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南側の円柱3 - (2006/08/05 (土) 10:42:40) の1つ前との変更点

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---- ■壁画を展望できる、[[物語]]の中心へ。 ■壁画を展望できる、[[南側の円柱]]の中心へ。 ■人物を展望できる、[[南の門]]の中心へ。 ---- 【安土 春海】① 【安土 春海】② 【安土 春海】③ 【安土 春海】④ 【安土 春海】⑤ ---- > >【安土 春海(あず)】①[人物/Dancer] > > >「ねぇあず姉、何でローグやめちゃったの?」 >時計の針は既に、深夜をむかえようとしている。今日は(といってもすでに『昨日』であるが)久方ぶりに家に帰ってきた長女「春海」を囲んでの夕餉であった。テーブルの上には、空になった酒瓶が5、6本転がっている。 >「そういえば私も聞いたこと無いや。あず、何で?」 >はるも援護に入る。 >「ん、あぁ、その事ね…」 >はるもるみも興味津々といったふうににじりよっていく。 >あずは飲みかけのグラスを置いて、腕を組んで暫し考え >「えーと…飽きたから~~」 >「…」「…」 >2人とも「え~そんなのが理由なの~?」という顔で見ている… >「だって私が飽きっぽい性格だっていうのは知ってるだろ?」 >「あずが飽きっぽい性格なのは十分知ってるけどさ…」 >「うん、ちょっと期待はずれというか何というか…」 >2人の返答が終わらないうちに、あずは椅子から立ち上がり腰布の位置を直しつつ >「ま、ちょっと飲みすぎたみたいだし先に寝るわ」 >と、裾を翻して自分の部屋へと向かっていった。 >背後からは非難の声が上がっているが、無視することに決めた。 > >部屋に入り年代ものになったベッドに腰を下ろす。ランプを灯し、残り火で煙草に火をつけ燻らせる。 >あずにとって、就寝前の至福の時である。 >「…何で…か」 >煙をはいて余韻にひたる。 >「まったく…昔の事を思い出しちゃったじゃないか…」 > > >それは、あずがまだRogueであった頃の事。その日もミョルニル山脈廃鉱で一攫千金を夢見て狩りをしていた。 >「そーれ[スティール]」 >確かな手応え、これはいけた!と思った。手に握り締めた物を見[ランタン]獲得。 >「……」 >しばし呆然。 >「…なんでレアが出ないんだー(でないんだー)(デナインダー)…」 >むなしく叫びだけが木霊した…。すでに袋には山盛りのランタンが入っている。 >「はぁ…レア運の無さは家系かな……帰ろう」 >とぼとぼとその場をあとにしようと[ドスン] >「きゃあ」「ぐは」 >何かが降って来た。 >「あ、あの…ごめんなさい…」 >その何かはあずの上から謝ってきた。 >「…謝るのはいいから、とりあえずおりてくれる?」 >「あ…ごめんなさい…」 >おりてからも平謝りをしている。 >そんな彼女に、あずは水筒から水を手渡した。 >「ほら、まずは落ち着いて」 >手渡された水を一気に飲み干し >「ふぅ…ありがとうございます……わたくし紅月(ホァン・ユィエン)と申します」 >「私は安土春海だ、『あず』と呼ばれてる」 >「なら、わたくしの事も『ホァン』と」 >入物を返しつつ自己紹介をした。炎のように紅い髪に紅い目、名は体をあらわす、といった感じだ。 > >「ホァンもレア目当て?」 >「ですわ、スティールが使えるので[ジュル]を狙いに…でも」 >「「たまるのは[ランタン]ばかり…」」 >お互いに顔を見合わせ、ため息をついた…。 > >「あら、もうこんな時間に…わたくしはここで失礼いたしますね」 >「うん、それじゃあね」 >「はい、またどこかでお会いしましょう」 >荷物入れから[蝶の羽]を取り出し、ホァンは姿を消した。 >「さてと…私も帰らないと…」 >荷物入れから[蝶の羽]を…羽を…羽……。 >「忘れてきちゃった…仕方が無い、歩いて帰るか…」 > > >「まさか、それがあんなことになるとはね…」 >2本目の煙草に火をつけつぶやいた。 > > ---- > >【安土 春海(あず)】②[人物/Dancer] > > >「ええと…右に行って左に行って…つきあたりまでまっすぐ行って…」 >手元の地図を頼りに行ったり来たり… >「…あれ?ここ行き止まりだっけ…」 >あずは完全に迷っていた。 >「落ち着こう…確か迷路では右手を壁につけば出れるはず…」 >さらに2時間経過。 >「…ここは…どこなんだろう…」 >すでに疲労困憊、そんな時にワープポータルの光を見つけた。 >「や、やった…ようやく外に出れるよぅ…」 >喜び勇んで飛び乗る。そして外には緑の広がるミョルニル山脈の光景が >「…ここは外だよね?」 >無かった。 >あずの目に飛び込んできたのは、薄汚れた空気、茶色の山、油の匂い、遠くからはかすかに機械音が聞こえてくる。 >その街の名は、この時点であずが知っているはずもない街、[シュバルツバルド共和国]の[アインブロック]その鉱山地域である[アインベフ]であった。 >「まぁ…街ならカプラサービスもいるでしょ…」 >とりあえず、街の散策に乗り出した。が、 >(尾行されている…) >さきほどから、つけられている気配がする。 >(むぅ…悪いけどストーキングされるのは好みじゃないんでね)[ハイディング!][トンネルドライブ!] >尾行者をまくため、姿を隠した。 > >ちょうど良い空家が見える。あずはその小屋の中に飛び込んだ。 >「ふぅ…それにしても…」 >[トンネルドライブ]状態を解除し、懐から煙草を取り出し一息つく。 >「ここはどこなんだ…それに、私をつけていたのは…」 >「吸い過ぎはは体によくありませんよ」 >「!?」 >その声に、2本目にのばしていた手がとまった。 >[クローキング]を解除して現れたのは紅い髪。 >「ホァン…どうしてここに?」 >「またお会いしましたね、あず」 >そういってホァンは微笑んだ。 > ---- > >【安土 春海(あず)】③[人物/Dancer] > > >「さて、早速ですけど…あず、何も聞かずにこの場を立ち去っていただきたいのです」 >「早速というかいきなりだな…質問してもいい?」 >「だめです」 >にべもなく却下するホァン。 >「でも少しくらい…」 >「…世の中には、知らないほうが幸せだということもあるのですよ…」 >「…あいにく、好奇心だけは旺盛でね」 >「わたくしは…せっかくできた友人をなくしたくないだけです」 >「でも…!?」 >急に辺りの空気が変わった。重くのしかかるような空気に…。 >「(…ホァン)」 >「(だから…言ったのですのに…)」 >ますます空気が重くなる。 >「(ここまできたら、何か説明が欲しいんだけど?)」 >「(…いけません)」 >小屋を取り囲む気配がある。そいつらが空気を重くしているようだ…。 >「(…でも、事情を知る知らないってのは外の連中には関係なさそうなんだが?)」 >「(…しかし…)」 >重い空気がさらに重く…むしろこれは >「(これだけ殺気漂わせてるんだ、せめて何か聞きたいんだがなぁ…)」 >「(…)」 >「(ひとつ…ふたつ……計9人か…私は4人くらいは相手にできるけど)」 >「(いけません、これ以上巻き込むわけにはまいりません…)」 >「(でもねぇ…私もむざむざやられたくはないんでね)」 >そう言って、短剣を握り締める。 >「(言っとくけど、決意は固いからね?)」 >それを聞き、ホァンは唇をかみ締め何か逡巡していたが >「(わかりました…わたくしが5人受け持ちましょう)」 >「(そうこなくっちゃ)」 >互いに武器を手に取り >「(あず)」 >「(ん?)」 >「(必ず…生きて会いましょうね)」 >「(あぁ…もちろんだよ)」 >[ハイディング!][トンネルドライブ!][クローキング!] > >(さて…あぁは言ったものの…) >あずは敵の姿が見える位置まで接近した。 >(なにものなんだ、こいつらは…) >敵の姿は…黒だった。漆黒を体現したような鎧、服…全身が黒ずくめである。クルセイダーを黒くしたような鈍重そうな印象を受ける。それに加えて >(武器は無し…素手…Monkなのか?) >手持ちの武装を一切していない。 >(まぁ…相手がなんであれ、やるしかない!) >敵に接近し、Rogueの必殺スキル[バックスタブ!]を放った。 >どぅ、と倒れ伏す黒の塊…すぐさま[ハイディング]で身を隠す。 >(残りは3人か…) >近場にいた2人目を[バックスタブ]で打ち倒す。 >そして3人目を手にかけ《サイト》「くぅ!?」 >3人目を倒せたものの…置き土産の《サイト》で燻り出されてしまった。 >あずの姿を確認した残り1人の黒の塊は ><das Ziel die Bestatigung der Anfang beseitigen> >謎の言葉を発し、こちらを向いた。 >「へっ、ガチでやってやろうじゃないか!」 >あずは負ける気がしなかった。なぜなら >(あの鎧で高速移動なんてできるわけがない!) >という計算があったからなのだが……現実は非情なものだ。 >黒の塊は、予想をはるかに超える速度であずに迫ってきた。 >「なっ」 >そして大きく腕を振りかぶり、唸りを立てて振りぬかれた。 >「むぅ…」 >ぎりぎりのところでかわしたが、2撃目がすでに迫っていた。 >足元を蹴り、大きな弧を描いて後方に着地する。あずが居た場所は2撃目によってクレーターと化していた。 >(まずいわねぇ…) >速度だけは勝っていると予想していたが、こうも簡単に覆されてしまった。 >(だけど…) >3撃目を加えようと黒の塊が迫る。 >「…ったく、高かったんだからね!」 >盾をフリスビーの用量で投げつける。避ける様子も無く片手で落とされ >「でも、姿は見えなくなったでしょ」 >盾を投げると同時にその真後ろを駆けていたのだ。一瞬の隙をついて、首筋に向かって短剣をつきたてようとした。 >だが、盾を落とした腕が有得ない速さで戻ってきた。 >「な…そんな、まさか!」 >首筋につきたてられるはずの剣が深々と腕に刺さる。だが、そこまで。黒の塊は何事も無かったかのように追撃を加える。 >(くぅ…残りの短剣は……3本か) >紙一重の見切りをしつつ、予備の本数を数える。 >大振りな攻撃であるためか、避けるのはそう難しいことでは無い。隙を窺いつつ回避に専念する。 >ふいに、黒の塊の動きがとまる。あずが訝しんでいると≪sich verstecken≫と言い、姿を消した。 >(…逃げたわけではなさそうだねぇ…) >相変わらず気配だけはする。その気配を頼りに敵の位置を探る………背後に気配。 >「!」 >振り向きざまに短剣をつきたてようとしたが >「いない!?」 >黒の塊はすでに正面にまわっていた。 >「ちぃっ!」 >地面を蹴って後方に逃れようとした。だがすでに見抜かれていた。 >着地地点に向かって猛然と突込み、すでに攻撃態勢を整えている。空中では避けようが無い…。 >(ホァンごめん…約束…守れそうにないや……) >あずに向かって、その黒い腕が振りぬかれる。 >だが、破局のときは訪れなかった。あずの命を消し去るはずであった腕は、すでに無くなっていた。 ><?!!> >黒で覆われた顔からは、その表情を窺い知るできないが事はできない。が、驚愕している様子はわかった。その顔も、次の瞬間には消し飛んでいた。膝を突き倒れる黒の塊。 >「ふぅ…間一髪でしたわね…」 >「ありがとうホァン…」 > >「さて…いろいろと説明がほしいなぁ」 >「…聞いた後で後悔をするかもしれませんが、それでもよろしいのです?」 >「聞かずに後悔するより、聞いて後悔するほうがいい」 >「…わかりました、ではこのワープポータルに乗ってください」 > > ---- > >【安土 春海(あず)】④[人物/Dancer] > > >着いた先は[シュバルツバルド共和国]の首都[ジュノー]であった。 >「で、さっきの街はなんてところなの?」 >問いかけるあずにホァンは >「そうですわね…あのベンチでお話しますわ」 >と、木々に囲まれたベンチを指差した。 >「ここは、わたくしのお気に入りの場所なのですよ」 >確かにここは心地よい。[ジュノー]が高所にあるためか、空気が澄み風も穏やかである。眼下には雲がたなびいている。しばし、その心地よさにあずも身を任せた。 >「…あの街は[アインベフ]と呼ばれています」 >重い口を開き、ホァンが話し始めた。 >「わたくしたちは、ある方からの依頼を受けて調査を行っているところなのです」 >「今日襲ってきたあれは?」 >「あれは…まだ正式な名前はわかりません。ですがわたくしたちの間では[レッケンベル兵]と呼んでいます」 >[レッケンベル]。その名にはあずも聞き覚えがあった。確か[ガーディアン]の作成に携わっていた企業だ。 >「そうして調査中であったわたくしの下に『あやしげなローグがいる』と情報がはいりました」 >「…あぁそれが私だったわけか」 >「後をつけさせ、似顔絵からあずだという事がわかりましたので、わたくしが出向いたのですけど…」 >「ああいう事態になっちゃった、と」 >「本当なら、ああなる前にここに移動して頂きたかったです」 >「まぁ…結果として良かったからいいんじゃない?」 >「何を言っているのですか!あそこであずにもしもの事があったら…わたくしは…」 >「う…ごめん…」 > >「現時点でお話できることはここまでですわ」 >「…まぁ依頼内容まではさすがに話せないだろうからね…」 >「はい」 >そう言ってにっこり微笑む。 >「しばらくは、ジュノー近辺にも近寄らないほうがよろしいかと存じます」 >「あぁそうしておくよ…」 >「ではこの辺で…」 >「あ、もうひとつ」 >立ち去ろうとするホァンを引きとめ >「『わたくしたち』とか『わたくしの下に』とかって出てきたけど、ホァンって何者なの?」 >とたずねた。 >ホァンは、小首を傾げてちょっと照れくさそうに >「そうですわね…肩書きとしては非公認ギルド「Finsternis」のギルドマスターですわ」 >「!!!?」 >「…少し驚きすぎではありませんこと?」 >「あ、あぁ…かなり驚いた…」 >「ふふふ…ではまた会いましょうね」 >踵を返してホァンが立ち去る。 >「またね、ホァン」 >そうしてその場を離れた2人。 > >だが、あずの足は[プロンテラ]ではなく[コモド]に向かっていた… > >「ただいま~」 >「あず姉、おかえ…」 >帰ってきた姉の姿を見て、るみは固まった。 >「ええと…あず姉だよね?」 >「そうだよ?」 >「なんで弓使いに…」 >「ん~…ローグ飽きた」 >「…ちょっとお父さん、何か言ってやってよ」 >父に同意を求めるるみ、だが >「うーん…父さんは何も言えないなぁ…」 >「どうして?」 >「父さんも、Priestになる前は商人だったからね」 >衝撃の事実に驚く、るみ。 >「…わたしはずっとWizard続けよう…」 > > >3本目の煙草に手をのばした。 >「吸い過ぎは体に良くありませんよ」 >不意に窓の外から声がした。月の光の下、紅い髪が煌いている。 >「ホァン、いつ来たの?」 >「つい先ほどですわ、窓から失礼いたします」 >そう言って窓からするりと入ってきた。[ジュノー]で別れた後も2人は連絡を取り続け、交友を重ねていた。 >「今日は…この間の依頼の件?」 >「はい、ある程度まとまったのでご報告に参りました」 >小脇に抱えていた大き目の封筒をあずに手渡す。中に入っている資料に目を通しつつ >「いつも悪いねぇ…依頼金無しの仕事なのに」 >と詫びた。本来なら依頼金を支払わなければならないのだが >「わたくしとあずの仲ですもの、問題はありませんわ」 >と、いつもただなのである。 >「それで…あの男の正体とか、下手人の話とかはわかった?」 >首を横に振るホァン。 >「いいえ…やはり非公認の…しかも暗殺専門のギルドに関しては、絶対的な情報が少ないですわ」 >「やっぱりねぇ…」 >「ただ、この間の事件においては被害にあった貴族が『こうして私は無事であったのだから、不問に処そうではないか』と」 >「ふむ…ある程度、危険度は下がったわけか…」 >「ですが、油断は禁物です…『表』と『裏』が関わって、良い結果を生んだことはほとんどありませんのですから…」 >「「でも」」 >「わたくしたちのような例もありますわね」「私らみたくなるかもよ」 >顔を見合わせ笑い出す2人。 >「ふふ…ではここで失礼させていただきます」 >「あいよ、今度は仕事抜きで会おうね」 >「ええ、ぜひとも」 >と言って、また窓から出て行った。 >ずっと手に持っていた3本目の煙草を箱に戻し、ベッドに横になる。 >「さて…明日りく姉のところに行かなくちゃな…」 >ランプの灯りが消え辺りは闇に包まれた…。 > > ---- > >【安土 春海(あず)】⑤[人物/Sage] > > >「るみ、魔法を使うのって難しいの?」 >ある朝、唐突にあずが尋ねてきた。 >「いきなりなんなのよ~…まだ眠いのに…」 >まだ部屋で熟睡していたるみは寝ぼけ眼で姉を見る。 >「…あ~…1つ聞きたいんだけど…」 >「何?」 >「またなの」 >「そう、また」 >そこにはDancerの姿は無く、Magicianの姿があった。 >「はぁ…まぁいいか…じゃあ朝ごはん食べたらね」 >「了解、るみ師匠」 > > > > > > > > > > > > > > > > > > > ---- ■壁画を展望できる、[[南側の円柱]]の中心へ。
---- ■壁画を展望できる、[[物語]]の中心へ。 ■壁画を展望できる、[[南側の円柱]]の中心へ。 ■人物を展望できる、[[南の門]]の中心へ。 ---- 【安土 春海】① 【安土 春海】② 【安土 春海】③ 【安土 春海】④ 【安土 春海】⑤ ---- > >【安土 春海(あず)】①[人物/Dancer] > > >「ねぇあず姉、何でローグやめちゃったの?」 >時計の針は既に、深夜をむかえようとしている。今日は(といってもすでに『昨日』であるが)久方ぶりに家に帰ってきた長女「春海」を囲んでの夕餉であった。テーブルの上には、空になった酒瓶が5、6本転がっている。 >「そういえば私も聞いたこと無いや。あず、何で?」 >はるも援護に入る。 >「ん、あぁ、その事ね…」 >はるもるみも興味津々といったふうににじりよっていく。 >あずは飲みかけのグラスを置いて、腕を組んで暫し考え >「えーと…飽きたから~~」 >「…」「…」 >2人とも「え~そんなのが理由なの~?」という顔で見ている… >「だって私が飽きっぽい性格だっていうのは知ってるだろ?」 >「あずが飽きっぽい性格なのは十分知ってるけどさ…」 >「うん、ちょっと期待はずれというか何というか…」 >2人の返答が終わらないうちに、あずは椅子から立ち上がり腰布の位置を直しつつ >「ま、ちょっと飲みすぎたみたいだし先に寝るわ」 >と、裾を翻して自分の部屋へと向かっていった。 >背後からは非難の声が上がっているが、無視することに決めた。 > >部屋に入り年代ものになったベッドに腰を下ろす。ランプを灯し、残り火で煙草に火をつけ燻らせる。 >あずにとって、就寝前の至福の時である。 >「…何で…か」 >煙をはいて余韻にひたる。 >「まったく…昔の事を思い出しちゃったじゃないか…」 > > >それは、あずがまだRogueであった頃の事。その日もミョルニル山脈廃鉱で一攫千金を夢見て狩りをしていた。 >「そーれ[スティール]」 >確かな手応え、これはいけた!と思った。手に握り締めた物を見[ランタン]獲得。 >「……」 >しばし呆然。 >「…なんでレアが出ないんだー(でないんだー)(デナインダー)…」 >むなしく叫びだけが木霊した…。すでに袋には山盛りのランタンが入っている。 >「はぁ…レア運の無さは家系かな……帰ろう」 >とぼとぼとその場をあとにしようと[ドスン] >「きゃあ」「ぐは」 >何かが降って来た。 >「あ、あの…ごめんなさい…」 >その何かはあずの上から謝ってきた。 >「…謝るのはいいから、とりあえずおりてくれる?」 >「あ…ごめんなさい…」 >おりてからも平謝りをしている。 >そんな彼女に、あずは水筒から水を手渡した。 >「ほら、まずは落ち着いて」 >手渡された水を一気に飲み干し >「ふぅ…ありがとうございます……わたくし紅月(ホァン・ユィエン)と申します」 >「私は安土春海だ、『あず』と呼ばれてる」 >「なら、わたくしの事も『ホァン』と」 >入物を返しつつ自己紹介をした。炎のように紅い髪に紅い目、名は体をあらわす、といった感じだ。 > >「ホァンもレア目当て?」 >「ですわ、スティールが使えるので[ジュル]を狙いに…でも」 >「「たまるのは[ランタン]ばかり…」」 >お互いに顔を見合わせ、ため息をついた…。 > >「あら、もうこんな時間に…わたくしはここで失礼いたしますね」 >「うん、それじゃあね」 >「はい、またどこかでお会いしましょう」 >荷物入れから[蝶の羽]を取り出し、ホァンは姿を消した。 >「さてと…私も帰らないと…」 >荷物入れから[蝶の羽]を…羽を…羽……。 >「忘れてきちゃった…仕方が無い、歩いて帰るか…」 > > >「まさか、それがあんなことになるとはね…」 >2本目の煙草に火をつけつぶやいた。 > > ---- > >【安土 春海(あず)】②[人物/Dancer] > > >「ええと…右に行って左に行って…つきあたりまでまっすぐ行って…」 >手元の地図を頼りに行ったり来たり… >「…あれ?ここ行き止まりだっけ…」 >あずは完全に迷っていた。 >「落ち着こう…確か迷路では右手を壁につけば出れるはず…」 >さらに2時間経過。 >「…ここは…どこなんだろう…」 >すでに疲労困憊、そんな時にワープポータルの光を見つけた。 >「や、やった…ようやく外に出れるよぅ…」 >喜び勇んで飛び乗る。そして外には緑の広がるミョルニル山脈の光景が >「…ここは外だよね?」 >無かった。 >あずの目に飛び込んできたのは、薄汚れた空気、茶色の山、油の匂い、遠くからはかすかに機械音が聞こえてくる。 >その街の名は、この時点であずが知っているはずもない街、[シュバルツバルド共和国]の[アインブロック]その鉱山地域である[アインベフ]であった。 >「まぁ…街ならカプラサービスもいるでしょ…」 >とりあえず、街の散策に乗り出した。が、 >(尾行されている…) >さきほどから、つけられている気配がする。 >(むぅ…悪いけどストーキングされるのは好みじゃないんでね)[ハイディング!][トンネルドライブ!] >尾行者をまくため、姿を隠した。 > >ちょうど良い空家が見える。あずはその小屋の中に飛び込んだ。 >「ふぅ…それにしても…」 >[トンネルドライブ]状態を解除し、懐から煙草を取り出し一息つく。 >「ここはどこなんだ…それに、私をつけていたのは…」 >「吸い過ぎはは体によくありませんよ」 >「!?」 >その声に、2本目にのばしていた手がとまった。 >[クローキング]を解除して現れたのは紅い髪。 >「ホァン…どうしてここに?」 >「またお会いしましたね、あず」 >そういってホァンは微笑んだ。 > ---- > >【安土 春海(あず)】③[人物/Dancer] > > >「さて、早速ですけど…あず、何も聞かずにこの場を立ち去っていただきたいのです」 >「早速というかいきなりだな…質問してもいい?」 >「だめです」 >にべもなく却下するホァン。 >「でも少しくらい…」 >「…世の中には、知らないほうが幸せだということもあるのですよ…」 >「…あいにく、好奇心だけは旺盛でね」 >「わたくしは…せっかくできた友人をなくしたくないだけです」 >「でも…!?」 >急に辺りの空気が変わった。重くのしかかるような空気に…。 >「(…ホァン)」 >「(だから…言ったのですのに…)」 >ますます空気が重くなる。 >「(ここまできたら、何か説明が欲しいんだけど?)」 >「(…いけません)」 >小屋を取り囲む気配がある。そいつらが空気を重くしているようだ…。 >「(…でも、事情を知る知らないってのは外の連中には関係なさそうなんだが?)」 >「(…しかし…)」 >重い空気がさらに重く…むしろこれは >「(これだけ殺気漂わせてるんだ、せめて何か聞きたいんだがなぁ…)」 >「(…)」 >「(ひとつ…ふたつ……計9人か…私は4人くらいは相手にできるけど)」 >「(いけません、これ以上巻き込むわけにはまいりません…)」 >「(でもねぇ…私もむざむざやられたくはないんでね)」 >そう言って、短剣を握り締める。 >「(言っとくけど、決意は固いからね?)」 >それを聞き、ホァンは唇をかみ締め何か逡巡していたが >「(わかりました…わたくしが5人受け持ちましょう)」 >「(そうこなくっちゃ)」 >互いに武器を手に取り >「(あず)」 >「(ん?)」 >「(必ず…生きて会いましょうね)」 >「(あぁ…もちろんだよ)」 >[ハイディング!][トンネルドライブ!][クローキング!] > >(さて…あぁは言ったものの…) >あずは敵の姿が見える位置まで接近した。 >(なにものなんだ、こいつらは…) >敵の姿は…黒だった。漆黒を体現したような鎧、服…全身が黒ずくめである。クルセイダーを黒くしたような鈍重そうな印象を受ける。それに加えて >(武器は無し…素手…Monkなのか?) >手持ちの武装を一切していない。 >(まぁ…相手がなんであれ、やるしかない!) >敵に接近し、Rogueの必殺スキル[バックスタブ!]を放った。 >どぅ、と倒れ伏す黒の塊…すぐさま[ハイディング]で身を隠す。 >(残りは3人か…) >近場にいた2人目を[バックスタブ]で打ち倒す。 >そして3人目を手にかけ《サイト》「くぅ!?」 >3人目を倒せたものの…置き土産の《サイト》で燻り出されてしまった。 >あずの姿を確認した残り1人の黒の塊は ><das Ziel die Bestatigung der Anfang beseitigen> >謎の言葉を発し、こちらを向いた。 >「へっ、ガチでやってやろうじゃないか!」 >あずは負ける気がしなかった。なぜなら >(あの鎧で高速移動なんてできるわけがない!) >という計算があったからなのだが……現実は非情なものだ。 >黒の塊は、予想をはるかに超える速度であずに迫ってきた。 >「なっ」 >そして大きく腕を振りかぶり、唸りを立てて振りぬかれた。 >「むぅ…」 >ぎりぎりのところでかわしたが、2撃目がすでに迫っていた。 >足元を蹴り、大きな弧を描いて後方に着地する。あずが居た場所は2撃目によってクレーターと化していた。 >(まずいわねぇ…) >速度だけは勝っていると予想していたが、こうも簡単に覆されてしまった。 >(だけど…) >3撃目を加えようと黒の塊が迫る。 >「…ったく、高かったんだからね!」 >盾をフリスビーの用量で投げつける。避ける様子も無く片手で落とされ >「でも、姿は見えなくなったでしょ」 >盾を投げると同時にその真後ろを駆けていたのだ。一瞬の隙をついて、首筋に向かって短剣をつきたてようとした。 >だが、盾を落とした腕が有得ない速さで戻ってきた。 >「な…そんな、まさか!」 >首筋につきたてられるはずの剣が深々と腕に刺さる。だが、そこまで。黒の塊は何事も無かったかのように追撃を加える。 >(くぅ…残りの短剣は……3本か) >紙一重の見切りをしつつ、予備の本数を数える。 >大振りな攻撃であるためか、避けるのはそう難しいことでは無い。隙を窺いつつ回避に専念する。 >ふいに、黒の塊の動きがとまる。あずが訝しんでいると≪sich verstecken≫と言い、姿を消した。 >(…逃げたわけではなさそうだねぇ…) >相変わらず気配だけはする。その気配を頼りに敵の位置を探る………背後に気配。 >「!」 >振り向きざまに短剣をつきたてようとしたが >「いない!?」 >黒の塊はすでに正面にまわっていた。 >「ちぃっ!」 >地面を蹴って後方に逃れようとした。だがすでに見抜かれていた。 >着地地点に向かって猛然と突込み、すでに攻撃態勢を整えている。空中では避けようが無い…。 >(ホァンごめん…約束…守れそうにないや……) >あずに向かって、その黒い腕が振りぬかれる。 >だが、破局のときは訪れなかった。あずの命を消し去るはずであった腕は、すでに無くなっていた。 ><?!!> >黒で覆われた顔からは、その表情を窺い知るできないが事はできない。が、驚愕している様子はわかった。その顔も、次の瞬間には消し飛んでいた。膝を突き倒れる黒の塊。 >「ふぅ…間一髪でしたわね…」 >「ありがとうホァン…」 > >「さて…いろいろと説明がほしいなぁ」 >「…聞いた後で後悔をするかもしれませんが、それでもよろしいのです?」 >「聞かずに後悔するより、聞いて後悔するほうがいい」 >「…わかりました、ではこのワープポータルに乗ってください」 > > ---- > >【安土 春海(あず)】④[人物/Dancer] > > >着いた先は[シュバルツバルド共和国]の首都[ジュノー]であった。 >「で、さっきの街はなんてところなの?」 >問いかけるあずにホァンは >「そうですわね…あのベンチでお話しますわ」 >と、木々に囲まれたベンチを指差した。 >「ここは、わたくしのお気に入りの場所なのですよ」 >確かにここは心地よい。[ジュノー]が高所にあるためか、空気が澄み風も穏やかである。眼下には雲がたなびいている。しばし、その心地よさにあずも身を任せた。 >「…あの街は[アインベフ]と呼ばれています」 >重い口を開き、ホァンが話し始めた。 >「わたくしたちは、ある方からの依頼を受けて調査を行っているところなのです」 >「今日襲ってきたあれは?」 >「あれは…まだ正式な名前はわかりません。ですがわたくしたちの間では[レッケンベル兵]と呼んでいます」 >[レッケンベル]。その名にはあずも聞き覚えがあった。確か[ガーディアン]の作成に携わっていた企業だ。 >「そうして調査中であったわたくしの下に『あやしげなローグがいる』と情報がはいりました」 >「…あぁそれが私だったわけか」 >「後をつけさせ、似顔絵からあずだという事がわかりましたので、わたくしが出向いたのですけど…」 >「ああいう事態になっちゃった、と」 >「本当なら、ああなる前にここに移動して頂きたかったです」 >「まぁ…結果として良かったからいいんじゃない?」 >「何を言っているのですか!あそこであずにもしもの事があったら…わたくしは…」 >「う…ごめん…」 > >「現時点でお話できることはここまでですわ」 >「…まぁ依頼内容まではさすがに話せないだろうからね…」 >「はい」 >そう言ってにっこり微笑む。 >「しばらくは、ジュノー近辺にも近寄らないほうがよろしいかと存じます」 >「あぁそうしておくよ…」 >「ではこの辺で…」 >「あ、もうひとつ」 >立ち去ろうとするホァンを引きとめ >「『わたくしたち』とか『わたくしの下に』とかって出てきたけど、ホァンって何者なの?」 >とたずねた。 >ホァンは、小首を傾げてちょっと照れくさそうに >「そうですわね…肩書きとしては非公認ギルド「Finsternis」のギルドマスターですわ」 >「!!!?」 >「…少し驚きすぎではありませんこと?」 >「あ、あぁ…かなり驚いた…」 >「ふふふ…ではまた会いましょうね」 >踵を返してホァンが立ち去る。 >「またね、ホァン」 >そうしてその場を離れた2人。 > >だが、あずの足は[プロンテラ]ではなく[コモド]に向かっていた… > >「ただいま~」 >「あず姉、おかえ…」 >帰ってきた姉の姿を見て、るみは固まった。 >「ええと…あず姉だよね?」 >「そうだよ?」 >「なんで弓使いに…」 >「ん~…ローグ飽きた」 >「…ちょっとお父さん、何か言ってやってよ」 >父に同意を求めるるみ、だが >「うーん…父さんは何も言えないなぁ…」 >「どうして?」 >「父さんも、Priestになる前は商人だったからね」 >衝撃の事実に驚く、るみ。 >「…わたしはずっとWizard続けよう…」 > > >3本目の煙草に手をのばした。 >「吸い過ぎは体に良くありませんよ」 >不意に窓の外から声がした。月の光の下、紅い髪が煌いている。 >「ホァン、いつ来たの?」 >「つい先ほどですわ、窓から失礼いたします」 >そう言って窓からするりと入ってきた。[ジュノー]で別れた後も2人は連絡を取り続け、交友を重ねていた。 >「今日は…この間の依頼の件?」 >「はい、ある程度まとまったのでご報告に参りました」 >小脇に抱えていた大き目の封筒をあずに手渡す。中に入っている資料に目を通しつつ >「いつも悪いねぇ…依頼金無しの仕事なのに」 >と詫びた。本来なら依頼金を支払わなければならないのだが >「わたくしとあずの仲ですもの、問題はありませんわ」 >と、いつもただなのである。 >「それで…あの男の正体とか、下手人の話とかはわかった?」 >首を横に振るホァン。 >「いいえ…やはり非公認の…しかも暗殺専門のギルドに関しては、絶対的な情報が少ないですわ」 >「やっぱりねぇ…」 >「ただ、この間の事件においては被害にあった貴族が『こうして私は無事であったのだから、不問に処そうではないか』と」 >「ふむ…ある程度、危険度は下がったわけか…」 >「ですが、油断は禁物です…『表』と『裏』が関わって、良い結果を生んだことはほとんどありませんのですから…」 >「「でも」」 >「わたくしたちのような例もありますわね」「私らみたくなるかもよ」 >顔を見合わせ笑い出す2人。 >「ふふ…ではここで失礼させていただきます」 >「あいよ、今度は仕事抜きで会おうね」 >「ええ、ぜひとも」 >と言って、また窓から出て行った。 >ずっと手に持っていた3本目の煙草を箱に戻し、ベッドに横になる。 >「さて…明日りく姉のところに行かなくちゃな…」 >ランプの灯りが消え辺りは闇に包まれた…。 > > ---- > >【安土 春海(あず)】⑤[人物/Sage] > > >「るみ、魔法を使うのって難しいの?」 >ある朝、唐突にあずが尋ねてきた。 >「いきなりなんなのよ~…まだ眠いのに…」 >まだ部屋で熟睡していたるみは寝ぼけ眼で姉を見る。 >「…あ~…1つ聞きたいんだけど…」 >「何?」 >「またなの」 >「そう、また」 >そこにはDancerの姿は無く、Magicianの姿があった。 >「はぁ…まぁいいか…じゃあ朝ごはん食べたらね」 >「了解、るみ師匠」 > > >2週間後 >「よし、[ジュノー]行ってくる」 >「いってらっしゃい…ってSageになるの?」 >「…何よ、その『似合わなーい』って顔は」 >「ソンナコトオモッテナイヨ」 >「…まぁ行ってくる、今日はフリュが来るんでしょ?」 >「うん、ここのところMagicianが多くて嬉しいよ~」 >満面の笑みのるみを置いて[ジュノー]へと急いだ。 > >「ここに来るのも1年ぶりか…」 >高地の[ジュノー]の風を受けながら呟く。あれから後[アインベフ][リヒタルゼン]への通行が許可され、今では多くの冒険者で賑わっている。 >「ですが、念のため護衛に参りましたわ」 >そう言って、傍らにはホァンがやって来ていた。 > >『魔法アカデミーにようこそ、我々は君の転職を歓迎するよ』 >アカデミーの学長からSageの制服が手渡され、無事転職の儀を終える事ができた。 >「あず、おめでとうございます」 >「ありがと、ホァン」 >さっそくもらった制服に着替え始める。 >「(…こないだの件は根が深いようだね)」 >「(えぇ…どうやらただの暗殺未遂事件では無いようですわ)」 >「(表面上はとりあえず納まったようだけど…)」 >「(…実は、まだ公式発表の段階では無いのですが、全公式ギルドへ依頼が出されるそうです)」 >「(全部…それはまた大掛かりな・・・)」 >「(いずれまた会いましょう)」 >「(うん)」 > >この事が公になるのはそれから更に2ヵ月後であった…。 > ---- ■壁画を展望できる、[[南側の円柱]]の中心へ。

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