「コリオリ力を考慮した鉛直投げ上げ」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

コリオリ力を考慮した鉛直投げ上げ - (2012/03/14 (水) 19:57:44) のソース

****コリオリ力を考慮した鉛直投げ上げ
[[OKWave>http://okwave.jp/qa/q7361417.html]]の質問に対して,赤道直下での鉛直投げ上げにおけるコリオリ力の影響を試算してみた。
----
自由落下におけるコリオリ力の影響については,下記を参照されたい。

[[地表系における自由落下点のずれとその近似について>http://homepage2.nifty.com/ysc/zure.pdf]]

赤道上でなおかつ鉛直方向の運動に対するコリオリ力の影響ということで,やや意外な現象であるが,慣性系から見て水平初速成分がゼロではないこと,角運動量保存により高さによって水平速度成分が変化することを考えれば納得できる。

地表からの鉛直投げ上げでは,どのような運動をすることになるだろう。

赤道面上に平面極座標$$(r,\phi)$$をとると,空気抵抗を無視した投射体の運動方程式は

$$\ddot{r} = -g_0+r\dot{\phi}^2 \simeq -g$$

$$r^2\dot{\phi} = R^2\omega$$
     ※$$R$$は地球半径,$$\omega$$は地球自転の角速度

となる。第1式の$$-g_0$$は,遠心力を含まない重力加速度であるが,本来重力には遠心力が含まれ,なおかつ現実の運動範囲での遠心力の差は極めて小さいから無視してよいだろう。したがって重力加速度$$-g$$は定数とする。第2式は角運動量保存則である。初期条件として,

$$r(0) = R\quad,\quad\dot{r}(0) = v_0$$

を採用する。運動方程式の第1式はただちに積分できて,

$$r(t) = R + v_0t - \frac{1}{2}gt^2$$

第2式は,

$$\frac{d\phi}{dt} = \left(\frac{R}{r(t)}\right)^2\omega$$

となる。最高点が100mに達するような初速度を与えた積分結果は下のようになり,約9cm西にずれて着地する結果となった。

#ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=562&file=%E9%89%9B%E7%9B%B4%E6%8A%95%E3%81%92%E4%B8%8A%E3%81%92%EF%BC%88%E3%82%B3%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%AA%E5%8A%9B%EF%BC%89.bmp)


#ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=562&file=NeilsCurve.bmp)
Algodooによるシミュレーション。赤が地表の動き。
地表から見ると自転後方(西)に落下する(ピンクの曲線)。
----
[[Algodooシーンのダウンロード>http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=562&file=NeilsCurve.phz]]
----