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人工衛星の回収 - (2013/02/17 (日) 13:29:23) のソース

****人工衛星の回収
[[Yahoo!知恵袋>http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10102150870]]より。円軌道を周回する人工衛星を地上に回収するために必要な「燃料」の質量を求める。
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【問題】

高度$$h$$の円軌道を周回する総質量$$m$$の人工衛星がある。この人工衛星の軌道をガスの噴射によって変え,衛星を地上に回収したい。噴射は瞬間的に行い,噴射直後のガスは衛星に対して$$u$$の相対速さをもつものとする。衛星に搭載すべき必要最低限のガスの質量を求めよ。ただし,地球半径を$$R$$,地上の重力加速度を$$g$$とし,空気抵抗は無視できるものとする。
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【解答】

解答のシナリオは次の通り。

(1) 円運動の方程式より周回速さを得る。
(2) 角運動量保存とエネルギー保存により近地点を地表とする遠地点速さを得る。
(3) 運動量保存により周回速さを目的の遠地点速さに変えるようなガス質量を得る。

(1)

万有引力定数$$G$$,地球質量を$$M$$とすると,円軌道における衛星の運動方程式(半径方向)

$$\frac{m{v_0}^2}{R+h} = \frac{GMm}{(R+h)^2}$$

により,周回速さ

$$v_0 = \sqrt{\frac{GM}{R+h}} = R\sqrt{\frac{g}{R+h}}$$

を得る。

(2)

円軌道から,近地点を地表とする楕円軌道へのシフトを考える。
遠地点距離$$R+h$$における速さ$$v$$,近地点距離$$R$$における速さを$$V$$とすると,角運動量保存(面積速度一定)により,

$$(R+h)v = RV$$
$$\therefore V = \frac{R+h}{R}v$$

エネルギー保存により

$$\frac{1}{2}mv^2 - \frac{GMm}{R+h} = \frac{1}{2}mV^2 - \frac{GMm}{R}$$

上の$$V$$を代入して,$$v$$を求めると

$$v = v_0\sqrt{\frac{2R}{2R+h}}$$

を得る。

(3)

求めるガス質量$$\mu$$とすると,運動量保存

$$mv_0 = (m-\mu)v + \mu(v+u)$$

により,

$$\mu = \frac{mv_0}{u}\left(1-\sqrt{\frac{2R}{2R+h}}\right)$$

  $$= \frac{mR}{u}\sqrt{\frac{g}{R+h}}\left(1-\sqrt{\frac{2R}{2R+h}}\right)$$

を得る。

#ref(http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=614&file=Satellite-Return.bmp)
Algodooシミュレーションによる周回軌道と帰還軌道。[B]keyを押すと質量を放出する。
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[[Algodooシーンのダウンロード>http://www14.atwiki.jp/yokkun?cmd=upload&act=open&pageid=614&file=Satellite+Return+.phz]]
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