円十字教(えんじゅうじきょう)はガーリールのヨシュアを救世主とする一神教。発祥はタヴェリアだが、現在では主にイクファターナを中心に信仰されている。
概要
北タヴェリアの遊牧民の古代天空信仰を元とし、名もなき神「天」を崇拝していた。やがて定住化し神殿宗教に移行するも財産による大祭司の宗教的差別が横行したために、若い祭司たちによる改革運動が起こる。
この改革運動は守旧派祭司たちとの激しい抗争に発展し、やがて熱心だった改革運動は守旧派の誹謗中傷のみに熱中するようになり内実を伴わないものとなっていった。
そんな中、異民族による略奪やヤード帝国による圧政などで徐々に生存圏を脅かされていった彼らは祭司たちの指導力に期待するも、しかし抗争に明け暮れる祭司たちにとってはヤードによる支配など全く興味がなく、むしろヤード皇帝の権威を傘に来て互いの攻撃に利用する始末であった。
民衆もそのような民衆を見ない改革派を快く思わず、民衆は民族を守ってくれる救世主の登場を待ち望んだ。
ガーリールのヨシュアが伝教活動を始めたのはそんな混沌とした状況下の紀元前10年頃と言われる。
ヤード帝国領ガーリールにて教師をしていたヨシュアは堕落した神殿派祭司を糾弾するために12人の弟子たちを率いて神殿の商人たち(祭司たちと癒着し金権政治の温床となっていた)を追放し、神殿派を敵に回すこととなった。
ついでその場にてヨシュアは自らを「神の御子」かつ「天の御姿」と称した。
神殿派はただちにヨシュアを捕らえ、死刑にしようとするも、死刑執行はヤード帝国皇帝のみが決定できる事項であったため、帝国に対してヨシュアを処刑するように要請した。
これに対して当時のヤード帝国皇帝タノシミウス・ヤドリアヌスはガーリール総督コヴァヤシュヌス・ヨシノリウスにこの問題を調査するように命令した。
ヨシノリウスはヤード帝国皇帝の権威を損なったとして処刑を主張する神殿派を抑え、処刑は妥当にあらずとし、妥協として裁判で「神の御子」であることを撤回するならば釈放とする旨を通告した。ところがヨシュアはこれに応じなかったため、ヤーディア暦1年(実際には紀元前4年頃と言われている)「ヤード皇帝」の名のもとにヨシュアを処刑することとした。
処刑の際に磔刑の十字架の周辺が大いに円状に光り輝いたとされている。このときの円十字が現在の円十字教のシンボルの起源となっている。
ヨシュアは処刑されたものの、3日後に復活したとされ、その復活を信じる者が信者とされた。
彼の教えは12人の弟子たちによって各地に広められ、その中で、北方で布教したケファが普遍教会における初代教皇とされている。
主な教派
普遍教会
総本山派とも言われる円十字教最大教派。教皇を頂点とするピラミッド型のヒエラルキー構造の組織を擁しており、最も強固かつ結束力の強い教派といわれている。
牧会派
16世紀に教皇庁の権威主義的な教会運営と教会内部の腐敗に反発して分離した教派。司祭はおらず、信者の代表が牧師として協会の運営にあたる。
国公会(アトリオン公会)
正統教会
発祥の地である北タヴェリアを中心に信仰されている。もともと普遍教会と同一の教会だったが、10世紀末の相互破門によって分裂した。北の普遍教会と違い、地域ごとに主教がおり、それぞれ独立教会・自治教会を管轄している。筆頭総主教はザルバチ共和国のゲオルギー管轄総主教。
最終更新:2018年11月17日 07:27