「三十分~パソコンの呪い~」
竹本光久
~第一章~
昌子は、いつものようにパソコンをやっていた。
メールが届いた。妙なメールだった。
画像が貼り付けられていた。
なんとその画像は、自分だった。
学校で、自分が倒れている画像─
数分後、昌子は忘れ物に気づき、学校へとりに行った。
昌子はこのとき、メールのことを忘れていたのだ。
でも、昌子はイタズラだろうと思っていて、気にしていなかった。
メールが届いてから、二十五分がたった。
もう暗くなっていたので、早く帰ろうと急いで階段を下りると、
『バタッ!!』
昌子は階段から、滑り落ち、頭を強く打って死んだ。
階段には、画像と同じ昌子がいた・・・。
~第二章~
警察の捜査では、「彼女の不注意」という結果だった。
昌子には親友がいた。
恭子だ。
恭子は親友の死に、驚いた。
昨日まで、あんなに元気だった昌子が死んでしまうなんて・・・。
そして、昌子のクラスメイトの和也のパソコンにメールが届いた。
昌子と同じような、内容だった。
画像には、車が移っていた。
よく見ると、車のかげに足が見えた。
「なんだよ。このメール・・・。」
一也は、親と一緒に車で電気屋まで行こうとしていた。
電気屋に向かっている途中突然、和也の乗っていた助手席のガラスが割れた。
そして引きずり出されるように、和也は車の外へ。
そして和也は、対向車にひかれて、死んだ。
メールがきてからちょうど、三十分後のことだった。
警察も驚いた。
同じ日に、二人も死者が出るなんて。
そんななか、この事件について捜査をしようとする人間が現れた。
~第三章~
捜査をしようと立ち上がったのは、奈々子だ。
奈々子は、東京のとある会社で働いている。
奈々子は、早速調査を始めたのだ。
恭子は、次の日も、その次の日も学校を休んだ。
そして恭子が家にいると、パソコンにメールが届いた。
恭子はパソコンを見た。
画像が貼り付けられているメールだった。
その画像にはなんと、恭子の母親の画像が。
すぐにそのメールを削除した。
しかし、メールはまた届いた。
恭子の母親は、メールが届いてから三十分後、転んだときに頭に釘が刺さって死んだ。
画像と、同じ格好で・・・。
~第四章~
奈々子は、恭子の家へ行った。
奈々子は最近身の回りで、変わったことはなかったか聞いた。
すると恭子は、
「変わったことといえば、先週神社の掛け軸が盗まれたんです」
「掛け軸?」
奈々子は掛け軸と、このメールは何か関係があるのか調べた。
そうしていても、四人目の犠牲者は現れた。
メールには、ビルの前で倒れている画像が貼り付けられていた。
頭からは血が出ている。
それは、俳優の吉川 一郎だった。
吉川は、テレビ番組の収録が終わって休んでいた。
いつの間にか、寝ていた。
起きた場所は、テレビ局の屋上。
吉川は、押されるように、ビルから落ちて死んだ。
メールが届いてから、三十分後に。
奈々子は、犠牲者が多すぎる。と思った。
奈々子は、あることを思い出した。
十五年前の事を。
~第五章~
十五年前の事、それはこの町で起きた連続殺人だ。
殺された人は、犯人が土に埋めて死体を隠したのだ。
しかし掘り出されなかった人間が一人いた。
まだ幼い子供だった、山本 竜太だ。
奈々子は、呪いだと思った。
竜太と掛け軸。
関係はあるのだろうか。
奈々子は調査を続けた。
そしてとうとう、五人目の犠牲者がでてしまった。
弥生だった。
パソコンの呪いを知っていた弥生は、画像に移っている場所には行かないようにしていた。
しかし、意味はなかった。
弥生は、何かに引きずられ海へと、落とされてしまったのだ。
やはり、メールが届いてから、三十分後のことだった。
犠牲者は、あと何人でればいいのか。
奈々子は、こんな呪いはもう終わってほしいと思っていた。
~第六章~
どんどんと、死んでいく人間を奈々子は放っておけなかった。
奈々子は助けようと思った。
だが、次の犠牲者は誰かわからないのだ。
メールが、届いてしまったのだ。次の犠牲者に・・・。
荻山 正志だ。
画像は、腕が切れている。
奈々子は、犠牲者にメールが届いているのも気づいていなかった。
今まで助かった人間はいない。
どんどん時間が過ぎていく。
残り十分奈々子は気づいていない。
情報が入るわけがないのだ。
残り五分になった。
正志は部屋の中にいた。
部屋の中が一番安全だと思ったのだ。
しかし無駄だ。
とうとう一分前。
そして正志は動きを止め、操られるように腕を横へ伸ばした。
そのまま腕が横へ行こうとする。
腕が抜け、正志は倒れた。
~第七章~
次の日に、奈々子は警察に行った。
「この事件をもっと調査してください!これ以上犠牲者を出したら、呪いは終わりません!」
しかし警察は、
「君は、そんな呪いとか信じているのかね?もう少し落ち着いて考えなさい。さあ、帰った帰った」
奈々子は追い出されてしまった。
家に帰った奈々子は、パソコンをやっていた。
すると、メールが届いた。
そのメールは画像だけが貼り付けられていた。
奈々子は驚いて、いすから転げ落ちた。
奈々子は走った。どんどん走った。
そして交番に行き、
「助けてください。私、死にたくないんです。お願いします。」
といった。
警察は何があったのかわからなかったが、交番に入れてやった。
どんどん時間が迫ってくる。
警察は、奈々子にお茶をすすめた。
奈々子はお茶を飲んだ。
時間が近づいてきた。
あと五分・・・奈々子は助かるのか。
~第八章~
あと三分。もうすぐ三十分がたつのだ。
奈々子はお茶を飲み、自分に落ち着こうと、言い聞かせた。
そして、とうとう時間が来た。
しかし何も起こらない。
一体何がおきたのか。
何もわからないまま、一日がたった。
次の日には、死体が発見された。
七人目の犠牲者だ。
死んだのは、本川 段吉だった。
本川の家のパソコンには、しっかりとメールが残っていた。
警察は、詳しい調査をやっと始めた。
奈々子は、調査した事を警察に言ってみた。
「十五年前の連続殺人で、掘り出されなかった竜太くんと、掛け軸の関係がわかったんです。」
「なんだって?」
早速奈々子は、調査の結果を伝えた。
この調査は、役に立つのか?
わからないが奈々子は帰った。
奈々子は時計を見てあわてた。
もう午前二時なのだ。
奈々子は布団に入り眠った。
~最終章~
次の日奈々子は、とあるビルへと向かった。
「金子電子科学研究所」
奈々子は、このパソコンの呪いについて話したのだ。
「このようなことは、科学的にもありえない話です。まあ、今日のところはもうお帰りになってください・・・」
といわれた。
こんなことが、小学校でも広まり・・・、
「なあ、パソコンもてっる?」
「やっべ、俺持ってる!」
「うわ~、メールくるぞ~」
こんな話をしているのだ。
教師は、「そんなことはありません。」といっていた。
次の犠牲者は、ある小学校の生徒だった。
やはり、その生徒は死んでしまった。
学校でもそのことをはなされた。
うわさはどんどん広まった。
もううわさは、日本中に流れたのだ。
一年後・・・
まだ犠牲者はでていた。
新聞や雑誌などにも、情報は書いてあった。
「36才男性死亡」
「中学生三人死亡」
犠牲者は、増えていくばかりだ。
金子電子科学研究所にもたくさんの、人が来た。
テレビ局でもこのことは報道された。
奈々子は、捜査を続けていた。
だが、結局なんのヒントも得られなかった。
呪いは、終わらない。だれもが思った。
しかし五年後には、もうメールが届くものはいなくなっていた。
その代わりに、郵便が届くようになっていたのだ。