一人にすぎない
&file=other-653.jpg あなたの”とくべつ”には
なれそうもない
あなたはあたしの”とくべつ”なのに
キッチンに立つあなたを今日も見つめる
あなたが入れてくれたコーヒーを飲むふりをして・・・
外は炎天下。太陽が休むことなく照らしている。
ここ何週間か雨が降ったためしがない。
何もすることのない船員達はみんな自由時間。
かちゃかちゃ。トントントン。
いい匂いとともに聴こえる音。
後姿がとても愛しい。
なんて本人にはとうてい言えない。
サンジの身のこなしはすごく優雅で、色っぽくて、かっこいいとか
ルフィーを叱るときのお兄ちゃんのような感じが好きだとか
ゾロと喧嘩してるときの子供っぽさがイイとか。
言いだしたらきりがない。
あたしだけの秘密。
・・・ナミとロビンは気づいてたけど。
サンジはとっても優しいから。
どんなことを言っても受け止めてくれる。
誰に対してもそうだから・・・いったい何人の女の人がこの人を
愛したんだろう。そんなことを思うと、あたしなんてそのなかの
一人に過ぎないんだなって・・・
ふうっとため息をつく。
「どうしました??」
「!!」
思わずびっくりしてコーヒーのカップをひっくり返してしまった。
「!!お怪我はありませんか?」
すぐにのもとに飛んでくる。
そしてテーブルの上のコーヒーを急いで拭く。
「ごめんなさい。サンジ。大丈夫よ。」
びっくりしたのとサンジが近くにいることで顔が火照る。
のみかけだったから量はすくなくて
すぐにテーブルはきれいになった。
「ごめんなさい。料理の邪魔しちゃって・・・」
あたしは本気であやまった。
サンジは笑いながら
「ちゃんはおっちょこちょいだなあ。
ま、そこがいいんだけどね。」
誰にでも言う台詞なんだろうけど、あたしは顔が真っ赤だった。
「ねえ、ちゃん。・・・こんなこと聞くのもなんだけど。
さっきのため息はゾロのせい?」
「!?」
そういえば昨日ゾロと喧嘩したんだった。
だってあいつあたしと戦いたいってばっかりいうんだもの。
「ちがっ」
「いつもゾロのこと見てるよね。俺と喧嘩してるときとか。
それにここからだとゾロがトレーニングしてるのだって見えるし。」
ちっがーーーう!!それはサンジを見てるの!!
心の中では言えるものの、なかなか言葉にできない。
「俺・・・いつも見てたんだ。ちゃんのこと。
だから・・・よく分かるんだ」
??いつも見てたって・・・
「俺・・・ちゃんのこと好きなんだ。」
「う・・・そ」
信じられる訳がなかった。いつも見てたのはあたしのほうなんだから。
それなのにサンジがあたしのこと好きだなんて。
「本当だよ。でもちゃんはゾロのことが・・・
「ちがうの!!」
あたしは夢中になって叫んでた。誤解されたくない。
「ちがうってなにが?」
「あたし・・・ゾロのこと見てたんじゃない。
いつもここに来るのだって・・・ゾロが見えるからじゃないの。」
「・・・サンジがいるからよ!!」
あたしの目から涙が流れた・・・言っちゃった。どうしよう・・・。
あたしは顔を背けた。
あたしの肩をサンジがつかむ。
「サン・・・
あたしの唇をサンジの唇が覆う。
「んっ・・・」
顔が離れる。あたしの心臓は止まりそうなぐらい高鳴る。
サンジが微笑む。
「俺達二人、一緒のこと思ってたんだね。」
その顔があまりにも可愛くて。
あたしはあたしはおもわずキスしちゃった。
「!!」
びっくりして照れてるサンジ。
「あ・・・そういえばちゃんから聞いてないんだけど。」
「??」
「!・・・いいじゃない。両思いって分かったんだから。」
「でもちゃんの言葉で聞きたい。」
もうだめ。おかしくなりそうなくらいドキドキしてる。
「・・・・・すき」
よろこびのあまり抱きつくサンジ。
「!!サンジ・・・」
あたしはあなたの”とくべつ”になれたのかな?
「「・・・だいすき」」
二人ともつぶやいた。