名鉄瀬戸線は、愛知県名古屋市東区の栄町駅から、同県瀬戸市の尾張瀬戸駅までを結ぶ
名古屋鉄道の路線である。
特徴
名鉄唯一の孤立路線
なんといっても、他の名鉄の路線とつながっていない孤立した路線であることが挙げられる。栄町駅から西に進めば
名古屋本線が通る名古屋駅、南に進めば同じく名古屋本線が通る金山駅、途中の大曽根駅から少し東に進めば
小牧線からつながる上飯田線が通る平安通駅があるが、そのいずれにも名鉄ではなく地下鉄の路線が延びている。
これにより、瀬戸線沿線から名鉄一本で名駅や金山まで行けないことや、一部のきっぷが発駅の対象外になるなどのデメリットがある反面、1路線でダイヤの乱れがあるとほぼ全線にわたり遅れが波及しやすい名鉄の路線の中でも全く影響を受けないというメリットがある。瀬戸線が滅多に運休しない最強路線と呼ばれることがあるのはこれが故であろう。
地下鉄のような運用
瀬戸線のダイヤは、詳しくは後ほど述べるが単純なものであり、4000系(もしくは3300系)4両固定編成が栄町~(喜多山・)尾張旭・尾張瀬戸を行き来するだけというものである。他路線との直通や増解結、途中駅での種別変更などは全くない。また、平日朝ラッシュ・夜間は普通のみの運行になる。
幅が狭い駅が多い
瓢箪山駅を始め、ホームの末端部等が異様に狭く黄色い線の内側に下がるのが困難な場所がある駅がいくつかある。
路線・各駅紹介
栄町~大曽根
名古屋の中心部に向かう区間。同区間は全線が高架もしくは地下構造になっており、踏切は1つもない。栄町乗り入れ前は清水から西は「お堀電車」と呼ばれる名古屋城の外堀を通り堀川駅へ行っていた。
同様の区間を
地下鉄名城線が通っており、また
中央線沿線~栄間の移動は千種で
地下鉄東山線に乗り換えるルートが使われることが多いため、それらに比べるとやや影が薄い。なお、本数は名城線のほうが多いが運賃及び所要時間は瀬戸線のほうが優位に立っている。
隠れた名古屋城の最寄り駅。名古屋の中心にあるにもかかわらず少し前までは薄気味悪い雰囲気が漂う駅だったが、バリアフリー化とともに明るくなった。
国道41号沿いにある駅。改札口は歩道橋と一体化されており、地上~改札口へのエレベータはあるが改札口~ホームへはない。
車内放送のイントネーションが「し
みず」となっている。
『
SAKUMACHI商店街
』の西端。
高級住宅街・白壁の北側にある駅。金城学院中学・高校及び市立工芸高校があり平日の朝夕は学生で賑わう。
『
SAKUMACHI商店街
』の東端。
国道19号沿いにある駅。かつてはこちらのほうが大曽根の中心だった。徳川園の最寄り駅。
大曽根~喜多山
守山区内を走る区間。矢田~守山自衛隊前間は名鉄最急のカーブを含む連続カーブ区間でさほど速度が出ない。
名古屋市内で唯一地下鉄が通っていない守山区(特に南部)へのメインルート。
隠れたバンテリンドーム最寄り駅。ただし周囲は住宅地なので非推奨。
かつての守山の中心。名前の通り目の前に陸上自衛隊守山駐屯地がある。
乗り換え : ゆとりーとライン(守山駅)
ホームが狭い瀬戸線の駅の中でも一番狭いとされる駅。下りホームは4両分あるホームの全ての幅が黄色い線の内側<外側という有様。改札口すらも特殊な運用となっている。
守山区役所の最寄り駅で、現在の守山区の中心。駅併設の「アクロス小幡」をはじめ各種施設が集積している。
現在高架化工事中の駅。かつて検車区があり、現在も乗務区がある関係で下り平日朝1本と最終は当駅が終着、朝には当駅始発の栄町行及び尾張瀬戸行がある。
喜多山~尾張旭
名古屋市から郊外の尾張旭市に抜ける区間。印場駅やや西側の東名高速道路をくぐるあたりが市境。
その名の通り、金城学院大学のすぐ南側にあり、朝夕は学生で賑わう。名鉄の駅で最も長い駅名をもつ。
駅舎にはかつてグリーンシティケーブルテレビの本社があったが現在は尾張旭駅前に移転している。
尾張瀬戸寄りが急なカーブとなっておりホームと電車の間にかなりの隙間があるため乗降には要注意。このカーブでは1948年1月5日に脱線転覆事故が発生し多数の死傷者が出た。
かつて廃止された駅が復活する形で1995年に開業、瀬戸線で最も新しい駅である。
尾張旭市内だが名古屋市営バスと乗り換えができる最東端の駅で、東山線藤が丘駅からのバスなどに乗り換えができる。
…ごめん、これといった特徴がないような気がする。
戦前は聾石駅という名前で今とは違う場所にあった。今もそのままの名前だったら色々問題になったかも。
尾張旭検車区がある運行上の拠点駅で、栄町方への折返しや検車区への入庫に使われる中線を含む2面3線の構造になっている。朝夕を中心に当駅発着列車が設定されている。
付近は尾張旭市役所や図書館・体育館などが密集する同市の行政の中心地となっている。
尾張旭~尾張瀬戸
尾張旭市と瀬戸市を結ぶ郊外区間。三郷駅東側のカーブ付近が市境である。
森林公園の南側に位置する。付近にはイトーヨーカドーやヤマナカなどがあり乗降客数は尾張旭駅よりも多い。
平日朝に3本当駅始発の栄町行が設定されている。かつては東側に渡り線があった。
駅がカーブ上にありホームと電車の間にかなりの隙間があるため乗降には要注意。
特徴的な車内放送に定評があり、駅名読みのイントネーションが「みずの」である他、かつて「駅からダッシュで14秒」という宣伝文句を使い全国放送の番組に取り上げられたこともある歯科が所在する。
愛知環状鉄道と交差する場所に位置する。周辺はバローや瀬戸信用金庫本店があり陶生病院にほど近いなど、その名の通り瀬戸市の新たな市街地として発展している。
乗り換え :
愛知環状鉄道(瀬戸市駅)
瀬戸市役所の北にあり陶生病院への連絡通路がある。
ホームが狭くさらに駅がカーブ上にありホームと電車の間にかなりの隙間があるため乗降には要注意。
瀬戸線の終着駅で、古くからの瀬戸市の市街地にある。旧駅舎は長年に渡り使用され続け瀬戸線とともに陶都として発展した瀬戸のシンボルともなっていたが老朽化により解体。現在は瀬戸蔵ミュージアムの一角に在りし日の旧駅舎が再現されたコーナーがある。
直結するような形で公共施設や飲食店、コミュニティFM局「RADIO SANQ(尾張東部放送)」のスタジオなどが入居しバスターミナルを有するパルティせとがあり、実質的に駅ビルの役割を果たしている。
ダイヤ
すべての列車が追い抜きや通過待ちをせず、終点まで先着する。
日中は全線運行の準急2本、普通4本のパターンダイヤとなっており、普通が15分間隔、準急が30分間隔となっている。
平日朝は普通と準急が交互に運行されたのち、普通のみ喜多山~栄町間4~5分間隔で運行する平行ダイヤとなっている。
平日夕夜は上りが急行と普通、下りが準急と普通の交互運行となり、すべての列車が全区間運行となる。上り急行は22時台まで、下り準急は20時台までで、以降は普通のみとなる。栄町24:00発最終は喜多山行きである。
休日夜は19時以降は普通のみ全区間運行となる。最終は平日同様。
急行
平日・休日問わず全列車が栄町~尾張瀬戸での運行。瀬戸線の再速達列車である。全区間所要時間は約30分。2021年5月のダイヤ改正により日中の運行がなくなった。
かつては水野・瀬戸市役所前を通過しており全区間で通過運転をしていたが、現在は尾張旭以東各駅停車である。
日中は尾張旭で当駅始発(上り)及び終着(下り)の普通に連絡する。
準急
平日栄町7:01発が尾張旭行きである以外は栄町~尾張瀬戸での運行。全区間所要時間は約32分。栄町10・40分発、尾張瀬戸08・38分発。
小幡以東各駅停車である。
本線系統に準急がなかった時代は、名鉄の路線で唯一の準急であった。
普通
日中は栄町~尾張瀬戸間で毎時4本運行される。全区間所要時間は約30分。栄町00・15・30・45分発、尾張瀬戸14・29・44・59分発。朝夕には栄町~尾張旭間運行の区間便も運行される。2021年5月の改正以前は日中にも運行されていた。
この他朝に喜多山→尾張瀬戸(全日始発1本、前日の最終列車を使用)、尾張旭→尾張瀬戸(平日1本)、三郷→栄町(平日3本、尾張瀬戸から回送)、喜多山~栄町(上り始発含む平日4本休日1本、下り平日1本全日最終1本)の区間便があり、最終列車は栄町→喜多山となっている。また、せともの祭り開催時には臨時列車として尾張瀬戸→尾張旭の区間便が数本運行される。
沿線施設
SAKUMACHI商店街
清水~尼ケ坂間の高架下にある商業施設。桜並木が連なる同区間に多種多様な店舗が軒を連ねて商店街を形成している。
2019年3月に尼ケ坂寄りのエリアが開業したのち、2020年3月に清水寄りのエリアが開業し両駅が同施設により繋がった。
ミュープラット大曽根(μPLAT OZONE)
2020年7月に開業した大曽根駅の駅ナカ商業施設。元々大曽根プラザという商業施設があった場所に高架橋の耐震工事とともに新たに建設された。
1階にファミリーマートやツルハドラッグ、ダイソーなど、2階(改札階)に飲食店がある構成。特に1階部分は近接するASTY大曽根(JR東海側の施設)やOZgarden(名古屋市側の施設)と一体化した商業エリアを形成している。
並行する路線
☆がついている路線は、ドニチエコきっぷや敬老パスなど名古屋市発行の各種乗車券が利用可能。
鉄道
名古屋市営地下鉄名城線☆
栄町~大曽根間で並行する。瀬戸線がほぼ中心を貫くのに対し、名城線は黒川経由とやや北に膨らんでいるため、同区間の運賃は瀬戸線のほうが10円安い。この2駅の他に市役所駅(地下鉄)と東大手駅(名鉄)は至近距離にあり、栄・大曽根~同駅間においても瀬戸線のほうが安くなっている 。
なお、本数は名城線が5分ヘッドの12本/hに対し、瀬戸線が全種別合わせて8本/hと名城線のほうが多い。
JR中央本線・愛知環状鉄道
大曽根~新瀬戸間で並行する。名古屋と瀬戸の間を結ぶ鉄道路線という共通点を持つ。一見すると瀬戸線が圧倒的に優位に立っているようではあるが、平日朝夕に名古屋~(高蔵寺経由)瀬戸口間の列車が設定されているように、対名古屋駅間で考えると多少遠回りでも乗り換えが比較的楽なこのルートも一定の利用はある模様。
運賃
- 名古屋~新瀬戸(瀬戸市)
- 中央線→(大曽根)→瀬戸線 : 610円
- 東山線→(栄)→瀬戸線 : 670円
- 中央線→(高蔵寺)→愛環 : 700円
ゆとりーとライン
大曽根~守山自衛隊前間で並行する。
バス
名鉄バス 本地ヶ原線(基幹バス)
栄町~尾張旭・尾張瀬戸間で並行する。基幹バスの内、瀬戸駅前行と尾張旭向ケ丘行は起点側と終点側で瀬戸線の駅と接続している。両系統ともに本数は1本/h程度と少なく運賃も割高であるが、名鉄バスの定期券が記録されたmanacaを土日祝ダイヤ運行時に使用すると100円(小児50円)と逆に割安で移動ができる。
名古屋市営バス 栄15号系統☆
栄町~大曽根間で並行する。同区間には前述の名城線も通っている上、本数も1本/hと少なく車道経由のため時間が掛かるものの、運賃は210円と一番安い。
同系統は中央線新守山駅まで運行されているため、うまく利用すれば安く乗り換えなしで栄~新守山間の移動ができる。
名古屋市営バス 曽根11号系統☆
大曽根~小幡・印場間で並行する。瀬戸街道沿いに完全に並行しており、同区間の全駅と接続が可能。瀬戸線では利用できないドニチエコきっぷや敬老パスなどが利用できるため、ある程度の棲み分けはできている模様。
小幡駅から北に向かう緑ケ丘住宅行と終点まで並行する印場駅行があり、各1本/h程度。
最終更新:2021年05月24日 20:00