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きみにごめんね

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きみにごめんね【きみにごめんね】



「ヴァンダムヴァンダムヴァンダムー!」
「はいはいはい!なんですか?スズチン様?」

だれより
大好きだよ


「今日なー数学の先生がFTISLAND好きって言うててん!うちそれ聞いてめっちゃテンション上がってー」

稜駿が部活終わるまでうちは教室で待ってる
そして稜駿が部活終わったら二人で手を繋いで一緒に帰る
それは稜駿と付き合い始めた頃にうちが決めたルール
それを稜駿はちゃんと守ってくれている

最近、稜駿の部活がもうすぐ大会な事もあって帰りが遅くなってしまう
稜駿はうちに気を遣って先に帰っててくれてもいいと言ったが、うちがそれを拒んだ
だから、帰り道はいつも空が赤く染まる頃だった

「あ、見て見て!影!」
「ホントだ。俺のが大きいね」
「ほーんまちょっとだけな?ちょっとだけ!」
「はいはい」

二つ影もうちらと同じように手をしっかり繋いでいる
それだけで何だか嬉しくて



「あっ寿々歌ちゃんと稜駿くん!」
「お、手なんか繋いじゃってラブラブやん!」
「ひゅーひゅー」

声をかけてきたのは凛と菜々香と崚行
三人は同じ委員会に所属している
どうやら三人も今帰りのようだった

「もう、からかわんといてー」

からかわれて思わず手を離してしまう
だって恥ずかしいねんもん

「とか何とか言って嬉しいくせにー」
「もー見てるこっちが照れちゃう!」
「やーめーてー」

「…いいなぁ」

うちが崚行と凛のからかいに答えていると、菜々香がぼそりと言った
ぼそりと、ではあったけどそれはうちら全員に聞こえて

「…え?菜々香ちゃん?」
「菜々香ちゃんも手繋いで帰りたいとか思うん?」
「…え?…えっあれっうち何恥ずかしい事言うてんのやろ。うわぁめっちゃ恥ずかしくなってきた」

きゃーなんて赤くなって頬を抑える菜々香
その姿はとっても可愛くて

「でも凛も羨ましいなぁ…手繋いで帰りたーい!」
「ほんなら俺が菜々香ちゃんも凛ちゃんも手繋いで帰ったる!」
「わーい崚行くん男前ー!」
「きゃー」

「じゃあまたねっ寿々歌ちゃん、稜駿くん」

凛がそう言って崚行と菜々香も手を振ってくれた
うちも手を振り返したが稜駿は三人をボーっと見ているだけだった

「稜駿、手振り返さんの?」
「え?あ、うん」

促して、やっと手を振る
三人はそれを見て先を行ってしまった

「…稜駿、手」
「………」
「……………」

あの三人には最近よく会う
どうやら三人の委員会は最近忙しいみたいで終わる時間が大体同じぐらいになるのだ

ただ、声をかけてくるのはたまにで

「…りょーま」
「………」

「稜駿」
「………」

「ヴァンダム!」
「!!…ビックリしたー何だよスズチン様」
「もー今意識どっか行ってたやろ?何回も呼んでてんで?」
「ごめん」
「…ええけどさー…稜駿、手ー」
「ん」

手を伸ばせば稜駿が手を差し出してくれて
うちはそれをしっかり掴んで、手を繋いだ


明日も、明後日も、その次の日も
うちより少し大きい稜駿の手が差し出されると信じてた

だけど
やっぱうちじゃ稜駿を満たせへんのかな

稜駿は、いつでも菜々香を見ている
うちはそれを知っていて、稜駿と手を繋いで一緒に帰る

だって
稜駿はうちの恋人で
うちの生きがいで

稜駿がおらんかったらもう生きていけへんもん…


次の日も、うちは教室で稜駿を待っていた

外で稜駿の部活が終わる様子を見て、自分もしていた宿題を片付けて帰る準備を始める

ガラリと音が聞こえてそちらを見れば、そこには菜々香が居て

「寿々歌、何しとんの?帰らへんの?」
「あ…えっと…うちは…」
「…あ、そっか、りょーまん待ってんねや」
「うん…」
「毎日手繋いで一緒に帰ってるもんな!ホンマラブラブで見てるこっちが照れるわあ」
「あはは…」
「…あ、っと…あんま長居してたら彼氏君来るかな?お邪魔しちゃ悪いからそろそろ行くね!忘れ物取りに来ただけやねん」
「あ、そっか…」
「また明日!」
「うん、またね…」

ガラリ

「ごめん寿々歌、遅くなっ―…」

…あ

「…おっと。遅かったかあ。それじゃお邪魔虫は去りますか。またね、寿々歌、稜駿」
「…またな!菜々香!」
「………」

ごめんな、うち、稜駿のことが好きで
愛する事しか出来んくて

…稜駿のあんな顔、見たくなかったな…

「菜々香一人なんて珍しいな」
「うん…何か忘れものしたんて」
「ふーん…じゃあまだ委員会あるのかな?あ、それかいつもみたいに三人で帰るのかな?」

どうして、菜々香の話するん
今一緒におるんはうちやん

どうして、手繋いでくれへんの?
…約束、守るって言うてくれたのに

菜々香の事に夢中で、そんな事にも気づけへんのかなぁ…


「菜々香達今忙しいらしいねー崚行が言ってたけど、あの委員会ってさー」

菜々香
菜々香
菜々香

何で、その名前ばかり口にするん
重いよ稜駿の一言

「この前もさ、菜々香がー」

うちのすべては稜駿やのに
稜駿は、菜々香が

「ホントおかしいよなー菜々香」

菜々香の名前を口にして、そんな風に笑わんといてよ
菜々香の前でもそんな顔して笑っとるん?

その笑顔は、うちだけのものにしたい


「…稜駿」
「うん?」
「…うち、もう稜駿の事好きやない」
「…え」
「もう帰る!ばいばい!」

菜々香の話を楽しそうにする稜駿が見てられなくて
気持ちとは裏腹の事を口にして逃げるように走って帰った

稜駿は、追いかけてきてくれへんかった


好きやないって言うたけど
ホンマは

ホンマは
起きとる時も夢の中でも稜駿でいっぱいやもん…


「…寝れへん…」

携帯を見れば時間は次の日になって5分ほど経った頃だった

目をつぶってもなかなか寝れなくて
仕方無いからとりあえず水でも飲んで気分変えようとリビングへと向かった

明日、謝ろう
そんで、また手を繋いで帰りたい


そう思っていると、携帯がブーブーとバイブ音を唸らせた


後悔先に立たず
頭に浮かんだのはこの言葉だった

メールを開いて、思わずコップを落としてしまった
コップは幸い割れなかったが入っていた水がこぼれてしまった

メールの内容をもう一度確認して、うちはすぐに電話をかけた


『…もしもし』
「もしもし?稜駿?何なん、あのメール…」
『………何なんって…そのまんま、じゃん』
「別れようって、何なん!?」
『…ごめん』
「ごめんって言われても分からへん!何で、っ…何でなん…?』
『…………』


―――

電話を終えて、電話の内容を思い返しながら床にこぼした水を拭き取る
拭き終わった、と思ったのにまだ水滴が落ちている事に気づいた


ねぇ、 どうして稜駿は謝るん?
どうして泣いてたん?
どうしてうちは泣いてるん?


「もう一度やりなおそう」ってどうして言ってくれへんの?



『重いよ 寿々歌は』ってどういうこと?
これでも愛し足りへんの?


「稜駿…」

お願い
うちを捨てんといて
お願い
行かんといてよ…



『俺、やっぱり、菜々香が好きなんだ…』

そう
最初から稜駿はうちのことなんか好きじゃなかった

ずっと知ってた
それでもうちは

それでもうちは

「稜駿が好きなん!」



ごめんね、わがままばかりで
ごめんね、ばかで泣き虫で
ごめんね、それでも稜駿のこと
誰より、大好きだよ





ねぇ、許してよ!

「うああああ…りょうまあ…お願いやから…そばにおってよぉ…」


今は 好きじゃなくていいから
いつかいつか稜駿のことを振り向かせてみせるから


『…ごめんね、寿々歌』

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