モラシー(Morathi) - WARHAMMER 資料集

「彼らはお前を裏切るだろう、我が息子よ。今に始まったことではないがな。
あの者たちの始末は私に任せておくがよい。」

全てのエルフはかつて一つであり、彼らの楽園のウルサーンで平安に生きていました。ですが幸福な時代は長く続きません。
デーモンが来襲し、アイナリオンはそれらを打ち破るために大胆に前へ進み出ました。彼はこの上なく偉大な英雄ですが、カインの剣を抜いたことによって破滅が運命付けられました。

〈大渦動〉が創り出されてデーモンは駆逐されたものの、この勝利は後に続く悲劇の始まりに過ぎませんでした。
アイナリオンの血を引く者によって、エルフという種族そのものが二つに引き裂かれてしまったのです。
内戦が勃発し、ダークエルフ - 正確にはドリューキ - は戦争と殺戮の中で誕生しました。
〈訣別〉と呼ばれる破局から既に数千年が経過しましたが、この悲劇を引き起こした者は未だ生きているだけでなく、全ての支配者の中で最も強大な存在の一人になりました。
アイナリオンとの間にその子マレキスを儲けたのがグロンドの魔女王、モラシーです。

モラシーはアイナリオンの二番目の妻です。彼は美しい容貌を持った女占術師をスラーネッシュの信奉者たちから救い出し、伝説に言われるように二人はすぐに恋に落ちました。
この時からエルフたちはモラシーという忘れ難い名を記憶に留めるようになったのです。
間もなく二人の間には男の子が生まれましたが、モラシーはただの母親ではないことを明らかにしました。
暗黒魔法を操って魔力の調和を乱したのは彼女であり、ウルサーンに悦楽の教団を組織したのも彼女です。
そして不和の種を蒔き育て、マレキスの信奉者たちにウルサーンに対する戦いを準備させました。

今日までモラシーはかつての同族に畏怖され、また憎悪されています。魔呪の王は母親の行動に干渉せず、彼女は自分自身の目的を成就させるべく術策を巡らせています。
誘惑と暗殺は彼女が最も好む武器ですが、戦争が不得手なわけではありません。
この千年の間に悦楽の教団の影響力は盛衰しましたが、しかし常にモラシーの掌中に留まっていました。
そしてマレキスが母親に昔からの根拠地であるグロンドからクィンテクスの古代都市に移るよう命じた時も、彼女の支持者たちは準備を整えて時機を待っていたのです。