大迫太平(おおさこ たいへい)は、男先生と呼ばれている。
男の先生が一人しかいないからそれで十分なのだ。
ボスっ
「男先生じゃないだろう。先生と言え。先生と」
(体罰だ!)
「ばかもん! 単なるいじめと叱っているのと、その違いくらいわかるようにならんか。
だからお前はガキなんだ。
やーいガキー」
(いったー)
「今、背計ったら伸びてるかも知れんぞ。よかったな、ワハハハ」

「いいか、男は筋肉と優しさだ。」
(なにかあったんですか?)
(また女先生に振られたな…)
「一般論に決まっているだろう!!」
男先生にヘッドロックされました。
ドロップキックをかましたら、
起き上がりざまに、ラリアットをくらいました。
「くそぉ、俺はこんなに強いのに!
世の中間違っているぞ!」

男先生は、あなたの表情を見てどう思ったか、
大きく咳払いした。
「先生は、お前に大変期待かけてるぞ。
お前はきっとこの島を代表する偉人になる。
うん、先生が保証する。」
(疑いの眼差しで見る)
(笑い)
男先生は、生徒みんなにそう言っているなあ。
「俺を信用しろ、お前は悪くない。
これから伸びる余地も、えっへん、沢山ある。
今を見るな、先を見ろ!わっははは!」

「なあ、お前はよく格好つけてるが、もうちょっと
別のものに努力してみたらどうだ。
……もちろん、格好つけるのは大事な事だ。
でないと誰も彼も、同じになっちまう。
だがなあ……。
いいか、男先生は本音を言うぞ。
所詮外見なんてどうにでもなる。
そんなものにはな、価値がない。
それは馬鹿げたものだ。
内から違う人間になれ、名前を覚えられて、
あいつは違うと言われるようになれ。
決して埋没するな。
自分を大事にしろ。
いいな、絶対だぞ。」

「キャッチボールでもするか。」
(はい)
二人でキャッチボールをしました。
「おお、上手くなったじゃないか。
わははは!努力に勝る薬無しだな。
いつかプロ野球選手にもなれるぞ!」
(やめときます)
「遠慮するな。
遠慮は、体に毒だ。」
二人でキャッチボールをしました。

「ここはな、いい所だ。
若いお前にゃわからんかもしれんがな。
ここは俺の見つけた楽園で、
お前たちは、楽園の子供達だ。」
(にあわないなあ)
男先生にヘッドロックされました。
「人の本気と冗談ぐらい、
見分けられるようにならんか。」
男先生にモンゴリアンチョップをすると
喉元をえぐる逆水平チョップをくらいました。
(笑う)

「おおう、○○か。
ちょうど飯でも食おうかと思っていた所だ。
どうだ?一緒に。」
(いただきます)
「うんうん、何事も素直が一番だ。
ミソとショウユがあるんだが、どっちがいい?」◆
(結構です)
「遠慮するな。
ははは、どうせインスタントラーメンだ。」
「だからいらないんです」という発想は、
男先生には無いらしい。◆

◆の続き
「……先生のインスタントラーメンは美味いぞ。
比べるものなど到底ない。
まあしいて言うなら、そう……、
プロ級のインスタントラーメンと言う所だな。」
(独身生活が長いですからね/寂しい自慢ですね)
男先生は、傷ついた表情を浮かべたが、
次の瞬間には鍋を持ったまま空を見上げた。
「最近の子供は、遠慮をしらんなあ。
あー、やだやだ。」
PC「いじけないでください。」
「そうだ、卵をつけてやろう。」
突然話題を変える男先生。
大迫先生は、不利になると突然話題を変えるのだ。
「いや、礼にはおよばんぞ。」
インスタントラーメンで恩にきる奴は
いるのだろうか。
そう思いながら、二人でラーメンをすすった。
「……。
やはりミソは反則だよな。」
PC「そうですか?」
「そうだ。
先生が言うんだから間違いない。」
積み上げられたミソラーメンの空袋を
見上げながら、大迫先生はあごまで
伸びていた麺の切れ端をすすった。
しばらく、ラーメンをすする音だけが聞こえる。
「……どうでもいいんだが。」
PC「……?」
「綾子先生は、何か言ってないか?」
ラーメンをすする音。
「……そうか、ならいい。」
大迫先生は、瞑想するように、スープを飲んだ。

「……お前達はエズイなあ。
ん?なんか先生、変な事言ったか。
しぶといと言う意味だと、聞いてたんだが……。
用法がちがうのか……。
うん、実はな、方言を習ってるんだ。
このまま島を放棄して、方言が散逸してしまわん
うちに情報集めようと思っていてな。」

「オシマイカナ。
……ん?お前か。まだ起きてたのか。
……ああ、今日も良く星が見えるなあ。
先生は、星の神話など一つも知らんが、
星を見るお前たちは好きだぞ。
戦争の役にも生活の役にも立たんが。
だからどうした、だよなあ。」

「俺が戦ってやれたらと、思うよ。
しかし、変な話だ。
俺は民間人。
たとえ幻獣相手でも武器を使ったら銃刀法違反だ。
法律というのは……、何でこうなんだろうなあ。」

「俺がお前たちに出会えたのは、
俺にとっての奇跡だよ。
……なんだろうなあ。
ただ、生徒と先生が、会っただけなのにな。
俺にはそう思えて仕方ないんだよ。」

「……男先生には夢がある。
いずれ俺の生徒が、立派な親になる。
その子を俺が教育する。
それをあと何回か繰り返せば、
きっと世界は復興する。
復興させてみせる。
争わなくても楽しく生きる方法を教えてやる。
……。
だからお前は生き残れよ。
部下も、生き残らせてやってくれ。
……頼む。」

PC「せんせー…」
横開きのドアを開ける手が、止まった。
大迫先生が変なポーズで空を見ている。
ちょっと離れたところでは、綾子先生が上下逆の
カルテを読んでいた。
PC「なにやってんですか。」
二人「さあ。」
二人の声が、みごとにハモって、面白かった。
(茶化す)
PC「あっ、そうですか。」
「どんな用事かしら?」
PC「…いえ、その、ごゆっくり。」
保健室を出ると、大迫先生がテキストを
投げつけたのは、ほとんど同時だった。
これは断然、今後一週間の評判になるな。
(知らないふりをする)

放課後 校舎屋上
貴方がぼーっと、外を眺めていると…。
PC「!!」
PC「ついに、この時が来たぞ!!」
教室
青の章男(PC)「みんな、聞いてくれ!
男先生がスーツ着てるぞ。」(石塚・大塚を除く)
青の章女(PC)「みんな、聞いて!
男先生がスーツ着てるよ。」(山本を除く)
大塚「おいっ、やばいぞ。
男先生がスーツ着てる。」(PC石塚)
山本「ほいほーい、えりすのニュースだよぉ!
今日は大、ダイダイダイダイニュース!
先生が、スーツ着て、花束持ってるよ。」
石塚「……緊急事態だな。」
永野「ミーティングでもやりますか。」
石塚「…最近、性格変わってないか?」
永野は、目をつぶって笑った。
永野「とんでもない。」
古関「……綾子先生。」
辻野「……ちょっと、蔵野呼んでくる。
あいつも見たいだろうし。」
佐久間「そろそろだと思っとった……。」
鈴木「こりゃあ、もう生徒としてやる事と言ったら…。」
全員「見るしか。」
拍手。
石塚「いいぞ、チームワークって奴だな。」
飛子室「……。」
古関「えっ、アズサ、この小旗?
みんなの分も。
ええ、ああ、ちゃんと失敗用も作ったんだ。」
うなずく飛子室。
照れているようだ。
田島「場所は?」
中山「海岸だよ、絶対。」
石塚「…よし、それでは班ごとに行動、全員配置。
見つかるな、結果が出るまでは声を出すなよ。」
松尾「わかってるって。」
大迫先生は、海岸を足跡でいっぱいにしていた。
何回往復したのかわからない。
山本「あせってる、あせってる。」
蔵野「静かに、来たわよ。」
大迫「あっ、あっ、綾子せんせーぇ!」
ここまで聞こえる大声。
全員、思わず笑ってしまって、
必死に堪えていた。
都「……。」
大迫「じっ、じっ、実は!」
都「……。」
全員の目が笑ってる。
大迫「今日はいい天気ですな、ハハハハ。」
田上「……馬鹿だわ。」
石塚「……まだだ、まだ終わってない。」
蔵野「……静かに。」
大迫「あーゴホン、そのっ、いや、ウォッホン。
いや、あはは、あっ、海が見えますね、
はははは。」
全員がこけた。
永野「駄目だぁ。」
嶋「水前寺丸、行くでござる。」
ビシィ!
水前寺丸は、綾子先生と大迫先生のところへ
走っていった。
ボディーランゲージで大迫先生の気持ちを
表現している。
肉球で大迫先生を指し、抱きしめる素振りをした。
うなずいている。
嶋「……見事。」
嶋は、無言のまま袋叩きにされた。
石塚「待て。」
綾子先生が、嬉しそうに笑っている。
大迫先生を助け起こして
なにか、二人で話している。
大迫先生が、必死に何かを訴えかけている。
綾子先生は、小さく……うなずいた。
踊る大迫先生。
全員「……。」
みんなで目を輝かせて目配せする。
一斉に茂みから飛び出た。
否、鈴木が一人で転んだ。
武田「おめでとう!」
小野「先生おめでとう!」
山本「オメデトー!」
大塚「もうちょっと、早くしないとなぁ。」
古関「小旗をふって、はい!」
ぱたぱたぱた。
全員「おめでとう!先生。」
大迫先生の顔が、青から赤へと7段階変化した。
大迫「…おっ、お前ら。」
辻野「どうしたの、先生?」
田島「ん?」
永野「は?」
嶋「やはり、今回の立役者は水前寺丸でござる。」
ビシィ!
嶋「おおう、あとで原始肉を渡すでござるよ。」
ビシィ!
綾子先生は、形のよい眉を動かした。
都「…みんな、仕事は?
そう、それでどうしたんですか、大迫先生。
重大な話って。
……私が先生の相談を聞かないわけ
ないじゃないですか。
さ。
聞かせてもらいましょうか。
どんな相談かしら?」
大迫「……はぅっ……。」
大迫先生が凍っているのを見て、
全員、しまったはやまったと思った。
永野「……ひょっとして、あのうなずきって。
単に話があるから聞いてくれるって返事?」
全員の顔が凍った。
………………。
石塚「そっ、そろそろ若いやつらは遠慮しますか。」
田島「そうそう、なんか、お取り込み中だし。」
大迫先生は、湯気を出している。
大迫「…お、お前ら全員、校庭100周だ!」
全員「ええー?」
大迫「うるさい!
人のプロポーズ邪魔しやがって!」
綾子先生がいたずらっぽく驚いた。
どうもわかっててやってたらしい。
都「プロポーズ?」
大迫「ノォォ!」
山本「アハハハ。」
大迫は、振り向きながら青筋を立てた。
大迫「200周だ!」
石塚・永野「…わかりました。」
石塚「で、走る前に野次馬として返事を聞いて
おきたいんですが。」
都「そうね…大迫先生にも走ってもらって、
走りながらでも、ちゃんとしたプロポーズの
言葉を考えてもらわないと。
私も、その間にお祝いの料理を作って、
素敵なイエスの言い方を考えるわ。」
浜風に髪を揺らして綾子先生は微笑んだ。
生徒全員が拍手する。
ヒロイン「良かったですね、先生。」
大迫「……300周だ!」
PC「なんで増えるんですか。」
大迫「うるさいうるさいうるさーい!
とにかく俺が思い付くまで何周でもだ!
ついてこい!」
鈴木「うう…、僕ヤセちゃうよ~。」
田上「……馬鹿だわ。」
篠山「300で済めばいいんだけど。」
海岸に映る、10人と一匹が走る影。
…その日は結局、夕方まで走って島を一周した。
校庭何周分になるかは、計算していないので
わからない。

「…まったく、
お前達のせいでひどいめにあった。
女先生がうんと言うまで、
どれだけかかったか……。
まあいい。
後は、お前達が生き残ってくれる事だけが
俺の問題だ。
…生き延びるんだぞ。
男先生の、今後の楽しみのために。」

「わかったら島にいる間も、
ちゃんとトレーニングしておけ。
お前達を褒めるのは、島を離れる時だ。」

良く覚えてますよ。
忘れようと思っても、忘れられるものじゃない。

       父島守備隊、生き残りの証言。

…島を離れるその日。
貴方は男先生と二人で、学校の戸締りをして、
そして二人並んで、長い坂を下りていきました。
「いかん。
ここでお前と二人、島に取り残される
わけにはいかん。」
こっちもです/いいから急いで!
「うぉぉぉぉ、新婚パワー!」
男先生は、貴方を担ぎ上げて走りました。
お幸せに/いままでありがとう
「急ぐぞ。
舌をかむから、黙っていろ。
………。
……ありがとう。」
最後の大ジャンプは、みんなによると長い間、
良い思い出になるとのことでした。





大迫太平 通常 / 提案 / 派生 / シナリオ? / HR

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2009年08月11日 12:34