梓「っ…くしゅん!」
唯「
あずにゃん、さっきからくしゃみばっかしてるね。もしかして風邪?」
梓「か、かも知れません…今朝、ちょっと熱もありましたし…」
唯「えっ!? だ、だめでしょ、ちゃんと休まなきゃっ」
梓「そんなこと言っても…微熱なんですよ?」
唯「何度あったの?」
梓「う…三十七度です」
唯「三十七度何分?」
梓「………五分」
唯「全然微熱じゃないよ、それは! あずにゃん、無理しちゃいけませんっ!」
梓「………」
唯「あ、あの…一応叱っちゃってたりするから、ウソでもいいから何か反応して欲しいなぁ~」
梓「す、すみません…唯先輩が怒るなんて珍しかったので」
唯「そんな冷静に言われても…」
梓「それに可愛かったです」
唯「そ、そぉ? てへへ――じゃなくて! こ~ら、あずにゃん!」
梓「そうですね。今回は私がいけませんでした。すみませんでした、唯先輩」
梓「でも、本当に珍しいじゃないですか。唯先輩の眉毛が吊り上がるのなんか初めて見ました」
唯「そりゃやっぱり怒るよ。あずにゃんたら、無茶するんだもん! 体壊したら、ダメなんだからね?」
梓「…でも、その…今日は…」
唯「今日は?」
梓「うち、家族が誰もいなくて…それで………」
唯「そっか。あずにゃん、独りでさびしかったんだね。うんうん、風邪引きのときって弱気になるもんね」
梓「……すみません。わがままで……」
唯「わがままは言ってくれてもいいんだよ、あずにゃん。むしろわがまま言って貰えると嬉しいもん」だきっ
梓「唯先輩…」
唯「他のみんなには頼みにくいことでも、私には言っていいんだよ、あずにゃん。寂しかったり苦しかったらすぐに飛んでくからね」
梓「……ありがとうございます……」
唯「――よし、じゃあ、今夜は
これからあずにゃんの看病だねっ」
梓「こ、今夜って…明日、普通に平日ですよ?」
唯「私も明日休むから、あずにゃんもしっかり休んで回復することっ」
梓「さすがにそれは悪いですって! 唯先輩まで休ませるわけには行きません!」
唯「あずにゃんっ」
梓「は、はい」
唯「さっきも言ったでしょ? 私にだけはわがまま言ってもいいんだって」
梓「唯先輩………」
唯「建て前とかそんなのよりあずにゃんの本心を聴かせて欲しいな」
梓「………一緒にいて欲しいです。私が眠るまでずっと手を繋いでいて欲しい………っ」
唯「ん。よくできました。
ご褒美として唯特製スペシャル看病であずにゃんをしっかり回復させてあげるよ~」なでなで
梓「唯先輩………ありがとう…ございます」
唯「お礼も要らないよ。困ってる後輩を助けるのが先輩の務めだもん」
梓「私を看病するのも…先輩の務めなんですか?」
唯「もちろん! 私はあずにゃんの薬箱さぁ~」
梓「また古いネタを出して来ましたね…」
唯「薬箱になるのも先輩の務めだけど――」むちゅちゅ~
梓「ゆ、唯先輩っ」
唯「寂しさとか苦しさを消し去ってあずにゃんを幸せな気持ちさせる薬になるのも務めの一つだよ、恋人のね」