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Scene9 運動量と質量 - (2009/04/22 (水) 08:59:23) の1つ前との変更点

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**Scene9 運動量と質量 ---- ****問題  S'系において同じ質点が左右から同じ速さ$$v$$で近づいてきて衝突・合体した(完全非弾性衝突)。これをS系で見てみよう。ただし,S'系のS系に対する速度は$$x$$方向に$$v$$とする。  衝突時にS,S'の原点が一致するようにとる。S系から見ると,右の質点は原点に静止していて,左からもう1つが近づいてくるように見える。その速度は$$v$$と$$v$$の合成だから, $$w = \frac{2v}{1+v^2/c^2}$$ となる。 #ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=114&file=S9-1.PNG)  合体後はS'系においては静止するのだから,S系から見た速度は$$v$$だ。さて,運動量は? 質量を$$m$$とすると, (衝突前) $$\frac{2mv}{1+v^2/c^2} < 2mv$$ (衝突後) 運動量が保存しない! われわれは,運動の法則において根幹をなす運動量とその保存則を捨てなければならないのだろうか? 否!!  実は捨てるべきは,質量保存則なのだ。$$m$$と$$m$$が合体して$$2m$$という「常識」をまた放棄しなければならない。ここには2つの解決すべき問題が含まれる。   (1) 質量が速さによって変わるのではないかということ   (2) 質量が衝突によって変わるのではないかということ (1)は運動量と質量の関係に,そして(2)はエネルギーと質量の関係に変革をもたらす,相対論の2つめのヤマ場だ!  まずは運動量について考えてみよう。運動量は次によって定義されている。 $$\boldsymbol{p} = m(v)\boldsymbol{v}$$ ここで$$\boldsymbol{p},\,\boldsymbol{v}$$はベクトル$$\vec{p},\,\vec{v}$$に同じ。$$m(v)$$は$$\boldsymbol{v}$$の大きさ$$v$$のある関数。これを質量と呼ぶこともある。このSceneの目標は,関数$$m(v)$$を知ることにある。  上の問題はエネルギーの問題を含んで難しいので,完全弾性衝突について考察する。  同じ質点が同じ速さで同一直線上を逆向きに運動して完全弾性衝突をすると,衝突後は衝突前と同じ速さでやはり同一直線上を離れ去っていく。これを図のように対称に見えるように軸をとろう。この軸の方向にある速度をもつ系から,この衝突を見る。 #ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=114&file=S9-2.PNG)  まず下からくる質点の速度の$$x$$成分が0になるようなS系を選ぶ。このとき,2質点の速度成分の大きさを図のようにおくと,$$y$$方向の運動量保存によって, $$m(u)w^\prime = m(w)w$$ となる。  これをS'系から見ると運動の対称性から下の図のように逆転したものになるだろう。すると,$$w$$と$$w^\prime$$の間の変換はScene8の練習問題の結果を用いて, $$w^\prime = \frac{w}{\gamma}\quad,\quad \gamma = \frac{1}{\sqrt{1-v^2/c^2}}$$ &ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=114&file=S9-3.PNG) となる。よって, \[ \frac{m(u)}{m(w)} = \frac{w}{w^\prime} = \frac{1}{\sqrt{1-v^2/c^2}} \] ここで$w\rightarrow 0$とすると,$u\rightarrow v$となるから, \[ \frac{m(v)}{m(0)} = \frac{1}{\sqrt{1-v^2/c^2}} \] すなわち, \[ m(v) = \frac{m(0)}{\sqrt{1-v^2/c^2}} \] となりそうだ。$m(v)$は$v$の増加とともに増大することになるのだ!\\[2zw] {\bf 練習問題9}\bmp  上式から, \[ \frac{m(u)}{m(w)} = \frac{1}{\sqrt{1-v^2/c^2}} \] を示せ。 \emp \\[2zw]  $m(0)$はいわゆる「静止質量」と呼ばれるものだ。以後は$m_0$と書くことにしよう。
**Scene9 運動量と質量 ---- ****問題  S'系において同じ質点が左右から同じ速さ$$v$$で近づいてきて衝突・合体した(完全非弾性衝突)。これをS系で見てみよう。ただし,S'系のS系に対する速度は$$x$$方向に$$v$$とする。  衝突時にS,S'の原点が一致するようにとる。S系から見ると,右の質点は原点に静止していて,左からもう1つが近づいてくるように見える。その速度は$$v$$と$$v$$の合成だから, $$w = \frac{2v}{1+v^2/c^2}$$ となる。 #ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=114&file=S9-1.PNG)  合体後はS'系においては静止するのだから,S系から見た速度は$$v$$だ。さて,運動量は? 質量を$$m$$とすると, (衝突前) $$\frac{2mv}{1+v^2/c^2} < 2mv$$ (衝突後) 運動量が保存しない! われわれは,運動の法則において根幹をなす運動量とその保存則を捨てなければならないのだろうか? 否!!  実は捨てるべきは,質量保存則なのだ。$$m$$と$$m$$が合体して$$2m$$という「常識」をまた放棄しなければならない。ここには2つの解決すべき問題が含まれる。   (1) 質量が速さによって変わるのではないかということ   (2) 質量が衝突によって変わるのではないかということ (1)は運動量と質量の関係に,そして(2)はエネルギーと質量の関係に変革をもたらす,相対論の2つめのヤマ場だ!  まずは運動量について考えてみよう。運動量は次によって定義されている。 $$\boldsymbol{p} = m(v)\boldsymbol{v}$$ ここで$$\boldsymbol{p},\,\boldsymbol{v}$$はベクトル$$\vec{p},\,\vec{v}$$に同じ。$$m(v)$$は$$\boldsymbol{v}$$の大きさ$$v$$のある関数。これを質量と呼ぶこともある。このSceneの目標は,関数$$m(v)$$を知ることにある。  上の問題はエネルギーの問題を含んで難しいので,完全弾性衝突について考察する。  同じ質点が同じ速さで同一直線上を逆向きに運動して完全弾性衝突をすると,衝突後は衝突前と同じ速さでやはり同一直線上を離れ去っていく。これを図のように対称に見えるように軸をとろう。この軸の方向にある速度をもつ系から,この衝突を見る。 #ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=114&file=S9-2.PNG)  まず下からくる質点の速度の$$x$$成分が0になるようなS系を選ぶ。このとき,2質点の速度成分の大きさを図のようにおくと,$$y$$方向の運動量保存によって, $$m(u)w^\prime = m(w)w$$ となる。  これをS'系から見ると運動の対称性から下の図のように逆転したものになるだろう。すると,$$w$$と$$w^\prime$$の間の変換はScene8の練習問題の結果を用いて, $$w^\prime = \frac{w}{\gamma}\quad,\quad \gamma = \frac{1}{\sqrt{1-v^2/c^2}}$$         &ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=114&file=S9-3.PNG) となる。よって, $$\frac{m(u)}{m(w)} = \frac{w}{w^\prime} = \frac{1}{\sqrt{1-v^2/c^2}}$$ ここで$$w\rightarrow 0$$とすると,$$u\rightarrow v$$となるから, $$\frac{m(v)}{m(0)} = \frac{1}{\sqrt{1-v^2/c^2}}$$ すなわち, $$m(v) = \frac{m(0)}{\sqrt{1-v^2/c^2}}$$ となりそうだ。$$m(v)$$は$$v$$の増加とともに増大することになるのだ! ****練習問題9  上式から, $$\frac{m(u)}{m(w)} = \frac{1}{\sqrt{1-v^2/c^2}}$$ を示せ。  $$m(0)$$はいわゆる「静止質量」と呼ばれるものだ。以後は$$m_0$$と書くことにしよう。 ----

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