Quintessa(2012年3月訪問)
ここはメールで予約する時点から対応が丁寧で、実に安心感があった。テイスティングは、ツアー込みで65ドルと中々のお値段。テイスティングするのは自分1人だが、妻と子供も連れて行ってもいいかと尋ねると、家族もツアーに同行しても構わないとのこと。それでいて、試飲するのが1人だけなら料金は1人分で構わないとのことで、有難かった。
Pride Mountainじゃ、妻の分まで取られたからなぁ…。
予約した時間にワイナリーの中へ入っていくと、ワイナリーの方が1人アテンドについてくれて、ツアーが始まった。
まずはちょっと散歩がてら畑を見る。丘を登ると、眼下にはどーんと大きい池がある。ここで経営者の哲学について説明を受ける。敷地の半分くらいは自然のままにしてあって、葡萄を植えていないらしい。なんとも贅沢な話だ。
Quintessaは毎年1種類のワイン、すなわち”Quintessa”しか造らないらしいのだが、葡萄品種のブレンド比率は毎年変えるそうだ。ワイナリーの方曰く、「目指しているのは、葡萄ではなく、土地を表現すること」なのだそうな。
次いで、醸造・貯蔵設備を見学。完全にグラヴィティ・フロー方式でポンプを使わずに生産できる仕組みに感心。
↑地下の醸造タンクに、地上から投下された葡萄を送るシュート
その後、カーヴを見学。幻想的な雰囲気を醸し出すオブジェは、表面に水が流れていたが、これもカーヴ内の湿度を保つためにやっているのだそうで、伊達ではない。ひんやりしていたが、空調は全く使っていないとのことだった。
最後に、いくつかの椅子やテーブルが並べられた部屋で、座ってテイスティング。飲ませてもらったのは、2006~2008年の”Quintessa”。3つのグラスで、Side by Sideで飲ませて貰える。
しばらく飲んだところで、チーズを出してくれた。チーズは3種類、それぞれ牛、羊、ヤギの乳からできたもの。全組み合わせを試すのが楽しかった。
2008 Quintessa
甘酸っぱい香りが、素晴らしくエレガント。味は軽やかで、酸味が主体。苦味もまだ強く、まだ若いなという感じ。牛のチーズと合わせると、苦味が消えてチャーミングな味わいに。羊のチーズは旨味がしっかりしていて、これがワインをますますチャーミングに感じさせる。ヤギのチーズは固くてミルキー、ちょっと土の風味が感じられ、ワインと合わせてみてもやはりその風味は残っていた。
2007 Quintessa
深い甘さのある香り。味は重すぎず、エレガント。ただ苦味はやまりまだ強いか。牛のチーズと合わせた印象は2008年ヴィンテージと同様。羊のチーズと合わせたときは、エレガンスが引き立ち素晴らしかった。ただ、アフターにはやや苦味も感じた。ヤギのチーズと合わせたとき、不思議とチーズ由来の土の風味が気にならなくなっており、またワインのアフターに感じていた苦味も感じなかった。相性が良いということなのかも?
2006 Quintessa
甘くもあるが、2007よりも酸の鮮やかな印象を備えた香り。口当たりにはスーッと軽やかな甘さが感じられ、それが苦味と一体となってエレンガントな感じに。牛のチーズは2008や2007と同様。羊のチーズも素晴らしく、2007に比べるとアフターの苦味も気にならない。ヤギのチーズでは、キュートな甘酸っぱさのみが口の中で協調される感じ。
全体的に、チーズと一緒に飲むと、ワインの苦味が和らぐように感じた。ワイン単体で飲んだときには「まだちょっと若いかな?」と思われたものも、チーズと合わせることでぐっと美味しく感じられる…要するに、チーズと合わせたQuintessaめちゃウマ。
アテンドしてくれた人に、Quintessaの適切な飲み頃は何年ぐらい経った頃か、と質問すると、「それは、fruityさを好むかearthyさを好むかによる」との回答。
「フルーティなのがよければ5年くらいで飲むのがいいが、土っぽい(earthyな)感じがよければもっと熟成させた方がいい。ちなみに、今のところ自分はフルーティな味が好きだが、将来はわからない。ヨーロッパの人は土っぽいワインを好むようだ。」
とのこと。
この意見は大変参考になった。「飲み頃」も人それぞれというわけだ。何を飲むか、のみならず、いつ頃飲むか、という問題についても、権威ある人の意見に盲従すべきではないのだろう。
さらに、その後白ワインも飲ませてくれた。
2010 Illumination
ソーヴィニヨン・ブラン主体のブレンドらしい。そう、Quintessaは”Quintessa”しか造っていないと思っていたのだが、どうやら違ったようだ。甘酸っぱい香りで、チリチリとわずかに炭酸が残っており、仄かな甘さと爽やかな酸があって、全体としては瑞々しくドライでさっぱりした感じ。
そんなこんなで、Quintessaでのツアー&テイスティングが終了。お値段はそれなりだったが、スタッフが1名つきっきりでアテンドしてくれて、ゆっくりと施設内を見てまわることができたので、大変満足した。
なお、このQuintessaについては、
Cardinaleと同様、ナパのワイナリーについて調べているときに知ったわけだが、このQuintessaを褒めているサイトは、同様にCardinaleを褒めていることが多かった。考えてみると、確かに似ている部分はある。いずれのワイナリーも、造っているのは(基本的に)1種類の高級赤ワイン(カベルネ・ソーヴィニヨン主体のブレンド)だけだし、ワインもテイスティングも値段が高い。ただ、今回の自分の満足度について言えば、Quintessaの方が上かなー(Cardinaleでは、悲しい勘違いがあったこともあり)。
最終更新:2013年05月19日 23:41