「……マジリアリィーかよ?
人間とマシーンが、生き残りをかけたウォーの真っ最中って……」
「……ニューロリンカー、フルダイブ技術……そして加速世界か」
数分後。
三人は、己の境遇についてそれぞれ言葉を交わし合い……そして、大いに困惑していた。
ネオ曰く、人類と機械は互いの生き残りを賭けた全面戦争に突入しており、彼はマトリックスと呼ばれる仮想空間でその為に闘っている。
ガッツマン曰く、人類はネットナビと呼ばれる人工知能と共存しあい、日々の生活を支え合いながら生きている。
アッシュ・ローラー曰く、人類はニューロリンカーと呼ばれる端末を使い、生活の大半を仮想ネットワーク上で行っている。
更に彼は、ブレイン・バーストと呼ばれる加速世界―――本来加速世界の存在は秘匿せねばならないのだが、この状況下ではそうも言ってられない―――に身を置いているとの事。
お互いの持つ常識が、余りにもかけ離れ過ぎていたのだ。
まだガッツマンとアッシュ・ローラーの話には共通点が無くも無いが、ネオの話は明らかに異質すぎる。
そんな馬鹿な話、あり得る訳が無い……そう言うしかなかったが、しかし誰もそれを口にはしなかった。
三人ともそれぞれに嘘をつくメリットが無いし、何よりこの状況で嘘を言う様な相手達では決してないと理解しているからだ。
だが、それならば何故この様な事態が起きているのか。
「……自分にとっての常識が、他者にとっては非常識でしかなかった……か」
この事に対し、ネオは少し考えた。
彼には、今回のケースとはやや事情が異なるものの、似た経験をした事があった。
そう……マトリックスの中で目覚め、世界の真実を知った時だ。
それまで生きていた世界が仮初のモノであると知り、本当の世界が別にあると知ったあの時……
今の状況と、どことなく似ているのだ。
「……まさか……?」
その時、ネオの脳裏に思い浮かんだのはある仮説だった。
もし、あの目覚めの瞬間と同じ様に……自分達は、本当に異なる世界に呼び起こされたのだとしたら?
お互いの常識が違うのは、それは生きてきた世界が違うからではないのか?
何気ない日常のマトリックスと、人類と機械が戦争をしている現実世界とが異なっていた様に……
「……俺達の生きている世界そのものが、そもそも違っている……?」
ここに集められたのは……全く異なる世界から来た者達なのではないのか。
「え……おい、ネオ?
お前、そりゃどういう……」
「……無理のある考えなのは分かっている。
だが、逆にそう考えてしまえば辻褄が合うんだ。
俺達の常識は、違っていて当然なんだ……俺達はそれぞれが、違う世界に生きている存在なのかもしれない」
そう、ネオは気付いたのだ。
このバトルロワイアルに集められた者達が、世界を越えて集まっているという事実に。
かつてモーフィアスに全てを伝えられた時の様に……このバトルロワイアルがどういう場なのか、その答えを察したのである。
「……それって、つまり……あれか?
俺達はパラレルなワールドに生きてる者同士だが、この殺し合いの為に呼び出されたって……」
当然この答えに、ガッツマンとアッシュ・ローラーは驚くしかなかった。
あまりにも現実離れし過ぎているのだから、無理も無い事だ。
しかし……その一方で、また納得出来てもいた。
常識じゃ考えられない現象を見てきた事は、彼等とて今回が初めてではない。
何が起きてもおかしくはない非常識を知っている身としては、この様な驚きも初めてではないのだから。
「ああ……ずっと疑問に思っていたんだ。
この会場は、現実的な街並みもあればまるでファンタジー映画の舞台の様なエリアもある。
ウラインターネットの様に、あからさまにおかしい区域だって存在している。
こんな継ぎ接ぎだらけのマトリックスが、ありえるのかって……だが、それにも意味があったんだ。
恐らくこの会場は、それぞれの世界に関係している仮想空間を繋ぎ合わせている……俺達を呼びだしたのと同じ技術を用いてだ」
会場マップの出鱈目ぶりも、そう考えれば逆に意味を持ってくる。
自分達にとって親しい場所を敢えて会場内に設置する事で……参加者には、何かしらのリアクションが期待できる。
一見無秩序で乱雑な舞台にも、実はそういう意図があったのだ。
「何だか……色々ありすぎて、訳が分からないでガスよ……」
「まあ、それは俺も同じだ。
とりあえず今は、互いに世界が違う者同士が集まっているとだけ認識できていれば、良しとしよう……
それにおかげで、気付いた事もあるしな」
「気付いた事?」
ネオの言葉に、ガッツマンがオウム返しで質問をする。
どうやら彼は他にも、何かこのバトルロワイアルについて気付いている事があるらしい。
首を傾げて考えてみるも、自分達にはそれが何なのかが分からないが……その、直後。
ネオの口から出たのは、意外すぎる言葉だった。
「恐らくだが……ここはローラーがいた加速世界か、或いはそれに限りなく近いマトリックスなのかもしれない」
この殺し合いの舞台は、恐らく加速世界の一種じゃないのかと。
「なっ……ここが、加速世界だってのか?」
「そうだ……お前の話を聞いて気になった事があった。
ローラー、逆にここが加速世界じゃない普通の仮想空間だと仮定してみるんだ。
現実世界にあるお前の肉体は……もう何時間も、そのままなんだろ?」
「……あぁっ!?」
ネオの指摘を受け、アッシュ・ローラーは口元を押さえ驚愕の声を上げた。
そうだ、何故そんな単純な事に気がつかなかった。
自分はブレイン・バースト内にのみ存在する人格だから、今まで現実世界の事についてはそれほどまで深く考えなかったが……
もしこの殺し合いが開かれてから同じだけの時間がリアルで経っているとしたら、それは大事だ。
何せ、もし周囲に誰かしらの人がいるとするなら……
数時間もダイブしぱなしの己を流石に異常と見て、ニューロリンカーを引っこ抜いていてもおかしくはないのだから。
「そうか……それだけの時間をダイブしぱなしじゃ、幾ら何でも周りが怪しむ。
だが、ここが加速世界だとすりゃ……リアルでの経過時間は、マジショートでしかねぇ……!!」
「その通りだ。
主催側からすれば、殺し合いからの途中離脱は一番防ぎたい事実だろう。
そして、その為に打てる対策は全部で三つ。
まず一つ目が、俺達全員の身柄を何かしらの方法で拉致する事。
二つ目が、外部の人間に『途中で端末を切ろうとすれば死ぬ』と脅しを賭ける事。
そして三つ目が……加速世界で殺し合いを行う事で、外部から怪しまれるリスクを極端まで下げる事だ」
一つ目と二つ目の手段は非効率的すぎるし、外部側からの反発・抵抗が大いに考えられる以上、現実的な手段とは言えない。
ならばこの会場は、加速世界に設置されている可能性が極めて高いのだ。
「……すげぇな。
あれだけの会話で、よくそこまで気付けたもんだぜ」
「もっとも、もしかしたら他にも俺達の知らない何かがあるというケースも否定はできないがな……
これ以上は流石に、今は考えても分からなさそうだ」
そう言うと、ネオは軽く背を伸ばすと共に深呼吸をした
これ以上踏み込んだ考察をするには、今は推理材料が足りない。
ならばここからは、気持ちを切り替えて行動を再開するとしよう。
殺し合いを止める為にも、やらねばならぬ事は沢山あるのだ。
「ローラー、ガッツ。
今後の方針だが、変わらずにしばらくアメリカエリアを探索してみよう。
他所へ移動するにしても、まずはトリニティを倒した敵を倒してからだ。
そいつがゲームに優勝するつもりなら、これからアメリカエリアで起こるイベントは……これ以上無い物になる筈だ」
【G-9/アメリカエリア/一日目・朝】
【ネオ(トーマス・A・アンダーソン)@マトリックスシリーズ】
[ステータス]:健康
[装備]:エリュシデータ@ソードアートオンライン
[アイテム]:基本支給品一式、不明支給品0~2個(武器ではない)
[思考・状況]
基本:本当の救世主として、この殺し合いを止める。
1:アッシュ・ローラーとガッツマンと共に行動する。
2:トリニティを殺害した者を見つけ出し、この手で倒す。
3:ウラインターネットをはじめとする気になるエリアには、その後に向かう。
4:モーフィアスに救世主の真実を伝える
[備考]
※参戦時期はリローデッド終了後
※エグゼ世界及びアクセルワールド世界についての情報を得ました。
※機械が倒すべき悪だという認識を捨て、共に歩む道もあるのではないかと考えています。
※このバトルロワイアルには、異なる世界の者達が呼ばれているのではないかと推測しています。
※この会場は、加速世界の一種に設置されているのではないかと考えています。
【ガッツマン@ロックマンエグゼ3】
[ステータス]:健康
[装備]:PGMへカートⅡ(7/7)@ソードアートオンライン
[アイテム]:基本支給品一式、転移結晶@ソードアートオンライン、12.7mm弾×100@現実、不明支給品1(本人確認済み)
[思考]
基本:殺し合いを止める為、出来る事をする。
1:アッシュ・ローラーとネオと共に行動する。
2:トリニティを殺害した者を見つけ出し、この手で倒す。
3:
ロックマンを探しだして合流する。
4:転移結晶を使うタイミングについては、とりあえず保留。
[備考]
※参戦時期は、WWW本拠地でのデザートマン戦からです。
※この殺し合いを開いたのはWWWなのか、それとも別の何かなのか、疑問に思っています。
※マトリックス世界及びアクセルワールド世界についての情報を得ました。
※このバトルロワイアルには、異なる世界の者達が呼ばれているのではないかという情報を得ました。
※この会場は、加速世界の一種に設置されているのではないかと考えています。
【アッシュ・ローラー@アクセル・ワールド】
[ステータス]:HP100%
[装備]:ナイト・ロッカー@アクセル・ワールド
[アイテム]:基本支給品一式、不明支給品0~3(本人確認済み)
[思考]
基本:このクレイジィーな殺し合いをぶっ潰す。
1:ネオとガッツマンと共に行動する。
2:トリニティを殺害した者を見つけ出し、この手で倒す。
3:何が原因で殺し合いが起きているのか、情報を集めたい。
4:シルバー・クロウと出来れば合流したい。
5:ガッツマンを兄貴分として支えていく。
[備考]
※参戦時期は、少なくともヘルメス・コード縦走レース終了後、六代目クロム・ディザスター出現以降になります。
※最初の広場で、シルバー・クロウの姿を確認しています。
※マトリックス世界及びエグゼ世界についての情報を得ました。
※このバトルロワイアルには、異なる世界の者達が呼ばれているのではないかという情報を得ました。
※この会場は、加速世界の一種に設置されているのではないかと考えています。
※バトルロワイアルを終えた後、加速世界を去り自ら消滅する事で綸を救おうと感がています。
最終更新:2013年11月05日 13:08