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大化改新
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大化改新
朝河 貫一 (著), 矢吹 晋 (翻訳)
内容(「MARC」データベースより)
大化改新と明治維新。ふたつの大革命には、実は密接なつながりがあった。藤原氏の栄華、武士政権の誕生は、大化改新の成功なくしてはありえなかった。朝河史学の出発点となった名著を初めて邦訳。オリジナル英文も同時収録。
明治時代に書かれた大書。大化の改新=中国王政の輸入。在来権力との整合を果たしたのは何と明治維新。
2008.1
原文は英語。学位請求論文です。日本史なんてもんを研究しようと思ったらアメリカでやるしかなかった時代だったんですかね。現在の学者さんが改めて日本語に訳しておられます。読み物としては非常につらい。忍耐力が必要です。編集者が入ったのか入らなかったのか、或いは研究論文とはそうしたものなのか。兎も角、内容・言葉遣いともに論文調(あたりまえ)であります。
内容そのものは興味深いもので
- 或る意味では名高い、古事記と日本書紀の齟齬問題について徹底的に検討
- 当時の中国の政治状況を分析。中国の制度と大化改新で導入された制度との対応を明らかにしている。
- 中国における王権・諸勢力・民衆の関係(中国の民衆が政権に無関心な背景、とかもあって興味深い)
- 大化改新前後の日本の王権・諸勢力・民衆の関係がどう変わったか
最終的には、
- オオキミの権威が崩壊するのを防ぐため、中国の王政を或る意味無理矢理、日本に移植したが、上からの革命であったため在来の諸勢力の権力は残り、その後、「天皇」と俗世権力が分離したまま歴史が展開した。
- これらが統合されるのは第二の革命である明治維新である。
という主張をしています。ただし2.については深くは検討せず宣言に留まります。
私は現在の日本はまだ2.に至っておらず、主権・諸勢力・民衆が完全に一体にはなっていないような気がします。どちらにしても「何で分離したの?」と言われれば「大化改新が中途半端だったから、或いは志半ばのままだから」という本書の指摘以外に納得できる説明を他に知りませんし、説明しようとしている文に出会ったこともありません。皆さんはどう思われますか?
なお、訳者あとがきに指摘があり、よーく読むと、
- 古事記と日本書紀の齟齬があることに着目して、大化改新そのものが捏造だったと考える人がいるかも知れないが、それは間違いである。
と釘が刺してあるそうです。
- 詳細
- 単行本: 647ページ
- 出版: 柏書房 (2006/06)
- ISBN-10: 4760129456
- ISBN-13: 978-4760129454
- 発売日: 2006/06
- 商品の寸法: 21.2 x 14.8 x 4.8 cm