スタックバラ条約(亜:Treaty of Stackburgh)は1916年1月10日に連合国とヤード帝国の後継国家であるヤードゴニエ社会主義共和国連邦との間に結ばれた講和条約である。正式名称は連合とヤード国との平和条約。この条約によって全ヤーディア規模の国際体制が確立し、ヤーディシア共同体による集団安全保障体制が完成した。本条約による国際秩序体制をスタックバラ体制と呼ぶ。
背景
連合国間での議論
旧ヤード帝国皇族の処遇に関する議論
今次大戦の責任者を処罰する上で重大な論点となったのは旧皇族をどう扱うかであった。
戦火に見舞われ、膨大な人員と物資を失った、イクファターナの連合国諸国は、その悲劇を二度と繰り返さないため、帝室の人間を全て収監又は軟禁し、帝政復古の可能性を完全に無くすべきであると主張した。
一方、
ジャーガルク・シャー国全権委員の一人であるキ・スラゥなどは「帝室の一員であるからという理由で、戦争遂行には関連しえないとはっきり言える未成年者又は判断能力が不十分である者などを、特定の血統であるからという理由で処罰するのは、法の下の平等と因果関係に関する「あれなければこれなし」の原則に反する可能性があると主張し、最終的に終戦時18歳未満の皇族と、精神上の障害により事理弁識能力を欠く常況にある皇族は特例として収監・処罰する義務は発生せず、彼らが在住している地域を統治する主権国家がスタックバラ条約の内容に反する行為を直接・又は間接的に行っていないか、さらに国際秩序の破壊を目論む勢力に協力に協賛していないかを監視し、必要な場合には対象者に対して管轄国が何らかの作為を行う義務が発生するということになった。
また大戦勃発以前から終戦時まで国外におり、一概に戦争指導部の一員とは断定できない成年皇族に関しては、対象の引き渡しと処罰を求めるイクファターナの連合国諸国と、自国内に大戦中自国籍を取得した皇族が在住する
ジャーガルク・シャー国の間で議論が発生した。
ジャーガルク・シャー国の主張
- 対象である成年皇族の帰化はジャーガルク・シャー国の国内法上合法であり、かつ約7年間本邦に在住した上でヤード国籍を喪失し、我が国の国籍を取得しているため「真正な結合」理論に基づき国際法上も合法である。その為、自国民不引渡しを定めたジャーガルクの国内法によって引き渡し請求に応じる事は出来ない、
(双方可罰性の原則に関する問題)
- 今次大戦において対象者はヤード国内に一度も帰還しておらず、かつヤード側へ連絡も行えなかったため、戦時中連合国を害する違法な行為を行っていない、その為、戦争犯罪者の血縁者であるからという理由のみで処罰するのは連座制と同じであり、責任主義に反する。
- 本事大戦勃発前に対象者は皇位継承権を剥奪されており、また皇族としての恩給も自主的に辞退していたため、対象者は当時ヤード政治の中枢たる完全な帝室の一員であったとは言い難い、
イクファターナ連合国諸国の主張
- 対象者のヤード国籍喪失とジャーガルク国籍取得は大戦中盤頃の行為であり、戦争犯罪の処罰を逃れるための詐欺的行為といえるため、対象者は未だヤード国籍を有している。
- 対象者に対する処罰は今後の国際平和維持を保ち、かつ国際政治上の混乱を避けるという重要な法益を実現のため必要な行為である。
- 対象者は移住先において、皇族であるという理由により、社会的な地位と利益を得ていたため、完全に帝室の一員であったと言える。
この議論に対して
ジャーガルク・シャー国の一般世論は「イクファターナ人同士のことだから保護など不要であり、ジャーガルク人は関わるべきではない」という声が優勢であったが、対して法曹界は、「イクファターナ人は暗黒時代に逆行した、我々は近代国家の一員として、彼らの要求に応じる必要はない」と強く反発した。
また
ジャーガルク・シャー国が対象者の引き渡しを強く拒絶した理由は、対象者を引渡した場合に彼が管理していた国内の旧ヤード権益(大戦中に対象者の同意の元、法人化していた。)を連合国に戦争犯罪者達の財産であるという理由で奪われるのではないかと危惧したためとも言われている。
最終的には対象者が連合国を害する行為をしないよう、
ジャーガルク・シャー国が監視し、その作為を出来る限り阻止するという事で両者は妥協した。
条約締結
条約内容
領土
- 南ヤード半島をヤーディシア共同体の共同管理区域に設定し、連合国軍が駐留する。
軍備制限
- 国内全兵力を20万人以下とする。
- そのうち将校の人数を1000人以下とする。
- 共同管理区域から75kmの地域を非武装地帯とする。
制裁
- 「前」ヤード皇帝ドミトリーを最上級戦争犯罪人として身柄確保すること。
- その他旧帝室を含めたヤード帝国指導部を国際指名手配とし、逮捕状を発給する。
- ヤード政府は旧帝室の政権復帰を認めてはならない。
賠償
賠償金額に関しては以下のように定められた
ソフィア王国との個別条項
- ソフィア王国軍はヤード帝国軍捕虜87万人を全て処刑する事。ヤード連邦は捕虜処刑に対してソフィア王国に一切の補償請求権を放棄する事。
※講和会議の時点でほぼ全てのヤード人捕虜は殺されていた。
- ソフィア領内に駐留するヤード帝国軍は直ちに撤退する事。
- ヤード帝国占領地のソフィア人反逆者(占領下におかれたすべての住民)は、処刑するため必ず王国軍に引き渡すこと。
- 戦後復興のための労働者20万人の供与。
対アトリオン
最終更新:2019年02月06日 22:49