとまりそうです。地球ではティターンズと呼ばれる
国粋主義者の一派が政権から放逐され、星間評議会からの特別使節を受け入れる
用意が万端に整ったとの事」
ヌマ・O「一部の議員たちの中にはGショッカーや
ETFからの圧力に屈し、
彼らに宥和的な方針を示す者もいたとか…」
ハーリン「非常に愚かなことです。ですが、宇宙各地で奮戦する防衛軍や
レジスタンスの活躍の報告が、我々の側を後押ししてくれています」
ヌマ・O「それはコム長官以下銀河連邦警察の宇宙刑事たちによる
功績も大であります」
ハーリン「勿論承知しています。おかげで評議会の取りまとめの方も
カミュエル卿が上手くやってくれております」
ヌマ・O「…カミュエル卿? ジュリアス・カミュエル卿ですか。
噂の若手エースの評議会議員ですな」
そこへ淡い桃色の腰まであるウェーブのロングヘアを棚引かせながら、
その面相は夜叉のような顔を象った鋼鉄製の仮面で覆った、
ドレス姿の女性が近づいてきた。
謎の女「ハーリン・議員、ヌマ・O長官、お二人ともこちらでしたか」
ハーリン「おお、これはランペルージ書記官」
ヌマ・O「委員会の結論が出ましたかな」
ランペルージ書記官と呼ばれた仮面の女は、仮面に仕込まれたボイスチェンジャーで
加工されたその声でゆっくりと話し始めた。
謎の女「今カミュエル卿が委員会に出席され、最高議長以下委員方に最後の説明に
臨んでおられます。程なくよい報告が…」
同議事堂内・委員会室***
星間評議会議長・ユーガー王子以下主要な委員たちが円卓の席についている中、
報告を続けるローブ姿の男。彼の名はジュリアス・カミュエル。
最近になって台頭してきた若手の評議会議員である。
委員A「地球という銀河の果てにあるような一介の辺境惑星に
全宇宙の命運を託すというのかね!?」
委員B「そもそも地球など、ついこの間まで公式には現地住民との接触さえ
制限されていた保護対象の未開惑星だったではないか。その星の出身者たちを
Gショッカー対策の特務組織の中心に据えるとは、常軌を逸しているとしか
私には思えん!」
ユーガー「………」
委員たちが紛糾する中、議長のユーガー王子は沈黙を続ける。
カミュエル「お言葉ですが委員の方々。皆様もご存知のとおり、
宇宙の星々がこれまでも理不尽な暴力に蹂躙される歴史の中、
地球はあのガバナス帝国を2度、そしてザンギャック帝国をも
3度に渡って撃退しております」
委員A「そ、それは解ってはいるが…」
カミュエル「しかも地球はサイバトロンのトランスフォーマーたちとも
かなり以前から友好関係にあり、かのガミラスの指導者デスラーすらも
一目置いていると報告されております」
委員B「ガルマン・ガミラス帝国は、我々を三次元宇宙の正統な代表者とは認めず、
未だ星間評議会にも加盟していない!」
カミュエル「なればこそ、今後の各方面の交渉を有利に運ぶためにも、
地球を中心とする特務軍隊を新たに創設するのです」
委員A「君はガミラスなどの未加盟国の評議会加入促進のために、
地球を利用しようと言うのかね?」
カミュエル「そこまでは申してはおりません。ただ"各方面の交渉"を
有利に運ぶためとご理解ください」
委員B「む、むぅぅ……」カミュエル「それに地球には宇宙最強の戦闘能力を誇るとされる 超サイヤ人の存在も確認されており――」委員C「超サイヤ人だと!?」委員D「そんなものはくだらん伝説だ!」カミュエルの発した「サイヤ人」の一言が発端となって、騒然となる委員会室。
ここで議長席の隣に座る議長後見・トクガー15世が口を開く。
トクガー「いかがだろうか諸君。このまま我々がここで議論を続けていても、
宇宙の危機は待ってはくれん。ここは議長採決に一任するということで」
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同議事堂内・最高議長執務室***
最高議長決定により地球への特別使節派遣がついに正式に決定した。
若き評議会議員ジュリアス・カミュエルは、最高議長ユーガー王子に呼ばれ、
これまでの労をねぎらわれていた。
ユーガー「ありがとうカミュエル卿。貴方のおかげで
ここまで漕ぎ着けることができた」
カミュエル「殿下、私の力など微々たるものです。
それよりもこれはまだ始まりに過ぎません」
ユーガー「承知している」
トクガー「そこでカミュエル卿、貴殿に戦略科学技術政策担当の高等弁務官に
就任してもらいたい」
カミュエル「謹んで拝命いたします。微力ながら力を尽くさせて頂きます」
ユーガー「星間評議会の高等弁務官は、惑星国家における閣僚級の地位だ。
これからも貴公を頼りにしている」
星間評議会行政府・高等弁務官室***
謎の女「カミュエル卿、この度は高等弁務官ご就任おめでとうございます」
カミュエル「よしてもらいたい。私には性に合わん」
カミュエルは冷たく微笑してして応える。
謎の女「すでに特使と副使の人選は終了しています」
カミュエル「ご苦労だった」
謎の女「いよいよこれから始まるのですね?」
カミュエル「これから彼らには修羅の如き戦いの日々が待っていることだろう。
しかし地球の戦士たちにはそれでも地を這ってでも戦い抜く孤高の戦士たちと
なってもらいたいのです」
ついに本格的に動き出したヒーロー統合組織の設立計画。
果たして地球に向けて派遣される特使の顔ぶれとは!?
そしてそれを迎え入れる地球側は!?
次回へと続く!
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○ハーリン王子→エリオス選出の星間評議会議員を務めている。
○ヌマ・O→ハーリン王子と会話。
○トクガー15世→星間評議会の最高議長後見職を務め、ユーガー王子を補佐している。
○ユーガー王子→星間評議会の最高議長を務めている。
△謎の仮面の女→ランペルージ性を名乗っている。果たしてその正体は?
△ジュリアス・カミュエル→星間評議会の高等弁務官に就任。
【今回の新規登場】
○楯隼人=ハーリン王子(未来ロボ ダルタニアス)
地球で暮らしていたエリオスの王子で、楯剣人の父。
性格は息子・剣人と違い、理知的で穏やかだが、江戸っ子である養父に育てられたためか
気風がよく庶民的な一面も持つ。宿敵であるザール星間帝国のドルメン大帝の死をきっかけとして、
エリオス帝室はあえて再興させず共和制とした新しい理想の国作りをする決意する事となる。
○スマ・O(特捜戦隊デカレンジャー)
鳥のような頭を持つホルス星人。環全宇宙の警察機構を統率する宇宙警察長官。
非常時には宇宙警察本部庁舎である黒いデカベースクローラーを指揮して前線に出ることもある。
○トクガー15世(最強ロボ ダイオージャ)
51の惑星を支配する星間国家連合イプロン系を治めるエドン国の国王。
エドワード・ミト王子の実父。
○ユーガー王子(宇宙魔神ダイケンゴー)
銀河連盟の主星エンペリアスの第三王子で、ライガー王子の弟。
兄とは正反対でおとなしく実直な少年だが、正義感は兄にも引けを取らない。
最終決戦では銀河連盟軍を指揮し、宇宙嵐に守られたマゼラン星への突破口を開くなど活躍した。
△謎の仮面の女(???)
星間評議会高官ジュリアス・カミュエルに仕える女性の首席秘書官。常に醜悪な悪鬼の顔が模られた鉄仮面で顔を隠しており、
その素顔は誰も見たことがない。仮面に備わっていると思われる変声機で、話す声も加工された音声を発する。
淡い桃色の腰まであるウェーブのロングヘアが特徴。外見や背格好からして年齢は16歳前後と推測される。
その漂う気品からして、どこかの国の皇女だったのではないかとも言われるが…?
△ジュリアス・カミュエル(闘争の系統オリジナル)
星間評議会の高官。平和主義者として知られ、穏やかなる指導者とも呼ばれる。
理解と行動力のある優れた手腕を持つ政治家・外交官として、星間評議会全体から信頼されており、
周囲からの人望は大変厚い。摂理の党団と呼ばれる政党を率いている。また優秀な科学者でもあり、
やがて時空クレバスを制御・利用するディオドスシステムや、不死の敵をも倒すアンデッドキャンセラー等、数々のテクノロジーをもたらすことになる。しかしその前身は全く謎に包まれている…。
最終更新:2021年01月07日 06:02