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#21 - (2010/04/14 (水) 12:44:47) のソース
*#21 あたしと詩織 衣替えして1週間、なんだかんだ毎日暑い日が続いてます。 日々はあっという間に過ぎて行き、そろそろ中間試験の影もちらついてきた…この感じが一番嫌。 「京ちゃん、今日は調子いいみたいだね」 詩織が道具をしまいながら言った。アーチェリーの調子?いつもとたいして変わらないへぼさだったと思うけど… 「そう?」 「うん。なんか機嫌いいでしょ、今日」 機嫌かい!まあ、今日は昨日より暑くないから機嫌は悪くないけど。 「そんなことないよぉ~今日だって十分暑いし~」 あたしは制服の胸元をバタバタさせた。うちの夏服は通気性はいいほうだと思う。 「どうする?今日どっかよってく?」 あたしは、手でスカートを払いながら言った。 片付けは終了っと。 「あ、私おごるよ?こないだのぶん」 「マジ?じゃあ遠慮なく行かせてもらおうかな♪」 寄るって言っても、近くにあるのはマックくらいのもんで…。 「あーあ。近くにデパートでもできないかなぁ…」 店の席に着きながら、あたしはぼやいた。商店街的にはそういうのは困るんだろうけど、あたしたち”若者”にとってはやっぱそういうのがないと厳しいでしょ。 それに、いちいち電車で町まで出なきゃいけないのも面倒だからね。 「山のほうの生協は?あそこ大きくなかった?」 「だっけ?でも少し遠いじゃん。車ないと無理じゃない?」 詩織は「それもそうだね」と言ってストローに口をつける。 詩織はいいよねー美人で。あたしもされたいわ、告白。そこ、告白されないのは性格のせいとか言わない! あたしは詩織の横顔を見ながら、そんなことを考えた。 「京ちゃん…相談なんだけどね」 「何?」 詩織の相談。 勉強も部活もあたしよりできる彼女が、あたしに相談することと言えば…なんだろ? 確かこないだは、どのコンビニのおにぎりが一番おいしいか、とかだったなぁ…。バカにしてるわけじゃないんだろうけど、なんかこう…抜けてる? 「私ね、この前から付き合ってる人がいるんだけど…」 そこであたしはシェイクを噴いた。盛大に。 「は?は?何?マジで? どこのどいつよ、こんな美人のはぁとを射止めたのは?」 「ううん。…私から告白したんだ」 うわー。なんだこの急展開ー!最近別に変わったことなかったのに、いきなり付き合ってただなんて! あたしは、おしぼりでテーブルを拭きながら詩織を小突く。 「やるじゃん詩織!で?相談っては??」 この手の話なら大好きだからね。詩織ごちそうさまでーす。 「付き合ったら、やっぱりデートとか沢山する?」 「まぁ、するんじゃない?」 デートについてかな?経験ないあたしの話が参考になるかどうか…。 「先月の30日に告白して、OKもらったんだけど、その日デートしたきりで、その後は1回もデートとかしてないんだ…」 「ふむ、同じ学校の奴?」 「うん」 詩織は頷いた。つまり、学校で会ったりメールはするけど、デートは初回の1回きりってわけ? 「それで相手の気持ちが気になるわけですね?古田君」 「京ちゃんしゃべりかた変だよ…。気持ちが気になる…のかなぁ」 うわーわかんねー。まず、付き合ってもいいと思ったからオッケーしたわけじゃん? うーん。こんなことならちあきも呼ぶんだったわね…。 「だから京ちゃんから聞いてみて欲しいんだ、勇君に」 「別にいいけど…?ど!?ちょっと待って詩織!今なんて言った?」 一瞬気付かなかったけど、詩織の彼の名前…!! あたしは詩織の肩をつかんで顔を見た。 「い…勇、松岡 勇くんだけど…?」 あちゃー。ショックで殺す気かと。なんで詩織の彼氏が松岡なわけ!? あたしと詩織は1年生のときクラスが同じで、松岡もそのクラスにいたっけな。詩織の話じゃ、その時から好きだったらしい。 ようやく理解した。藤野と『カキヨ』に行ったあの日、詩織は用事で松岡は助っ人…そういう”ワケ”だったんだ。京子先生としたことが、まったく気付かなかったわ…。 「う、うん。訊いてみる。…てか詩織、」 「何?京ちゃん」 「松岡のどこがいいわけ??」 率直に質問をぶつける。すると詩織は照れながら「えっと…」と言った。 あーおあついことで。 そのあと、詩織は松岡のいいところを、あたしは駄目なところを挙げあった。 詩織は随分いろんなことを知ってて、あたしが挙げた駄目な点が、揚げ足取りみたいになっちゃってる感じだったけどね…。 「やばい!もうこんな時間!?親父きっと家でお腹すかせてる…!」 「ごめんね、京ちゃん。こんな遅くまで…」 こちらこそゴメン…ほとんど何も進展しなくて。 あたしは「いいよいいよ」と言って詩織と別れた。 ××× 結局、次の日に松岡に問いただそうと思ったけど、木曜、金曜とあいつは続けて休んだ。風邪らしい。 松岡と詩織のことは、まだ藤野には言ってない。(松岡自身が言ったなら話は別だけど…) だって藤野は詩織が好きで、詩織は松岡とできてるとかややこしすぎるじゃん。喧嘩とかにはならないだろうけど。 「本田、ここやってみろ」 ボーとしてたあたしを数学の坂本が指差してきた。 クソ!わかるか、そんな問題! あたしは、隣の席のいっちーのノートを借りて前に出る。 松岡…詩織の気持ちもちゃんと考えなさいよ!バカ! 黒板に当てたチョークが、力の入れすぎでバッキリ折れた。 つづく ---- [[前へ>#20]] / [[SeasonTOP>あたしのガンダムウォーSeason1]] / [[次へ>#22]] ---- txt:Y256 初出:あたしのガンダムウォー 掲載日: 更新日:10.04.14 ----