主「三嶋、ちょっといいか?」
成「なんですか?」
主「いや、ゲーセンでぬいぐるみ取れたから三嶋にあげようかと思ってさ」
主「これなんだけど、いるかな?」
成「あ…かわいいです!」
成「いいんですか?」
主「ああ、俺が持ってても仕方ないしな」
成「ありがとうございます! 大切にしますね!」
主「どういたしまして、喜んでもらえて良かったよ」成「早速この子に名前付けてあげなくちゃ…」
成「あ、よろしければ○○先輩考えて頂けますか?」主「え、俺が?」
成「はい、お願いします」主「うーん…白い犬だから…」
主「よし! じゃあシロッケンってのはどうだ? カッコイイだろ!」
成「…やっぱり自分で考えます」
主「あれ? ダメなの? いいと思ったんだけどな…「」
成「決めました、この子の名前はアマンダです!」
主「(俺のとの違いがわからねえ…)」
「ん? あれって…」
休日に街をぶらついていると見知った後姿を見つけたので早足に追いかけてみる
「やっぱり三嶋か」
「あ…主人公先輩、こんにちは、です」
ちょこんと頭を下げる三嶋。礼儀正しいやつだ
「おう、こんにちは。珍しいな、外で会うなんて」
「はい、主人公先輩はどこかに行ってらしたんですか?」
「ちょっと暇つぶしにそこらへんをぶらついてたんだ…あ、そうだ」
今俺の手にあるゲームセンターの袋の中にはさっき取ったぬいぐるみがある
そして目の前には三嶋、三嶋と言えばぬいぐるみだ
「珍しく会った記念にこれをやろう」
そう言って袋を差し出す
「え? 何ですか」
三嶋は不思議そうに袋を見ている
「いや、さっきゲームセンターでぬいぐるみが取れてな、俺が持ってても仕方ないし」
そう言いながら袋からぬいぐるみを取り出す。白い犬のやつでよく出来ている。
「あ…かわいい」
「だろ?」
「でもいいんですか?」
「ああ、こいつも俺よりも三嶋に持っててもらったほうが嬉しいだろうし」
「ありがとうございます、大切にしますね!」
いつも大人しい三嶋だけど今はいつもよりも元気な感じだ。ここまで喜んでもらえるとこっちまで嬉しくなってくる
「早速この子に名前付けてあげなくちゃ…あ、よろしければ主人公先輩考えて頂けますか?」
「え、俺が?」
「はい、お願いします」
ぬいぐるみの名前か…ここはクオリティの高いのを考えて俺の偉大さをかわいい後輩にアピールしてやろう
白い犬だから……しろ……いぬ……しろ……けん……
「よし! じゃあシロッケンってのはどうだ? カッコイイだろ!」
うん、我ながら素晴らしいネーミングセンスだな。自分で自分の才能が怖いぜ!
「…やっぱり自分で考えます」
あ、却下されました
「あれ? ダメなの? カッコよくない?」
せっかく考えたので粘ってみる俺だが
「カッコよくないです」
三嶋に一刀両断されました。相変わらずハッキリとものを言うやつだ
「じゃあどんな名前にするんだよ」
「えっとですね……決めました、この子の名前はアマンダです!」
アマンダ? 何故にアマンダ?
「ぴったりの名前です」
いや、正直俺にはシロッケンとの差がわからないんだけど…
むしろシロッケンの方があってない? 白い犬だしさ…
「かわいいです。主人公先輩、本当にありがとうございました」
……まあ本人が気に入ってるんだしいいか、俺はシロッケンの方が絶対いいと思うけどね
「ところで三嶋よ」
「はい?」
俺は先程からの疑問を尋ねてみることにした
「その大量の荷物は何だ?」
そう、三嶋は紙袋を二桁近くぶら下げていた。小柄な三嶋が持って歩くには些か多すぎるんじゃないだろうか
「これですか? これはぬいぐるみです」
「ぬいぐるみ? これ全部?」
「そうですよ?」
いや、そうですよって…。三嶋さん、あなた一体いくつお買い上げになられたんでしょうか?
「いつも行ってるお店に新作が入荷してたので買ってきたんです」
嬉しそうに話す三嶋、本当にぬいぐるみが好きなんだろう
まあいくら好きでも限度ってものがあるんだけどね
「三嶋、少し買い過ぎなんじゃないか?」
「そんなことないと思いますけど……」
そんなことないって……駄目だ、ぬいぐるみに対する価値観が違いすぎる。三嶋にはこれが普通なんだろう、きっと
「まあいい、でもそんなにたくさん持って歩くのは大変だろ、配達してもらえば良かったのに」
「大丈夫ですよ、私こう見えて力持ちですから」
「あーはいはい、わかったからその荷物貸せ、運んでやるから」
「え、でも……」
躊躇う三嶋を余所に半ば強引に荷物を奪い取る
「あ……ありがとうございます」
「いいからほら、さっさと行くぞ」
男の俺でも結構重たいのに女の子の、それも小柄な三嶋にはもっと重く感じるだろう。世話の掛かる後輩だよ、まったく
ま、そんなところが可愛かったりするんだけどな
最終更新:2007年03月29日 02:49