スレ>>264
弱気な自分を変えたい。ここで働こうと思ったのはそれが理由だった。
守られてばかりではいられない。もっと人の役に立てるようになりたい。
でも上手くいかなかった。ミスをする。急にお客さんに声をかけられると、心臓がばくばくする。
カップを割ってしまったのも一度ではない。
そんな私にも先輩は優しく声をかけてくれた。許してくれた。好きだといってくれた。
もっと、強くなりたい。
「や・・・」
つながった唇に一本の橋がかかっていた。それがしずくに形を変え、床にぽたりと落ちる。
「先輩・・・」
彼が頭をなでてくる。下に見られたり可愛がられたりするのは好きじゃない。
でも今は不快な思いがこみ上げてくることも無かった。
外で車の音がした。ドアの閉まる音がそれに続く。
店長!? 二人顔を見合わせた。
急に恥ずかしさがこみ上げてきてつい彼を突き飛ばしてしまっていた。
「ただいま。あれ、どうした?」
「何でもありませんっ!」
彼女が顔を赤くして逃げ出していく。いいところだったのに。
店長が疑惑の目を向けてきた。俺は悪いことはしてないはずだ。多分。
「おい。」
「なんですか?」
出来る限り平静を装って答えた。そもそも床に倒れてるし、どうにも言い訳は出来ないのだが。
「相手の承諾とゴムは必要だぞ?」
「アンタ何言ってるんだ!」
最終更新:2008年05月13日 08:58