「ヒットペットの力学」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
ヒットペットの力学 - (2009/02/12 (木) 08:27:05) の1つ前との変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
****ヒットペットの力学
ペットボトルの口を水平にはじいて,再度立たせるゲーム,「ヒットペット」。
[[ペットボトルの起き上がり]]
および
[[Interactive Physics]]
で紹介した,ペットボトルの運動のモデルシミュレーションに挑戦していたが,概ね満足できる結果を得たので紹介する。
----
本来,おもりとして水をわずかに入れたペットボトルが対象物体であるが,簡単のため次のようにモデル化する。図のように質量$$m$$および$$2m$$の質点が長さ$$L$$の軽い棒でつながれていて,鉛直に立っている状態から上の質点に水平な初速度$$v_0$$を与えるものとする。
&ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=46&file=HitPetM.JPG)
座標として,重心の座標$$(x,y)$$および鉛直からの角度$$\theta$$をとる。下の質点は床から離れないものとすれば,運動の自由度は2であるから,これらの3つの座標は独立ではない。さて,それぞれの座標変数に対する運動方程式および拘束条件は,次のようになるだろう。
$$3m\ddot{x}=-\mu N$$ ---(1)
$$3m\ddot{y}=N-3mg$$ ---(2)
$$I\ddot{\theta}=\frac{NL}{3}(\sin\theta+\mu \cos\theta)$$ ---(3)
$$y=\frac{L}{3}\cos\theta$$ ---(4)
ここに,$$\mu$$は物体と床の動摩擦係数,$$N$$は未知の垂直抗力である。なお物体と床の間は常にすべりの状態にあるものとし,静止摩擦は考慮しない。また,慣性モーメント$$I$$は,
$$I=m\left(\frac{2L}{3}\right)^2+2m\left(\frac{L}{3}\right)^2=\frac{2}{3}mL^2$$
である。
(4)を時間で微分すると,
$$\dot{y}=-\frac{L}{3}\sin\theta\cdot\dot{\theta}$$
$$\ddot{y}=-\frac{L}{3}(\cos\theta\cdot\dot{\theta}^2+\sin\theta\cdot\ddot{\theta})$$
となるから,(2)により$$N$$を消去した上で(3)に代入して整理すると,$$\theta$$に関する二階微分方程式
$$\left(\frac{2}{\sin\theta+\mu\cos\theta}+\sin\theta\right)\ddot{\theta}+\cos\theta\cdot\dot{\theta}^2-\frac{3g}{L}=0$$
を得る。これをまず,初期条件
$$\theta(0)=0\,\,\,,\,\,\,\dot{\theta}(0)=\frac{v_0}{L}$$
のもとで積分することになる。見るからに解析的な解は望むべくもない。
床との衝突は,はねかえり定数3/4の摩擦のない衝突とし,衝突後の位置と速度を初期条件にして同様に数値積分すれば,起き上がりまでの運動の過程を得るだろう。
手持ちの数学ソフトMathcadによって数値積分した結果を下図に示す。
&ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=46&file=HitPet1.JPG)
赤丸が重心座標の積分結果である。ソフトに描かせたグラフの上に物体の位置と向きを
描き込んでみた。衝突までの軌跡はほとんどそのまま倒れる場合に同じで,衝突後はさっと足を引き寄せる感じの動きがおもしろい。次の図は,エネルギーを追跡してみたグラフである。最後鉛直に立ったとき運動エネルギーがゼロにならなかったのは,ご愛嬌?^^;
&ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=46&file=HitPet_E.JPG)
----
#comment(size=40, nsize=20, vsize=3, num=20)
----
****ヒットペットの力学
ペットボトルの口を水平にはじいて,再度立たせるゲーム,「ヒットペット」。
[[ペットボトルの起き上がり]]
および
[[Interactive Physics]]
で紹介した,ペットボトルの運動のモデルシミュレーションに挑戦していたが,概ね満足できる結果を得たので紹介する。
----
本来,おもりとして水をわずかに入れたペットボトルが対象物体であるが,簡単のため次のようにモデル化する。図のように質量$$m$$および$$2m$$の質点が長さ$$L$$の軽い棒でつながれていて,鉛直に立っている状態から上の質点に水平な初速度$$v_0$$を与えるものとする。
&ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=46&file=HitPetM.JPG)
座標として,重心の座標$$(x,y)$$および鉛直からの角度$$\theta$$をとる。下の質点は床から離れないものとすれば,運動の自由度は2であるから,これらの3つの座標は独立ではない。さて,それぞれの座標変数に対する運動方程式および拘束条件は,次のようになるだろう。
$$3m\ddot{x}=-\mu N$$ ---(1)
$$3m\ddot{y}=N-3mg$$ ---(2)
$$I\ddot{\theta}=\frac{NL}{3}(\sin\theta+\mu \cos\theta)$$ ---(3)
$$y=\frac{L}{3}\cos\theta$$ ---(4)
ここに,$$\mu$$は物体と床の動摩擦係数,$$N$$は未知の垂直抗力である。なお物体と床の間は常にすべりの状態にあるものとし,静止摩擦は考慮しない。また,慣性モーメント$$I$$は,
$$I=m\left(\frac{2L}{3}\right)^2+2m\left(\frac{L}{3}\right)^2=\frac{2}{3}mL^2$$
である。
(4)を時間で微分すると,
$$\dot{y}=-\frac{L}{3}\sin\theta\cdot\dot{\theta}$$
$$\ddot{y}=-\frac{L}{3}(\cos\theta\cdot\dot{\theta}^2+\sin\theta\cdot\ddot{\theta})$$
となるから,(2)により$$N$$を消去した上で(3)に代入して整理すると,$$\theta$$に関する二階微分方程式
$$\left(\frac{2}{\sin\theta+\mu\cos\theta}+\sin\theta\right)\ddot{\theta}+\cos\theta\cdot\dot{\theta}^2-\frac{3g}{L}=0$$
を得る。これをまず,初期条件
$$\theta(0)=0\,\,\,,\,\,\,\dot{\theta}(0)=\frac{v_0}{L}$$
のもとで積分することになる。見るからに解析的な解は望むべくもない。
床との衝突は,はねかえり定数3/4の摩擦のない衝突とし,衝突後の位置と速度を初期条件にして同様に数値積分すれば,起き上がりまでの運動の過程を得るだろう。
手持ちの数学ソフトMathcadによって数値積分した結果を下図に示す。
&ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=46&file=HitPet1.JPG)
赤丸が重心座標の積分結果である。ソフトに描かせたグラフの上に物体の位置と向きを
描き込んでみた。衝突までの軌跡はほとんどそのまま倒れる場合に同じで,衝突後はさっと足を引き寄せる感じの動きがおもしろい。次の図は,エネルギーを追跡してみたグラフである。はじめ持っていた運動エネルギーが衝突と摩擦によって散逸する力学的エネルギーに等しければ,直立して止まることになる。最後鉛直に立ったとき運動エネルギーがゼロにならなかったのは,ご愛嬌?^^;
&ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=46&file=HitPet_E.JPG)
----
#comment(size=40, nsize=20, vsize=3, num=20)
----