響きライブラリー
侍の価値観
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書籍ライブラリ
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叢書「世界認識の最前線」
名誉と順応
―サムライ精神の歴史社会学
池上 英子 (著), 森本 醇 (翻訳)

内容(「MARC」データベースより)
命を懸けたサムライの真実とは? 赤穂四十七士、葉隠武士、維新の志士たちを駆りたてた情念の秘密を解き明かす、衝撃の日本社会論。
- 目次
- 社会学的アプローチ
- サムライの起源と暴力
- 解体と再編成
- 徳川国家形成の逆説的特質
- 名誉と暴力の変容
- 臣下官僚制における名誉の分極化
- 名誉型個人主義と名誉型集団主義
- 詳細
- 単行本: 414ページ
- 出版社: NTT出版 (2000/03)
- ISBN-10: 4757140169
- ISBN-13: 978-4757140165
- 発売日: 2000/03
- 商品の寸法: 21 x 15 x 3.2 cm
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姉妹編
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美と礼節の絆
日本における交際文化の政治的起源
池上 英子

分断された「士・農・工・商」が「美」によって絡み合っていく過程。共通イメージとしての「日本」の誕生。
出版社/著者からの内容紹介(以下同様)
- 連歌や俳諧、茶の湯、歌舞伎、出版……。あらゆる階層の日本人の魂を深く鍛えてきた近世日本の伝統文化。
日本人や、日本に興味のある人なら、俳句、茶、歌舞伎…それぞれに有名人やキーワードの一つや二つは言えるだろうと思います。自分で楽しんでおられる方も多いでしょう。本書では主に江戸時代にこれらの趣味趣向がどのように民衆に広がっていき、人々がどんな様子で楽しんでいたかをありありと描き出しています。まるでテレビでも見ているかのように情景が再現されていくので、傍で「見ている」読者まで楽しくなってくるくらいです。「こんなに盛り上がってたのか」と知らなかったことばかりで驚きつつも楽しいエピソードが満載。
- 前著『名誉と順応』でサムライ文化の歴史社会学的分析で話題を呼んだ著者が、今回は「ネットワーク」と「シヴィリティ=市民的礼節」をキーワードに、美という結節点が如何にして市民的交際と礼節の文化を生み出し、それが日本人の政治意識やアイデンティティーにまでも深く影響を与えてきたかを分析する。
そんな人々が知らず知らずのうちに俳句なら俳句、歌舞伎なら歌舞伎を通じて、身分や藩を超えて直接間接に触れ合うことで、結果として生まれた「緩い結合」は、歴史の表舞台には出てこないが、意識の奥深いところで「日本」を規定していると著者は主張しています。この辺りの話では急にカタカナ用語が多くなり、ちょっと端折りすぎの観がありますので賛否はあるかと思います。しかしながらそれを補って余りあるのがそもそもの論点であります。
そもそも様々な地域に様々な集団が住んでいた日本で、また近世まで確固とした身分制が敷かれていたにも関わらず、日本という文化の一体性が信じらるのは何故か。全国的に共有されている日本の美というイメージ。それが出来上がっていくプロセスを画くことで「日本」とは一体何を意味しているのかが分かるのではないか。
そして著者は「日本」という一体のものが生まれたのは「幸せな偶然」だったと言います。美しい日本は必然的に、生まれるべくして生まれたとは言いません。その価値について著者は何も明言しませんが、私は「偶然」であればこそ「幸せ」だし、文字通り有り難いことだと感じます。少なくともそう感じるに値する何かがあったのだと思える一冊。
そもそも様々な地域に様々な集団が住んでいた日本で、また近世まで確固とした身分制が敷かれていたにも関わらず、日本という文化の一体性が信じらるのは何故か。全国的に共有されている日本の美というイメージ。それが出来上がっていくプロセスを画くことで「日本」とは一体何を意味しているのかが分かるのではないか。
そして著者は「日本」という一体のものが生まれたのは「幸せな偶然」だったと言います。美しい日本は必然的に、生まれるべくして生まれたとは言いません。その価値について著者は何も明言しませんが、私は「偶然」であればこそ「幸せ」だし、文字通り有り難いことだと感じます。少なくともそう感じるに値する何かがあったのだと思える一冊。
時代劇を観るつもりでダラダラ読もう
そ、そんなに凄い本だったんですか。
なお、原文は英語。著者自ら翻訳しています。日本ではあたりまえのことも敢えてそのまま残す一方、日本では一般的でない用語などについては補筆したために「かなりの分量」(568ページ)になってしまったそうですから、ちょっと論旨がボケたところもあるのかもしれません。そのかわり親切な語り口になってますので手にとってしまえば意外とスイスイ読み進められます。
なお、原文は英語。著者自ら翻訳しています。日本ではあたりまえのことも敢えてそのまま残す一方、日本では一般的でない用語などについては補筆したために「かなりの分量」(568ページ)になってしまったそうですから、ちょっと論旨がボケたところもあるのかもしれません。そのかわり親切な語り口になってますので手にとってしまえば意外とスイスイ読み進められます。
- ジュンク堂NTT出版フェアにて偶然手に取り購入。
- 目次
- 美と交際文化の政治学
- 美の国日本と徳川ネットワーク革命
- 市民社会なき市民的礼節―比較論的概観 ほか
- 結社の政治学と美のパブリック圏
- 美のパブリック圏の中世的起源―自由をめぐる儀礼のロジックと連歌
- 中世後期における座の芸能の変容―ヨコの組織原理対タテの組織原理 ほか
- 市場と国家とカテゴリーの政治学
- 浮世からのプロテスト―ファッション・国家・ジェンダー
- 徳川の商業出版とプロトモダン文化 ほか
- 変幻する日本イメージ
- 美の国日本の誕生
- 詳細
- 単行本: 568ページ
- 出版社: NTT出版 (2005/7/9)
- ISBN-10: 4757141165
- ISBN-13: 978-4757141162
- 発売日: 2005/7/9
- 商品の寸法: 21.4 x 14.6 x 3.8 cm
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葉隠入門
三島 由紀夫
Amazon.co.jp
『葉隠』は、佐賀鍋島藩に仕えた山本常朝が、武士道における覚悟を説いた修養の書である。太平洋戦争時に戦意高揚のために利用され、それゆえ戦後は危険思想とみなされることもあったが、その世間知あふれる処世訓は、すぐれた人生論として時代を越えて読み継がれている。
本書は、『葉隠』を座右の書とする三島が、抜粋した名句からエッセンスを抜き出し、中核をなす「死の哲学」に解釈を加えたもので、『葉隠』の魅力と三島の思想が凝縮された1冊になっている。
武士といえども藩の組織人であり、彼らに説かれた処世訓は今の企業人にそのままあてはまるものが多い。トップの決断の仕方、上司や部下をうまく操る方法、立身出世の条件、リストラの仕方、仕事の優先順位の決め方などは大いに参考になるはずだ。また三島による「準備と決断」や「精神集中」などのエッセンスは、このノウハウが小手先から出たものではなく、並々ならぬ覚悟から生まれていることを教えてくれる。ほかに恋愛論や子どもの教育論などもあり、生活全般におけるユニークな視点を見つけることができる。
三島は『葉隠』を、死を覚悟することで生の力が得られる逆説的な哲学としてとらえている。「死という劇薬」が生に自由や情熱、行動をもたらすとし、それらが失われている現代の生に疑問を投げかけている。本書が書かれたのは三島が自決する3年前の昭和42(1967)年。三島を「行動」に駆り立てた思想の一端に触れることができるだろう。(棚上 勉)
武士道は生きている
2008.1
というのが、初刊本の副題です。この本で「 葉隠 」に興味を持って、現代語訳なんかを立ち読みしてみましたが、どうやら退屈な部分も多いのです。この「 葉隠入門 」の方が私は好き。
- 詳細
- 出版: 新潮文庫 (1983/01)
- ISBN-10: 4101050333
- ISBN-13: 978-4101050331
- 発売日: 1983/01
英訳も出ています
葉隠入門―The Samurai Ethic and Modern Japan
三島 由紀夫 (著), Kathryn Sparling (翻訳)
三島 由紀夫 (著), Kathryn Sparling (翻訳)
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耳袋
根岸鎮衛(著)
鈴木棠三(編)
鈴木棠三(編)
庶民派奉行がコツコツ書き留めた珍談・奇談
渡辺京二「逝きし世の面影」で、当時(江戸時代)の人の日記などが随所で引用されているんですが、当然ながらいずれも古書。その中から比較的手に入りやすいものを買ってみました。
根岸鎮衛は下級の御家人から勘定奉行にまで出世し、南町奉行を長年勤めた人。ワハハな話が満載の筈だったんですが、現代語訳無しなのがつらいところ。
wikipedia根岸鎮衛より抜粋
鎮衛の著として有名な耳袋(耳嚢)は、鎮衛が佐渡奉行在任中の1785年(天明5年)頃から亡くなる直前まで30年以上に亘って書き溜めた世間話の随筆集である。同僚や古老から聞き取った珍談・奇談が記録され、全10巻1000編もの膨大な量に及ぶ。内容は、公方から町人層まで身分を問わず様々な人々についての事柄などについてである。
下級幕吏出身のくだけた人物で、大岡忠相や遠山景元とはまた違った意味で講談で注目を集め、平岩弓枝の「はやぶさ新八御用帳」シリーズをはじめ、小説・テレビ時代劇で題材とされている。