それはいつとやらの梅雨の日だったっけ
部室は校舎の劣化の訪れで雨漏りし使えない状況、楽器を降ろし修理しやすいようソファーとティーセットを横へ寄せていた
結局この作業だけで今日は解散しみんな帰ることにした
校舎の中も暗く人が少ない
私は唯先輩が忘れ物を取りに行ってる間私は唯先輩の教室前で待っていた
唯「おっまたせー」
梓「じゃあいきましょうか」
ザーザーと降る雨の音が壁越しに聞こえる
私の横を歩く唯先輩の髪の毛は跳ねている
梓「唯先輩、頭跳ねてますよ?」
唯「雨の日は直してもすぐこうなるんだよね・・・」
私はゴソゴソと鞄を探りくしを取り出す
唯先輩の綺麗な髪をゆっくりとかす
唯「ありがとー」
梓「よし、これで多少はマシになったはずです」
くしをしまうとまた歩き続ける
傘をさし行こうとすると後ろから呼び止められる
唯「あずにゃーん」
梓「なんですか?」
唯「傘忘れちゃった・・・入れてよ~」
梓「あ、いいですよ」
唯「悪いねぇ」
唯先輩が片方に入り相合傘になる

雨脚は弱まることなく降り続け跳ね返った雨水がスカートを濡らす
唯「せっかく洗ってきたのに」ムゥ
梓「止まないですね」
唯「ギー太が心配だよぉ・・・」
梓「私もギターが心配です」
唯「でもこれをこうすればっと、これで大丈夫だよ!」
梓「これ前見えなくないですか?」
唯「大丈夫大丈夫、問題ない」
梓「唯先輩の大丈夫は信用できない・・・」ボソッ
唯「ん?あずにゃん何か言った?」
梓「いや!なんでもないです!」
また雨の道を歩く
次に止まったのは道端だった
私は何事と前を見てみる
そこには雨の中散歩している犬がいる
唯先輩は前屈みになるが途中で手を止める
憂から聞いた話だと犬を触ろうとして水しぶきかけられたんだっけ
そのまま前屈みの状態で犬の横を通りすぎようとしている
ブルブル!
尻尾部分に差し掛かった瞬間いっきに犬が溜まった水を払いのける
近くにいた唯先輩はもちろん、おかしな行動に見に入った私までもが被害を被る
飼い主らしき人は「すいません!」と謝りながらこの場から去る
梓「大丈夫ですかって何しょんぼりしてるんですか」
唯「またかけられた・・・」
梓「日頃の行いが悪いんじゃないんですか?」
唯「むっ、そんなことないもん」
唯先輩をいじるのはこのくらいにして早く家に帰って着替えたい
雨が降っているおかげでジメジメと暑い
それに唯先輩がぴっとりくっ付いているというのもある
今更ブーブー言ったって仕方ないので歩き出す

梓「唯せんぱ」
呼び止めても無駄だった
水たまり付近の段差に足を取られる唯先輩
間一髪頭から倒れることはなかったがお尻から思いっきりこけみっともない姿になる
言っちゃ悪いがついてない人だ
唯「転んだ・・・」
梓「ほら立ってください、ハンカチっと・・あった」
背中がびしょびしょに濡れている
憂に怒られるなこれは
そして若干シャツが透けて見える・・・ハッ私何考えてんだろう
目線を戻しある程度拭き終わると鞄にしまう
唯「うぅ寒いよあずにゃん」
梓「風邪ひいたんじゃないですか?」
唯「そうかも・・・そうだあずにゃんを抱けば」ガバッ
梓「ひゃうっ」
唯先輩の体は冷え切っていて冷たい
少しながらも自己主張する胸と透けたシャツ・・・
あぁもうまたこんな妄想が・・・、戻ってこい私
梓「大丈夫ですか?家帰ったらまず着替えて暖かい物食べて布団かぶって寝ましょう」
唯「おかゆ作れない・・・」
そうか今日憂純の家行って帰ってこないんだっけ
私も行かなくちゃいけないけどどうやらいけそうにないや、ごめんね二人とも
梓「じゃあ唯先輩が眠るまで家にいてあげましょうか?」
唯「え?ほんと?」
梓「あくまで眠るまでです」
唯「ありがとうあずにゃん!私こんな後輩持てて幸せだよ~えへへー」
梓「早く帰らないと本当に風邪ひきますよ」
唯「ふんす!」

唯「ただいま~」
梓「お邪魔します」
唯先輩の家に入ったのは初めてではないのでほぼ見慣れてしまっている
唯「あずにゃんこっち」
ドアの向こうから手招きされる
唯「あずにゃん着替えさせて?」
梓「そ、それぐらい自分でしてください!」
唯「えーあずにゃんの着替え手伝うからさぁ」
梓「そういう問題じゃなくて・・・あの、恥ずかしいじゃないですか・・・?」
唯「そうなの?私は恥ずかしくないけど」
梓「私が恥ずかしいんですよ!」
唯「えーなんでなんで?」
梓「なんでもです!私おかゆ作ってきますから先着替えてください」
唯「はい・・・」
リビングへ向かい冷蔵庫を探る
なんで唯先輩はあんなに恥ずかしいことを口にできるんだろう
食材を切り残っていたご飯を鍋に入れ水を足し食材とおまけに卵を入れればお手軽なおかゆっていうより雑炊の完成
匂いにつられたか唯先輩が部屋から出てくる
お気に入りらしい妙な文字がプリントされたTシャツを着ている
唯「おぉ!すごい!」
梓「味は大丈夫です」
唯パクッ「うん、美味しいよあずにゃん!」
梓「お口にあってよかったです」
凄い勢いでたいらげていく唯先輩
時々むせたりしている
唯「ごちそうさま!」
梓「お粗末様でした、さぁ片づけっと」
唯「そんなの後でいいよーゴロゴロしようよー」
梓「唯先輩は布団で寝ないと風邪ひきますよ」
唯「あずにゃんもこっち来て一緒に寝ようよー」
梓「仕方ないですね」
内心うれしいけどそれは秘密
唯「お休みあずにゃん」
梓「おやすみなさい唯先輩」
結局私は寝ることもなかった
服が少し濡れていて気持ち悪かったのもあるし何より唯先輩の寝顔が見たかったからだ
すぴーすぴーと寝息が聞こえてくる
寝息まで可愛いなぁ
目の前には無防備にこちらに顔を向け寝ている唯先輩
顔が自然と近づいていく
理性と本能が頭の中でぶつかり合う
だめだ、こんなことしちゃ先輩と後輩の関係じゃなくなってしまう
でもこんな関係嫌だ、唯先輩の大事な存在になりたい
ここで私は大きな賭けに出ようとしている
しかし本能の赴くまま動く猫はとうとう無防備な病人まで手を出してしまう
ぽっぺ、肩、首筋・・・
キスだけでは足りず私は手を布団に忍ばせた・・・

純「梓どうしたの?」
憂「梓ちゃん今日はお姉ちゃんの看病だって」
純「ほう、お熱いことになりそうですなぁ」


  • 続きカモン -- (名無しさん) 2019-05-11 18:03:37
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最終更新:2011年06月09日 21:13