****運動方程式から軌道方程式まで(2) 極座標による運動方程式から,軌道の微分方程式までを追う。 ---- *****(2) 運動方程式から軌道の微分方程式まで 動径方向および方位角方向の運動方程式より, $$\ddot{r}-r\dot{\phi}^2 = -\frac{f(r)}{m} = -\frac{GM}{r^2}$$ $$r^2\dot{\phi} = h$$ を得た。目標である軌道方程式を得るために,軌道が満たすべき微分方程式を導く。 先が分かっているからできることだが,ズルをして $$u = \frac{1}{r}$$ と変数変換をする。まず,方位角方向の運動方程式の積分(角運動量保存)より $$\dot{\phi} = hu^2$$ したがって, $$\dot{r} = -\frac{\dot{u}}{u^2} = -h\frac{\dot{u}}{\dot{\phi}} = -h\frac{du}{d\phi}$$ $$\therefore \ddot{r} = -h\frac{d^2u}{d\phi^2}\dot{\phi} = -h^2u^2\frac{d^2u}{d\phi^2}$$ これらにより,動径方向の運動方程式を書き換えて, $$-h^2u^2\frac{d^2u}{d\phi^2}-h^2u^3 = -GMu^2$$ すなわち, $$\frac{d^2u}{d\phi^2}+u = \frac{GM}{h^2}$$ を得る。これが,軌道$$u=u(\phi)$$が満たすべき微分方程式である。 ここまでくると,もうひとつの方法に思い至る。エネルギー保存則は,運動方程式の座標による積分だが,逆に微分することで軌道の微分方程式を得る。 $$\frac{1}{2}m(\dot{r}^2+r^2\dot{\phi}^2) - \frac{GMm}{r} = E = {\rm const.}$$ 上の $$\dot{r},\dot{\phi}$$ の表式を代入すると $$\frac{1}{2}\left\{h^2\left(\frac{du}{d\phi}\right)^2+h^2u^2\right\}-GMu = \frac{E}{m}$$ を得る。両辺を$$\phi$$で微分すると, $$h^2\frac{du}{d\phi}\frac{d^2u}{d\phi^2} + h^2u\frac{du}{d\phi} - GM\frac{du}{d\phi} = 0$$ ここで,$$du/d\phi$$ は軌道の各点で異なる値をとるから,全体から除すれば $$\frac{d^2u}{d\phi^2}+u = \frac{GM}{h^2}$$ と,上に同じ結果を得る。角運動量保存こそ用いたが,動径方向の運動方程式を経ずに導出した分,かなりのショートカットになっているといえる。 ---- [[運動方程式から軌道方程式まで(3)]]に続く ----