梓誕・二日目!ご奉仕唯先輩!
1
11月12日、休日。
私、中野梓はMAXバーガーで唯先輩とお昼ごはん中です。
梓「……」モグモグ
唯「……」
梓「……」ゴクン ズゾゾー
唯「……」
梓「…………」チラ
唯「…」ニコッ
正確には私だけが食べていて、唯先輩は私の隣に立ってる、ですけど。
カウンターではムギ先輩がニコニコしながらこちらを見ているのがわかります。
あと律先輩と澪先輩も離れたところからこちらを伺っていますが、バレバレです。
憂と純まで一緒にいます。
梓(うう……///)
ヒソヒソ クスクス
そして、とある理由から私たちは先輩たち以外からも注目を集めています。
正直言って、とてつもなく恥ずかしいです。
梓(どうしてこんなことに……)
2
回想。
11月11日。私の誕生日。
夜、私の家、寝室にて。
梓「先輩たち、それに憂と純もあんな大きな誕生パーティ開いてくれて…」
梓「ほんとに楽しかったなー…。
プレゼントもいっぱいもらっちゃった!」
梓(それにしても……唯先輩のプレゼント)
~~~~
唯『
あずにゃん、誕生日おめでと~っ!これ、プレゼントだよー♪』
唯『おおっと、今開けちゃだめだからね!帰ってからのお楽しみ!』
~~~~
梓(薄い箱だけど…何が入ってるのかな。ノート?)フリフリ
梓「それでは…唯先輩、プレゼント開けますからねっ…!」ドキドキ
カパッ
3
梓「……」
梓「……………猫、耳?」
梓「…はぁ」
梓「期待してたわけじゃないけど…あれ?なんだろこの紙」
『 これはとてもブルジョワなネコミミです!
このネコミミをつけている間、あずにゃんはお嬢様です! 大事に使ってねv 』
梓「…はい?」
梓「……」スチャ
梓「……にゃん♪」ニャン
鏡「にゃん♪」
梓「なにやってんだろ、私……寝よ」
梓(……期待なんて…してなかったもん)
そのときは唯先輩がまたふざけてる、ぐらいにしか思ってなかったのに、
まさかあんなことになるなんて……
4
11月12日。
今朝のこと。
梓「すぅ…すぅ……」
prrr prrr
梓「んん…電話?憂からだ……もしもし」
憂『おはよう梓ちゃん。ごめん、まだ寝てた?』
梓「ううん、いいよ。昨日はありがとね」
憂『どういたしまして♪そういえば梓ちゃん、お姉ちゃんからのプレゼントは見た?』
梓「唯先輩?あー……。相変わらず、だったよ。ところでさ、今日約束してたよね。集合いつにする?」
憂『……。そうだねー、それじゃあ…今から梓ちゃんの家にいってもいい?』
梓「今から?別にいいけど…ちょっとはy」
憂『ほんと?じゃあすぐそっち向かうね!……あ、一言だけいいかな?』
梓「えっ、うん」
憂『……すごいよ?それじゃあまたねっ』プツッ
梓「…すごいって……何が?」
5
梓「何をそんなに急いでるんだろ…って、10時過ぎてるじゃん。支度しないと」
ピンポーン
梓「うそっ、まだ着替えてもないのに!はいはーい」トタタタ
ガチャ
唯「お迎えにあがりました、お嬢様」
梓「」
梓「人違いです」バタン
唯「ああんっあずにゃん開けてー!!」
なぜか唯先輩が来ました。
タイトで真っ黒な燕尾服を着て。
ヘアピンをはずしていつもより綺麗に整えた髪形で。
いつもより、どことなく大人な表情で。ってか私よく見てるな……
それがあまりに……りりし…もとい、イメージが違ったので、
ドアを閉めて唯先輩が泣きつくまで本当に誰だかわからなかった、なんて言えません。
6
梓「はぁ…何なんですかその格好。一気に目が覚めましたよ」
唯「えー?ちゃんと書いたよ?このネコミミをつけている間、あずにゃんはお嬢様です!って」
梓「読みましたけど。それと唯先輩がその格好で私の家に来ることに何の関係が…」
唯「だからー、あずにゃんはお嬢様なの!お嬢様には執事がつくでしょ?それで、私が執事!」フンス
梓「メイドじゃなくてですか?」
唯「メイド服は前に着たから別のがいいかなーって、えへへ」
梓「わからないけどわかりました…要はこれが唯先輩の誕生日プレゼントですね」
唯「そゆこと!今日はいっぱいご奉仕しちゃうよ!」
梓「あ、ありがとうございます…?」
唯「よろしくお願いします、お嬢様」キリッ
7
唯「では早速、お召し物を」
梓「いやいやいやいや」
唯「お任せください…!!」ワキワキ
梓「いやいやいやいやちょちょちょっ!できます、ひとりでできますからぁ!!」
……
梓「……もうお嫁にいけない」クスン
唯「最後にブルジョワの証、ネコミミをつけて完成!かわいー♪」
梓「もう好きにしてください……」
8
唯「それではお嬢様、本日はこのあとお食事の予定です」ペコリ
梓「出かけるんですか?別にいいですけど」ノ ⌒ [ネコミミ]
唯「えっ」
梓「え?」
唯「なんでネコミミはずしちゃうの…?」
梓「…出かけるんですよね?」
唯「でもネコミミはお嬢様の証なんだよ…?」
梓「え、外でつけろってことですか?嫌ですよ!」
唯「大丈夫だって、あずにゃんとっても可愛いもん!!似合ってる!」
梓「これはいくらなんでも恥ずかしすぎます!ぜ~~ったいつけませんからね!!」
唯「……うぅ、プレゼントなのに……」ウルッ
唯「ネコミミあずにゃんお嬢様~~♪」
梓(し、視線を感じる…///)
9
唯「お待たせいたしました、こちらです」
梓「食事って……MAXバーガーじゃないですか」
唯「でも私のおごりだよ!」
イラッシャイマセー
唯「どうぞお座りください」ガラッ
梓「あ、ありがとうございます」
唯「お嬢様、何にいたしましょう?」
梓「えーと、じゃあチーズバーガーとバナナシェイクで」
唯「む~~……」
梓「唯先輩?」
唯「もっとお嬢様が執事に言うみたいにして欲しいな~…唯、食事をここに!みたいに!」
梓「なんですかそれ…先輩にそんな失礼な真似できませんよ」
唯「気にすることないよ!執事だから!それに今あずにゃんは私と
同い年なんだし!」
梓「そういう問題じゃないです!」
10
唯「お嬢様ぁ~~」キラキラ
梓(うっ……)
梓「……こほん。こ…これ唯。食事を用意なさい!」
唯「……わぁ♪はい、お嬢様!」
?「「ブフッwwww」」
梓「!?」バッ
律「あ、いけねっ」サッ 純「やばっ」ササッ
澪「はぁー、バカ…」
憂「あはは…」
梓(先輩たち!?憂に純まで…計られたっ…!)
唯「シェフ!お嬢様がチーズバーガーとバナナシェイクをご所望だー!」パンパン
梓「ちょっ…やめてください唯先輩!恥ずかしいですって!」ヒソヒソ
紬「かしこまりましたー♪」
梓「ムギ先輩まで!?」
11
回想終わり。
そんなわけで、ネコミミが執事を侍らせてハンバーガーを食べているわけですから、
当然注目を浴びています。
ヒソヒソ シツジダー クスクス ネコミミダー ユイアズー ピローン♪
ていうか写真撮られてます。
梓(これ、へたな
罰ゲームよりずっと恥ずかしいよぉ…///)
梓「……ところで、唯先輩」
唯「何でしょうか、お嬢様」
梓「それはいいですって…。唯先輩は食べないんですか?」
唯「執事ですから」
唯「……」
12
梓(今日の唯先輩、黙っていれば……その)モグモグ
唯「…」ジー
梓(なかなか……なんだよね。喋ったらいつもの唯先輩だけど)ズー
唯「はぅ…」ゴクリ
梓「…………やっぱり唯先輩も食べませんか?」
唯「へっ!?いやいやわたしはおなかすいたなーとかそんなことおもってないですから!」
梓「もう」クスッ
梓「……それじゃあお嬢様から命令です、一緒に食べましょう。何にします?」
唯「お、おぉ……天使…!」ジーン
唯「みなさーん!この人お嬢様なだけじゃなく天使ですーー!!」
お願いですからほんとに黙ってください…
13
その後は、「偶然」居合わせた先輩たちに憂や純、バイトを終えたムギ先輩と一緒に、
時々からかわれながらいつもみたいに遊びました。
唯先輩は私の周囲を守っていました。それたぶん執事じゃなくてSPです、唯先輩…
そして夕刻。今日は解散です。
梓「じゃあね、憂。また学校で」
唯「また明日ねー!」
憂「うん、バイバイ」
梓「ふう、なんだか二日間も誕生日祝ってもらったみたい…。ただいまー」
母「お帰りなさい」
唯「お世話になりまーす」
梓「って唯先輩!?なんでまだいるんですか!」
唯「え?今日は泊りがけでご奉仕だよー。ちゃんと連絡済みです!」
母「いらっしゃい唯ちゃん。それじゃあ早速で悪いんだけど、一緒に晩御飯作りましょうか?」
唯「お願いいたします、奥様」キリッ
なんということでしょう。まさか家族までグルだったなんて……
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それから、唯先輩とお母さんの作ったご飯を食べたり、テレビ見たりして、
あと、お風呂でも…ああ、恥ずかしくて思い出したくありません。
そして。
唯「添い寝も仕事の一つです!」
梓「だろうと思ってましたよ…ていうかもういいじゃないですか。パジャマだし日付も変わりますし」
唯「そう?じゃあいつも通りね!あぁ真面目にするの疲れた~~!!」グデー
梓(そんなにいつもと変わらなかったけど…)
梓「でも、なんでこんなことしようなんて思ったんですか?」
唯「ん?えーと、私ね、いいプレゼントが思いつかなかったの」
唯「それで、私をプレゼント!ってしようかなって思ってたら、さわちゃんがそれなら…って」
梓「ああ、それであの格好だったんですね」
唯「ちなみに執事のことはクラスの友達にマンガ借りて勉強しました!」
梓(そこはムギ先輩のほうが適任なんじゃ……)
唯「ねえあずにゃん、似合ってた?」
梓「……まあまあですね。執事としては赤点ですけど」
唯「え~!ひどいー!」
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梓「はい。ちょっと恥ずかしかったけど…楽しかったです」
唯「そっかぁ、よかった……ネコミミだって、お風呂入るときまでつけてたもんねー…」
梓「う…そ、それはずっとつけてたから忘れてて……」
唯「……私も、あずにゃんがプレゼント喜んでくれて嬉しいよ。…ありがとね」
梓「もう、なんで唯先輩がお礼いうんですか」
唯「なんでだろうね…わかんないや、ふふ…」
梓「……唯先輩。私、唯先輩の誕生日、ぜったいたくさんお祝いしますからね」
唯「わぁ…それは…楽しみ、だぁ……」
唯「……」
梓「…唯先輩?」
唯「んん……くぅ……」
16
梓「寝ちゃった…」
目の前の寝顔を眺めながら、今日一日を振り返る。
梓(いろいろあったけど、今日は楽しかったなあ…)
どんな形であれ、身の回りの人たちにあれこれしてもらうのは、
それだけ大事に思われてるとわかって、嬉しいです。
そして、唯先輩。
振り回されて恥ずかしい思いしたり、無茶言われたりしても、
ついつい言うことを聞いて、何かとそれに付き合ってしまう私は、
つまりはそういうことなんだろうなと、改めて思います。
口に出すつもりはないですけど。
だから、
梓「唯先輩、お疲れ様。これは私からの
ご褒美ですよ」ボソッ
なんて言い訳して、欲張りな私は、もう一つだけ、唯先輩からプレゼントをいただきました。
☆ HAPPY BIRTHDAY AZUSA! ☆
描写がうまい -- (むむ) 2011-12-14 23:45:39
- 何はなくともあずにゃんには猫耳は必要不可欠www -- (名無し) 2012-03-17 10:28:31
- ハンバーガーを食べて読んだら腹一杯ww 梓「」ユイセンパイカワイイ 唯「」ハンバーガー! -- (名無し) 2012-04-17 11:19:46
- この猫耳を付けた天使は、後にあずにゃん天使と名付けられたと言う……。 -- (名無し) 2012-05-15 12:15:46
- ハンバーガー食べてるあずにゃんを見ながら唯は腹を空かしてたと思うwww梓「」モグモグ 唯「」キリッ(あずにゃんばっかり食べてる〜)>< -- (名無し) 2012-07-09 11:34:19
- 読み応えあってよかった -- (名無しさん) 2012-12-26 20:32:29
- あずにゃんかわいい -- (名無しさん) 2012-12-26 20:32:50
- 最高だよ!!あずにゃん恥プレイあずにゃん以外他客以外はみんなグル。 -- (あずにゃんラブ) 2013-01-07 21:40:55
- この後、猫耳をつけたあずにゃんはひこにゃんをライバル視をしたとかしないとか…… -- (名無し) 2013-04-20 12:03:21
最終更新:2011年12月03日 22:16